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『未来戦隊タイムレンジャー』感想11

◆CaseFile.19「月下の騎士」◆ (監督:松井昇 脚本:小林靖子
前回、趣味の実験を進めていたギエンは、リゾートでバカンスを勧めてドルネロとリラをアジトから追い出す。「勝手な事をするなよ」としつこく注意するドルネロだが、ギエンは勿論、する気満々
その頃、未来ではタイムレンジャー部隊長、リュウヤが何事か思案していた。
1話のリュウヤはリラの変装だったでの、リュウヤがリュウヤとして顔を出して登場するのは、今回が初か。
仕事募集のビラ配りに向かうトゥモローリサーチの面々、用意された弁当が少ないと文句を言うドモンに、自分のをやると言い出すアヤセ。すかさず止めるタツヤ。
「駄目、アヤセはしっかり食う、ドモンはそれで我慢。おまえ最近太ったぞ」
すっかりオカン。
というかタツヤは2話の辺りの張り切り方など、割と他人の世話を焼くと充実するタイプっぽく、総攻めだけど嫁属性。
思わず腹を見るドモンに、シオンがにこやかに「太りましたよ」と追い打ち。
なんだかシオンがどんどん、えげつない子になっていきます。
楯になる前衛を用意した上で、相手の射程範囲外の安全圏から、ピンポイントに狙撃してくるタイプですよ、この子。
ドルネロ達を送り出したギエンは、ラムダ2000からZ−3を精製、それを自作の破壊兵器・ノヴァに差し込み、起動する。
その瞬間ビラ配り中のタツヤを襲う頭痛、そして、世界の異変。
止まった時間の中で、タツヤは、自分自身と出会う――!
時を同じくして他の4人のメンバーも、それぞれ、自分自身と出会っていた。
だがその異変はすぐに終わり、街に巨大化したノヴァが姿を見せ、破壊活動を始める。混乱するタイムレンジャーだったが、まずはとにかく、ノヴァを止めなくてはいけない。タイムロボの発進を要請するが、タイムロボ、出動せず。大破壊の光景に、ギエンさんは大はしゃぎ。
それにしても、ノヴァに巨大化抑制シールがついていたという事は、ギエンさんは作ったロボットをわざわざ一度圧縮冷凍して、それからまた解凍したのか。
……あ、でも、最初から大きく作るより、その方が安上がりか。
恐るべし、リバウンド。
そしてなんとエコロジーな作戦!
地球に優しい、ロンダーズファミリー。
なんか色々と応用できそうで、夢の広がるテクノロジーだなぁ、圧縮冷凍。
未来的にはむしろ、そういう他分野のテクノロジーを応用した結果が、圧縮冷凍刑なのかもしれませんが。
タイムロボが現れない為、やむなくヴォルなんとかでノヴァに立ち向かうタイムレンジャーだったが、攻撃力の差は圧倒的で、効果的なダメージを与えられない。
その時、地を揺らす轟音と共に、巨大なドリル戦車が姿を見せる!
その名はRAIMEI、第三総合研究所で開発されていた、対ロンダーズ用兵器であった。激しく砲火を交える、ノヴァとRAIMEI。
いきなり、東宝特撮の世界に。
そして
1分でやられた(笑)
1000年の技術力の差は如何とも埋めがたく、木っ端微塵に瞬殺されるRAIMEI。
スグリーンの巨大メカなんて先々は使えないよなぁ……とは思っていたものの、先週から引いておいて、ここまでの出オチとは、さすがに想像を超えていました(笑) 造形はけっこう凝っていたのになぁ。なんか他の作品で使っていたものの、流用だったのかしら。
RAIMEIの搭乗員を救出するも、追い詰められるタイムレンジャー。巨大な銃口が間近に迫ったその時、太陽が突如として翳り、空をタイムゲートにして、巨大な戦闘機が転移してくる!
それこそは、時間保護局が3000年で開発していた、自律型戦闘システム・タイムシャドウ
……声が変(笑)
「しゅぅ!」とか「しょわぁ」とか、妙に籠もった気合いの声だけ発します。
あと、サブタイトルでは「騎士」になっていますが、見た目や動きのコンセプトは「忍者」。
タイムシャドウとノヴァが交戦に入り、崩れたビルから落下するギエンは、それを見つけたタイムレンジャーとの戦闘になる。「たまには面白いだろう。私の趣味でなぁ」と、改めての接触で、危ないヤツである事をアピール。タイムシャドウは圧倒的な攻撃力でノヴァを撃破し、街を破壊しまくって大満足したギエンは帰還。
タックは、もう一人の自分との遭遇は、今回のギエンの破壊活動の影響がさすがに大きく、時空を乱した為ではないかと、推測する……変わる筈のない歴史の流れ、だが何かが少しずつ、ずれ出そうとしていた……。
そしてタツヤが「オヤジが金儲けにならない事をやる筈がない」と言うのとは裏腹に、RAIMEIの開発には、浅見グループが関わっていた。内務省治安維持局と協力して対ロンダーズのプロジェクトを進める浅見グループ、タツヤの父、浅見渡はRAIMEIの敗戦を受け、プロジェクトの新たな展開を指示。
とりあえずタツヤ父は、戦車の頭に意味もなくドリル付けたのは誰かについて、徹底した内部調査を行った方がいいと思います。
一方、アジトに戻ってご満悦のギエンは、刑務所内の封印された扉を開く。
「やはり、破壊こそ極上の酒。この興奮、このまま醒めるには惜しい。もう少し、味合わせてもらおう。ふふふふふ」
ギエンの顔ぱかっギミックは、格好良くて好き。
そこに哄笑が被さって、次回に続く。


◆CaseFile.20「新たなる絆」◆ (監督:松井昇 脚本:小林靖子
タイムレンジャーの危地を救った、自律型戦闘ロボット・タイムシャドウ。それは、より凶悪な犯罪者に対抗する為に、新型の高純度エネルギー・Z−3を動力源として、時間保護局とインターシティ警察が共同で開発していた新兵器であった。
インターシティ警察と?! はっ 聞いた事ないけど」
自分の知らない秘密プロジェクトの存在が不愉快だったのか、やたら不機嫌そうなユウリさん(笑)
だが、タックには疑念があった。
本来なら、タイムシャドウの完成は3010年頃の予定、ユウリ達がやってきた未来から考えても、10年先の筈だったのだ。

「もしかすると……わずかに変化しているのかも」
「なにが」
「歴史」

タックの一言に、無言になる5人。
しばらく間を置いて、ドモンが笑い出す、という演出の流れはうまく雰囲気が出ていて秀逸。
「歴史を変えない為に、2000年に残ってタイムレンジャーをやらされているのに、歴史が変わるなんて冗談じゃない」と激昂するドモン。ドモンほど感情を露わにしないまでも、タツヤを含め、タイムレンジャー全体に少なからぬ動揺が走る。
翌日、街では連続爆破事件が発生。犯人は、ロンダー刑務所の中でも最も凶悪な犯罪者達が収容される半永久房ヘルズゲートに圧縮冷凍されていた、ブラスター・マドウ。殺人1300件で刑を執行された、筋金入りの殺人狂であった。
それぞれが心に迷いを抱えながらも、マドウを止めるべく出撃するタイムレンジャーが、マドウの圧倒的な戦闘力に手も足も出ない。
戦隊シリーズでは5人揃っていないとやたらに苦戦するというのはデフォルトですが、タイムレンジャーはなんだかんだで結構強いので、5人揃った状態でここまで苦戦するのは、20話にして初か。
タイムレンジャーを退けたマドウは、手榴弾をばらまきながら、大暴れ。
運転手が乗った車の中に爆弾を投げ入れるという直接的な描写や、ビルを吹っ飛ばしたりなど、兵器抜きで単体でこれだけ大虐殺した敵は、全シリーズ通しても、なかなか珍しいかもしれません。
一時撤退したタイムレンジャーに漂う、絶望と徒労感……自分たちがここで必死に戦っても、結局歴史が与り知らぬ所で変化してしまうというのなら、命を賭けて戦う意味はあるのか?!
ドモンを筆頭に思い悩む5人だが、遠くから響いてきた爆発音に、それぞれがそれぞれの想いで、人々を守る為、駆けだしていく……!
一人ずつが台詞とともに、再び戦いへ向かうというシーンで、順番は、アヤセ→ユウリ→シオン→タツヤ→ドモン
一番最初にユウリさんを行かせると、孤高の女度がまた上がってしまう上に、男4人が残っているという絵的に最低な感じになってしまうので、アヤセが先陣は妥当な所か。シオン最初に行かせるのも何だかですし。タツヤはドモンとの絡みがあるので、4番目なのは、仕方ない。
シーン的には格好いいのですが、前回から今回冒頭にかけてのタイムパラドックスネタが頭の片隅で消化しきれなかった為、微妙にドラマに入りきれず……もう少し、プロットがシンプルな方が、素直に盛り上がれたかなぁ。
ところでこのシーンのタック、漬け物石のような扱いです。
何故かアヤセさんが走り出す前に、どさっと、手に持って移動させている(多分あれ、タックだと思うんですが)。
思いを新たに、再びマドウに挑んだ5人は、連係攻撃で5人を撃破(この時、エネルギー波を捉えて回避する能力を持つマドウにどうやって光線を当てたのかは、いまいち謎)。巨大化したマドウ相手に、今日はタイムロボが出撃。更にタイムシャドウも現れるが、マドウの前にシャドウは倒れ、タイムロボアルファの時空剣も折られてしまう。だがその時、二つのロボットが合体。新たな力……その名は、デルタフォーメーション・ベータシャドウ。新必殺技でマドウを撃破、圧縮冷凍に成功する。
残念な子だったベータさんはここでこう使いますか。
それにしても、シャドウ出る度に、夜戦になるのかしら。出来れば明るい方がいいのですが……YouTubeの画面だと、夜戦は微妙に見づらくて(笑)
今回は、ユウリさん除くと、割とドロップアウト組だった面々が、真のタイムレンジャーになる回、と置けばいいのかなー。
アヤセ病気回と絡みますが、一応、時間保護局のテストを受けて?タイムレンジャー部隊に選抜されて?いる筈なのに、プロ意識の薄い未来人の男3人(アヤセはレーサー断念、ドモンはグラップ追放、シオンはおそらく研究所から出るための方便)が、改めて自分の中のタイムレンジャーとしての意識と向き合う、と。
……それにしても、研修前?だったから仕方ないとはいえ、改めて考えると男3人は本当に、プロ意識がありません。アヤセさんの事を考えると時間保護局はどうもメディカルチェックもしていないようなので、相当、来る者拒まず使い潰す系のブラックな職場なのか。業務中の殉職率が高いので選り好みしている場合ではないのか。
という辺りに脚本家が気付いての回、でもあるのかなぁ。
それが見ていて気にならないぐらい、ここまで巧く転がしていた、という事でありますが。
一方、ロンダーズのアジトでは、リゾートから帰宅したドルネロ様が、好き放題におおはしゃぎだったギエンに、顔面パンチで説教。ヘルズゲートの鍵を取り上げるが、ギエンは勿論、合い鍵を作っていた反省なし
ロンダーズ側にも微妙なズレが広がりつつ、新たな決意とともに戦いは続く……。
と、新ロボ登場エピソードに、戦隊メンバーの精神的なレベルアップと立場の確認を絡め、リュウヤの謎の行動など先への布石を置いた、秀逸な前後編でした。リュウヤに関しては、とりあえず置いてみただけで、まだ具体的に考えていない気もしますけど(1年ものでは、よくある話)。
タイムレンジャーは、職業戦隊と成り行き戦隊のハイブリッドな上に、行きがかり上やむを得ない>使命感、という珍しい構造を取っていたのですが、モチベーションを揺らす事で、「タイムレンジャーとしての使命」とか「歴史を守る為」とかいう以外に、戦う理由があるのではないか、という所へ持っていった構成はお見事。
次回……………………酔っぱらい?