大先生に、山岡版の家康像が残っていたのか、原作よりもやや家康が白め。
その結果、横山光輝を通じて、山岡荘八と隆慶一郎が、時空を超えて微妙に重なり合うという、不思議な味わいの作品になっております。
濃厚な原作をかなり換骨奪胎している分、一部キャラの書き込み不足とか描写や展開にやや唐突な所などもありますが、この辺りは横山光輝のさばさばとした筆致と、隆慶一郎の人物の書き込みが食い合わせが悪く出てしまった部分か。
その一方で、これは予想通りだったのですが、隆慶の架空キャラと大先生は合う、非常に合う。
雨宮次郎右衛門と才兵衛コンビの活き活きとした存在感は、絶品。
満足の面白さでした。
しかし改めて、構想があったらしい改易後の松平忠輝の物語を、隆慶一郎の筆で読みたかったなぁ。
史実と虚構を丹念に組み合わせ、歴史の表と裏を縦横に駆けめぐり、5代将軍の治世までを生きた鬼っ子の活躍、想像するだけで物凄い面白そうなのに。
とりあえず、水風呂に入れられた前田利家が慌てて飛び出すシーンは脳内で映像化できました(笑)
もし原哲夫より先に『一夢庵風流記』を、漫画化していたらどんな作品になっていたんだろうなあ(笑)
(横山光輝の日本史マンガシリーズ/昨日の風はどんなのだっけ?)