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『ウルトラマンジード』感想・第15話

◆第15話「戦いの子」◆ (監督:市野龍一 脚本:根元歳三
良かったぁぁぁぁぁ! 今週もずっと宮野真守声で喋っていたレイトさん、魂の片隅で虚脱状態になって死んだ魚のような目で膝を抱えながら赤とんぼを口ずさんでいる事が懸念されましたが、喋った! ……まあ、鞄抱えて向かっている先は、職場ではなく職安という可能性もありますが。
前回ラスト、次元の裂け目に飲み込まれたモアが辿り着いたのは何処とも知れぬ異次元空間……ではなく、クルトが身を隠す山の中であり、モアはそこで負傷したクルトと接触
「やはりお前がジードか」
一方リクは、ゼナからモアの消息に関する情報を知らされ、リク&ライハはモアを探して山へ、ゼナと、ゼナを監視するZレイトはゼナが監禁されていた地下道の奥に進んでクルトの行方を追う。
「ガブラ・カーノ……戦いの子。我々は、彼ら戦士達をそう呼んだ」
「そいつらを使って、他の星を侵略していたわけか」
「……我が種族は、他から奪うか、自ら滅びるかしかなかったのだ。そして、幾多の戦いの子を育てた。クルト達は、私の教え子だ」
ここからしばらく、クルトがモアに、ゼナがゼロに、それぞれの素性と目的を語る、という形で交互に展開。
いってみれば少年兵育成キャンプの教官であったゼナは、ベリアル戦争によるシャドー星の壊滅後、AIBに就職。シャドー星人の最終兵器であるゼガンを異次元空間に封印し、いずれ破棄する予定であったが、ベリアル復活の可能性がある情勢を鑑み、召喚装置だけは手元に置いていたのだった。ところが、かつての教え子達がゼガンを用いた地球侵略を求め、それを拒絶したゼナは監禁されてしまう。
「子供の頃からゼナに戦う事を教わってきた。なのに……シャドー星人の誇りも捨て、俺たちの事も忘れて」
「ゼナ先輩は、クルトさん達の事をずっと思ってきた筈です」
「何故わかる……ゼナの事など何も知らないくせに!」
「だって、ガブラ・カーノって、クルトさん達の事なんでしょ? それを、パスコードにしてたって事は……」
モアはクルトにゼナの秘めた気持ちを説き、ゼロはゼロでテロリストとはいえ師弟の絆に熱いシンパシーを感じたのか、Gメン先輩への好感度メーターがぎゅいーーーーーんと急上昇していた。
「師匠に教え子か……きっと好きだったんだろうなぁ。あんたの事を」
ストレートな言葉にちょっと動揺を見せる先輩の姿に、鼻をこすって笑みを浮かべ、ちょろいよゼロ?!
本編で見えていない設定をベースにした台詞なのが惜しいですが、なんだかいい感じに自分の修行時代を思い返している風のゼロは、面白かったです。
「どうして……地球人のおまえが、AIBに居る?」
山の方ではクルトに問われるままモアがAIB入社の経緯を語り、回想シーンの女子大生風ルックが可愛めで、ライハ、ペガ、レムには真似できない、大人の女のバリエーションでぐいぐいと攻めてきます。
「リクくんは何かなりたい職業とかってあるの?」
就職活動の頃という事なのか、幼稚園の就職案内?を広げながら、横に座るリクに問いかけるモア。
「うーん……僕は……ヒーローかな!」
学ラン姿で爽やかに言い切った!
その歳でその明言は、凄く駄目人間だぞ!(笑)
「ドン・シャイン! みたいな?」
「具体的にはわかんないけど、誰かを元気にさせたり、楽しい気分にさせたり、そういう人になれたらいいのかな」
これまでもう一つ形の見えてこなかったリクのヒーローへの憧憬と願望ですが……要するにこれは、春野はるか(『GO!プリンセスプリキュア』)におけるプリンセス概念なのか。
すなわちそれは、「用意された器の名」ではなく、「目指し続ける理想の名」であり、今作が“模造品のウルトラマン”が“本物のヒーロー”になる物語であると見ると、色々な歯車が噛み合ってきた感があります。
11−12話は「朝倉リクという名前」の話でしたが、ジードという名前」はリク自らが付けたというのはこの先で大きな意味を持ってきそうであり、またそういった要素が綺麗にまとまってくれるのを期待したい。
その後モアは、苦痛に呻いている宇宙人を介抱した事でゼナと出会い、AIBについて説明を受ける。
ようやく明かされたAIBとは、「クライシスインパクトの後、宇宙の秩序を取り戻す為、宇宙人同士が結成した組織」との事。
受け手の興味を引くミステリーとしては機能していなかったので、もっと早い内に明かしておいた方が良かった気はしますが、その発祥にクライシスインパクトが関わっているという事もあり、これで遅ればせながら宇宙Gメンが、都合の良い謎の組織から、物語の中に降りてきてくれました。
「入れて下さい! 私を、AIBで働かせて下さい。地球人も、宇宙人も、みんなを元気にしたいです!」
そして、これまでリクのモットーである「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ」はモアが教えてくれた事だと示されていましたが、モアがAIBに就職した背景にリクの言葉の影響があったというのは、一方的に与え/与えられるのではなく、返ってくるものがある関係性というのが好きなので、二人の相互補完が成立して、好み。
Gメン先輩のしごきとテロリスト教官のしごきを語っている内に、いつしか声を合わせ、笑い声をあげるモアとクルト。
守る者と奪う者、全く役割を逆にしながらも、その教えは常に部下を案じてこそという、立場を超えたゼナ個人の想いが二人の教え子を通して示され、Gメン先輩、気がつくと物凄い愛されキャラ。
「……今のは……本物の笑顔ですよね?」
「……」
「もう、終わりにしませんか」
逡巡を見せるクルトだったが、一度踏み込んだ修羅の道へ引き戻すかのように、ゼガンのエネルギーが完全回復。クルトはゼガンを召喚しようと開けた場所へ向かうが、そこでゼナと対峙する。
「殺すなら私一人にしろ。それで終わりにするんだ。……私もおまえと同じだった。いつか再び、シャドー星の為に。そう思っていた。だが……」
「……みんな……みんな死んだ」
戦士としての生き方しか知らず、失われていった同胞達の名前を挙げるクルト、そしてゼナ。
「だから生きる。だから生きなければならないんだ。かつて望んだ道ではない。正しいのかどうかもわからない。だが、試してみたいのだ。戦うのではなく、共に生きる。お前も生きるんだ、クルト!」
「もう遅いそんな生き方! 俺には!」
ゼナとモアの説得を振り切り、クルトはゼガンを召喚すると融合。ゼナはゼロとジードに、ゼガンを止めてくれるように頭を下げる。
ジーッとしてても」
「「ドーにもならねぇ!!」」
ここでリクとZレイトが並んでの同時変身は、非常に格好良く決まりました。次回の展開を考えると、ここで、ジード・ゼロ・AIB(一部)の共闘関係が成立する、という一つの節目を意識したようですが、祈りを背に並び立つ二人のウルトラマンが、そのシンボルとして機能。
「カム・タタール・シャドー!」
ゼガンはジードとゼロの攻撃を受けながらもその歩みを止めず、クルトを救いたい気持ちがあるので、二人ともいきなり本気出さない、というのも納得いく流れ(マグニフィセント変身前に仲居スマッシャーを挟めればより良かったですが)。
「こんな事したって、なんにもならないよ!」
「ベリアルは必ず復活する。俺たちが戦ってる場合じゃねぇ!」
一瞬、某戦隊が脳裏をよぎりましたが、この世界にはゾンネット粒子は存在せず、モア粒子の感染を振り切ったクルトは、自らの生き方を最後まで貫く事を選ぶ。
暴れ続けるゼガンの次元湾曲光線に対抗する為、ジードはヒゲスラッガーを発動してヒゲバリアーを張るが、反射した光線で周囲に被害が広がってしまう。それを見たゼロは打開策を閃くとビヨンドになってウルトラ舎弟バリアーを張り、前後から二つのバリアーで歪曲光線ごとゼガンを挟み込んでいく……。
「カム・タタールシャドー……カム・タタールシャドー……カム・タタールシャドー」
「どういう意味?」
「……シャドーに、永久の安らぎを」
「やめて! クルトさん!!」
二人のウルトラマンによって完全に鯛焼きプレス状態になりつつも、祈りの言葉を繰り返しながら力を放出し続けたゼガン/クルトは遂に大爆発。そして、自らの放った光線により歪曲した異次元空間に飲み込まれて完全に消滅……ただ唯一、召喚の腕輪だけが、クルトが本当に居たかった場所を示すかのようにゼナの元へと吹き飛び、教え子の形見としてゼナはしっかりとそれを受け止めるのであった。
「……クルト」
――後日、街ですれ違うレイトとゼナ。
「モアは? …………あんたは? ……大丈夫なのか?」
「彼女が来てからAIBは変わった。何故かはわからない。だが、我々には、愛崎モアが必要だ」
「……ふっ。それを――」「――そのまま、本人に伝えてあげたらいいんじゃないですか?」
レイトさん、意識があって本当に良かった(笑)
一方リクは、足の負傷もあってまだ宇宙Gメンに復帰していないモアの元へ。
「……届かなかった……私の声は……あの人に。…………でも……でもね。辞めたくない、諦めたくない」
声を震わせながらも、涙をこらえたモアは空を――星を見つめる。
「地球人も、宇宙人も、みんなが元気で、楽しくいられるように。どうしていいのか……何をしたらいいのか、私に、何ができるのか。……全然……なんにもわからないけど。……でも……でも……ジーッとしてても、ドーにもならないから」
心に傷を負いながらも歩み続ける事を決めたモアが、リクと微笑みを交わして、つづく。
シャドー星人の背景をかなり重いメタファーとして設定した事もあり、苦みを漂わせた結末となりましたが、あっけらかんと落としたり、リクのナレーションにより俯瞰で流してしまうのではなく、ゼナもモアも今回の件で傷を負い、それでも、大人としてその傷を乗り越えていく……そういう哀しみを量産しない為に、世界を少しずつ良くしていきたいんだ、という姿を示して終わる、というのはヒーロー性もともなって良かったです。
途中でゼナが口にする「だから生きなければならないんだ。かつて望んだ道ではない。正しいのかどうかもわからない。だが、試してみたいのだ」という言葉がリクの抱える煩悶にも繋がっており、ストーリー全体のテーマを汲んだ上で、一つのエピソードとしての完成度も高く着地。ジーッとしてても、ドーにもならない」への接続も鮮やかでした。
また、これまでモアは空回り系のドジキャラという面が強かったのですが、なんだかんだ“自分の事で手一杯”気味なリクとライハと比べると、実は“未来の為に出来る事を考えていた大人”であった事が明らかになる、というのも劇中の位置づけとして良かったです。
リクが顔を見た事のある宇宙人をぶち殺すのは、特例といえるK先生を除けば初だと記憶しているのですが、モアを励まそうとしつつも自身も落ち込んでいるリクに対して、好きな男の前だからこそ、格好つけてみせるモア、というのは“ちょっとドジな最初から好感度100のお姉さん”というだけでない奥行きが出て良いキャラになってきました。
……モアが丁寧に掘り下げられてきた分、パンチの利いたキャラでロケットスタートの筈だったライハが、カーブを曲がれずに壁に突き刺さってコースアウトしたのが気になりますが、次回、ライハは再びエンジンに点火できるのか?!
全体としては、序盤のもたつきやフックのかけ違い、時間のかかった準備運動からライハの複雑骨折などありましたが、第11−12話を大きな転機にハンドリングが安定、ギアとエンジンも噛み合って真っ直ぐ加速できるようになってきたので、是非ともこのまま、ゴールまで走り抜けてほしいです。
次回――どうしてゴドラ星人?! じゃなくて、いよいよ、父帰る。意外と早かったですが、ベリアルさんに思い入れがない(設定をよく知らない)身としては、『ジード』として楽しめるかどうか、期待半分不安半分。ここ数話の流れからは、良い方に期待したいですが。