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『星獣戦隊ギンガマン』感想・第34話

◆第三十四章「不死身のイリエス」◆ (監督:辻野正人 脚本:小林靖子
前回、バットバスとビズネラからダイタニクスの異変についての情報を得た船長は、倍の報酬を餌にイリエス自らの出撃を促す。
「わかりましたわ。命を賭けた最高の魔術の力、ご覧に入れましょう」
「命を賭けた……か。…………期待してるぞ?」
厭味たっぷりの言い回しで、シェリンダさんの演技もだいぶいい感じになって参りました。
「私が死ぬと思ってるならお生憎よ。宇宙で最強の魔術を極めたこの私は、たとえ死んでも、何度でも復活できるわ。ほほほほほ」
自信満々でイリエスが出陣した後、激しく鳴動するダイタニクスについて船長もシェリンダも樽爺に真実を隠し、これまで腹心の知恵袋という扱いだった樽爺が(イリエスへ肩入れしすぎた為か)いつの間にやら爪弾きにされているのが恐ろしいのですが、樽爺は樽爺で不審を抱き……とそれぞれの思惑が錯綜してバルバン側の物語も盛り上げてきます。
街に繰り出したイリエスは呪いのトカゲの群れを街に放ち、9000人の血を集める事でダイタニクスを復活させようと儀式を始め、現場に駆けつけたギンガマンは何故か変身が解けてしまう。
「ようこそ、ギンガマン。我が生け贄の街に」
以前にギンガブルーにばっさりやられたように、正面衝突では分が悪いかと思われたイリエスだが、これまで散っていた部下の魔人達の力を取り込む事で、全身に魔人の仮面がついた邪帝イリエスへとパワーアップ。その猛攻の前に、変身不能ギンガマンは一時撤退を余儀なくされてしまう。
一方、ダイタニクスの腐食に気付いた樽爺は、それを教えに向かったブリッジで、船長とバットバスらの密談を耳にする。
「イリエスはたとえ死んでもその魂を魔力の塊にして遺す。何度でも復活する為にな。だが、それだけ強力な魔力の塊なら、ダイタニクスが腐る事ぐれぇは止められるってもんじゃねぇか?」
イリエスが成功すればそれで良し、失敗しても魂を利用する、とどちらに転んでも利益になる手を打った船長は更に、イリエスを切り捨てる事を明言。
「しかしだ、イリエスのあの欲深さと小狡さは始末に終えねぇ。どっちにしろ奴はここまでだ。そうなりゃ今度はてめぇの出番よ、バットバス」
今回ラストで明確になりますが、裏切りに味を占めた者はまた裏切るに決まっているので、ブドーへの謀略を船長に把握された時点で「始末に終えねぇ」と評されたイリエスの命運は決まっていたといえるのかもしれません。
その頃、乗馬倶楽部で体勢を立て直し、状況を確認したギンガマンは、魔力の中心となる塔の存在を把握する。イリエスの魔力の影響で銀河転生は不能、更に街は呪いのトカゲだらけだが、それでも、手をこまねいてただ見ているわけにはいかない。
「たとえ誰が倒れても……残った者はそれに構わず広場を目指す」
「行こう! 街の人達を救えるのは、俺たちだけだ。最後の一人になったとしても、その一人が、バルバンを倒す!」
カット変わると、ギターをかきならすBGMで星獣剣を背に走るギンガマン、という格好いいシーンとなり、少々『必殺!』や『大江戸捜査網』を想起させますが、小林さんの時代劇趣味を演出で反映したのでしょうか。
イリエスが儀式を執り行う塔のある広場を目指して街へ突撃するギンガマンだが、その前に再生魔人軍団が立ちふさがり、サヤ、ヒカル、ヒュウガが次々と脱落。
「行くんだ! たとえ最後の一人になっても、その後ろで仲間が支えてる事を信じろ!」
事前の宣言とは裏腹に、仲間を置いて先に進む事を思い切れないリョウマに対し、足止めに残るのは「自己犠牲」ではなく、先へ行く者を「支える」為なのだと背中を押すヒュウガの、前向きな変換がギンガマンの在り方ともシンクロしていて大変巧い。
突撃するヒーロー、脱落していく仲間達、という、最近の最新作(『仮面ライダービルド』)でもあったド定番の展開の中で、こういった台詞が作品の個性としてキラリと光ります。
「俺たちは一緒だ。行けぇぇぇぇぇっ!」
人々の血がダイタニクスに集まっていく中、仮面魔人に襲われてハヤテも脱落。残るリョウマとゴウキが広場に辿り着き、ゴウキが雪男魔人を食い止めている間に塔へと迫るリョウマだが、その前にイリエス、そして、星獣剣を構えた勇太くんが!
「勇太、操られているのか……? それとも、偽物?!」
予告で注目のワンカットは、イリエスのトラップであったという事になりましたが、勇太くんなら星獣剣を握りしめて戦場に出てきかねない、というのが視聴者とリョウマで共通の認識になっているのが恐ろしい(笑)
影の無い事から幻術と見破ったリョウマは偽勇太を思い切りよく火炎放射で焼き払い、邪帝イリエスと直接激突。触手攻撃に苦戦するも、仲間の支えを背に反撃すると、塔の破壊に成功。これにより儀式は失敗し、復活魔人もトカゲも消滅、仲間達が駆けつけてここからギンガマンのターン! と変身への流れをきっちり盛り上げてきます。
「「「「「ギンガマン!!」」」」」」
すかさず獣装光から黒の一撃により倒れるイリエスだったが、なんと即座に復活。ギンガの閃光にもしぶとく耐えきったイリエスは巨大化し、ギンガイオーと戦線復帰したゴウタウラスが立ち向かうが、両ロボともすっかり、前座体質が染みついてしまっていた!(涙)
二大ロボは邪帝イリエスの攻撃で倒れてバイタスに増援を要請し、こんな事なら、度重なる戦いで星獣の力が弱ってきている(そもそも、イレギュラーにメカ化した生ものですし)など理由を付けるエピソードを挟んでおければ、それでも戦う星獣たちの意志の強さと、助っ人ロボに頼る説得力を上げられたのでは……と思ったのですが、それだと毎度ギンガイオーで出撃するギンガマンが鬼畜になりかねないし、ライノスとフェニックスを召喚して黙って観戦していた方がいいのでは……となってしまうので、どちらにせよ苦しいか。
後付けかつ無責任な岡目八目の立場でもこれなので、商業的要請の消化というのはつくづく難しいな、と思う次第。
敵は行動隊長という事で出し惜しみせずにライノスとフェニックスが揃って出撃し、集中力タックル! スピードキック! からの連続必殺技で今度こそ砕け散るイリエス。ここにイリエス魔人族壊滅……! と思われたが、宇宙で最強の魔術を極めたイリエスの魂は、宣言通りに魔力の塊として残っており、樽爺がこれを回収。
姪っ子の命を船長達の思惑通りにはさせまい、と密かに復活の儀式を執り行う樽爺だったが……その老体に背後から曲刀が振り下ろされる!
「せ……せんちょぉ?!」
「先生、おれぁ大抵の事には目をつぶる。たとえてめぇとイリエスがブドーを陥れたってな。だが今度だけは別だ。先生、長い付き合いだったが残念だぜ」
この期に及んで「先生」扱いなのが大変凶悪ですが、船長からすると樽爺は「蘊蓄を披露できれば満足」ゆえに御しやすいところがあったのが(報酬に対してイリエスほど強い興味を示していた記憶もない)、姪っ子可愛さに造反を辞さない、という別の価値観が入ってくるならば邪魔になる、というのが姿勢として冷徹な一貫。
こうなってみると、ブドーは樽爺に酷い事したよね……と思うところですが、ブドーにしろ、イリエスにしろ、樽爺にしろ、船長にとってはいつ切り捨てても構わない手駒に過ぎなかった、というのはここに来て船長の存在感を押し上げてきます。
サンバッシュのギンガの光問題に綻びの一端は見えましたが、ここまで部下に冷淡なトップが求心力を失う事で組織を瓦解させずにやってこれたのは、船長が「欲」を操るのに長けた存在であった事が窺え、バルバンの悪というのは、欲望のままに他者をほしいままにする悪なのかな、と。
だからこそ、「己の復讐」のみを求める黒騎士(オリジナル)はバルバンと同一の存在になりかけていたわけですが、とすれば「欲望のままに他者をほしいままにする存在」のみならず、「他者を傷つける事をいとわない自らの欲望」とも戦える、というのが『ギンガマン』のヒロイズムの一つであるのかもしれません。
致命傷を負いながら、必死にイリエスの結晶に手を伸ばす樽爺だが、横から振り下ろされた斧により、目の前でそれは無惨に砕け散る。
「諦めな爺さん。こいつはダイタニクスの為に使わせてもらうぜ」
「……イリエス……イリエスぅ……!!」
悲痛な叫びと共に樽爺はばたっと倒れ、樽が……樽なのに……思わぬ酷い最期を!!
「バットバス、たった今からてめぇが行動隊長だ」
「任せときな船長。ダイタニクスは必ず復活させてやるぜぇ! くははははははは!!」
長石監督回まで保たなかったイリエスに続き、行動隊長とは別枠の扱いだった樽先生まで身内の手で最期を迎え、急展開で次回につづく!
死に様といいタイミングといい、樽爺のリタイアはかなり驚きだったのですが、考えてみると樽爺が一番輝いていたのって、横から余計な知識を投げ与えては安全圏から作戦には不満を漏らすというサンバッシュ編であり、ブドー編の時点で既に存在価値がだいぶ薄れていたので、引っ張りすぎずにあっさり退場宣告を下す、というのは英断だったかもしれません。
まあ、余りにもあっさりすぎたので、バットバスが回収し損ねたイリエスの魔力結晶の一欠片と合体して、七頭身イケメン策士・ヤング樽爺(CV:田中秀幸)となって10話ぐらい後に復活してくれてもOKです(笑)
与太はさておき次回――その純情が銀河を貫く!