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『特救指令ソルブレイン』感想17

ちなみに『ウインスペクター』第12話「僕の友達ロボット」、第18話「超能力!孝行少女」、第23話「父のマンガはがき」が全て鷺山脚本で、前回27話は各エピソードの要素(子供と人間外の存在の交流/学者馬鹿の父親と健気な娘/バイオ生物)のミックス作品といえるかもしれません。
◆第28話「急げ!命の母艦」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:杉村升
クロス2000「火災発生・火災発生!」
……て、いや、火災というレベルでなくビルが吹っ飛んでいる気がするんですが……。
緊急出動するSS−1、ここに来て初めての気がする、パトカーの積み込みシーン。
救助活動の最中、ビルの中で不審な男を目撃したブレイバー、いきなり撃たれる。そして避難中の少女を人質にした男は追い詰められた結果、、待機中のSS−1に乗り込んでしまう。

純「あれは強盗殺人で無期懲役になっていたが、10日前に刑務所を脱走したタツミジロウだ!」
亀「米軍基地を襲って拳銃を略奪した!」

……待って、何者、タツミジロウ。
ただのちんぴらにしか見えませんが、コスギ教官レベルのマスタークラスの猛者ですか。
たまたま米軍基地に侵入して拳銃を奪ったのか、拳銃を入手する目的で米軍基地を襲ったのかわかりませんが、どちらにしろ頭オカシイ。
増田の異常な説明台詞も良くないですが、今の今まで数多くの小悪党が拳銃を所持していた世界観で、どうして今更になって拳銃の由来に触れたのかも謎で、色々とおかしい。乗り込んだSS−1では矢沢が「お前は脱走犯のタツミ!」と念を押すなど、時事ネタかと疑うぐらいなのですが、今回は色々と雑。
タツミはパイロット一人を残して他の隊員は降りるように要求。残ろうとした矢沢だがタツミが脅しで撃った銃弾で負傷してしまい、代わりに大樹が残る事となる。大樹、タツミ、人質の少女を乗せ、浮上するSS−1。だが船内には、医療用品を取りに戻っていた玲子が、外の事態を知らぬままに取り残されていた……。
そろそろ、国会で問題になりそうなレベルの不祥事です。
「香港まで高飛びしろ」というタツミの要求を呑んだ振りをしつつ、存在を気付かれていない玲子と協力して犯人を格好良く取り押さえ……たかと思いきや、タツミの予備の拳銃が火を噴き、人質の少女が負傷、SS−1も機関部に損傷を負ってしまう。
ただのちんぴらにしか見えませんが、サイドアームをしっかり所持している辺り、やはりマスタークラスの傭兵か何かなのかタツミ。
急降下するSS−1を何とか応急修理する大樹。出血の多い少女を玲子が簡易手術しようとするが、極めて珍しい血液型だった為、備蓄の血液では輸血する事ができない! 犯人の説得を試みる大樹だがタツミは東京に戻る事を拒否。しかし大樹の、「もし人質の少女が死んだら、俺は容赦なくキレて貴様を滅殺してやる」という脅しに、タツミは香港へ向かう針路上の病院に少女を降ろす事を許可。
譫言で「おにいちゃん……」と呟く少女に動揺するなど、無期懲役食らった強盗殺人犯の割には、早くも折れ気味。
一方、ビル火災の出火元である岡村医学研究所で、所長の岡村博士が殺害され、博士の開発していた万能性の高い人工血液のサンプルが盗まれていた事がわかる。犯人はまず間違いなくタツミ……という事はタツミがその人工血液を持っているのかもしれない。輸血用の血液を準備するのが難しい状況から、正木は大樹に改めてタツミの説得を指示。タツミの調書をもとに、大樹は泣き落としを試みる。
「おまえにも幼い頃、亡くした妹が居た筈だ」
刑事ドラマ志向の割には、よくよく考えると珍しい、正統派の説得シーン。
……まあ一番偉い人が説得スキル持っていない上に、尋問中に「貴様を必ず極刑にしてやる!」とか叫んでしまう組織なので、仕方がない。
動揺するタツミだが、その時エンジンが爆発し、SS−1が急降下。大樹は玲子に操縦を任せ、ブラスアップ。「僕の体で高圧電流を接続する」と燃えさかるエンジンルームに飛び込み、機関部のコードを自ら掴んで導線の代わりとなる。
ああ、尊敬する先輩もやっていましたね、それ……。
一方、SS−1の操縦は未経験の玲子はコントロールの利かないSS−1を必死に立て直そうと奮闘。操縦法の指示を無線でくれるという大樹に助けを求めると、「頑張るんだ玲子さん」と、案の定、全く役に立たない大樹。まあ、大樹の方もそれどころではないので仕方ない。
山腹にぶつかった衝撃で外壁が壊れ、風圧で外へ吹き飛ばされそうになる少女に手を伸ばすタツミ。幼かった頃に救えなかった妹の記憶がフラッシュバックし、少女の手を掴んで抱き寄せた時、タツミは妹を救えなかった後悔から人の道を踏み外した自分のトラウマを、乗り越える。
三者三様の奮闘があり、なんとか無事に病院にたどり着くSS−1。少女を守りきったタツミは、香港で売り飛ばそうとして人工血液のサンプルを快く提供し、人生をやりなおそうと手錠を受けるのであった。
仕方ない部分もあるとはいえ、病院の中庭でただ勢揃いでSS−1を待っている本部長達の絵が凄く間抜け。
やはりこういうシーンは、“何かをやらせる事で”プロフェッショナル感を出さないといけないと思います。まあ今作に限った話ではないですが、ヒーローが活躍している間に、仲間がただ“待ち”になってしまうシーンというのは、なるべく作ってはいけません。本当のクライマックスなら別ですし、例えば今回のゲストでいうところの少女の母役のように、一般人ポジションなら構いませんが。
逆に言えば、少女の母、という“待つ”キャラクターを用意しているのに、その周囲で正木以下をただ立たせては余計に良くない。
このシリーズはホント、制作上の縛りがあったのではないかと思うぐらい、クライマックスでメンバーを無駄に揃い踏みさせようとするのですが、その弊害が露骨に出た形となりました。
凶悪犯が事件をきっかけに過去のトラウマを乗り越え、人生をやりなおす決断をする、というコンセプトは良かったと思うのですが、各所に雑さが目立って、いまひとつ盛り上がりにかけてしまったエピソード。
“最後に改心する”のを織り込みすぎて、タツミの言動と行動がちぐはぐに過ぎたのも、勿体なかったところ。実際問題として、タツミがあそこまで凶悪な犯罪歴でなくても良かった気はします。そんな犯罪者でも改心してやり直すことが出来る……という話にしたかったのかもしれませんが、今度はそれにしては、そんな犯罪者ぽくなく、物語としてのバランスが悪い。
後こういう回ならもうちょと、玲子さんの衣装はなんとかならなかったのか。せっかくコックピットで奮闘してなかなか格好いいシーンの筈なのに、どうにもあのシマシマが緊迫感を削ぎます(^^;
うーん……この後の脚本家の参加状況はわかりませんが(一つの楽しみなので放映リストは確認していない)、もしかすると翌年からの『ジュウレンジャー』立ち上げで杉村さんが抜ける事になって、構想にあったSS−1ネタを早めに投入してきたのかなぁ。それで全体として雑な作りになった、というなら納得いく感じ。
あくまで推測で、このあとも普通に杉村さん参加するかもしれませんが(^^;
次回、更なる不祥事の予感……?!