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傭兵のアカネイア史 #1


さて、神は戦いを望んだ。即座に兵が招集される。ところが古代オリエントの兵制には後の「国軍」に相当する「市民軍」がない。専制国家体制のもとで「市民」そのものが存在しなかったからそれも当然のことであった。そこで軍隊は被征服民族からの強制徴募兵と傭兵が大部分を占めることになる。
つまり売春と傭兵はともに、やがて古代ギリシャ、ローマ、キリスト教文化と発展していくヨーロッパ文明の礎を築いた古代オリエントの時代に既に自分の生身を切り売りして銭を手にする哀しい職業として存在していたのである。
〔『傭兵の二千年史』(菊池良生)より〕
以下、ゲーム『ファイアーエムブレム紋章の謎〜』(以下、FE)に関する、阿呆な話です。
元ゲームを知らない方には全く意味不明の内容が延々続きますので、どうぞすっ飛ばしてください。
……というわけで、今読んでいる『傭兵の二千年史』(菊池良生という本にインスパイアされて、FEに登場する「傭兵」を、歴史的事実を鑑みた上で、ある程度のリアリティをもって分析してみたらどうだろう、という夢とか幻想とかぶち壊し気味のネタです。いやもう勿論、FEにリアルも何もあるか、というツッコミは全ての大前提ですので、その辺りはご了承の上、ご笑覧下さい。
あまり野暮な話にはしないつもりですが、思いついてしまったので、仕方がない。
というか、『傭兵の二千年史』が、面白いんですよー。
傭兵の二千年史 (講談社現代新書)

傭兵の二千年史 (講談社現代新書)

久々に脳のあちこちを刺激される感じで、これを応用して吸収する作業が、変な形で閃いてしまったと諦めてください(誰が?)
なお、物語と設定は、SFC版『紋章の謎』に拠ります。
また、分析の大前提として、ゲーム中におけるユニット(キャラクター)は部隊を率いる将官のシンボルであり、その下に率いる兵員が居ると考えます。……そう考えないと、戦争にも分析にもならないので。まあ、ゲーム的な話をすれば、兵士というリアリティをさっくり切り捨てた事、がFEの大きなポイントであるのですが、それはまた余談。
後さすがにゲームをやり直す所まではしていないので、微妙に記憶違い・勘違いなどあるかもしれません。またゲーム中で明確にされていない各国の設定やイメージに関しては、筆者の脳内妄想で補っております。
以下、文中の引用は特に記載が無い限り『傭兵の二千年史』からのものです。

歴史の表街道でアレクサンダー大王カエサル、あるいはナポレオンら英雄たちの華やかな合戦絵巻が繰り広げられる一方、その裏では飢えた民衆たちが傭兵に身をやつし、ひたすら食うため、生きるために戦場でのた打ち回っていたのである。
さて、FEで「傭兵」といえばオグマ、オグマといえば「傭兵」。
傭兵of傭兵、それがオグマ。
そんなオグマが居たのは、辺境の島国タリス。アリティアから逃げ延びたマルス王子及びアリティア騎士団が、2年の間、雌伏の時を過ごしていたこの地に、傭兵部隊が存在しているのは何故なのか?
傭兵ある所、戦争あり。
単純に考えれば、海賊対策、という可能性が高いでしょう。
なにしろ1話で城を占拠されてしまうぐらいですから、タリスは海賊に悩まされていたと考えるのが妥当です。
オグマ以下の傭兵部隊は、主にこの海賊と戦っていたと考えられます。
もっともオグマは個人的にシーダに剣を捧げているようですが、表向きはごく普通にタリスに雇われていた、と見る方が自然でしょう。また職業的には「戦士」ですが、サジ・マジ・バーツに関しては、オグマの部下という設定らしいので、傭兵部隊の部隊長、ぐらいに考えて話を進めたいと思います。
ここで気になるのは、タリス出身の彼らが、斧を扱い、エンディングで木こりに戻っていたりする事。
海に囲まれた島国であるタリスは、安直に考えれば主要産業は漁業かと思われますが、これにより林業に従事している層もそれなりに居ると推測されます。一方で、そんな彼らの中から傭兵稼業に従事する者が居るという事は、あまり耕作面積などが広いと思われないタリスにおいては、仕事にあぶれ、傭兵稼業に身をやつしている者も少なからず居るのではないか。
もっと妄想を都合良く推し進めると、タリスは傭兵を輸出しているのではないか?
14世紀頃より隆盛を誇ったスイス傭兵のごとく、荒波にもまれて育ったタリス傭兵が、アカネイア大陸に出稼ぎに出ていた、とか妄想するのは面白いかと思うのです。

観光という一大産業が出現する以前、スイスは寒山峨々たりといった単なる山間の地に過ぎなかった。
(中略)
山間で暮らすことにより足腰が鍛えられた屈強な男たちの働く場所がない。男たちは出稼ぎに出るしかない。そして当時、大量の雇用を保証する最大の産業といえば戦争である。こうしてスイスの男たちは出稼ぎ傭兵となる。
後もっと言うと、それこそ海賊になって、アカネイア沿岸とか荒らしていたのも居そうな気がします。
タリス出身と思われる海賊が国際問題になっていたりね。
さてこう考えてくると、ドルーアの追跡の目をくらます為や王家の交友などもあったのでしょうが、マルス一行が逃亡先としてタリスを選んだもう一つの理由が見えてきます。
それこそ、タリスの傭兵。
マルス王子及びアリティア騎士団は、タリスで大規模な募兵をかけたのではないか?
アリティア騎士団、とはいうものの、タリスへの逃亡に際してはごく一部の近衛と将官クラスを除いて、隠密性の意味でも兵員をともなっていたとは考えにくく、となると、再軍備を整えるのにタリスという辺境の地は非常に向いていたのではないかと。
タリスにおける2年の雌伏は、マルスの年齢という問題もありますが、アリティア騎士団においては大規模な募兵とその教練に費やされた時間ではないかという想像も出来ます。
この間、ドルーア帝国がおそらくは大陸の足場固めにかかっていた事、オルレアン騎士団及びアカネイア王女ニーナの方に戦力の主眼を置いて居た事、帝国そのものが一枚岩で無かった事は、マルス王子にとって幸運な時間的猶予であったといえましょう。

オランダ軍兵士は「俺が俺が」の意識を極力抑え、工兵であれ、槍歩兵であれ、火縄銃兵であれ、いかにもカルヴァン派らしく、いま現在与えられている自分の兵としての仕事に励んだのである。そして言うまでもなく、このことを可能にしたのは給料のきちんとした支払いと教練と軍律の厳正な適用であった。だからこそオランダ独立軍は宗主国であり当時の超大国スペインの軍隊に一歩も引かなかったのだ。
とは16世紀、オランダのマウリッツによる軍制改革について触れた章の一文ですが、アリティア軍も傭兵に給料をきちんと支払う事で忠誠心とモラルを向上させ、教練と軍律を徹底する事により、アカネイア上陸後、破竹の進撃を続ける戦力の基盤を、この時期に確立したのではないでしょうか。
問題となるのはこの資金源ですが、初めはタリス国王の支援、また恐らくは、アリティアからの逃亡時に、換金可能な財宝を持ち出していたのではないかと予想されます。
さて話をオグマ率いる傭兵部隊に戻すと、タリス城を占拠した海賊の撃退後、どういうわけかタリスからマルス軍に籍を移すわけですが、考えられるのはタリス城での戦いの結果、この地方における海賊勢力との軍事バランスが崩れ、余剰戦力となったのではないかと。
タリス王にとってはマルス軍は傭兵部隊の良い押しつけ先であったのかもしれない。
もっとも、王女シーダマルス軍についていってしまったのは、予想外であったとは思いますが。
こうしてマルス軍は、騎士団の残存部隊である一部の騎兵と将官クラスに、タリスの傭兵部隊を加え、アカネイア大陸に上陸。
2章で登場するカシムは、職業は「ハンター」ですが、これはもう物凄くわかりやすくて、「病気の母親の為にお金が欲しくて」海賊軍に傭兵として参加し、シーダとの金銭を含む交渉の結果、マルス軍に寝返る、と。
ゲーム中では色々とエピソードがつくわけですが、むしろこの辺りはビジネスだと思って考えた方がわかりやすい(笑)
3章のナバールにも同様の事が言えます。
ゲーム内ではサムシアンに雇われたという事になっているナバールですが、自衛能力を持つ山賊であるサムシアンがわざわざ傭兵を雇うというのも考えづらく、あれは実は、デビルマウンテンにおける第三勢力だったのではないかと。

数次の戦いのたびに傭兵が駆り集められ、また解雇される。これの繰り返しであった。失業を恐れる傭兵団は職を求めてヨーロッパじゅうをさまよい歩く。むろん行き先々で行きがけの駄賃とばかりに、村落や都市を荒らしまわったことは言うまでもない。
という感じの、14世紀頃の典型的な傭兵団を率いていた傭兵隊長であったのではないか、と考えると、色々と納得。大陸をあちこち回っている内に、デビルマウンテンでマルス軍に遭遇し、雇用される、と。
後、行く先々の村でアイテムやお金をくれるのって、ドルーアの圧政という背景もあるのでしょうが、略奪を(以下略)。
中心部隊はともかく、末端の傭兵達の多少の略奪には目をつぶ(以下略)。
とまあ、話が黒くなってきた所で、こんな馬鹿ネタですが、終わらなかったので続きます。