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『星獣戦隊ギンガマン』感想・第39−40話

若干、体調不良につき大雑把風味。
◆第三十九章「心のマッサージ」◆ (監督:辻野正人 脚本:きだつよし)
バルバンでは、ダイタニクスの心臓マッサージをする事で血の巡りを良くし、ダイタニクス自らに復活のパワーをもたらそう、という指圧の心親心押せば命の泉湧く作戦がスタート。ダイタニクスの心臓をマッサージする巨大な手を得る為に、エキスを直接与えると死亡してしまう人間のマッサージ師に、その抑制薬を同時に打ち込む事で適切に巨大化しようと、ガンキャノン魔人が出撃する。
一方、離脱したヒュウガへの想いを胸に訓練に打ち込むサヤは足をひねってしまい、勇太少年の案内で、柔道家でマッサージの得意な忍を紹介され、その治療を受ける事に。
年上の女性である忍から張り切りすぎを指摘されるも頑なになるサヤだが、そんなタイミングでバルバンが出現。一足遅れで現場へ到着したサヤが目にしたのは、ガンキャノン魔人によって弾丸を撃ち込まれた結果、膨らみすぎた風船のような百貫デブと化してしまった男衆の姿であった!
見た目はおふざけだが実質的な戦闘不能で割と大ピンチ、というギャグ回の恐怖に飲み込まれるギンガマンだが、魔人は弾切れで撤収。唯一無事だったサヤは、抑制薬を手に入れる為に痛む足をかばいながらも魔人を捜索しようとし……どういうわけだか2回目(アイドル身代わり回以来)の、“足を痛めたサヤが奮闘する”エピソード。
つまるところ、“負傷をこらえて健気に努力を続ける”スポ根ものの系譜なのですが、特に今回は明確に、サヤのヒュウガへの思慕と、ゲストキャラの柔道のコーチへの好意が重ねられていて、サヤとヒュウガの関係性が、少女漫画的な選手からコーチへの憧れとして解釈されており、心身共に研ぎ済まれた“強い戦士”であるギンガマンの中で女性メンバーのヒロイン性をどう描くかを悩んだ末の着地点が、スポ根系ヒロインであった、というのが見て取れます。
後はそれがキャラクターとしての魅力に繋がっているのかという事になるのですが、個人的には、痛みをこらえて頑張っています!的なシチュエーションと芝居があまり好きではなく(個人的なニュアンスとしては、老人化したキャラクターの、普段できる事ができない!を戯画的に強調するような芝居が苦手、と通じるものなのですが)、そういった方向性も、いまひとつサヤがピンとこない理由の一つかとは思えてみたり。
マッサージ師として狙われた忍をかばったサヤは、調整に成功したエキス+抑制薬の作用により巨大化し、どうしても巨大フジ隊員(『ウルトラマン』)を思い出してしまう所ですが、幸い勇太少年は悪い異星人にはさらわれませんでした。
代わりにさらわれそうになる忍だが、それを妨害したのは、太っていてもギンガマン
「どんな状況でも戦うのが戦士だ!」
百貫デブ状態の男衆4人はそれでもヤートットを蹴散らす戦いぶりを見せると魔人にはギンガ張り手を炸裂させ、基本ギャグ回で、絵は酷いけど、凄く、ギンガマンです。
逃げた忍は巨大サヤに昔の自分の話を聞かせ、肩肘張らずに自分らしく居る事の大切さを説いてその心をほぐすと、駆けつけたギンガ猫に秘伝マッサージを伝授し、サヤは足の痛みから回復。
「よくも私を大きくしてくれたわね」
怒りに任せて怪人を握り潰そうとする巨大サヤは至近距離から抑制薬を喰らって元の大きさに戻ってしまうが、落下した怪人が抑制薬を落とし、それを入手。男衆に弾丸を……といってもどうやって撃つのかと思ったらモークバズーカを持ち出し、超久々に役に立った!
これは納得の解決でした。
デブ状態から回復し、ようやくギャグの世界から帰還したギンガマンはギンガの閃光を直撃させ、魔人は巨大化。
「こうなったら俺がこの手で、ダイタニクスの心臓をマッサージしてやるぜー」
こちらのツッコミより早く、率先してこの行動を取りに行く辺りが、バットバス軍団の魔人、優秀(笑)
その前に立ちふさがり、合体したギンガイオーは腹バルカンを喰らってあっさりと増援を要請し、「優れた反射神経を誇る」フェニックスが出撃するとブーメランでバルカン全てを弾き落として弾切れさせ、大獣王斬りでフィニッシュ。
「心をほぐして、常に自分らしく……か」
「それが戦いに勝つ秘訣。どんな戦いでもね」
忍は意中のコーチと結婚にこぎつけた写真を見せてサヤに恋のアドバイスを送り、蚊帳の外の男衆、そしてコーチ、じゃなかったヒュウガは、新たな相棒である樽爺の指導の下、ゼイハブを倒す為の武器、ナイトアックスを完成させていた! でつづく。
……つまりヒュウガと樽爺コーチとの友好度が急上昇していき、終わってみたら、サヤよりもヒュウガのヒロイン度が上がった!(待て)
第4クール突入前の閑話休題エピソードで、後に『仮面ライダー響鬼』(前半)と『仮面ライダーウィザード』でメインライターを務め、多くのヒーローショーで脚本・演出を務めるきだつよしが、初参戦。
昭和ヒーローものに愛着が深いらしいきださんですが、年上の女性からサヤの心を解きほぐそうとする、というのは面白いアプローチでした。サヤに必要だったのは、ヒュウガが近くに居る内に鈴子先生との友好度を上げておく事だったのだな、と惜しまれます。……まあ鈴子先生は鈴子先生で女神属性なので、アドバイザーとしてはあまり役に立たないかもしれませんが!
次回――今度はパチプロ(違う)登場。


◆第四十章「哀しみの魔人」◆ (監督:辻野正人 脚本:小林靖子
心臓マッサージ作戦も失敗に終わったビズネラは、地球に近づく彗星のエネルギーを捉え、それをダイタニクスに注ぎ込むという作戦を立案。だがそれを実行するには、今度こそ配下の魔人を巨大化させ、捨て駒にしなくてはならない。
前回の作戦失敗を受けより強硬的な手段に出たというよりも、悪いタイミングでアイデアがかぶった感はありますが、バットバスは一人の魔人を、死ぬぐらいしか役に立たない存在と、この作戦に起用する。
「なるほど。あいつなら捨てても惜しくは無い」
「なんであろうと惜しくはねぇよ。ダイタニクスの為ならな」
それに対する船長のコメントが、これまでの行動全てを明確な意志で貫いて、凶悪。
ビズネラにより、恐らくアース吸収装置と同系統のテクノロジーと思われる、彗星エネルギー吸収装置を取り付けられた魔人デギウスは己が捨て駒である事を悟っており、死ぬ前の最後の花道として、意図的に暴れ回る事でギンガマンと対決。しかしイエローと一緒に海に落下し、二人はガスの噴出する洞穴の中へ落下してしまう。
「俺がおまえの足になる代わりに、おめぇは俺の目になれ」
デギウスが戦力外として扱われているのは、過去の負傷により視力が極端に低下している為だと明かされ、協力して洞穴から脱出に成功すると、魔人はヒカルを、最後の闘いの相手として指名。
「いい目だな、坊や……俺も昔、そんな目をして、星を守っていたんだ」
「え?」
「んー……すげぇ昔だ。だがな、戦うたびに、大事なもんがなくなっちまうんだ。親や、兄弟や、ふるさとなんかがな。坊やもそうじゃねぇのか? なんだか疲れて馬鹿馬鹿しくなっちまってな。気がついたら、バルバンに入ってたってわけだ」
怪人との交流エピソードの亜流として、使命を捨てた者と使命を背負って成長していく者との対比を、去りゆく老兵とギンガマン最年少ヒカルの対決と理解という形で描いているのですが、暗黒面に堕ちたギンガマンともいえる魔人に対し、ヒカルが「戦士の心」を見るというのがピンと来ず、もうひとつノれませんでした。
勿論、罪を償う道と可能性というのは100%断絶されるべきないとはいえますが、魔人自らも「殺しすぎている」というように、結局はバルバンの悪という自由を謳歌する道を選んだ魔人にヒカルが救済を提示する割に、最終的に魔人はビズネラに利用され、なんら爪痕も残せないままダイタニクス復活の道具として使い捨てられる無惨な最期を遂げる、という展開も分裂気味。
ヒカルの善性としての若い青臭さと、それはそれとして見つめなければならない現実、をぶつけたのかもしれませんが、一つのエピソードとしては、消化不良という感触が強かったです。
まあ、ヒカルの言葉に心を揺り動かされた魔人が実は最後の抵抗をしていて、ダイタニクス復活かと思いきや彗星エネルギーが不完全だった……という可能性も次回、なくはないですが、さて。
「結局俺は……星を裏切り続けちまったな……」
巨大デギウスのハンマー攻撃に近付けず、「鋼の腕力を誇る」ギガライノスが押さえ込んでいる間に装置を破壊しようとするも失敗、デギウスの体を通して彗星エネルギーはダイタニクスに注ぎ込まれ、デギウスは大爆死。
「デギウスみたいな奴は、ひとりで十分だ。……バルバンは絶対に倒す!」
ヒカルの中で、とはいえ、デギウスがバルバンの被害者扱いなのもスッキリしませんし(これまで描かれてきたバルバンの悪は、誘惑する悪、というわけでもないので)、色々なピースがここまでの『ギンガマン』の物語の積み重ねともう一つしっくり来ないまま、夕陽が沈む海を見つめる5人、でつづく。
次回――魔獣ダイタニクスは本当に復活したのか?! 樽爺コーチと二人三脚でひたすら斧スキルを上げまくるヒュウガは全国大会に間に合うのか?! そして、再びの直接対決!!
「ギンガレッド、てめぇの弱さを教えてやるぜぇ」
今、伝説のインターハイに、暗雲が立ちこめる!