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2012年を振り返る:特撮編

今年もめいっぱい、〔東映特撮YouTubeOfficial〕に踊らされた日々でありました。
色々おざなりになっている事が多くて、自分でも少し反省しています。少し。
楽しいから仕方がない。
さて今年は、見た作品数が多かったので、各部門に分けてランキング形式で振り返ってみたいと思います。対象エピソードは、先週分まで。対象作品は、“それなりの話数を見た上で、今年、最終回を見た作品&劇場版&現在見ている作品”という事で、以下の通り。
〔『超新星フラッシュマン』、『電磁戦隊メガレンジャー』、『海賊戦隊ゴーカイジャー』、『海賊戦隊ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』、『特警ウインスペクター』、『未来戦隊タイムレンジャー』、『超人機メタルダー』、『大鉄人17』、『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』、『仮面ライダー電王 俺、誕生!』、『爆竜戦隊アバレンジャー』、『特救指令ソルブレイン』、『世界忍者戦ジライヤ』、『快傑ズバット』〕
(※『鳥人戦隊ジェットマン』と『宇宙刑事シャリバン』は、配信では本当にクライマックスしか見ていない為、ノミネート外としました)
まず最初は、特撮の華、ロボット&メカ!

☆メカ部門☆

1位 ギャラクシーメガ (『電磁戦隊メガレンジャー』)
2位 クラステクター (『特警ウインスペクター』)
3位 ギガストリーマー (『〃』)
次点 グレートタイタン (『超新星フラッシュマン』)
1位は改めて見てもやはり好きだった、我が最愛の戦隊ロボ、ギャラクシーメガ。100人あまりの基地スタッフを乗せたまま、毎度軌道上から大気圏を突破、戦隊メンバーの高校生達とスタッフ一同、一蓮托生で戦う、何か間違っているけど実に熱い。3号ロボ(メガボイジャー)の登場後も終盤にしっかり見せ場を貰い、最後まで熱いメカでした。
2位はこれまた色々間違っている、5分以上身につけると脳神経がやられ、出力を上げると心臓に負担がかかりすぎ、そもそも着用してまともに行動できるのが主人公・香川竜馬だけ! というレスキュー警察の装備の筈なのに、あまりにもリスキーすぎる実験装備・クラステクター。警視庁科学研究所は、竜馬さんに土下座、深く土下座。死して屍拾うもの無し、死して屍拾うものなし。
3位はそんなファイヤーの追加装備ととして登場し、終盤のシナリオをぐだぐだにしてしまったオーバーキル武装、ギガストリーマー。次作『ソルブレイン』にも登場し、良くも悪くも印象深い。今年を象徴する武器というか、ネタ度の高いアイテムという事で。
次点として、フラッシュマンの誇る最強ロボ、グレートタイタン。番組中盤に登場し、動かしようの無いそのデザインで、ありとあらゆる改造生命体を圧倒。結局、最後の最後まで無傷・完封、そもそも戦力が違いすぎて戦闘にならない、という凄まじい存在でした。

☆助演ヒーロー/ヒロイン部門☆

1位 久保田衛吉 (『電磁戦隊メガレンジャー』)
2位 タック (『未来戦隊タイムレンジャー』)
3位 小山久子 (『特警ウインスペクター』)
次点 山地哲山 (『世界忍者戦ジライヤ』)
今年の配信分は本当にクライマックスだけ、という作品から2冠もどうかとは思ったのですが、戦隊史上最も好きな博士キャラなので、勘弁して下さい。ハゲで眼鏡で小太りの中年のおっさんが滅茶苦茶格好良くなり、作品終盤を中年のおっさん同士の情念のぶつかり合いが支配する、という驚愕の展開が、大好きだ。
2位は、終盤まで全く思い入れが無かったのですが、作品最終盤において造られた存在としての自分の役割を乗り越え、新たなアイデンテティを確立、サポートロボの成長という離れ業を見せたタックさん。最終回、2001年を救う為に過去へ戻るタイムレンジャーへの「君たちの選択は間違っているかもしれない。でも僕は信じる。君たちが自分で選んだ明日を。そこでまた会おう」という台詞も大好きです。
3位は、位置づけに困ったのですが、メインのヒーローというには出番が限定され、かといってヒロインの立ち位置でもなく、という事で、助演部門で隠密同心こと久子さん。初期は純子さんとの使い分けが心配され、実際それほどキャラが立っているというわけでも無かったのですが、中盤以降に怖い女として立ち位置が確立してからは、なんだかんだで割と好きでした。前後の作品の女性(セミ)レギュラーの中では、一番美人度高いと思いますし(笑)
次点に、今後への期待も込めて、えげつない山地哲山えげつない。既に圧倒的な存在感を醸し出しており、純粋に格好いいという点でもネタという点でもおいしすぎるキャラクターですが、まだ1クール目ですので、次点に留めておきたいと思います。えげつない本当にえげつない。もしかしたら来年、次の部門の1位という可能性も捨て切れません。

☆悪役部門☆

1位 ドン・ドルネロ (『未来戦隊タイムレンジャー』)
2位 Dr.ヒネラー (『電磁戦隊メガレンジャー』)
3位 ゴッドネロス (『超人機メタルダー』)
次点 鬼忍・毒斎 (『世界忍者戦ジライヤ』)
極悪非道の経済ヤクザにして、私利私欲の塊という徹底的な悪人でありながら、どこか憎めない風貌と台詞回し、非情でありながら同時に懐の深さを持ち合わせるビッグ・ボス! 声を演じた大友龍三郎さんが大好きという加点もありますが、今年の悪役は、ドルネロ様で決まり! あくまで金儲けを目的に2000年で活動を続ける、という従来の戦隊シリーズとは一線を画した立場から、最後までファミリーのボスとして崩れる事のない、見事なキャラクター造型でした。
2位は、『メガレンジャー』終盤を彩った、情念の雄、悲しき天才科学者・鮫島こと、Dr.ヒネラー。改めて見ても、『メガレン』終盤はおかしかった(笑) そしてそのおかしな所が好きだなぁ、と改めて。有頂天になる度にひっくり返される人生に合掌。それでいながら最終的に、ヒネラーの中では“家族とともに勝って終わる”という、凄まじい最期でありました。
3位はギリギリまで特に好きでもなんでも無かったのですが、作品最終盤、実は物凄く真面目に悪の秘密結社を造った人だった事が判明し、好感度鰻登りになってしまったゴッドネロス様(笑) 男の夢の体現者だった、という他ありません。
次点はこれまた今後への期待も含めて、既にもはや愛おしすぎる小物、鬼忍・毒斎様。貫禄ある飯塚ボイスとは裏腹の、溢れんばかりの小物っぷり、率いるは零細企業、部下は揃って駄目社員、そして娘にだだ甘。面白すぎます。なんか中盤以降、テコ入れに雇った助っ人社員に会社乗っ取りとかされそうな雰囲気がぷんぷん漂っていますが、頑張っていただきたい。
他に、大博士リー・ケフレン、サー・カウラー、バルスキー、クールギン、ギエン、バスコ、ハスラー教授など色々と候補は居たのですが、最終的には各組織のボスキャラが並ぶ形となってしまいました。
さて次は、そんな組織部門。

☆悪の組織部門☆

1位 ロンダーズ・ファミリー (『未来戦隊タイムレンジャー』)
2位 妖魔一族 (『世界忍者戦ジライヤ』)
3位 ダッカ (『快傑ズバット』)
次点 フリージョーカー (『海賊戦隊ゴーカイジャー』)
悪役部門のドン・ドルネロと合わせて、堂々2冠はロンダーズ・ファミリー。
地球を支配する事でも戦隊に勝つ事でもなく、金儲けが目的、という独特の立ち位置。時々思いだしたようにタイムレンジャーの暗殺を試みる事はあるものの、基本的に金儲け優先を崩さないブレの無さで、劇中では暴れさせたちんぴら怪人がタイムレンジャーに倒されている間に土地を転がして金を儲ける、というある種ギリギリのネタまで披露。ドルネロ、ギエン、リラ、の幹部もそれぞれキャラクターが立っており、楽しい悪の組織でした。そして何といっても特筆すべきは、最終的に“歴史”には負けたものの、最後までタイムレンジャーに負けたわけではない、というその見事な畳みっぷり。タイムレンジャーの特性とロンダーズ・ファミリーの特性が見事に重なって悪の組織の始末をつける、という素晴らしい構成でした。
2位は、えー、ここまで哲山や毒斎様を期待枠として次点に留めておきながらなんですが、女子高生と小学生に撃退される零細悪の組織・妖魔一族。面白すぎます。ボードを握っている限りは作中での存在意義が失われる事は無いと思うので、今後ともこの調子で、期待。
3位には、偉大なる悪の大組織ダッカー! これもまだ1クール目ではありますが、バラエティ豊かすぎる各支部、毎回繰り広げられる首領Lの個人面談が高ポイント。
次点として、実質バスコ&サリーのみなので、“組織”というには厳しいですが、ザンギャックと手を組んで宇宙海賊達を苦しめたトリックスター、私掠船フリージョーカー一味。悪役部門でバスコ入れられなかったので、こちらで、という点含み。なにしろバスコの台詞を聞いた後だと、マヴェちゃんはもう「マヴェちゃん」以外の呼び方が考えられない、というのが凄い。最後の最後で船が拾われた、という作品としての使い切り方も良し。
残るは3部門。

☆ヒロイン部門☆

1位 アヤセ (『未来戦隊タイムレンジャー』)
2位 レー・ネフェル (『超新星フラッシュマン』)
3位 ジャンヌ/マホロ (『爆竜戦隊アバレンジャー』)
次点 紅牙 (『世界忍者戦ジライヤ』)
並みいる女性キャラを退けて、今季、圧倒的に“ヒロイン度の高かった男”(?)、アヤセ、彼をヒロインと言わずして誰をヒロインと呼べばいいのか?!
選考において一切悩む余地がなかった、と申し上げましょう(笑)
何が凄いって、作中ではっきりとタツヤとユウリの恋愛要素(中学生レベル)が描かれているにも関わらず、真のヒロインはアヤセである、という事。赤×青とかそういう話ではなくて、『タイムレンジャー』という作品のヒロインはアヤセなのです。今作における最も重い部分のテーマを背負い続け、タツヤに向けてただ微笑み、アヤセは未来へと去っていく……。
「本当にそう出来るような気がしたよ。タイムレンジャーやってれば、本当に」
2位は、イエローもピンクも蹴散らして、作中の華として君臨した女幹部、レー・ネフェル。数々のコスプレ、最終盤の展開、堂々の真ヒロインぶりでした。元戦隊ピンクは伊達じゃない。
3位には、お昼のメロドラマ的薄幸の女幹部ヒロイン、ジャンヌ(マホロ)さん。この人が居なければ、『アバレンジャー』を途中で脱落していたかもしれません(笑)
次点は、期待票というか何というか、全く思いがけない所から、いつの間にか作中最高のヒロイン度を持つに至ってしまった、紅牙さん(笑) まあ主人公とは何ともないと思いますが、隠れヒロイン道を邁進していただければ楽しいです。

☆ヒーロー部門

1位 香川竜馬/ファイヤー (『特警ウインスペクター』)
2位 一条寺烈/宇宙刑事ギャバン (『海賊戦隊ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』)
3位 早川健快傑ズバット (『快傑ズバット』)
次点 剣流星/メタルダー (『超人機メタルダー』)
そしてヒーロー部門の第1位は、やっぱりこの人、香川竜馬!
人格・能力全てに優れた超ハイスペックの完璧超人(ただし若干、ナチュラルに上から慈しみ目線)、という一歩間違えるとつまらないキャラクターになりそうでありながら、作品の高いドラマ性、危なすぎるクラステクター、など諸処の要素があいまって、物凄い格好良くなった、素晴らしいヒーロー。
基本的に悪役&脇役好きな私が、久々に主人公にはまってしまいました。
とにかく格好良かった。
2位には、銀幕に甦った伝説の男。御年57歳にして見事な生アクションを見せてくれた大葉健二の熱演もあり、素晴らしい勇姿を見せてくれました。「あばよ涙 よろしく勇気だ」!
3位は、えー……この人をランキングから外す勇気がありませんでした。凄すぎる。
次点に、封印された決戦兵器、ぽんこつ超人機メタルダーこと剣流星。ほとんど、メタルダーが格好いい、というポイントです(笑) 流星は別に嫌いではないのですが、かといって特に誉めるポイントもなく、最後の方に天然ジゴロ化したところは面白かったので、もっとしっかりとした構成で流星の人間的成長が段階を踏んでいればまた違ったのですが……と『メタルダー』に関する話はこんなのばかりになるわけですが、メタルダーのアクションは非常に格好良かったです。
最後に、総合作品部門。

☆最優秀作品部門

1位 『特警ウインスペクター
2位 『未来戦隊タイムレンジャー
3位 『海賊戦隊ゴーカイジャー
1位2位は甲乙つけがたっかたのですが、視聴時のインパクト、90年代の革新的作品、竜馬さんによる加点、などにより『特警ウインスペクター』が今年のベスト1。まあ、『タイムレンジャー』は放っておいても語り継がれそうだけど、『ウインスペクター』は定期的にアピールした方が良さそう、みたいなものもあります。
終盤の失速もあり全体の完成度の評価は幾分下げざるを得ないのですが、特定の悪の組織が存在せずに主人公達はあくまで“犯罪”と戦う、という基本設定のもと、特撮ヒーロー+刑事ドラマ+レスキュー、というコンセプトを十全に活かし、バラエティ豊かで力の入ったシナリオ、格好いいレスキューアクション、最後まで貫ききった作品の特性、と素晴らしい作品でした。
新しい要素を大胆に取り入れつつ、しっかりとヒーロー物をしている、という所が何より素晴らしい。
2位は、キャラクター造型、シリーズ構成の出来の良さで傑作と呼ぶにふさわしい『タイムレンジャー』。SF要素やマスコミとの絡みなど意欲的な要素を次々と放り込んだり情熱的に劇中の小ネタを拾っていったりすると同時に、確固たる太い芯がしっかりと最初から最後までを貫いていた、名作。この後、東映特撮に欠かせない存在となる小林靖子の持ち味が存分に活かされた記念碑的作品。
3位には、35年分の歴史に挑戦し、愛と誇りを持って至上の戦隊賛歌として完結した『海賊戦隊ゴーカイジャー』を。かつてのヒーロー達をゲストに迎え、ちょっとでも油断すれば内輪受けのネタ作品に堕しかねないところを、最初から最後まで派手かつ真剣にやり抜く事で、一つの作品として見事に結実しました。もちろん、手前味噌な部分も多少メタな部分もあるのですが、劇場版も含めて、それらを補って余りある完成度の高い作品となりました。また、仮面演劇にして着ぐるみ芸の極致として、一種の神楽の域に達したゴーカイチェンジは素晴らしかったです。この星には、スーパー戦隊が必要だ。
さてこうして改めて見ると、90年『ウインスペクター』、91年『ジェットマン』、と、<メタルヒーロー><戦隊>の両シリーズにおいて一つのターニングポイントとなった作品が同時期に出ているのは面白い(そしてこの2作が同時期に配信されているのは、どこまで意図的なのか)。
メタルヒーロー>の方は、前年『ジバン』の途中からプロデューサーとして参加した堀長文がメインのプロデューサーになり、<戦隊>の方では脚本の曽田博久ら80年代中期の主力を務めていたスタッフが外れるなど、ちょうどこの当時に、それぞれ方向性の変化に関して内部での動き、というのがあったのかとは思いますが。
で、96年に『超光戦士シャンゼリオン』を挟んで(これ重要)、2000年に『タイムレンジャー』と『仮面ライダークウガ』が来て、一つのブレイクスルーが発生するという流れで、妙なシンクロがあります。
同じ会社で造っているからといえば造ってるからなんですが(笑)
戦隊とは違うものを、と派生して誕生してシリーズ化したものが相互に絡み合いつつ、現在、スーパーヒーロータイムやっているのかと思うと、30年ばかりとはいえ、なんとも歴史というのは面白いものであります。
今回、配信ではクライマックスしか見ていないのでノミネートから外した『ジェットマン』ですが、00年『タイムレンジャー』はまだともかく、90年『ウインスペクター』、91年『ジェットマン』は20年前の作品にも関わらず、今見てもほとんど違和感無く通用する、というのも特筆して凄いところ。作劇における段取りの組み方が現代的、という点においてもこの2作は特撮TVシリーズにおいて革新的であったといえるでしょう。
以上、自分でも思ったより長々と、ランキング形式で振り返ってきましたが、今年は『ウインスペクター』に出会えて、『タイムレンジャー』と『メタルダー』を見られて、扇澤延男という脚本家を知り、『海賊戦隊ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が素晴らしい映画で、『ジライヤ』が面白い、という実り多い1年でありました。
来年も、配信作品次第で、ぼちぼち、やっていきたいと思います。
とりあえず『ジライヤ』と『ズバット』は最後まで確定として、『ソルブレイン』の後は『エクシードラフト』だからまず見るだろうとして、後は戦隊の入れ替わり次第……って、結局最低でも3本以上ジャナイデスカ。
『エクシードラフト』はメインが宮下さんみたいなので、正直、蓋を開けてみるまでけっこう不安なのですが。
気が付くと一番のお楽しみになっている『ジライヤ』(『ズバット』はなんというか別枠)がどこまでやってくれるか、楽しみです。