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『ウルトラマンジード』感想・第18話

◆第18話「夢を継ぐ者」◆ (監督:伊藤良一 脚本:柳井示羊緒)
OPとEDの歌詞が2番に変わり、ここからがNEXT STAGE。映像ではモミアゲマスターがやたらと尺を採り、考えてみればOPの一番最初に堂々と出てくるので、これはもはや実質的なキングによるOP乗っ取りなのでは。
久々登場の銀河駄菓子屋はベリアル撃破記念セールで盛り上がっており、今日も黙々とライハが手伝う一方、リクはいい加減、就職を考えていた。
「警察官、消防士、学校の先生、お医者さんに会社員、人の役に立つ仕事が多すぎる。僕は将来いったい何になったらいんだ!」
幼稚園〜小学生レベルで夢一杯ですが(主な想定視聴者層ではあり)、みんなに元気と笑顔を与えられるヒーローを目指すリクの口から、現実の仕事もどれだってヒーローに繋がっている、と示してくれたのは好み。
そんな折、K先生がとうとう、編集者の殺害容疑で全国指名手配されるというニュースが流れ(思えばこの編集者、AIBに協力を要請されたのだろうに守ってもらえなかった物凄い被害者)、エンペラー星人の怪獣カプセルを回収したと報告を受けたモアと先輩は、街をふらつく薄汚れた姿のK先生を発見。そこにレイトも居合わせてZレイトとなり、逃げるK先生を追い詰めている所にリクまで通りすがるが、更にそれを見つめる縞々の宇宙人。
「追われる獲物とは、伏井出ケイ、堕ちたものだ。しかし、その獲物は私のものだ」
縞々の宇宙人はシマウマロボを召喚すると、第2話でリトルスターを奪おうとして粉微塵にされた同胞の復讐の為に、K先生を攻撃。周辺被害を抑える為に、変身したゼロが横から蹴りを入れるも、それをものともせずに前進する。
「どこのどいつだか知らんが、こざかしい。邪魔をするな!」
「俺はゼロ! ウルトラマンゼロだ!」
殴り飛ばされ、知名度の不足にいたくプライドを傷つけられたゼロは、勢いで舎弟達と融合合体。
だが、宇宙人がベリアル軍から奪ってカスタマイズしたというレギオノイドは、ゼロビヨンドにも匹敵するパワーを見せる。
見た目割と格好いいシマウマロボですが、額に「ダダ」という文字の意匠が入っているノリに、最近見た事もあってノリシロンファイナル(『激走戦隊カーレンジャー』)を思い出してしまいました(笑)
宇宙人の名前の由来から、ちょっとシュルレアリスム的なものを意識したのかもしれませんが。
一方、リクとモアから逃げていたK先生は、オープンカフェでノートパソコンに向かっていた女に匿われる。
「貴方……作家の伏井出ケイ先生でしょ?」
「作家……? ケイ……?」
「もしかして……自分の事がわからないの?」
今回ここまで、明らかに様子のおかしいK先生の逃亡劇が続いているのですが、予告で「記憶喪失」と明言してしまったのは勿体なかった感。
シマウマロボとゼロビヨンドは空中戦に移行し、K先生は山中にあるという女の仕事場に連れて行かれる……放棄された植物園の一室、のようなその家の壁には所狭しとK先生の編集者殺人容疑にまつわる記事が貼り付けられており、壁一面に並ぶK先生の決め顔って、ひぃぃぃぃぃっ!
「それは貴方の写真。貴方は伏井出ケイ。突然彗星のごとく現れた経歴不明のSF作家。地位と名誉を手に入れ、人気の絶頂にありながら、ある日、殺人事件の容疑者として指名手配される」
鏡に映る自分の相貌に手をやりながら戸惑うK先生に、ぐいぐいと顔を寄せる女。
「編集者の死をきっかけに貴方は転落した。知的で優雅で上品だった先生が、今はもう見る影も無い。どうして殺したの?」
「わからない……君は、誰?」
「私は石狩アリエ。ノンフィクションライターよ」
熱狂的なフクイデストがK先生を監禁!というS・キングな展開になるのかと思ってドキドキしましたが、アリエ、と名乗った女は、編集者不審死事件を本にしたいと、K先生に取材を申し込む。
「本を出すまで、ううん、本を出した後も、貴方のこと守るから」
現状認識を失い、靄のかかったK先生の世界、という事でか今回全体的に青黒いフィルターを画面にかけているのですが、穏やかながらも瞳の奥を輝かせ、少々サディスティックにK先生に迫るアリエのミステリアスな雰囲気が強調され、このやり取りのシーンでは効果的になりました。
困惑して黙り込むK先生の足下に転がるのは、袖口からこぼれ落ちたチェスの駒……ベリアル(キング)とK先生(ポーン)の象徴という事か。
星雲荘ではモアからリク達に、ベリアルの撃破後に幾つかの怪獣カプセルが飛び散り、その内エンペラー星人とダークルギエルのカプセルを宇宙Gメンが回収した、と後追いで説明。
「それを狙って、色々な宇宙人が本部にアタックを繰り返してるの」
「え、なんで?」
「怪獣カプセルを理由して、宇宙を支配する為」
これまで、ベリアル復活の可能性を窺い息を潜めて様子見していた宇宙人達が、その死により銀河の覇権を求めて一斉に動き出す……というのは、前回のベリアル撃破をロイヤルフォームの踏み台に留めるのではなく、魔王の死が新たな混沌の引き金になるという次の展開に繋げてくれて良かったです。
どちらにせよやはり、ベリアルの存在感と力はもっと強大に描いて欲しかった所ではありますが(^^;
「それじゃ、さっき襲ってきたヤツも?」
「伏井出ケイを倒し、ベリアルの座を奪うつもりだと考えられる」
モアは宇宙Gメンの一員として改めてリクに今後の協力を頼み、黙っていてもジードは人々を守る為に戦ってくれるとわかってはいるけど、ベリアルを撃破して運命を書き替えたリクを別の戦いに巻き込む事に対して筋目を通す所に、モアの大人のしてのスタンスが見えます。
ところでゼロは……まだ宇宙で戦っていた。
「大丈夫かな」
レイトさん、休憩時間中に会社に戻れるかな!
宇宙空間での激しい攻防では、レイトの口からゼロがまだ完調ではない?事に言及され、一時退却の提案を拒否したゼロは、自爆覚悟の必殺地球落としを敢行――頭上遙か高くでそんな死闘が繰り広げられているとは知るよしもなく、K先生はアリエのカウンセリングを受けていた。
「空っぽだった……それを誰かが満たしてくれた。なのに……その人を思い出せない」
怯えるその姿に、アリエはK先生が、辛い経験から心を守る為に自ら記憶を封印したのではないか、と推測。
「無理しなくていい。思い出したくなるまで、私待つから」
「……すまない」
「謝らないで。貴方には感謝してるの。貴方の事を書くって決めて、ずっと調べて、まさかこうして会えるなんて。やっと運が向いてきたみたい」
「君は……親切だ」
「……本を出して有名になりたいだけ。お代わりどう?」
K先生のあまりに素直な言葉に一瞬口ごもるアリエは、指名手配犯を匿っている時点で勿論ぶっ飛んではいるのですが、倫理観と名声の希求と人間的感情が適度にせめぎ合っているというキャラクター造形は、今後の転がし方が楽しみです。
その時、宇宙から迷惑な二つの巨影が落下してきて、ものの見事に自爆したゼロは変身が解け、K先生に迫るシマウマロボの銃口
「伏井出ケイ、ストルム星人ごときに、宇宙の派遣は握らせん。ベリアルの後は、我らが貰い受ける」
「ストルム星人?! なんの事?!」
「わ……わからない!」
シマウマロボのサイコガンが火を噴き、アリエとK先生は巨大な爆発に飲み込まれ……その炎の中で、ベリアルの大爆死を――自らの記憶を取り戻すK先生。
「……そうだ……私は失ったのだ。ベリアル様を! 空っぽの器、虚ろな私を満たす方を! あの方はもう居ない。……居ないぃ!!」
ここまで、傲岸な男が落ちぶれて弱り切った姿が素敵だったK先生ですが、割とさっくり復活。個人的にはもう少し引っ張って、アリエさんとの奇妙な同居生活がしばらく描かれても楽しめたのですが、残り話数を考えるとそんな事をしている場合ではないか(^^;
少し気になるポイントとしては、台詞をそのまま受け取ると、K先生はベリアルを失って空っぽになったのではなく、もともと空っぽだったのがベリアルによって満たされていた、という発言。ストルム星人の特質なのか、K先生個人の生き様なのかはわかりません、リクにとってのドンシャインが、K先生にとってのベリアルだったという可能性も浮上してきて、どう転がるのか注目。
「どうしたの?」
「私は…………私がその後を継いでみせる」
完全にフクイデワールドを取り戻したK先生は、大事に携帯していたライザーとカプセルによって棍棒怪獣を召喚。
「怪獣を呼び出した?!」
「そうはさせるか!」
妙にヒーローっぽい構えでダッシュから棍棒怪獣に殴りかかるシマウマロボだったが、パンチの連打を軽々と防がれ、あえなく轟沈。
「まさか! この、この私が、やられるとはぁぁぁぁぁぁ!」
武人ポジションだったのか、縞々宇宙人は、やたら格好いい台詞回しのまま、大爆死を遂げる。
「伏井出ケイ! ベリアルはもう死んだ。戦うのはよせ!」
「朝倉リク。ベリアル様の紡ぐ悪夢は私が継承した。誰一人安心して眠らせるものかぁぁ!!
ゼロの落下地点に駆けつけたリクは完全復活したK先生と再会し、第16話でゼロがベリアルについて形容した「悪夢」を拾った台詞が格好いいのですが、返す返すも、今作中におけるベリアルのインパクト不足が惜しい。
「次は貴様だぁ!」
テンション高く手を振り上げたK先生は、木陰からアリエが全てを見つめる中、サンダーキラーにフュージョンライズ。リクもまた、アリエの視線に気付かないままジードへと変身し、2体の怪獣に立ち向かう。Zレイトもグラサン取り出して再変身しようとするがライハに止められ、アリエはその光景もバッチリ目撃。
3人の見る前で棍棒怪獣に苦戦するジードは、モミアゲマスターにフォームチェンジ。登場時のオルガン風ジングルが格好いいモミアゲマスターは華麗な立ち回りでマントと剣を振り回すと、ジャックカプセルを装填し、雷属性の必殺剣で棍棒怪獣を粉砕する。
「キングの力は貴様が継いだかぁ!」
「継いだのは力じゃない、夢だ!」
リクとK先生が光と闇の後継者として対比になり、リクの台詞そのものは格好いいのですが、前回がそういう話ではなかった気がするので、エピソードのキーワードとやや強引に繋げてしまった感じになってしまったのは惜しい(^^;
サンダーキラーはまさにベリアルを思わせる巨大な爪でジードを挑発、対してモミアゲマスターは柔よく剛を制す剣技で怪獣をいなし、前回のベリアル戦はとにかく力押しだったのですが、今回はモミアゲマスターとしての立ち回りが強調された戦い方が面白かったです。
最後はタロウカプセルを用いての炎属性必殺剣でエンドマークし、前回ラストでついでのように入手したカプセルは、キングソードの属性攻撃用と判明。最強モミアゲマスターの奇跡の無敵ぶりを存分に描きつつ、しっかりと玩具も売り込んでみせました(笑)
それにしても『宇宙戦隊キュウレンジャー』のシシレッドオリオンといい、今作のロイヤルメガマスターといい、今年のバンダイは“マントの最強キャラ”推しなのでしょうか…………は?! これは、来年の春映画でビッグワン復活?!
他会社作品の与太はさておき、モミアゲの力に破れ、無惨に吹き飛ばされたK先生は顔に謎の傷を浮かび上がらせながら藻掻き苦しんでいたが……そこに姿を見せたのは、石狩アリエ。
「貴方の話、もっと聞かせて……こんなの最高すぎる!」
「震えているぞ」
「武者震いよ。だって、いい本が書けるんだもの」
ここでアリエを、完全に壊れているのではなく、自分の本の為に恐怖心を乗り越えようとしている人間、と設定したのは今回の白眉。
自分しか書けないものがある、書きたい、書かずにはいられない、という“書く人間”の根源的欲求と思い込みが善悪も種族の境界も飛び越えて手を伸ばすというのは、前半のK先生が作家を隠れ蓑にしていた、という要素と上手く繋がり、物語として非常に面白い含みになってきました。この要素が、終盤に広がってくれるといいなぁ。
「そんな日は来ない。……おまえはここで死ぬぅ!」
「隠れ家の提供、情報の収集、私、役に立つと思うけど……」
抑えきれない恐怖に細かく震えながらもアリエが差し伸べた手を打ち払うK先生だったが、辛うじて杖を振りかぶるも力なく倒れ込み、アリエに抱き留められる。
「私と一緒に来て」
……ところで、ジャケットモードになった途端、いつの間にか杖を握りしめていたのですが、杖は記憶とセットなのか(笑)
(――夢は、誰かに伝えないと消えてしまう。いい夢も、悪い夢もみんな。その日、世界は再び変わり始めた。それぞれの受け継いだ夢が、動き始める)
そこからリクの毎度のモノローグで続くのですが、妙にスタイリッシュに高原を歩み去るリク・レイト・ライハの姿に、凄く違和感(笑) そしてライハは、何故そんなに、何かをやり遂げた顔なのか(笑)
K先生を中心にメインキャラを満遍なく掘り下げて良い仕事だったのに、ゼロ復活→ヒカリ宅配便の大惨事コンボで台無しになってしまった第7−8話以来の柳井脚本でしたが、役者さんの好演もあり、落ちぶれて弱り切ったK先生を軸にした展開が面白かったです。
予告からてっきり、人間の女性に化けたダダがなんらかの情報を求めてK先生に近づくのかと思ったら違ったアリエさんですが、サスペンスフルな演出もはまって雰囲気の出た好キャスティングで、かなり良い感じ。これまでと全く違う立ち位置の女性キャラが、K先生の側に登場するという新展開は非常に面白く、どう物語をかき混ぜてくれるのか、ここからの終盤戦が非常に楽しみです。
ところで第8話の感想を読み返していたら、


とりあえず、残念カプセルを使った後遺症が出ない事を祈ります。
「ルミナさん……僕最近、数奇な運命に導かれて旅に出たい気持ちなんですよ」
と書いていた事に気付いたのですが、最近レイトさんが無職に引き寄せられ気味なのは、後遺症か!!
そして今回、〔ゼロビヨンド < シマウマロボ <<< 棍棒怪獣 <<<(中略)<<< モミアゲ〕という後半戦の絶望的なヒエラルキーが提示されたのも、後遺症か!! ……まあどうやら、ゼロ(ビヨンド)はここまでかなり無理をしていたらしい、というエクスキューズはつきましたが。
次回――ポッと出の女に真ヒロインの座は渡さない! 遂に、眠れる獅子(レム)、立つ!! これまで今作で薄かった「母」のピースが入ってきそうな上に、メカゴモラが格好良くて、次回も期待。