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『特警ウィンスペクター』感想20

◆第33話「目覚めた浦島太郎」◆ (監督:新井清 脚本:扇澤延男)
OPにマキシムモード登場。
立て続けに発生している金庫破り犯の使う、特殊な溶解液の分析と製造を行う野々山。悪臭ともうもうたる煙がたちこめ、それを換気すると、何時の間にやら本部の中に立っていたのは、着流し姿の謎の男。
「正木の旦那、お久しぶりです」
男の名は、古沢。傷害罪で正木に10年前に逮捕された、本人いわく“古いタイプの任侠”であった。渡世の義理で罪を犯したが、服役中も親身になってくれた正木のお陰で更正。出所後、未来の社会で人生をやり直そうと考えた彼は、パラダイス生命延長財団による人体の冷凍保存に全財産を支払い、100年後の未来での目覚めを待って、眠りについた……筈だった。
「100年は眠り続ける筈じゃなかったのか?」
「手違いで9年で目が醒めました」
と、サブタイトルと合わせてどんなトンデモ話かと身構えていたので、「冷凍睡眠だったらまあいいか」と思える不思議(笑)
カプセルの故障で目覚めてしまった彼は、丸一日の修理の間に、お世話になった人々に改めて挨拶回りをしようと、まずは特警本部にやってきたのであった。
刑務所に届いた手紙で、正木、渋谷区恵比寿に住んでいる(た?)のが発覚。
なぜか竜馬をドライバーに(9年ぶりの娑婆に放置すると古沢が余計なトラブルを起こしそうだと正木が配慮したっぽい)、まずは“沼田の親分”とやらの元へ向かう古沢だが、彼は前年、糖尿病で他界していた。甘い物が大好きだった親分の為にお土産にケーキを買っていた古沢は、墓石の前で泣き崩れる。
続いて、孫を産んだ娘の元を訪れるが、「9年前に親子の縁を切った筈」と追い返されてしまう。
続けて……竜馬「え、まだ行くんですか」 ちょっと素が(笑)
訪れたのは、松岡ローン(どう見ても闇金的なサラ金)。事務所のソファにつつましく腰掛けている竜馬さんが凄く可笑しい(笑) どうやら元舎弟?か何からしい社長に、「あんた」呼ばわりされて、思わず頬を張り飛ばして竜馬に止められる古沢。
すっかりめげて特警本部へ帰ってきた古沢は、「結局あっしは、中途半端な浦島太郎なんですねぇ」と、大人しくパラダイス生命延長財団へ帰ってカプセルの修理を待とうとするが、そこへ、一連の金庫破りの容疑者が固まったという報告が飛び込んでくる。
その名は、秋吉誠。
男の名前と写真に激しく反応する古沢。製造の過程で強烈な匂いと煙を発する溶解液を作る為にどこか人家の無い所で行動している筈だという推理に、古沢は竜馬をある山へと案内する。そこは9年前、出所した古川がたまたま万引き現場を見つけた高校生時代の秋山を、連れていって諭した思い出の場所だった。
「正木の旦那、やっぱり、あっしなんかの説教じゃ駄目だったのかねぇ」
車中で嘆く古沢に、「遠回りしたおまえだから、伝えられる事もある」と励ます正木。
はたして、古沢の案内で訪れた山で、不審な煙の流れ出る洞穴を発見する特警。
……あ、バイクルの嗅覚機能が役に立った。
竜馬と純子が洞穴内部に踏み込むと、机の上に現ナマを並べながら(見ながらニヤニヤしていたのか? まあ、この人が犯人ですよ、というわかりやすい演出なのですが(^^;)溶解液を作っていた秋吉は逃亡。溶解液を射出する銃を使い、反対側から追い詰めにかかったバイクルとウォルターを射撃。機構を溶かされて倒れるウォルターに銃口を向け、「跡形もなくドロドロに溶かしてやる」と、人質に取るという斬新な展開
なぜ金庫破りなどになったのだと問いかける古沢に向けて、秋吉は叫ぶ。

「9年前の夏、あの日から、俺はあんたを探した。必死に探したんだ。俺はあんたに会いたかった。聞いてほしい話が山ほどあった。信じてたんだ。あんたを!」
「あんたは俺を見捨てたんだぞ!」
「親も兄弟も居ない俺は、ずっとあんたのことを思い出していた。あんたに相談にのってもらたいくてさ」
「見捨てるんなら、情けなんかかけないでほしかったよ。初めから!」

激昂する秋吉の一瞬の隙を付き、バイクルがその足下を攻撃。パトカーへ走った竜馬は着化し、溶解液を受けながらもケミカルディスチャージャーを起動して消化剤まみれになった秋吉を逮捕する。
……ホント、この攻撃(?)は体に悪そうで色々と考えます。
例の研究所の作品だろうしなぁ…………。
古沢に問われ、金庫破りは、面倒を見ている孤児達の一人の、肝臓手術の費用を手に入れる為だったと告白する秋吉。
「俺、自分と同じような、身よりのない子供達の面倒を見ているんだ」
「ならおめえ、面倒見てる子供を救う為に盗人になったのてかい。昔からの夢だった、科学者の仕事も捨てて」
「へへっ。だって……一度面倒見てあげるって決めたんだから、途中でおっぽりだしたら可哀想じゃないかよ。俺はあんたとは違うんだ!」
慟哭する秋吉を、抱きしめる古沢……黄昏時の特警本部、秋吉が気に掛けていた孤児の少女は、国際保険機関の援助により、手術が受けられると決定。秋吉の持っていた少女の写真を手にしていた古沢は、笑顔で立ち上がる。
「こうしちゃいらんねぇ」
「財団に帰るのか?」
「仕事を探しにいくんですよ」
時代から逃げるのをやめる事を決める古沢。
「正木の旦那。あっしはもう、あの馬鹿野郎を見捨てねぇよ。何年かかるかしらねぇが、あいつが出てくるのを待っててやるんだ」
――自分と同じ、浦島太郎を作らない為に。
ラストは、娘夫婦とも和解でエンド。
娘の夫が孫を「抱いてやってください」とか、やり抜きました。
冷凍睡眠9年、を挟んではいるものの、プロットとしては完全に、長いお務めを終えて娑婆に帰ってきたものの時代に置いて行かれてしまった男が世話になった刑事のもとを訪れて……という刑事ドラマの黄金パターン。その上で、冷凍睡眠という特撮ヒーロー物的ガジェットを、後の展開の伏線として機能させているのが、非常に秀逸。
また、刑務所で更正した男が一発で他者を救うのではなく、再び失敗して、しかしそれを知って改めてやり直す事を選ぶ、という40男の成長ドラマになっているのも良い。
完璧な人情話で、約20分(+戦闘シーンあり)で、よくやりました。
お見事。
前半コミカルなタッチながらも後半に向けてドラマがしっかりと結実し、次回予告がちょっと怪しい感じの時はむしろ意外と秀逸回が多い、という伝統芸も炸裂(笑)
シリーズ後半に入っても、この路線を忘れず持ってきたのもすばらしい。
さて、こんないい回だったのに次回予告が、


やっと出た
生まれて初めての休暇
(中略)
だがそこに、婆さん誘拐事件がふってわいた

酷い(笑)
ずっと「ばあさん」呼ばわりなのも酷い。
にしても、『ギャバン』の頃からそうですが、どんな間抜けなサブタイトルでも酷い次回予告でも、政宗一成さんが格好良く読んでしまうんだよなぁ。ギャップがまた笑えたりするので、政宗さんもひたすら真面目に格好良く読んでくれるのですが(笑)


◆第34話「逆転ばあちゃん」◆ (監督:新井清 脚本:山田隆司
そんなわけで、正木本部長から休暇を勝ち取り、本部長の別荘がある河口湖方面へと向かうバイクルとウォルター。
90年当時の世相が何とも言えませんが、恵比寿に割と広い庭付きの家を持っていて河口湖近辺に別荘がある、というのはどれぐらいのステータスという設定だったんだろうなぁ。恵比寿は再開発前だったのでオサレタウンというよりは都心の古い住宅地だと思われるので、たぶん、昔からの家持ちだと思うけど。
河口湖へと向かう電車の中で、桃山銀子という、押しの強い老婆と(半ば強制的に)知り合いになるバイクル、ウォルター、ちゃっかりデミタス。そんな彼女がつけている高価そうな指輪に目をつけたのは、サラ金に追われて逃げている二人組。老婆を資産家と誤解した二人、借金返済に利用しようと、河口湖駅でバスに乗り込んだ彼女の後を盗んだ車で追う。
「ゴルフがしたい」と割と素っ頓狂な希望を持っていたバイクルとウォルターだが、銀子から遊園地の割引券を貰って、お馴染み富士急ハイランドへ向かう事に。その代わりに、銀子の暮らす老人ホームへの慰問を要求されて、デミタスを人質に取られる。
役に立った、展開の中で物凄くデミタスが、役に立った!
ホームで、二体と写真を撮る権利、を500円で販売する銀子(笑)
遊園地を堪能した二体は予定時刻に老人ホームへと向かおうとするが、迷子を発見、出発が遅れてしまう。その間、なかなか来ないバイクルとウォルターにじれて玄関先で外を見ていた銀子は、ホーム前で張っていた二人組にさらわれてしまう。
役に立たなかった、デミタスはやっぱり役に立たなかった!
……というか、バイクルとウォルターは、デミタスに直接連絡を取る機能は付いていないのか?
迷子の相手でそれを思いつきもしなかったのかもしれませんが。
迷子の親がようやく見つかったところ、デミタスからの緊急連絡を受けた正木経由で銀子が誘拐された事を知った二体は慌ててホームへ。ホームへは二人組からの脅迫電話が入り、竜馬と純子も銀子の息子夫婦を連れて河口湖へと向かう。
2000万円の要求に対して「あんな人の為には一銭も出す気はない」から始まって姑への愚痴を言いまくる息子嫁。さすがにキレる夫。一方、嫁の尻の下に敷かれた息子は金なんて出さないだろうという銀子に「親を心配しない子供はいないんだよ」と、自分の息子を妻の友人の家に匿ってもらっている事情を吐露してしまう犯人。
しかしこの二人組、若い方が年嵩の方を「マスター」と言うので、なにがしかの店舗の店主と従業員の関係っぽく、従業員は実は借金の責任は直接無さそう。まあ、とっぽくて頭がちょっと足りなそうな感じに描かれているので、一人ではうまくやれないし、面倒見てくれる兄貴分に付き従っている、という感じですが。
「問おう。貴方が私のマスターか?」
という関係だったら、それはそれで困る。
(すみません。使ってみただけで、『Fate』はよく知りません)
再度の脅迫電話を受けて、ウォルターが逆探知で絞ったエリアの中から犯人の隠れ場所を探す竜馬達だが、指定された現金の受け渡し時間が迫ってもなかなか見つけだす事が出来ない。その時、爆竹で遊ぶ若者達の姿を見た竜馬は、脅迫電話の内容から、犯人がダイナマイトを扱う場所の近くに居るのではないかと、久々の超推理。探索エリア内の採石場へと向かう。
しかし、採石場の発破を利用して犯人が仕掛けておいた、お手製の地雷に引っかかるバイクル。
ウォルター「隊長、この一体は地雷原です」
素人の仕掛けた地雷に引っかかりまくる二体。
いいから飛べ
ファイヤースコードで無理矢理に突っ切ろうとしたファイヤーだが、人質を前に出してきた犯人の投げたダイナマイトで吹き飛ばされる。ようやく飛んだウォルターとバイクルは、逃亡を図る犯人車の中から銀子を救出。しかし、ダイナマイトで吹き飛ばされ、更にクレーン車の鉄球を叩きつけられ、ぼこびこにされるバイクル。ウォルターは救出した銀子を抱えて無事に着地しているのに、酷い差別(笑)
危機に陥るバイクルだが、ギガストリーマーマキシムモードによって、ファイヤーが鉄球を破壊。犯人達も諦めて逮捕される。
バイクルとウォルターの必死の救援、嫁を叱って2000万円をかき集めてきた息子の奮闘に、少し心を開く銀子婆さん。
「人間、お金より、頼れる人の居る事のほうが大事だって事」がわかったと、大団円。
守銭奴を引退して息子と共に暮らす事を決めた銀子は、犯人に対しても「真面目に罪を償ってあたしのところに来たら、金を貸してやる」と、ちょっといい所を見せる。
こうして事件は無事に解決……しかし、嫁と姑の和解は遠そうだなぁ。
犯人にしても、お勤めを終えて出てきた時には、息子との再会がどうとか言えるレベルでなく家庭崩壊していそうなわけですが。
『ウィンスペクター』は、ここまで積み上げてきた作品世界の為に、「あはは」「うふふ」「なんとなく大団円でこれでいいのだ」が通用しない所が、長所であり短所。
色々、考えてしまう事が多い(笑)
そこが作品として一つの魅力なので、良いのですが。
今回はそんなに面白かったわけではないけれど、ど派手なパワーアップ展開の前後編の後に、2話続けてこういう渋い話を持ってくるのがまた、シリーズの格好いい所であります。