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久々に、ミステリ読みたい病、発動

QED 百人一首の呪』高田崇史)読了
QED 百人一首の呪 (講談社文庫)


東京都内で、会社のワンマン社長であり、百人一首コレクターでもあった資産家・真榊大陸が惨殺された。容疑者は、その日、大陸の屋敷に居た7人。だが7人の証言を集めると、犯罪は誰にとっても不可能なものとなってしまう。殺される前の大陸が口にした「幽霊を見た」とはどういう事なのか? そして、死者が手にしていた百人一首の札に込められたメッセージとは?
友人の新聞記者からこの事件に関する助言を求められた博覧強記の薬剤師・桑原崇は、百人一首に込められた謎に挑むのだが――
第9回メフィスト賞受賞作で、作者のデビュー作。
殺人事件の謎と、百人一首そのものに込められた謎と、二つの謎を巡って物語は展開します。が、どちらかといえば本題は、(解説でも書かれてましたが)百人一首の謎。その選者、藤原定家百人一首に込めた暗号を解く方に、重点が置かれています。
そんなわけで、ミステリの部分だけ取り出せばまあ凡庸というぐらいの出来だと思うのですが、百人一首の方は非常に気合いが入った出来になっております。なにしろ、ページ数の相当が、百人一首の歌だったり、歌の解説だったりするので(笑)
巧い合わせ技、といった感じ。
デビュー作という事もあってか、文章はやや稚拙(て程ではないかもしれませんが、巧くはない)で、そこはちょっとマイナス。話の構成やネタの使いこなし方も、やや微妙。もう少し腕の立つ作家なら、被害者の行っていたある計画をもう少し大きく扱って、猟奇的(或いは神秘的)な雰囲気を醸しだしつつ伏線を収束してくれたかな、という気もするのですが、その辺が割とあっさりしているから読みやすいのかな、という気もまあします。
個人的なミステリの評価基準「美しいか否か?」に照らし合わせると、あまり美しくはない、のですが、それなりに楽しく読めました。まあ、百人一首の謎解きものとしてなかなか面白く読めるので、そこはポイントかな、と。2時間ドラマ+百人一首、という感じ。
いかにも本格、というよりはちょっと変わった物を読みたい人向けかな、と。
敢えて誰かに例えるなら、なんとなく荒俣宏的。向いている方向は違うのですけど、手法的にやや彷彿とさせます。
興味を持った方への注意ですが、(ノベルズ版でどうなっているのかわかりませんが)文庫版の巻末折り込みは、読み終わる前にはちらっとでも見てはいけません。百人一首の謎の核心に関するものです(^^; ……いや、見てしまった私が悪いのかもしれませんが、割と厚めの折り込みがあったら、覗いてみたくなるのが人情だと思うわけなのですが、注意書きぐらい、書いておいて欲しかった……。
シリーズになっているので、とりあえずはもう何作かは読んでみたいです。