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『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第15−16話

◆修行その15「ホワホワ!ママ業」◆ (監督:諸田敏 脚本:横手美智子
見所は、理央様の腕輪に顔すりすりするメレ様。
「憎しみが強さを生み、強さがまた憎しみを育てる。若獅子よ、おまえは螺旋を描くがごとく、強く大きく変貌する」
タカの性根が信用できず、理央がタカとの修行にかかりきりなのが面白くないメレ様、存在感をアピールしようと残りの拳魔復活クエスト担当を申し出て拳魔の腕輪と真毒を貸し与えられ、理央様の装身具ゲットだぜーーーーー!!
気軽に貸しちゃう理央様ですが、もうちょっと、考えた方が良かったかもしれませんよ?
一方でメレにとっても蘇生アイテムとなり得る真毒も躊躇なく与えている事には、メレの忠誠を微塵も疑わない姿勢が窺えます。
「小娘は、よほど吾の事が気にくわぬと見える」
嘯くタカは憎しみの力を見せてやる、とツルに出撃を命じ、相棒の復讐に狂ったような笑い声を上げるツルは、カラスの形見の剣を手に街へと繰り出すのであった……。
その頃、スクラッチではお片付けの出来ないジャンとレツを相手に、ランが鬼教官、というかお母さんモード。
「ランは二人のママみたいじゃのー」
遂に、身内から言われてしまう。
更にツルの臨技により生命の鼓動を抜き取られたジャンとレツが、ジャンは小学校低学年ぐらい、レツに至っては赤ん坊の姿に若返ってしまい、本格的に、お母さん代わりをする羽目に。
そして判明した事は、虎に育てられた野生児、という事情があって許されているジャンの無軌道さは、見た目から子供になってしまうと、ただただ腹立たしいだけという事(笑)
ジャンの可愛げというのは“図体が大きい”事に担保されていて、その要素を排除してしまうとジャンというキャラクターの大きな強みが失われて個性が薄れてしまい、ギャップで面白がらせる筈の子供化が、ギャップの消失により面白くなくなってしまうという、落とし穴にはまってしまいました。
尤も、ジャンの見た目を子供にする事で今作における疑似母子関係をより明確かつ強調し、ジャンの図体だと普段はできない事(おんぶとか抱きつきとか)を行って、“ジャンと母親”、そして今作全体としての“母と子”の要素を描く事自体は狙い通りだったと思うので、誤算というよりは目的の為に敢えて見えている穴に落ちに行った、という気はしますが。
その事に、ジャンの悪印象要素を強める可能性というリスクを負うだけの価値があったのかどうかは、今後次第という所でしょうか。
小さき無力なものをいたぶり悲鳴をあげさせる、と悪趣味なツルの襲撃をかわしながら、ジャンとレツを連れて場外ホームランしてしまった鼓動を探すランママ奮闘記がしばらく描かれ、遂に鼓動を発見するもツルに阻まれるイエロー。その危機に、ちびジャンはゲキレッドへと変身する!
「俺、ランママ守る!」
会心のちびレッドパンチがツルにクリティカルヒットし、母を守りたいという思う気持ち=正義の心が、ちびジャンをゲキレッドに変身させるだけの激気を生じさせた、というのは今作の設定として納得が行きます。
「憎いぃ……きさまらが、憎い!」
「憎しみよりも強い気持ち……それは、ママが子供を、子供がママを想う気持ち! ホワホワよ!」
そして母→子供の一歩通行ではなく、子供→母という双方向の関係性で描かれたのも良かったです。父親の存在がありませんが、現状「母」を強調していくのが今作のテーマ性でありますし、理央に対するタカが「厳しい父」像に当たると思われ、トライアングルを見守るシャーフーとの対比が繋がってくるのには期待したい。
立ち上がったイエローは、憎悪の狂気に蝕まれたツルに華麗なカウンターを決めると、指圧の心で圧倒し、最後は北○神拳であびばぁ!
……ちびジャンパンチからイエロー反撃の流れは格好良かったので、最後変にパロディにしなくても良かったような。膨れあがるツルに背中を向けて歩み去りながら特に決め台詞もなく、パロディとしても中途半端でしたし(当初はもっと露骨にやるつもりが、諸般の事情で駄目という事になったのかもですが)。
奪われた鼓動を取り戻してジャンとレツは青年の姿へと戻り、レツ、半裸→全裸を披露。慌ててビースト・オンして逮捕を免れるのですが……こ、これは……全裸スーツという新たなジャンルの開拓なのでは(やめなさい)。
巨大化したツルはゲキトージャのバット武装で打ち破り、一応「暮らしの中に修行あり」と言わせて、ジャンとレツの面倒を見ながらの鼓動探しを修行とこじつけているのですが、実質的に修行という要素を省いた事でスッキリとした作りになっており、なにかと直線的すぎる「修行」の成果よりも、束の間の母子の心の交流が逆転劇を生んだ、という方が物語として説得力を生んでいるというのは、1エピソードとしては良かったのですが、今作全体としては考えさせられるところです。
かくして、たいそうのおねえさんからうたのおねえさんにランクアップしたかと思われたランだが、ジャンもレツも若返り状態の間の記憶を失っていた為、奮闘の数々を主張するも全く感謝されず、レツに至ってはおしめ替えてくれなど頼んでない! と逆に抗議されてガックリ、でオチに使われてしまうのがホント、ヒロイン力が足りていません(笑)
一方、拳魔クエストに出発したメレ様は理央様の腕輪の匂いを嗅いで大興奮していたが(語弊有り)、タカへと燃やす嫉妬心を気に入られ、海の拳魔に呼びかけられると、その骸の眠る海中へとダイブ。
「封印ごときで、メレ様の愛の道を邪魔できると思ったら、大間違いよ」
メレは愛の力で封印を突破すると(け、拳聖の封印……)海の拳魔を蘇生し、早くも二人目の拳魔・臨獣ジェリー拳のラゲクが復活する。
「教えてあげるわ。身を焦がす思い。おーっほほほほほほほ」
と、締めも臨獣サイドに持って行かれて、今回それなりにいい話だったのに、宇崎ラン、どこまでもヒロイン力不足の女。
まあ近年は、たいそうのおねえさんもかなり出張っているようなので、頑張れ、ラン!
そして、W全裸をばっちり目撃されたレツは、幾ら記憶が無いといっても一生ランの精神的奴隷確定で、ひっそりと哀れ……。
次回――マスターシャーフーにスキャンダル勃発?!


◆修行その16「ジリジリ!臨獣拳、課外授業」◆ (監督:諸田敏 脚本:横手美智子
「カターん、久しぶりねぇ」
メレと友に臨獣殿に帰還した海の拳魔ラゲクは、理央よりもメレの方が見込みがあると言い放ち、眉間にものすっごく皺の寄る理央様(笑)
悪女というより妖女というか、軽い調子で相手の懐に入り込みつつ混乱を撒き散らし、台詞回しの銀座のママ路線がどこかクモ御前(『世界忍者戦ジライヤ』)を思い出すクラゲ、メレに理央と戦うように促し、目覚めて数分で臨獣陣営を根幹から翻弄する強烈なインパクト。
タカといちゃいちゃしているのが気に入らない、と新たな相談役を招聘したら予想外の事態にこんな筈ではなかった……! と狼狽するメレは理央と戦う事を拒絶し、理央様はクラゲの不意打ちに対して脱衣防御を披露。
「海の拳魔の力はこの程度か」
「あらこの子、かなり失礼ね」
だが余裕かまして見下ろしていたら、触手で背中から毒を打ち込まれてしまう。
臨気が強ければ強いほど、その臨気に反応する猛毒に理央は戦闘力を失い、クラゲは怒りのメレに対してこれを「レッスン」と称すると、いきなり巨大化(幻影?)して街へ。
街が暗闇に包まれると、霧がけぶる中に現れる巨大クラゲ、というのは大物登場の雰囲気があって格好良く、巨大クラゲはあらゆる攻撃を回避する軟体拳法でゲキトージャを子供扱いして完勝すると、トライアングルを落第認定。
今回は幹部クラスの実力披露とはいえ、すっかり完敗に慣れきった格下ングルの前には巨大化を解除したクラゲが姿を見せるが、更にそこに、何やらクラゲと深い因縁を持つらしい猫老師も登場。
「ダーリン〜♪」
「誰が、ダーリンじゃ! 儂としては二度と会いとうないからお主を封印したんじゃがな!」
物凄い私怨を明言した!
続けてタカ・理央・メレも姿を見せ、マスターと現役拳士達が揃う中で明かされる、古き因縁。すなわちシャーフーにとって三拳魔とは――
「かつての友――そして許しがたき裏切り者じゃ」
獣戦隊繋がりでいうと「友よ、君たちは何故、悪魔に魂を売ったのか?!」と来る所ですが、どうやら猫もタカもクラゲも、かつては獣人ではなかった!という衝撃の事実が判明。恐らく各自の激気技と関わりを持つのでしょうが、獣拳の秘められた過去が明かされると同時に、マスター達はなぜ人から獣人に転じたのか、という謎が生まれたのは面白い要素。

「かつて、獣拳を究めし十人がいた。しかし、よこしまな心をいだく者達が、自らの獣拳を、臨獣拳と名付け、悪しき目的達成の為に、臨獣殿を創設した」
「それが私たち三拳魔。残された七人は拳聖を名乗り、自らの獣拳を、激獣拳と名付けた」

ここちょっと時系列に注目したいのですが、「拳聖と呼ばれた10人の中から3人の裏切り者が出て拳魔を名乗った」のではなく、「裏切り者3人が拳魔を名乗ったので、残り7人は自分達で拳聖を名乗り出した」のであり、割と根性太いぞ、獣拳マスターズ。
激獣拳ビーストアーツと臨獣拳アクガタ、両者は誕生から対立関係にあり、同じ幹から二つに分かれた流派の激突は「激臨の大乱」に発展……そして、三拳魔は封印され、七拳聖は不闘の誓いを立てる事になったのであった。
格下ングルを行動不能にしたクラゲは、「今日は課外授業の日なの、ダーリン」と理央を人質に、メレにシャーフーと戦う事を要求。
「理央ちゃん……本当に強いってどういう事か、しっかり見ておきなさい!」
拘束された理央様は杖で小突かれて屈辱にまみれながら新しい扉を開いてMゲージをチャージしていき、猫にあしらわれるメレは、なんと自らの秘孔を突いて身体強化するという裏技により、命の炎を燃やして猫へと決死の闘いを挑む。
「誰も! 理央様の髪の毛一本! 傷つける事は許さなぁぁい!!」
「メレちゃんイっちゃったみたい。燃え尽きるまでにシャーフーを倒せるかしら?」
バーニングメレの猛攻は遂にシャーフーの体を捉え、まともに喰らって蹴り飛ばされる老師。
「理央ちゃん、あなたの存在はあの子にとって力の源でもあり、弱点でもあるのよね。あなたの為になら手段を選ばない。いつでも命を捨てる覚悟がある。それがあの子の強さ!」
「だが、次に大技を出せば、小娘は死ぬ」
メレはシャーフーめがけて最終臨技を放とうとするがその時! MゲージをMAXまで充填した理央様は膨大な臨気でずばぁっとクラゲの拘束を打ち破ると身中の毒すら消し飛ばし、メレを止めるとまさかのハグいったーーー!!
「しかと見せてもらった、メレ」
側近にかばわれて敵の大将首を獲ってもらう、という精神的に再起不能になりそうな状況を男のプライドで回避した理央様、情があるかはともかくメレの体を抱き留めるという、力だけではなくへたれずにやる事やってみせるのが格好良く、さすが真墨完全体(笑)
そしてメレ様が前回の黄色いお母さんに対して、ヒロイン力でも格の違いを見せつけます。
「臨気に反応し、臨気を封じるというなら、それ以上の臨気を生み出すまで!」
全身から紫炎のオーラを放った黒獅子は、無差別爆撃で範囲攻撃。
「ラゲクよ、俺の力を見るがいい!」
そのままずばぁっとクラゲを吹き飛ばした黒獅子は、チャージされたエネルギーの迸るまま、クラゲ拳による回避の極みまで見切ると覇王○吼拳を放ち、トライアングルそっちのけの完全な主人公ムーヴでクラゲに痛烈な一撃を与える。
今回、エピソードの半分ぐらい猛毒でぷるぷるしながら縛られていた理央様ですが、考えてみると往年のヒーローは割と捕まったり拷問されたりするので、修行により正しいヒーロー道を継承しているといえるのかもしれません(笑) テーマ曲の格好良さもあり、理央様のターンに入ってからは非常に盛り上がり、悪のヒーローとして素晴らしい輝きでした。
…………とらいあんぐる? 聞いた事のない楽器です。
そのままクラゲに「海へ帰れ」と王様ムーヴを発動する理央だが、余裕の態度を崩さないクラゲは、メレを利用して理央の力を引き出したのだと告げ、そういえば新たな性癖に目覚めたら今までにない力を出せたかも……と割と素直に納得する理央様、ちょっと心配になります(笑)
「人を羨み妬んで身を焦がしてこそ力になるのよ。その力こそが、臨獣拳なの」
理央がメレを止めたのは命を助けようという思いやりではなく、部下にいい所持ってかれそうになった事による嫉妬だとクラゲは囁き……実際に、自分より弱いと思っていた側近が自分を慮って真の力を発揮していなかったのかもしれないという状況に心中穏やかでない面があったとは思われ、人の弱い面のつつき方とそこから更なる転落へのそそのかし方が、実に悪辣。
またタカの幻魔拳の時同様、これで死んだらそれまで、と拳魔の修行スタンスが一貫しているのも共通項として納得が行き、両派閥の過去の因縁が明かされ、拳魔もかつては人間であったと判明した事でより一層、そのとんでもない性格の悪さが強調される形になったのも良かったです。
それに伴い、主人公ムーヴをやらせてしまう一方で、理央が悪意の生む力に引きずり込まれ、進んではいけない道へ進んでいく姿が明確に描かれる事で闇への道がしっかりと舗装され、バランスも取れました。
揃ってクラゲの前に膝を付いた理央とメレはクラゲのレッスンを受ける事になり、タカはしばらく山に戻って、封印されている間に敢行された(筈の)『ベルセ○ク』と『ファイブ○ター物語』と『ハン○ー×ハンター』の新刊を読みふける事に。
タカ一時離脱は、拳魔のキャラが食いつぶし合う事を避けると共に、単純な幹部交代制にせずカードを伏せておく形で、これも良い展開。若き拳士達による因縁の代理戦争の形を取りつつある今作ですが、雑にされそうな悪のマスタークラスの存在を、丁寧に扱っているのは好感が持てます。「代理戦争」という方向性自体が、善玉サイドにとって物凄い地雷を含んでいるのが、新たな心配になってきますが……。
かくして臨獣サイドが経営基盤を強化する一方、理央の凄まじい力を見せつけられた格下ングルは筋トレに励み、猫と真咲はそれを見守るのであった……。
より邪悪な力を身につけていく理央に不安を募らせる二人ですが、少なくともシャーフーには「理央がもっと邪悪に……」というばかりでなく「あのクラゲの話を聞いてしまうとは……」と、元弟子の更なる転落を多少なりとも心配してほしかった所。もう既に見限っているという事なのかもしれませんが、元カノ(?)の性格の悪さを理解しているからこそ、僅かでも理央を気にするというような表現があると、奥が出て個人的にはより好みだったのですが、それが無かったのがちょっと惜しい。
次回――サメとハグ。