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『特警ウインスペクター』感想26

◆第43話「爆弾になった少年」◆ (監督:小笠原猛 脚本:宮下隼一)
「爆弾を仕掛けている男を見たんです」と特警本部へやってきた少年・今泉文彦。
正木以下が話を聞こうとすると、おもむろにジャンパーを脱いだ少年は 全裸 ……ではなくて、腹マイト!
腰にダイナマイトと起爆装置、両手に起爆のトリガーとなる電極を付けた文彦は、自分が本気だというデモンストレーションとして、都内某所で廃車に仕掛けた爆弾を起動させ、マドックスにその光景が映し出される。彼が身につけた爆弾の破壊力は、デモに使ったものより遙かに強力で、爆発すれば警視庁のビルも只では済まない!
毎度の事ながら、入り口のセキュリティがガタガタな特警本部。
まあ基本的に警視庁の中なので、そうそう危ない人は入ってこないという判断なのかもしれませんが、そうすると、問題なのは警視庁か。
仕事して、マドックス!
正木はメンテナンスルームの野々山に通信を送り、野々山はバイクルとウォルターを起動。背後からそっと少年を取り押さえようとするが、起爆装置の対人センサーが反応し、自動でカウントダウン開始。少年は解除コードでカウントダウンを止めるが、特警メンバーは、改めて少年の本気度の高さを見る。またこの時、野々山が背後から少年の撃ち込んだ解除コードをこっそりとメモ。
「僕は自爆するつもりだ。その覚悟で来た」
という少年の要求は、父親の無実を3時間後の3時までに証明しろ、というもの。
少年の父親は今泉茂。前科3犯の金庫破りで先頃出所していたが、再び金庫破りを行った上に警備員を刺殺して逃亡、指名手配を受けていた。
出所した父が、手先の器用さを活かして、刑務所で学んだ彫金職人としてやり直そうとしていた事、「金庫破りは二度としない、真面目にやる」と自分に誓った事を必死に訴える少年の姿に「信じてるんだね、お父さんを」と竜馬は捜査を約束。
やはりなんか、父ネタに食い付きのいい竜馬さん。
正木と野々山が本部に残り、竜馬達が事件の捜査に向かう事になる。少年の要求に従ったふりをしながら、手にメモした解除コードをこっそり正木に見せる野々山、など、細かい描写が秀逸。
城南警察署に、事件について聞き込みに行く純子。
超悪そうな顔の刑事、登場(笑)
今泉茂が指名手配されたのは、金庫破りの手口が毎度お馴染みだった事、現場と凶器に今泉の指紋が残っていた事からであった。
一方、今泉の妻の元を訪れた竜馬は、今泉が出所から三日で行方不明になっていた事、その前に、刑務所で一緒だったという男が尋ねてきた事を語る。
妻の証言から今泉を訪ねてきたのが、前科7犯のイワキ、他二人の前科持ちだった事が判明。竜馬と純子は、マドックスのデータから彼等の住所となっているスナックに向かう。
一方その頃、イワキ以下の3人組は、縛り上げた今泉に金庫破りへの協力を強要していた。前回の事件は彼等3人が起こしたもので、その際に今泉の指から無理矢理に採取した指紋を現場に残し、捜査を攪乱していたのだった。
3人組に脅し上げられる今泉だが、「もう二度としない」との息子との約束を守ろうと、息子にあげるつもりで造っていた細工物を握りしめ、頑として協力を拒否。その今泉にイワキのナイフが向かう……。
竜馬と純子は、イワキが根城としているスナックに乗り込むが、既に無人。残されていたビルの見取り図と指紋採取用のシートからイワキらのもくろみを察した竜馬は、次の標的となっているビルへ。強盗を終えたイワキ達3人と、遭遇、追跡。
トロールスコード→ファイヤースコードへの変形を見て、驚く犯人グループが新鮮(笑)
最後は、ギガストリーマーマックスモードで逃走する車を撃破して、犯人逮捕。
……なんか最近の竜馬さんは、殺意が洩れ気味だなぁ(^^;
今泉についてイワキらを問いつめる竜馬に、衝撃の答。
なんと、既に今泉茂は殺されていた
これはイワキがナイフを持って迫った所でAパートが終了して、Bパートで竜馬達が踏み込むと中は無人……と微妙に時制をずらして、まさか殺してないよなぁ……と思わせて本当に死んでいました、という衝撃展開。
竜馬はスナックの床で拾った、今泉の形見となってしまった細工物のペンダントを手に特警本部へと戻る。
時刻は3時ぎりぎり、なんとか爆破を踏みとどまった文彦に、竜馬は残酷な事実を告げる。
父の死を聞き、自棄になって爆発しようとする文彦を間一髪で抑える竜馬だが、対人センサーによる自動カウントダウンが無情に時を刻む。
「君との約束があったからこそ、お父さんは誓いを貫き通すことが出来た。立ち直る事が出来たんだ。だから、死んじゃ駄目なんだ!
 文彦くん、お母さんと、二人で生きるんだ。お父さんの分まで、生きて、生きて、生き抜くんだ!」

竜馬の説得を受け、文彦は爆破を思いとどまる。カウントダウンはギリギリで、横から解除コードをすかさず入力した本部長によって停止。ずっと横でタイミングを計っている本部長と野々山、オトナって汚い。
今回はとにかく、今泉父を助けられない、という展開が衝撃。
警視庁で自爆テロを図る少年のインパクトと相俟って、なかなか強烈なエピソードとなりました。
今泉の事件を担当した刑事が、非常に悪い感じなのも、いい。最初、彼が真犯人なのかと思ったぐらい。
また野々山が珍しく、シリアスな動きで、ちょっと活躍。
前半の少年テロリストへの対応を迫られる特警、のシーンの描き方は格好良かったです。
今作の根っこにあるとおぼしい、70年代的なチャレンジ精神への回帰、を強く感じさせるエピソードでした。
次回、


ウインスペクターを押しのけて犯人逮捕に執念を燃やすお婆さん!
迫り来る犯人の刃をものともせず、お婆さんは走る!


どう見ても女装の和服老婆がスクーターで疾走!
いったい何が起こるのか。
あとナレーションの言葉で「婆さん」はやっぱりまずい、という事になったのか?


◆第44話「一日だけの晴舞台」◆ (監督:新井清 脚本:扇澤延男)
トロール中、謎の老婆?の為にタクシーを停めるバイクル。老婆を見送った後、近所で起きた泥棒騒ぎの現場に向かったバイクルは、六角警部から、犯人が最近よく出る不審な老婆だという事を聞く。
……さっき会った?
よりによって犯人の逃走を助けてしまったと落ち込むバイクル。
「そのこそ泥婆さん……全員で手分けして追ってみるか」という本部長の指示で、謎の老婆を追う事になったウインスペクター。その頃、問題の老婆は空き巣の標的探しをしている所をパトロール中の警官に追われ、裾をからげて走って逃走。前回とのギャップが激しいコメディタッチで展開し、国立エネルギー研究所ですれ違った車に轢かれそうになるが、駐輪場でバイクを奪い、激走。ウォルターの活躍もあり、なんとか逮捕すると……その正体は、
こそ泥老婆の正体は、元役者・米山米吉(45歳)。
元々は芝居の座長だったが運営資金を持ち逃げされ、一座は解散。一座立て直しの為に工事現場などで懸命に働いていたがままならず、空き巣に手を出すようになったのだと言う。懐から、親戚に預けているという息子の写真を取りだして涙ながらに事情を語る米山にほだされそうになったりしつつ、犯人に説教をするバイクルという珍しい展開。
そんな時、国立エネルギー研究所で爆破事件が発生。犯人を名乗る男は、無差別爆破を起こされたくなければ、と東京都に10億円を要求する。犯人の指定した爆破のタイムリミットは翌日。今日中に犯人を見つけださなければ、いつ都内で爆破事件が起きるかわからない! その話を聞いた米山は、犯人に覚えがあるが、教えるには交換条件があると言い出す……。
というわけで、米山の提示した条件に基づいて、特警本部で記念写真を一枚
忙しいのだから、成功報酬にして下さい
米山が研究所で見た、自分を轢きかけた男の名は、藤原勇。かつて下久保の工事現場で同僚だった事があり、その時に倉庫からダイナマイトが大量に紛失する事件があったのだという。現場に居た事と、過去の言動と行動から、藤原が爆破犯人である可能性は高い……。
純子の調査で下久保の工事現場で使っていたものと、研究所の爆破に使われていたものが同じ爆薬だと判明。米山の案内で藤原の家へと向かうウインスペクター。パトカーの中で、何やら手紙をしたためている米山。竜馬に任意同行を求められた藤原は最初は誤魔化そうとするが、米山を人質にとって逃亡。アパートの前の公園に、ダイナマイトを投げ入れる!
公園で遊んでいた子供達を守る為に、飛び込んで爆風を抑え込むバイクルとウォルター、吹き飛ぶ(笑) ……いや、笑う所ではない筈なのですけど、番組史上最高に、あー、これはバイクルとウォルター、死んだわーという吹き飛び方だったのでつい(笑)
車で逃走した藤原を追う竜馬だが、ダイナマイト攻撃を受けて取り逃がし、追いついてきたバイクルとウォルター(無事でした!)と共に追跡。一方、藤原に山中の洞窟に連れ込まれた米山は、「ありがとよ……助けてくれて」と怪しげな笑みを浮かべていた。
探索中、もしかして米山は逃亡の為にわざと人質になったのでは? と疑いを持つバイクル。ウォルターに相談しているる所に竜馬が来て、米山がパトカーの中で書いていた手紙を見せる。それは米山が息子にあてたもので、特警本部で撮った写真と共に、自分は今、特警の一員として頑張っている、という言葉が綴られていた。
バイクルに言われた「息子に胸を張れる尊敬される父親にならないと」という言葉に胸を打たれた米山は、自分なりに、息子に胸を張ろうと勇気を持って戦っていたのだ!
と、犯罪者が役者ゆえ、と思わせて……そこから更にちょっと一ひねり。
ところでハッキリとはいえませんが、バイクルが人を疑う心に目覚めたのって初?
これまで、あまり無かったような気はします。
嗚呼、成長するって、綺麗なままでは居られない。
自分も警察の敵だという演技に騙されてロープを解いた藤原に背後から襲いかかる米山だったが(そもそも、何にしろ藤原の犯罪が露見したのは米山の為なので、藤原に米山に優しく接する理由は全く無いのですが、「無差別爆破予告で東京都に10億円要求」するぐらいだし、頭がちょと弱いのかもしれない藤原)、返り討ちにあってしまう。洞窟に閉じこめられ、ダイナマイトで吹き飛ばされそうになる米山だが、岩塊をギガストリーマーマキシムモードで消し飛ばしたファイヤーとバイクルによって救出される。今回はバイクルが動かそうとしてもびくともしない岩を吹き飛ばすという事で、まあ、正しい使い方の範疇か。やっぱりオーバーキルな気はしますが。
外ではウォルターも奮闘し、最後はファイヤーが藤原を逮捕。こうして事件は解決し、入院しながら六角警部の取り調べを受ける米山を見舞うウインスペクター一行。
ここでBGMにかかるのが、前にもどこかで使っていた気がしますが、何故か『超人機メタルダー』主題歌インスト。

夢をはたすまで 一歩もしりぞくな
負けたと思うまで 人間は負けない
ひとの運命は 誰にも見えない
自分で切りひらけ 甘えてはいけない


あってる気はしますが!
息子への手紙を渡される米山は、そんなものは捨ててくださいというが、バイクルに励まされて受け取る。
「今日一日、おみゃあさんは立派なウインスペクターの隊員だったわ。わしらの仲間だったじゃないがね」
「米山米吉特別隊員、ご苦労様でした!」
竜馬が敬礼を送って皆が倣い、大団円。
意外な所で意外なバイクル回。
ロボット刑事の成長物語としては、なかなか良かったです。
爆弾にやられまくる以外、スポットの当たらなかったウォルターがちょっと可哀想(笑)
くしくも前回と今回で、父を想う子、子を想う父、という鏡写しのようなエピソードの組み合わせとなりました。難を言えば米山が怪しすぎて、その子供は本当に居るのか、ラストまで信じられなかった事ですが(笑) 絶対、相手をほだして誤魔化す為の、偽エピソードと写真だと思っていましたよ!(笑)
今回フィーチャーされたゲスト・米山米吉を演じたのは、ばってん荒川(1937−2006)。九州地方で活躍し、肥後にわか(宴席や路上などで行われた即興の芝居。各地方に存在する)を復活させ、「肥後にわかの巨匠」と評されて全国区でも知名度のあったローカルタレント、との事。「お米ばあさん」というキャラクターで活躍しており、女装老婆で大活劇していたのも、その為だったようです。どういう縁で出演する事になったのかはわかりませんが、割とビッグゲストだった模様。
さて次回、サブタイトルは格好良いのだけど、予告が過剰に盛り上がり気味ナレーション「……たぁ」(斜め上に上げる感じで)、と若干の危険フラグが重なっており、果たしてどうなる。