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『特救指令ソルブレイン』感想18

◆第29話「子供帝国の反乱」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:山田隆司
街で、天才少年と出会う増田。少年の目の前でひったくりを捕まえたのが縁で、少年のソルブレイン見学を受け入れる事に。一目で本部コンピューターのスペックを見抜くなどコンピューターについて凄まじい知識を見せる少年・一条アキラはギガストリーマーについて根ほり葉ほり聞いて去っていく。その姿に、わずかながら不審を抱く本部長。
簡単に本部中枢に入れて、目の前にギガストリーマー置くとか、ロボットやコンピューターはいざとなれば自爆する気満々なのに、セキュリティ意識の欠片もない人間達だな……!
帰宅したアキラ少年を待っていたのは、研究室らしき場所と、かしずく大人達。彼等は警視庁の研究所をハッキングするとギガストリーマーの設計データを入手し、更にその先端に使われた素材であるジルコナイト3−2を奪う為、筑波鉱物研究所を襲撃する。
研究所のパスワードが、
[ RESCUE.LIFE&HEART ]
とか、責任者は、後で鼻からうどんを食べながら逆立ちで庁内を一周するように。
大人達を従え、株を転がす天才少年アキラ……彼はおよそ一年前、脳医学者であった父の作り出した頭脳活性装置にかけられていた。天才的な知能を得ると同時に悪魔の心を手に入れてしまった少年は父を監禁し、子供を圧迫する大人達を排除した、子供による子供の為の帝国を作り出す為に着々と準備を進めていたのだ!
筑波鉱物研究所で地元の刑事と会話したり、黒板に写真を貼って捜査会議をしたり、久々に原点回帰というか、今作ではえらく珍しい刑事もの的演出。最も、黒板に写真は、前作でもありませんでしたが。
一条家の屋敷を監視していた大樹達はそこで行方不明になっていた学者達の姿を発見し、設計図のデータ盗難、ジルコナイト3−2の強盗事件など、全てが繋がっているのではないかと推測する。鍵はおよそ1年前、一条博士が失踪し、その同時期に息子アキラの知能指数が90→250に急上昇している事。そんな時、鉱物研究所を襲った強盗の片割れが空港で逮捕され、全てを自供。アキラ少年の恐るべき企みを知ったソルブレインは屋敷を強襲するが、既に少年の手には、小型ギガストリーマーの試作品が握られていた!
小型ギガストリーマーは、下手すると、玩具そのまま……?
逃亡したアキラを追うブレイバー、追いすがるブレイバーを本物の半分の威力だという小型ギガストリーマーで撃ちまくるアキラ。偽物でしつこく撃たれたのが頭に来たのか、本物で思いっ切り撃つブレイバー。
どう見ても、小型ギガストリーマーは、この半分の威力もない(笑)
いっそ、遠回しにギガストリーマーはそんなに危なくないよ! とアピールしているように見えなくもありません。
ブレイバーはアキラ少年を工場地帯に追い詰め、屋敷の地下から助け出された一条博士もジャンヌらに連れられて姿を見せる。その父へ、銃口を向けるアキラ。

「世間体や、家の為に、自分の息子の脳を改造した奴が、オヤジづらするんじゃない!」

ブレイバーは博士をかばい、小型ギガストリーマーの攻撃を受けながら、アキラ少年に迫る。連射の末にエネルギー切れを起こしたその銃口を、自分の頭に向けるアキラ。

「たとえ僕が死んでも、子供が子供らしく生きられない社会がある限り、第二の僕が必ず現れる」

自殺しようとした瞬間、ギガストリーマーを持った手をショックビームで撃つブレイバー。取り落とされた小型ギガストリーマーは地面を滑り、近くにあったドラム缶に引火。
「危ない!」
……あれ?
爆発から身を挺してアキラ少年をかばうブレイバー、なにこの、自作自演。
そして今回も、説得しないソルブレイバー。
少年を抱いたまま外へと出たブレイバーは、駆け寄ってきた一条博士を一喝。
「あなたに抱く資格はない! アキラくんをここまで追い込んだ、あなたに抱く資格はない! あなたは人間として許すことのできない、最低の事をしたんですよ!」
――だが心から反省し、息子を再手術で元に戻して今後は生き方を改めるなら……と泣きじゃくる父にブレイバーはアキラを託し、アキラは再手術で元の知能に戻ると、親子も和解するのであった……物凄い数の逮捕者を周辺に出しながら。アキラ少年はともかく、警察のデータに手を出したからなー、協力していた科学者の皆さんは、容赦されないゾ。
犯罪の首謀者が、父親の科学の暴走の犠牲者であり、社会問題にもっともらしく抗いつつも、基本的には幼児性に満ちているというシチュエーションから期待される展開は、ヒーローがどうやって少年の心を解きほぐすかなのですが、『ソルブレイン』はとにかく最後に逃げてしまう。
大樹が悪い、というよりも、『ソルブレイン』という作品が、そこからいつも逃げてしまう。
それが決して「正しい答」でなくても、追い詰められた子供に言葉をあげるのがヒーローの役目の筈なのですが、ブレイバーのした事といったら、
〔相手のエネルギーが切れるまでガード→投降を呼びかける→自殺しようとした所を射撃して阻止〕
だけで、「心を救う」の「こ」の字もない。
明らかな悪人であるお父さんを罵倒するだけならヒーローでなくても出来るわけで、そこでカタルシス作っても仕方ないのだけどなー、大樹は。
ちょっと良くなってきたと思ったのも束の間、どうにも『ソルブレイン』は、物語の在り方がズレたまま直りません。最後に説得シーンを置けなければ、こういうテーマを持ってくる意味がなく、エピソードそのものが空虚。そしてそこでいったいどんな言葉を持ってくるか、こそが書き手の腕の見せ所なわけで、脚本家が力不足を露呈しただけの結末。自分の持ってきたプロットとは、責任持って最後まで戦い抜いてほしい。
前作を受けた上で、“考えすぎた”結果が今作の状況なのかと思うのですが、終盤に向けてもう少し軌道修正を期待したい。
それにしても、導入部で大活躍したのに、後半は空気と化す、相変わらずの増田クオリティ。
大樹に言葉が造れないなら、大樹よりは子供寄りの増田から青臭い言葉をかけさせるとか、そういう手段もある筈なのですが、そういった使い分けが出来ないのが、今作のキャラクター配置の残念さでもあります。
次回、なんか予告がオカシイ回のフラグに期待(笑)


◆第30話「神様はつらいよ」◆ (監督:小西通雄 脚本:扇澤延男)
神蔵興産技術開発センターに泥棒に入った、ちんぴら二人。若い男・タケが変なゲージの中に入ってしまうと、謎の黒いアーマーに身を包んで出てくる。その胸には燦然と、の一文字。人間離れした怪力を発揮できるようになったタケはそのまま外へと走り去る……。
どんなトンデモかと思ったら、タケが入ったのは海底作業用パワースーツの装着室という事で、どうやらブレイバーのスーツと同じような技術の模様。そう言われると、毎週毎週やっていました。この会社のデザインセンスはさておき(笑)
タケが着た最新型のパワースーツは高水圧下での作業を念頭に置いている為、大気中では一般的な人間の十数倍のパワーを発揮可能。ただし外部から空気を供給する事ができず、内蔵酸素の容量は約4時間。加えて外部からキーカードでロックを外さない限り着脱する事ができない。
酸素供給のタイムリミットである4時間以内にタケを捜し出そうとするソルブレインだが、その頃タケは、道で飛び出した少女をトラックから救っていた。資産家である祖父からニコニコ現金払いで300万円のお礼を貰って気の大きくなったタケは、心中しようとしていた家族を救い、100万円を渡して去っていくと、更に残った金をビルの屋上からばらまく。そこへ駆けつけるソルブレインは、スーツの酸素供給についてタケに説明する。

「3時間……いや、2時間半したら必ず自首します」
「2時間半で何をするつもりだ!」
「何もしないよ……でも、脱ぎたくないんだ」
「なに?」
「子供の頃から、愚図で役立たずって言われてきて、いっつも邪魔者扱いされてきたんだ。でも、これを着た途端、俺が俺じゃなくなった。子供も助けた、自殺しようとしている家族も助けた。俺なんかでも人の役に立てるんだなって……へへっ、まるで、神様みたいにさ」

前半からコメディ色強めで来ましたが、この辺りの台詞の巧さは扇澤脚本の味。
2時間半後に必ず自首すると告げたタケは、屋上から飛び降りてソルブレインの包囲網を脱出、そこをヤクザ風の男達によって、はっぴいかむかむ教団という宗教団体の元に連れて行かれる。
ここから先の展開は、新興宗教(詐欺)をからめて、やや諷刺的に展開。教団にのせられたタケは工場で大暴れしてしまい、更に信者達の願いをのせて「望み通り、神様になってもらうさ」と焼き殺されそうになる。身勝手で無茶ながらも必死で願い事をする信者達の姿を見て(どうせ死ぬなら……みんなの神様として)とそれを受け入れてしまうタケだが、間一髪、ソルブレインの手によって救い出され、はっぴいかむかむ教は崩壊。
結局、自分は何も出来ない役立たずだったとうなだれるタケに信者の老婆が「ほんの一時でも、あんたはあたしらの神様だったんだよ……」と声をかけ、タケは少しばかり救われるのであった、とオチは今ひとつ綺麗に終わりませんでしたが、社会に対する劣等感を持つ男が強大な力を手に入れて妙な方向に暴走していく滑稽さは、なかなか出ていたかと思います。
終盤のBGMがおかしくなければもう少し盛り上がったと思うんですが(^^;
選曲が、奇をてらいすぎて失敗していたような。