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『ARIA』(天野こずえ)12巻、読了

ARIA(12) (BLADE COMICS)

ARIA(12) (BLADE COMICS)

前巻ラストのビッグイベントを踏まえて、終わるべき所できちっと終わった、大団円。
雑誌の看板マンガとなり、アニメにもなって、それでもしっかりと作品の軸を守り通して最後まで貫いたその姿勢と見事な着地に、まずは拍手。
まあちょっと最終巻通してテーマ性の押し出しが強くなりすぎて、直球続きで若干くどくなったかな、というのはありましたが、書く事書いた上で話を畳みにいくと仕方のない所ではあるのか。にしても、冒頭収録の56話は、何か嫌な事でもあったのかというぐらい、ど直球のストレートになっていましたが(笑)
個人的には、男3人の話がもう1本ぐらいあっても良かったかなぁと思ったのですが、“女学生マンガ”ぷりも最後まで貫き通されました。
良いマンガでありました。
改めて、美しい着地に乾杯。
以下、ラスト近辺の内容に触れる箇所を含めての感想と余談。
若干、内容に触れますよ。
−−−−−
アリシアさんの寿引退に関しては、きっと隠れた男がいるだろうという予測は実は割と早い内から立てていたので、あんまり驚きなし。個人的には、最終回は結婚式が見たかったりはしましたが。キャラ総出の理由付けにもなりますしね。
最後で良かったのは、下の三人娘ばかりでなく、アリシアさんにとってもやはり“楽しく愛しい時間を続けたい”という思いがあって、やや超然としていた上の世代(といっても年齢的には若いのですけど)も想いを下の世代とリンクして繋げて、テーマ性を普遍的な所に落としこんだ所でしょうか。
にしても、作品のテーマ的なものにおいては現行の“オタク的なムーヴメント”に対する明確なアンチであるこの作品が、3度のアニメ化などを含め、一定の人気を博したというのはちょっと面白い。
まあ、アンチといってもあからさまなわけでも攻撃的なわけでもなく、描かれている主題の一つである“時間”というものに真っ正面に取り組んでいった時に自然とそうなってしまったというレベルのものではあるのですけれども、
祭は終わるからこそ楽しく美しい
という事を、こういった形式のマンガではっきりと描いたこの作品は、もっと評価されても良いと思う。
……ま。よくよく考えるとアニメ版見てないので、アニメでもこの辺りちゃんと描かれているのかを知りませんが。
見事な完結に、感謝。