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久々に森博嗣を読んだ

Φは壊れたね (講談社ノベルス)

Φは壊れたね (講談社ノベルス)

密室で発見された、若い男の死体。その死体は奇妙なデコレーションに囲まれて宙吊りにされた上で、胸にナイフを突き立てられていた。更に驚くべき事に、死体発見の現場を撮影したビデオテープが発見される。
タイトルは、『ファイは壊れたね』。
果たして、誰がいったい何の為に撮影したのか。そして、密室の秘密とは?
新作が出た所で一つ前、という辺りは私らしいと思って下さい。
さて、最近すっかり倦厭気味だった森博嗣ですが、今回は久々にミステリの文法に戻したという事もあってか、それなりに楽しかったです……途中まで。
ちょっとオチでがっくり。
あれでいいのか。
作者らしいといえば作者らしい気はするのですけど、なんだかやっぱりもう、この人とは求める方向性が違いすぎてきてしまったなぁ……(^^; 初期の森博嗣作品は今でも好きなので、個人的には残念。
エピローグなんて、打ち切りのマンガが最後の数ページに色々まとめてオチがついた気分にさせた、みたいな感じですし。
これでいい、というファンが多いのもわかっているので、まあ方向性の違い、と言うしか無いわけですが。
それにしても今作はちょっと軽いかな、とは思うのですけどね。もともと、コミック的なキャラと理系的なシステムを組み合わせて、ミステリの文法に乗せた所に一つの魅力があった人ですが、近作は(もともとそういう傾向はありましたが)言葉によるイメージの構成に凝りすぎていて、それが結果的にあんまり巧く出来ていないというか。*1今作では特にそれが顕著。
ついでに言うと、話もちょっとマンガ的。
とりあえず、西之園さんが無敵、というロジックは彼女がメインキャラであるからこそ成り立つと思うわけなんですが、その辺り、わかっているのかなぁ……おそらく、わかっていてやっているんだろうなぁ、というのが何となく気持ちの良くない所なのですけど。

*1:まあ、好みの問題、と言い換えても良いですが