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『特救指令ソルブレイン』感想7

◆第11話「愛と復讐の挽歌」◆ (監督:小笠原猛 脚本:増田貴彦)
玲子のかつての幼馴染みであり、正木に復讐を誓う青年・桐生一也から、ソルブレイン本部に黒い薔薇が送られてくる。それは遺伝子配合で誕生した薔薇の姿の麻薬、バイオローズ。そしてソルブレインを狙って動き出す、凄腕の暗殺者、真柴3兄妹!
通り一遍のメロドラマ(玲子と一也の幼馴染み同士の淡い想い)
意味不明のタイミングで豹変する真の黒幕
とシンプルに出来悪し。
特に一也の父の元助手であり、麻薬密売の罪を一也父になすりつけ、今も一也を操り人形としている事件の真の黒幕・沼田が、どうしてわざわざ警察に正面から喧嘩を売ってその始末が中途半端というタイミングで一也を裏切ったのか、理解不能
真柴3兄妹も、ビルの上からライフル撃ったり、謎の光線銃でブレイバーを撃つぐらいでは、インパクトが足りません
唯一、サバイバルナイフを使って接近戦を挑んでくる真柴妹(けばい)は変わり種で面白かったですが、玲子さんとすり替わるというトリックの為に早々に出番終了で、残念。
あと、やたらに一也に忠誠の篤いちんぴら森岡はちょっと面白かった。
玲子さんを掘り下げつつ玲子さんアクション回だったのですが、物語がテンプレすぎて堀り下がらず、次回予告が妙に盛り上がっている時は駄目パターン。


◆第12話「誕生!新ドーザー」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升
深夜、少女にかかってくる謎の電話。
「由美ちゃん、ママよ……助けて……」
それは、10日前に事故に巻き込まれて死んだ筈の母親の声だった!
場面かわって、交通安全キャンペーンで風船を配るソルドーザー。
前もやったよなぁと思ったら、玲子の台詞で「ウインスペクターのバイクルとウォルターもやったんだから」と入れる辺りは、前作のメインライターらしい細やかさ。
通りすがりの由美ちゃんと父親の会話を耳に挟んだ玲子が事情を聞き、悪戯電話の事を知ったソルブレイン。父親が職業柄、家を空けがちな為、ドーザーと亀吉が由美ちゃんの家に張り込む事となる。
夜11時、鳴り響く電話から、由美ちゃんを呼ぶ母親の声。通話時間が短すぎて逆探知には失敗するが、録音したテープを分析した結果、母親の声はコンピューターによる合成音だという事が発覚する。果たして、誰が何の為にかけている電話なのか……?
その頃、パワーアッププランに基づいて変形システムが採用されようとしていたドーザーは、設計書を見て思い悩んでいた。

「私はやっぱり、ただのマシンだったんです」
「変形すると、手も足もなくなってしまう。そんなの嫌です」

人間らしくありたいドーザーが、車両タイプへの変形=人の形を失う事を恐れる、というのは非常に面白い。
バイクルとウォルターを踏まえている割には、ドーザーの人工知能は幼すぎるし、人命救助組織がそれを運用している事自体はどうかと思うのですが、再びロボット刑事を0から描くにあたって、魂は奈辺にあるのか? というネタに踏み込んできたという程でもないですが、触れてきたのは好み。
いよいよプログラム完成の日、技術開発センターに行く事を拒否するドーザー。
「変形を覚えても、おまえの心まで変わるわけではない」
「大切なのは姿形じゃない、心なんだ」
と本部長の説得を受け、センターに向かう事に。
相手が生後三ヶ月だと、本部長にも説得可能だった……!
まあドーザーのAIは、柔軟性を重視しすぎた感もありますが(^^;
一方、由美ちゃん宅を警戒していた大樹だが全く役に立たず、日中にかかってきた電話を受けた由美ちゃんが姿を消してしまう。同じ頃、玲子の調査により、第七世代コンピューターの著名な開発者であった岡島三郎博士が由美ちゃんの母親と一緒に事故にあって死亡していた事が判明。遺された博士の手帳を調べた大樹は、博士が“母親ロボット”を研究していた事を知る。
博士は幼い頃に母親を亡くした体験から、自分のように寂しい想いをする子供達を少しでも減らそうと、母親を失った子供達の為の母親の替わりとなるロボットを研究。その過程で、理想的な母親の頭脳をコピーする必要性から、由美ちゃんの母親に協力を頼んでいたのだった。
だが、由美ちゃんの母親の頭脳をコピーした帰り、由美ちゃんの母を家に送る途中で事故にあって二人は死亡。そして博士は自分の研究の保守の為、研究所に防衛システムを仕掛けていた。

「博士の身に万一の事があった場合、研究所に現れなくなってから、ちょうど10日後、コンピューターもろとも、研究所が自爆するようにセットしたみたいなんです」

どんな表沙汰に出来ない研究をしていたのか、博士
もう、見ている方も慣れてきてしまいましたが(笑)
むしろ、自爆しないと駄目な気がしてきて、慣れって恐ろしい
由美ちゃんの家にかかってきた電話はおそらく、自爆システムの作動に気付いた、母親ロボットの助けを求める声……!
事故があったのは、10日前の午後2時45分。
研究所の爆発まで、あと10分!
岡島物理学研究所に急ぐ大樹だが、由美ちゃんは一足早く研究所にたどり着いていた。そして時計は無情に刻まれ、爆発する研究所。
ご近所・超迷惑
大樹はブラスアップ、そして駆けつけたソルドーザーが変形! 車両タイプのドーザークローラーが、炎上倒壊する研究所の瓦礫をかきわけ、ブレイバーとジャンヌは由美ちゃんの救出に成功。母親ロボットの声の元に向かいたがる由美ちゃんをブレイバーとジャンヌに託し、ドーザーは研究所の奥へと突き進む。
そこでドーザーが目にしたのは、半分機械・半分マネキンに鬘、という未だ人間とはかけ離れた母親ロボットの姿であった。
電話する母親ロボットの映像が終始、椅子に座って後頭部だけ、というカットだったのでわかるネタではありましたが、容赦なくグロテスクな外見にする事で、インパクトが出ました。
その姿におののくドーザーであったが、その心に本部長の言葉が響く。
(大切なのは姿形じゃない、心なんだ)
娘に助けを求める母親ロボットの声、そこに心を見るドーザー。爆炎の中でドーザーは母親ロボットの上にかがみこみ……
爆発する研究所から、無事に脱出してきたドーザーは、外で待つ由美ちゃんに、1枚のフロッピーを渡す。
それは、母親ロボットにインプットされていた、由美ちゃんの母親のデータであった。
「由美ちゃん、お母さんは、この中に居ます。お母さんの優しさや、由美ちゃんとの思い出がぜーんぶ入ってます」
FD1枚扱いのお母さん
由美ちゃんは、渡されたフロッピーを大事に胸に抱くのであった……
あー、ちょっと最後、やりすぎて、微妙にいい話ではなくなったような……(笑)
ロボット刑事と、母親ロボット、二つの人工知能の姿を通して、“ロボットと心”を問う好編。
ドーザーが変形を前にアイデンテティの置き所に悩むというのも良かったし、母親ロボットを助けに行ったドーザーがグロテスクな作りかけの姿を目にして戸惑い、しかしそこに心を見る、という展開は非常に良かった。
ウインスペクター』ラストから『ソルブレイン』1・2話と、非常に出来の悪かった杉村回ですが、一息置いて、“科学のいきすぎ”や“人工知能”など、好きそうなテーマを書いた事もあってか、なかなの出来でした。パワーアップ回の処理としても、秀逸。
ロボットの体と人間の心、の二面を持つドーザーの成長とともに自己肯定の話にもなっている。
というか、あのドーザーの反応を見ていると、下手に変形プログラムの組み込みを強行していたら、変形後にボディと心のギャップに恐慌をきたしたドーザーが暴走とか、関係者の懲戒免職で済まない事態に発展していたような気もしないでもない。
まあドーザーが変形して、破壊と切り開きを担当してしまうと、ますますブレイバーの仕事が戦闘しか無くなってしまって、なんだかなぁ感が激しく増しますが!(笑)
しかし亀吉は、役に立たなすぎる。
ドーザー担当の筈だったのに、説得一つも出来ないし。


次回、
大樹が、少女を轢いた
あー…………「いつか、こんな事になるんじゃないかと思っていたんです」(関係者談)