はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2019〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『獣拳戦隊ゲキレンジャー』感想・第9&10話

◆修行その9「ケナケナの女」◆ (監督:諸田敏 脚本:吉村元希)
冒頭、やや幻想的な映像で臨獣墓場から理央によって甦るメレの姿が描かれ、土中の闇の中での苦悶、怪拳士としての蘇生など、怪人体があるとはいえ概ね悪の美女幹部(兼ヒロイン)として扱ってきたメレを“あくまでも白面の死者である”と強調してくる、大胆な演出(そしてそれが、今回の軸となる要素)。
「深い悲しみ……黒い憎悪……暗闇の中で生きとし生ける者を憎むおまえの心、その悲しみを解決するのに必要なのは、強さだ」
「どうして私の心が、震えるの?」
「俺はおまえの心に共鳴する。おまえは、強さを求める俺を助けるがいい」
僅かに触れた指先に、命のぬくもりを感じたメレは、その日から理央に忠誠を誓う。
(あの時の光、あの時の理央様の言葉。あれが今の私の、始まりだった)
その暖かさを思い起こし、軒下で乙女モードに入っていたメレ様だが、そこへ現れたコブラが理央への叛逆を宣言。怒りのメレはコブラを瞬殺するが……石になって砕け散る寸前、コブラが自らの心臓にその爪を打ち込むと、復活。
「これがまさしく、お前達の知りたがっていた秘伝臨技、真毒さ! 俺の6つの蛇の指がすなわち、真毒なのだ。今自分自身の本当の命の為に一つ使ったがな。真毒とは死者に死を与える事で命を裏返し、逆に生を生み出す毒。つまり俺は再び、本当の命を手に入れたんだ」
正直なに言っているかはわかりませんが、コブラの狙いは最初からメレに“殺される”事によって真毒を自らに用い、理央の呪縛から逃れる事にあったのだ!
「ふっ、どうだその姿! おまえは結局あの土の中に居た時と何も変わらない」
コブラに敗れたメレは怪拳士の姿に戻ると崖下に蹴り落とされ、コブラはこっそり拾い集めていたらしいムカデとヤモリの石片に真毒を打ち込み、復活させる…………臨獣殿の構造上、仕方なかったのだろうとは思いますが、友達が少なすぎて復活させた戦力が大変不安です。
その頃、本筋から蚊帳の外のゲキレンジャーは豚の角煮砲のチャージスピードアップの為に修行中。
「ジャン、もう豚の角煮はやめろよ」
あ、ツッコんだ。
……まあそもそも、一発ネタじゃなかったのか、というのは正直あるのですが、そこへ何やら、いつもと気配の違うメレが現れ、ゲキレンジャーを挑発する。
(本気出してかかってきてよ……修行にならないから)
瞑想中の理央の命を狙う、と宣言したコブラを倒す為、豚の角煮砲を見切る事でハザードレベルを上げようとするメレ、凄く普通に、バズーカ2発に耐え、前回の今回で必殺兵器の株が大・暴・落。
これが、ヒロインの力だ!!
(こいつ、ゾワゾワとちょっと違う。ケナケナ……?)
(修得してみせるわ、理央様の為に)
ジャンは、正義や邪悪を離れた理央個人に対するメレの純粋な想いを感じ取り、豚の角煮砲を弾き返し、人間の姿になって膝を付きながらも満足げに微笑むメレに、思わず声をかける。
「おい! おまえ……修行なのか?」
「なんのこと? ただの暇つぶしよ! ふん!」
修行無罪になったらどうしようかと思いましたが、メレがすぐに姿を消し、ひとまず回避。臨獣拳士が基本的に、自身を強化する為に人々の悲鳴や絶望を糧としているのに対し、それとは違う方法で自身を高めようとするメレの特異性を描くと共に、「修行」を通して「正道」を歩むに至る、という今作のテーゼが窺えますが、臨獣拳サイドの描き方次第では特大の地雷になりそうな要素で、不安も少々。
その頃、臨獣殿では瞑想中の理央に三方向からコブラ一味が迫っていた。
「若獅子の坊ちゃんよ、そのまま夢を見続けさせてやるよ」
だが間一髪、その毒牙が突き刺さる寸前に駆けつけたメレが全ての攻撃を弾き、二刀を構える姿が滅茶苦茶格好良くて、完全に主役強奪(笑)
「生きていたのか?!」
「理央様の愛の為に生き、理央様の愛の為に戦うラブ・ウォリアー! 臨獣カメレオン拳使いの、メレ!」
決めポーズまで取って、灼熱のヒロインパワーで好き放題。
……まあ正直、「ラブ・ウォリアー」は狙いすぎて間が抜けている感はあるのですが、これ、格好良すぎると本当にゲキレンジャーを食い潰してしまうので、結果的に少し間抜けなぐらいで丁度良かったのかもしれません。
「理央様に逆らう者には速やかなる死を。それこそが、臨獣殿」
メレがコブラと切り結ぶ間にムカデとヤモリが理央に襲いかかるが、メレの叫びが届いたのかぱっちり目を開いた理央様、座ったまま左右からの攻撃を受け止めると立ち上がった! そして回った!
「どこの虫けらだ。我が瞑想の邪魔をするのは」
脱いで変身した!
「猛き事、獅子のごとく。強き事、また獅子のごとく。世界を征する者、我が名は――黒獅子・理央」
シシブラックは回し蹴りでムカデを一撃粉砕し、外連味のある立ち回りを存分に見せつける理央メレカップルが魅力たっぷりすぎて、次週からタイトルが変わりそうな勢い。
理央様が首謀者であるコブラに凄んでいる間に、泡を食って逃げたヤモリは東京ドームシティで無差別破壊活動を始め、ゲキレン3人、千本ノックの相手以外に出番があって良かった(笑)
同じく逃げたコブラを追ったメレだが、実力者のコブラに苦戦。
「はーははははは! これが生きてる俺と死んでるおまえの違いだよ。さあ、トドメを刺してやる」
優位に立ったコブラは必殺技を放つが、しかしそれこそ、メレの待ち望んでいた瞬間。メレは豚の角煮砲返しと同じ要領でコブラ剣を跳ね返し、コブラを撃破。戦いの趨勢を理央が見下ろす中、コブラにトドメを刺そうとするが、コブラはメレの心の隙間に忍び込もうと悪あがき。
「俺を倒したらおまえはずっと死んだままだぞ」
「なにが言いたいの」
「残る真毒はあと三つ。理央は三拳魔を甦らせる為に使うだろう。おまえの分は無い! おまえの体は永遠に死体のままだ。醜い姿から逃れる事ができん。おまえだって、本当の命が欲しいだろう?」
土の中で眠っていた冷たい骸ではなく、暖かい命……それを手に入れれば、理央により近付けるかもしれない、という事実に心揺らされるかに見えたメレだが……
「……でも!」
反転するとコブラをぐさっと一刺し。
「あんた、あたしの事を知らなさすぎるわ。あたしにとって生きるって事はね、理央様の側に居るって事なのよ」
核心は肉体の生死ではなく己の意志にあり、理央に尽くす事を自分の存在理由と見定めるメレは、コブラを滅殺。
「おまえは本当に、それでいいのかぁ!!」
コブラは炎上爆死し、真毒の作用なのか、何故かそれを感知するヤモリ。その丁寧な説明から、よくわからないが臨獣殿で内輪もめが起こっているとゲキレンジャーは知り、この後の布石なのかもしれませんが、不自然なテレパシーと不自然な台詞でどうしてもこの情報を伝える必要があったのか?(^^;
ヤモリは早くもチャージ不要で放たれた豚の角煮砲で爆散するが、ジャンとマスターはかつてない不吉な気配を感じるのであった……。
そして、切り取ったコブラの真毒を、ひざまづいて理央に差し出すメレ。
「よくやった」
真毒を受け取った理央はメレに向けて手を伸ばし、らしくない労いの言葉に戸惑う素振りを見せながら、恐る恐る手を伸ばすメレ様、ひたすら乙女。
メレを立ち上がらせた理央様は、なんだか目を逸らし気味にしながら背を向け、これは理央様の人間としてのブレなのか、気になる所です。
(理央様に喜んでいただける……この一瞬が、私の生きている瞬間)
「俺の求める強さへの道が照らされた。行くぞ」
そして理央様は格好良くマントを翻し、真墨に足りなかったのは「回る」ではなかったか、とわかったところで、つづく!
全く初見の脚本家でしたが、ここまでの流れとも違和感なく、理央×メレの掘り下げ回として、面白かったです(思い切って巨大戦を無しにしたのは書きやすさへの配慮か)。惜しむらくはメレ様の一番いい台詞(「あんた、あたしの事を知らなさすぎるわ。」)を予告で使ってしまった事ですが、これは予告の編集が悪い。
臨獣拳vs激獣拳という構図とは別に、死者であるメレを闇、生者である理央を光と置いて対比し、しかしメレの純粋なる“想い”は光に繋がる(だからこそメレは「修行」によって変わる事ができる)、というのは今後の理央の位置づけや変化の可能性にも広がりそうな要素で、この先に活きてくる事を期待したい。
もう一つ、理央×メレ回という飛び道具をやりつつ、臨獣拳士――今作における怪人――とは何か、という掘り下げを行っているのが意欲的なのですが、メレは“あくまでも白面の死者である”と強調した上でなお、しかしヒロインはメレ様であると力強く打ち込んできたのは凄い(笑)
……まあ本来は、ランのヒロイン力をもう少し上げておいてから、正義と邪悪のWヒロイン体制を作る方が無難だったとは思いますが……こ、こんじょう……! 或いは、大輪の華に期待するべきなのか。
なお今回、登場2回目で早くもメレ様に通用しなかった豚の角煮砲は、使用者の気合い次第で威力が変わる(ジャンの心に迷いがあったからエネルギー充填率が低かった)とフォロー。まあ元々、圧縮した激気を飛ばす武器なので納得は行くのですが、メレ様を掘り下げる為に登場2回目の新装備を踏み台にするという大胆すぎる作劇は、果たして今後の『ゲキレンジャー』にどんな影響を与えるのやら(^^;
人は何を持ってして“生きている”といえるのか、というのはテーマとして掘り下げてくれると面白そうですし、その他にも今後の展開を期待できそうな要素が散りばめられつつ、同時に巨大な地雷になりそうな要素も幾つか埋設されて入り乱れ、今後の舵取りが期待半分不安半分。


◆修行その10「ジャラジャラ襲撃!はじめてのおつかい」◆ (監督:諸田敏 脚本:横手美智子
地震を起こそうとする臨獣センザンコウ怪人と戦うゲキトージャだが、必殺ラリアットが通じず完敗。3人はマスターの指示でお使いに出る事になり、途中の森には恐ろしい力を持ったもののけが住んでいるから気をつけてと言いつつ、ニヤニヤしている真咲さん、ドS。
一方、拳魔を真毒によって甦らせる為、その骸を探そうとする理央様は腕輪から謎掛けを受けて拳魔クエストへと出発。
「それでは理央様は、まもなく世界を照らす太陽となるのですね。メレも隅々まで照らされたい♪」
前回を受ける形で、悪の側のたとえながらメレにとっては理央は光である、という事が強調されたのは秀逸です。
「若獅子よ、なにゆえ、力を求める」
「強さの為に。強さこそが、絶対なるもの」
後をメレに任せて理央は独り臨獣殿を離れ、繰り返し見る夢とともに理央の背景にも少し触れてくれそうなのは楽しみ。
森に入ったジャンが野生に帰ってパンツ一丁になるなどありつつ、目的地の山小屋を目指していたゲキレンジャーだが、もののけの分銅攻撃を受けて荷物を奪われてしまい、それを追いかけてビーストオン。覆面のもののけとの戦いでは、荷物の木箱を挟んで様々な形に使用するというカンフーアクションの王道を行くが、大苦戦。
「こうなったら、ゲキバズーカよ」
やると思ったけど、酷い(笑)
大事なおつかいの荷物ごともののけを消し炭にしようとするも避けられてしまった3人だが、一度は完膚なきまでに叩きのめされるも、トライアングルの連携に目覚めて反撃。なんとか荷物を回収して山小屋へ向かうと……そこで待っていたのは、もちろん先程のもののけ。その正体はマスター・シャーフーとも旧知の仲であるセクハラ拳聖エロファントであり、猫マスター同様に不闘の誓いを立てているエレファントの元、3人はゲキハンマーの修行をする事に。
スタッフも気にしていたのか、メレ様から5周遅れ中のランのヒロイン力強化キャンペーンが始まるのですが……その手段が、新キャラによるセクハラで、えー……正直酷い。線引きの分かれるネタではありましょうが、個人的には非常に苦手。
次回ちょっぴりいい話にまとめてくる可能性はありますが、果たして、ランのヒロイン力は上がるのか?! 出番無し→冒頭で完敗、のゲキトージャは新装備で輝きを取り戻す事が出来るのか?! そして、弾かれる→再生怪人を撃破→かわされる、のゲキバズーカは今頃開発スタッフが真咲室長により全員、軍艦島送りの辞令を通告されているのではないか?! 暗雲漂いつつ次回へ続く!