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『ウルトラマンルーブ』感想・第6−7話

◆第6話「宿敵!あねご必殺拳」◆ (監督:市野龍一 脚本:根元歳三
「ていうか……雑」
今作立ち上がりの戦闘シーンの物足りなさは意図したところではないと思うのですが、開幕からメカゴモラウルトラ兄弟の戦闘をモニターする愛染社長、イライラと貧乏揺すりを繰り返した末、痛烈なダメ出し(笑)
「なーんか美しくない。もういい。撤収。……がっかり」
社長がゴモラを引き上げさせると、兄弟は慌てて店に戻り、そこで4年に一度、兄弟の元を襲来する宿命のライバルと再会する。
(小牧カオル……通称コマねぇ。俺たちが小さかった頃、コマねぇはこの街の警察官だった。子供達の最強の敵で……特に俺とイサミは目を付けられていた)
それは、完膚なきまでに兄弟を叩きのめし、その後「この街は……あたしには狭すぎる。アディオス」と警官を辞めて旅に出た、二人にとっての忘れがたき女性。
「で……今度は占い師になってるなんて」
(ちなみに4年前は流しの寿司職人。そのまた4年前は、流しのフラメンコダンサーだった)
パワフルな人生を歩むコマねぇと、入念なウォーミングアップを終えたカツミは向かい合い、両者拳を握りしめ……
「最初はグー、じゃんけんぽん、あっち向いてほい!」
(コマねぇは街一番の、あっち向いてほいの名人だった。あの日、俺とイサミは100回連続で負けたんだ。それから4年に一度、コマねぇは俺たちと勝負をしに、この街に戻ってきている)
一番手のカツミは一撃で瞬殺され、勝負事を嫌うアサヒは「グーでもパーでもチョキでもないピース」を繰り出して失格となり、いよいよ最後の砦となったイサミは、前回の敗北を詳細に分析した、100回分の対戦データを手に宿敵に挑む……!
「科学の力で、おまえを倒す!」
「面白い。かかってきな、マニュアル坊や」
データ効果かじゃんけんで初めて勝利し、主導権を握るイサミだが、コマねぇはなんと目を閉じて続く指先を回避。
「かわした!」
「目をつぶったまま……凄いです!」
「自分で自分を消したんだ……。行動を読まれてしまうのなら、いっそ自分を消してしまおうと、今彼女は、この、大いなる大自然と一つになっているのだよ!」
この手の馬鹿馬鹿しさは中途半端なのが一番よろしくないと思うので、かつてなく本気モードのイサミから壮大なBGMに大げさな語り、とやり切ってくれて面白かったです。
結局、土壇場でデータを信じ切れなかったイサミはその動揺から流れを奪い返されて敗北。父とアサヒが店に戻った後、カツミとイサミはコマねぇ特製の激辛ホットドッグをご馳走になり、ここで一度、無音のシーンを挟むのが良い間でした。
「……ありがとう」
「ん? なにが?」
「……子供ん時さ、コマねぇのことホントこええって思ってたけど……あれは俺たちや、街の子供を守る為だったんだろ? 母さんがいなくなってからは、特に俺とイサミの事を見てくれて。……こうやって今でも会いに来てくれるのも」
「あっち向いてほい!」
「あ?! きったねぇ、不意打ちは卑怯だぞ!」
「ナマ言ってんじゃないよ!」
「からーい!!」
感傷は、照れ隠しもあってかドタバタに紛れてしまうも、ここでカツミが「大人」になっての気付きを口にする事で、そこに“時の流れ”が生じ、人は変わっていくからこそ、今この瞬間の美しい時の結晶と、不可避的にそれが孕む、いつか来る終わりの萌芽が刻み込まれているのが秀逸。
コマねぇ自身が、いつか忘れられる(事を望む)ヒーローのメタファーとも取れるわけですが、忘れられても大丈夫であって欲しいという願いと、忘れないでいて欲しいという想い、ヒーロー自身の持つ二律背反が「4年に一度」なのかもしれない、とも考えつつ、コマねぇにどんなヒーロー像を投影するかと、ヒーローと大衆の関係性をどう見るかで、色々引っ張り出せそうな構造だなと思ってみたり。
「……さてと! そろそろ行くか」
「え?! もう行っちゃうのかよ」
エジンバラで……勝負を待ってる奴が、居るんでねぇ。ブエノスアイレスにも、マルタにも……世界はあたしにゃあ狭すぎる。チャオ!」
旅行鞄を手に、あっさりと兄弟に背を向けて歩き出すコマねぇはやたらめったら格好良く……ま、負けてる……誰とは言わないけど風来坊ヒーローとして完全に負けてるよクレナイ・ガイ!
「今度こそ絶対勝ってやっからなぁ!」
(世界中でコマねぇを待っているのは、昔の俺とイサミみたいな子供達なのかもしれない。ふと、そんな事を思った)
ところがそんなコマねぇの前にロケットパックで降りてくる、愛と善意の伝道師。
「若い内の苦労は、勝手でも、押し付けろ。もっともっと、勝手に、押しつけちゃおっかなーと思うんだが……どうだろう?」
「……あんた何者だ」
「私の敵は――ウルトラマン。あっち向いてーーほい!」
そして再びメカゴモラが出現し、変身した兄弟は、その中にコマねぇが囚われている事を知る。
シリーズも視聴復帰して3作目になると、怪獣の繰り返し登場にもいい加減慣れてきましたが、メカゴモラは、ヒロイン精製装置という認識で良いのでしょうか(笑)
「暴れる怪獣。囚われの恩人。ん〜、いいシチュエーションだ」
それを見つめる愛染社長は、すっかり明るいド畜生路線を確立してきましたが、どこまで上り詰めていけるのか楽しみにしたいです(笑) あと、兄弟が頭の上がらないコマねぇを手玉に取る事で、キャラクターとしての強さを見せてくれたのは良かった。
街を蹂躙するメカゴモラを何とか食い止めようと奮闘する兄弟だが、ゴモラの猛威はガスタンクに迫り、それを守ろうとするウルトラマンに炸裂するロケットビンタ。
「あの二人には、もう叱ってくれるお母さんがいないんだ……あたしには……こんな事しか……。カツミ……そんなところでキャッチボールしない。イサミ……壁に方程式とか落書きしない。二人とも……負けちゃ駄目だよ。どこに居ても、あんた達の事を、思っているからね」
コマねぇの心情を通して幼年期のカツミとイサミへの言及でキャラが掘り下げられると共に、母親不在による環境との戦いと、今現在のウルトラマンとしての戦いと、ダブルミーニングも鮮やかに決まりました。
風のフォームを発動してメカゴを押し戻そうとするロッソが敗れ、やむなくブルは、スラッガーにセブンメダル(監督セット……?)を装着して構えを取る。
「どうしたイサミ……大丈夫……あんたなら、きっと出来る。……信じてる。信じてるよ……信じてるから」
街を守る為、覚悟の一刀両断が炸裂してメカゴは大爆発。がっくり膝を付くブルだったが、ロッソが風のバリアでコマねぇを守る事に成功し、なんとか骨折で入院で済むと、最後は見舞いに行った病室のあっち向いてほい、でオチ。
予告から、根は善人だけど傍若無人な昔なじみに兄弟が振り回される的な話だったら、あまり好みではないな……と危惧していたのですが、癖は強いが善なる導き手、というコマねぇの位置づけが良く、過去の兄弟の掘り下げとしても、かつてそこに居て、今もたまに現れるヒーローの話としても、素直に楽しめました。
脚本・演出は、前作第14−15話(鉄仮面先輩編)のコンビだったのですが、大人側の心情の、語りすぎない描き方の案配も良かったです(コマねぇが去って行く時に、「もう行っちゃうのかよ」と口にするイサミと、黙って見送るカツミの対比なども、丁寧で印象的)。
前回ゲストのキャストが非常に良かったので、同じ女性ゲストエピソードというのも少し心配したのですが、今回のゲストキャストも役柄にしっくり来て、好キャスティング。
惜しむらくは戦闘とドラマが繋がりきらない事で、あっち向いてほいが逆転に繋がるなり、ブル(イサミ)が土壇場で自分のデータを信じられるかどうかがクライマックスの焦点になるなりあれば、前半を布石にする事でエピソードの完成度がぐっと上がったのですが、特に後者の不足の為、コマねぇの「信じてる」が宙ぶらりんになってしまい、思い切って叩き斬っただけになってしまったのは残念。
予告を見ると、イサミが「自分を信じられるか」は次回に持ち越す要素になるのかもしれませんが、ロッソがおもむろに風フォームになるのも含めて、もう一歩ずつ、戦闘中の積み重ねが欲しいところです。
☆今週の怪しいアサヒナビ☆
コマねぇが占いで
「あなた達は……4人家族。……いや、5人家族」
と言い直す際に、極めて思わせぶりなアップ。
……この子、湊家の男衆に偽の記憶を植え付け、地球人の妹・アサヒに擬態して暮らす、宇宙生命体(正体は星夕子メダル)とかなのでは。
最後に、あの人の格好いい台詞で、締めたいと思います!


 「……子供の頃、あの人は、平和の為に頑張ってる、格好いい人だと思ってた。……ヒーローだって、信じてた。……馬鹿みたい。なに言ってんだろ、あたし」
 「……太陽は沈んだら見えなくなる。でもね、見えないだけで、地平線の向こうではずっと輝いているんだよ」
 「なに、それ」
 「見えない所で輝いてる光もある。ヒーローなんてのはそんなもんなんだよ」
 「わかんない。言ってる事わかんないよ」
 「いつかわかるさ、キャサリン
(『ウルトラマンオーブ』第18話「ハードボイルド・リバー」より)
伝われ、俺の美学!!


◆第7話「ヒーロー失格」◆ (監督:市野龍一 脚本:小林雄次
「もしかしてイサミの奴……あのこと気にしてるのか?」
一歩間違えればコマねぇを爆殺していたかもしれない前回の決着を気に病み、うなされるイサミだが、そんな時にグルジオが再登場。ところがイサミはウルトラマンに変身できず、カツミはTV出演を優先して遅刻(おぃ) 挙げ句にスピーカーオン状態で兄弟喧嘩を始め、珍しく長いアバンタイトルで、危ないシーンが続出(^^;
「専務の誕生日パーティをキャンセルしてまで、自ら出向いたというのに、あのぼんくら兄弟め〜。私を無視して、きょぉだいげんかだとぉぉ?! ふざけるのわぁぁぁぁ!!」
「なぜトドメを刺さなかったのですか? 変身アイテムを奪い、兄弟を変身不能に追い込むチャンスだったのにぃ」
「変身アイテムを奪う? ダーリン、君はわかってないなぁ。それは外道な宇宙人がよくやる、姑息な作戦だ。私はそんな奴らとは違う。真っ向から勝負を挑み、力を証明してみせる。……だから私をがっかりさせないでくれー。この試練をどう乗り越えるのか、とくと見届けさせてもらおう」
というわけで、ウルトラマンとして戦う事に恐怖を覚えてしまい変身できなくなったイサミの葛藤を描くのですが、グルジオが出てくると空間がコメディに侵食されるのか、第1話を思わせるコミカル度多めの戦闘シーンに尺が圧迫されたりで、少年期の記憶からイサミが勇気を取り戻す、という流れに劇的さが不足。
そもそも、“誰かを殺してしまう(守り切れない)かもしれない恐怖”がいつの間にやら“カツミが居ないと何もできない自分”にすり替わり、“カツミを助けた自分を思い出す”事で、改めて一人で変身する、というのは、最初に提示された問題と、その解消が繋がって見えません。
二人で梯子を登っている、という過去シーンも現在の情景とまるで連動していませんし、脚本と演出に違う光景が見えているような内容。
……これ、プロット段階ではコマねぇの登場予定はなく、面白いキャラになったからもう1話続けて出そう!と突貫工事で出番を作って構造を組み直したら家屋が倒壊した、と言われたら信じるレベル。
「そんな事でいちいち悩むな! 悩んだところで、答はでなーーーーい! 一寸先は悩みだ。はぁぁぁぁぁぁぁ! だーーーーーーーーーー! 愛染誠はぁーーー! どんな時もーーー! 悩まなーーーーーい! 行くぞーーーーーーーーーーい!」
一方、愛染社長の恐ろしさと面白さは急加速し、コマねぇの病室を立ち去る際にカメラにだけ見せる極めて不愉快そうな表情も良かったですが、奇声を発し、ハイテンションでストレッチパワーを溜めながら、「どんな時も悩まない」事を断言する精神性というのは、非常に恐ろしかったです。
なお最後の一言が聞き取れなくて字幕を表示したら、「行くぞーーーーーーーーーーい」で腰が砕けそうになりました(笑)
ロッソとブルは風・水・雷の三弾攻撃からフレイム&アクアの必殺W光線でグルジオ愛染を撃破し、イサミはヒーローとしての勇気を取り戻すのであった。
(俺たち兄弟が何故、ウルトラマンの力を授かったのか、それはわからない。けれど、目の前に救える命がある限り、俺たちはこれからも戦い続ける)
お兄ちゃんによる締めは、今作におけるヒーローが戦うテーゼなのですが、イサミのコマねぇに関するトラウマ払拭がこのオチにも繋がらない為、どうにもちぐはぐ。
イサミが伸ばした手が梯子から滑り落ちたカツミを救った、という過去を、「救える命の為に手を伸ばして戦う勇気」と結びつける狙いだったのかもですが、「命を救おうとする勇気(意志)」と「実は内心ではカツミに依存しているイサミの脱皮」という二つの丼を豪華セットにしようとした結果、イサミの心情という出汁が不足して、どちらも薄味になってしまった感。
湊一家が改めてコマねぇの旅立ちを見送っている頃、会社に戻った愛染社長は社員の一人をスカウトし、とある部屋へ。そこでは愛染がこれまで集めていた人材が謎の輪っかを頭に乗せられ、虚ろな表情で立ち尽くしていた……。
「さあ、未来への足音、希望への鼓動が聞こえてきたぞぉ! みなさんの絆の力、あ、お借りします!」
彼らの中央に位置しているのは、「炎」・「氷」・「岩」・「嵐」のメダルに囲まれた「剣」のメダル、という大変不穏な引きで、つづく。
次回――…………な、なんて酷いサブタイトルなんだ……(笑)
……で、あー、私、『ウルトラマンオーブ』最終回の感想で、

 そこで、世界中が君を信じなくて、いったい、いつどこで信じるのか?!
 ここまで24話の積み重ねを繋げて、世界中(日本中)の希望を力とするウルトラマンオーブが見られるのかと思ったら(それこそ、オーブが人類に敵視される、というエピソードもあったわけで)、そういった結合が全く無かったのが、とにかく非常に残念でした。
 私が今作で見たかったのは、その、飛翔――世界のブレイクスルー――であり、それを起こせる(夢想としてそれを描く事を許される)存在こそが、ヒーローであると思っているので。
〔『ウルトラマンオーブ』感想・最終話〕
という不満を述べていたのですが…………えーと……もしかして、次回、見られるのでしょうか、世界中が待っている闇夜を照らす光の戦士(笑)
それはそれとして、せっかく「怪獣」「ウルトラマン」を劇中で一から定義付けた物語なので、ここで旧作ヒーローネタがダイレクトに話の筋に関わってくるというのは残念に思うところもあるのですが、今回はヒーローではなく怪獣だからと思って見ればいいの、か……? さすがに3作目で慣れてきましたし、シリーズとしてそういった手法が定着している以上、素直に楽しんだ方が良いのでしょうが。
ところで、第6話の感想を書いている時はまさかこんな事になろうとは思っていたのですが、こうなるとイサミの
(世界中でコマねぇを待っているのは、昔の俺とイサミみたいな子供達なのかもしれない。ふと、そんな事を思った)
という台詞はかなり性格の悪い布石であったのか。
ガイさんが待っているのは、自分を許してくれる(以下色々とあれなので削除)
余談ですが、前回の「チャオ」はまあ普通にイタリア語の挨拶だしと流したのですが、今回わざわざ「これを着て二人で仲直りするんだよ〜。ラブ&ピースだ」というのは、『ビルド』ネタなんですか市野監督。