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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第4話

◆修行その4「ゾワゾワ!五毒拳」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:横手美智子
「五毒拳――特別、邪悪凶暴な臨技を究め、その身の内に、熱、痛み、寒さ、痺れ、吐き気の毒を持つという、臨獣殿精鋭の五人」
光の速さで一秒間に百の突き繰り出す地獄の手数王・トカゲ拳士。
変幻自在の動きから冷酷非情な攻撃を放つ一撃必殺の狙撃手・コブラ拳士。
微笑みと舞で敵を翻弄してトドメを刺す戦慄の踊り子・サソリ拳士。
想定外の反応と攻撃を用いる対応不能の惑乱者・ヤモリ拳士。
鉛の神経と鉛の体を持つ鋼鉄鉄壁の守護者・カエル拳士。
5拳士の紹介シーンが入り、こういうの好物ですが、メレ様が煽れば煽るほど五毒拳の出落ち感が増幅されていき、蟲毒○三冥獣とか、ビーク○ッシャー四鎧将とかを嫌でも思い出して震えが止まりません。
「邪悪を究めし五人のリンリンシー、五毒拳。おまえ達が出陣する意味、わかっているわね?」
アバン全部使ってメレ様がたっぷり可愛げをアピール(あれ?)した所でOPに入り、これはまあ、人気出るよねメレ様、と深く納得(笑)
その頃、ゲキレンジャースケートリンクで修行中で…………ええと、あの……マスターシャーフーがあの着ぐるみで滅茶苦茶華麗に滑っているのですが、なにこれ、凄すぎて怖い。
「諦めは未来を閉ざす。行き止まりへの道じゃぞ。して……もうひとり、ニキニキ小僧は、どうした?」
老師は3人に、フィギュアスケートの大技・カレイドスパイラルジャンプを飛ぶ修行を課し、ジャンにぶつかられそうになって、そのカレイドスパイラルジャンプで華麗に回避した女性客こそが特別コーチ、一体全体どういう繋がりだったのか、本人役で登場したフィギュアスケーター八木沼純子
という立て続けに動揺する展開なのですが、それに紛れて八木沼純子さんもさらっと老師を受け入れており、割とこの世界、ごく普通に街を獣人が闊歩しているのか、それとも、スクラッチから派遣されたゆるキャラだと思われているのか。
臨獣殿では理央様が、1話でジャンが気絶していた時に見たのと同じような夢を見てうなされ、メレに心配されていた。
「また夢を見た……激突か、融和か、巡り会いの予感がする」
目を開いた理央様は激獣拳に報いを与えるべく、五毒拳に出撃を指令。
「――五毒拳が、来る」
真咲に呼び出され、スクラッチのビル(?)に付けられた臨獣殿の印を目にした老師の言い方が格好良く、強敵たぶん強敵だと思う強敵じゃないかなまちょっと覚悟はしておけ到来の予感で盛り上げてきます。
スケートリンクでは八木沼純子が、高難度ジャンプなど出来るわけがないと最初から弱気なランとレツに対し、諦めない限り未来は開かれる、と助言。
「あの元気少年、いいわね。我武者羅で、一生懸命で、なんだか無茶苦茶だけど」
無謀で単純なジャンを肯定的に描くに際し、無理無茶無策が結果的に成功してしまうのではなく、失敗しながらもめげずに奮闘し続ける姿を評価する、というのは納得しやすく、『マジレンジャー』の反省点を踏まえているのだろうか、と思うところ。
“なにをもって勇気とするのか?”という新魔法のDL条件が曖昧だった『マジ』に対し、修行(課題)と達成(克服)を明確にしているのも、プロデューサー繋がりもあって『マジ』の継承作、という印象があります。最も、あまりにも明確に可視化しすぎると、展開(勝利への道筋)が型にはまりすぎるという難点も生じてしまうので、その辺りをどう捌いていくのかは今後の注目点。
街を蹂躙する五毒拳は赤青白緑黄のイメージカラーが割り振られており、ゲキレンジャーの前で異形に変身すると揃い踏みを決め、第4話にして臨獣戦隊という怒濤のハイペース。
なお、名乗りはムカデ(白)が最初なのに、同輩をたしなめる落ち着いた口調などからも、センターでリーダーはコブラ(青)の模様。
異形に転じた五毒拳は、コブラは普通に格好いいし、カエルの、カエル顔が腹にあって頭部は毒々しい模様のイボ、というのは面白いデザインです。……それにしても五毒拳、凄腕の怪拳士軍団というよりは、山風忍法帖ノリなのですが、私が『ニンニンジャー』で見たかったのはもしかしたらこれだったのかもしれない、と思ってみたり(笑)
五毒拳との歴然とした実力差に追い詰められたゲキレンジャーは、老師のミラクルスピンエスケープによって救出されるが、その老師に襲いかかるメレ様。
「激獣拳は終わりよ。そして臨獣拳の世が始まる。ご降臨とともに」
「超超、超ゾワゾワだ」
メレが喜悦の表情を浮かべ、ジャンは不吉な予感に身を震わせ、吹きすさぶ風、弾ける紫の雷光、そして次々と現れてスクラムを組む五毒拳――
「違う! 超ゾワゾワなのは……」
ジャンが恐るべき闇の気配を感じたその時、爆発で黒煙を撒き散らしながらダークネスミラージュジャンプで地中から現れたリオ様は、五毒拳がその身でスクラムして作り上げた、人間玉座平然と座ったーーー!!
まったく座り心地は良く無さそうなのですが、下賤どもと同じ地面の上に立つ気はない、と王様ムーヴで徹底して他者を見下ろし、悠然と両手を広げながらこれが我が玉座だ文句あるか、と溢れんばかりの自信を見せつけて腰掛ける……というか担がれている理央様、そこの竹林にヤイバ先輩が潜んでいたら、鼻血出して心臓麻痺で死にそうなレベルの高さです。
また、臨獣殿が理央によって甦ったリンシー達で構成された死者の王国であるならば、理央が君臨するのはまさしく死者の玉座であり、その虚栄を象徴的に現しているように見えるのは今後の広がりにもなりそう。
「夢は、おまえとの戦いを告げていたのか、シャーフー」
絵面としては正直スレスレというよりアウトですが、これは断じてギャグではないと、シリアスに畳みかけてくる理央様。
「魔道の邪拳に魅入られよって、嘆かわしい事じゃ……」
「俺をまだ 聖子ちゃん派 弟子だと思っているなら、心得違いも甚だしい」
理央は元80年代アイドル推し、じゃなかった、元激獣拳士でシャーフーの弟子、深刻なジャンル間の闘争により臨獣拳アクガタに移籍した裏切り者である、と判明。
定番の関係性といえますが、変に引っ張らずにさくさくと明かしてきたのはスッキリして良かったかな、と思います。
……という事は雑巾がけその他お宝映像が保管されていそうですが、理央の修行時代はまだそこまでデジタル化が進んでいなかったのか、それともそんなお宝映像に一切動揺しないほど、闇の力が高まってしまったのか……!
「ところでメレ、ここに修行時代の理央がカップラーメンを食べている時のお宝写真があるんじゃがの」とかやればメレ様を買収できそうな気がしないでもないですが、それよりとにかく、脱いだ!
老師と理央の闘気が激しくぶつかり合い、理央は臨獣ライオン拳臨技・臨気鎧装により、いわばリンブラックへと変身。
「猛き事、獅子のごとく。強き事、また獅子のごとく。世界を制する者、我が名は黒獅子――理央」
俺は俺のキャッチコピーは自分で付ける、とかつての師の前で自ら披露した理央様ですが、「獅子のごとく」×2が、強調したというよりネタが思いつかなかったように聞こえてしまい、6点(10点満点)。
不闘の誓いゆえか、拳を交えながらも防御と回避に徹する老師を黒獅子・理央は徐々に追い詰めてゆき、必殺のライオン神拳が放たれたその時、老師を守ろうと割って入ったゲキレッドのタイガー神拳が、これまでにない凄まじい威力でそれを相殺。
「おまえと戦うのは俺だ!」
「な、な、な、なに言ってんの!? どきなさい! 理央様は、あんたみたいな格下とは戦わないわ」
「……そうか。シャーフーではなく、おまえが、俺の感じた、予感だったか」
「超ゾワゾワなのに、俺、ニキニキしてる。俺、おまえと戦う。おまえも俺と戦え!」
成り行きで獣拳の派閥争いに巻き込まれた要素の強かったジャンですが、本能的に持っていた正義の気持ち(公の大義)とはまた別に、本能的に持っていたより強い者と戦いたいという気持ち(個人の意志)が浮かび上がり、相反する感情の中で他者との関係性を構築する、というのは良かったです。
ここでただ理央が悪だから戦う、というだけだと一面的になってしまうのですが、理央との出会いによりジャンの中にある別の感覚が刺激された、というのはキャラクターとして立体的になりました。
また理央が登場して老師との激突からここまで、一連のシーンのBGMの壮大さが、理央をギャグにせずに世界観を示す事を助けてくれ、良い劇伴でした。一気にハードル上げすぎてこの後が少し不安になりますが、立ち上がりにおける因縁の初対面として、出し惜しみなく劇的に盛り上げてくれたのは秀逸。
「――面白い」
理央の指示によりジャンは緑の毒を撃ち込まれ、巨大化した五毒拳相手に解毒剤を手に入れる毒試合を要求される。合体した3人だが合体時の感覚共有により3人揃って毒に苦しめられ、更に次々と繰り出される五毒拳の連続攻撃に大ピンチ。
「期待外れだったな」
「まだ終わっとらんぞ。あの3人はお主が持たなかったもの、持とうとしなかったものを持っておる」
「なんだと」
険しい表情になった理央の見つめる中、ゲキトージャの中で立ち上がる若き激獣拳士達。
「諦めない!」
「そうだ! 諦めは、行き止まりへの道。ぼく達トライアングルは、決して未来を閉ざしたりなんか、しないんだ!」
「ゾワゾワのキリキリなんかに負けねぇ!」
絶妙に残念ポイントを稼いでくる青ですが、黄の台詞はほぼ相槌で青がこの回のキーワードを全て言ってしまう、という台詞の配分バランスが悪すぎるのはどうにかならなかったものか(^^;
諦めない事を選んだゲキトージャは起死回生の激獣カレイドスパイラルジャンプで五毒拳を蹴散らすと解毒剤を入手し、ご、ごどくけーーーんっ!!
勝利条件を別に設定して、倒さなくてもOKという形で格を落とさない工夫はしましたが、割と思い切り蹴り飛ばされた五毒拳の将来が大変心配です。頑張れ五毒拳、最低限、高校インターハイレベル以上の力は見せてくれ!
「この先あの弟子達が、我が臨獣拳との戦いを、勝ち抜けると?」
「諦めぬ限り、未来に続く道は開けるもんじゃ」
「…………ふっ。ではその夢が潰えるまでの束の間、生き長らえるが良い」
終始シャーフーを見下ろし続けた理央様は、ブリリアントカイゼルスピンで退場し、アイドル時代の癖が抜けません。……そういえば臨獣拳士がよくグルグル回りながら地面に潜って退場するので、獣拳の基本スキルなのかもですが。
かくして窮地をくぐり抜けたビーストアーツだが、空には巨大な臨獣拳の印が浮かぶ。果たして、相打つ宿命の虎と獅子の間には、如何なる因縁が隠されているのか……空に浮かぶ理央様の哄笑で、つづく。