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2015年を振り返る:特撮編

今年も、〔東映特撮YouTubeOfficial〕に加え、〔GYAO!〕に踊らされた日々でありました。
年末恒例、今年も各部門に分けてランキング形式で振り返ってみたいと思います。対象エピソードは、昨日の更新分まで。対象作品は、“それなりの話数を見た上で、今年、最終回を見た作品&劇場版&現在見ている作品”という事で、以下の通り。
〔『烈車戦隊トッキュウジャー』『侍戦隊シンケンジャー』『鳥人戦隊ジェットマン』『天装戦隊ゴセイジャー』『百獣戦隊ガオレンジャー』『ジャッカー電撃隊』『特命戦隊ゴーバスターズ』『手裏剣戦隊ニンニンジャー』『仮面ライダークウガ』『仮面ライダーゴースト』『ブルースワット』『仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事』『侍戦隊シンケンジャーvsゴーオンジャー銀幕BANG!!』『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』〕
性質上、上記作品のラストにまで触れている場合がありますので、ご了承下さい。
なお、伝説級の2作品(『ジェットマン』『クウガ』)に関しては殿堂扱いという事で、新規視聴作品よりもややハンデをつけた扱いとし、個別部門に関してはなるべく新規作品を優先しました。また、天堂竜、結城凱、小田切綾、バイラム4幹部、五代雄介、一条薫、薔薇のタトゥの女に関しては特に競争除外としました。
昨年のランキングはこちら→〔2014年を振り返る:特撮編〕
まずは、メカ部門から。

☆メカ部門☆

1位 グレートイカロス (『鳥人戦隊ジェットマン』)
2位 トライ/ビートチェイサー&ゴウラム (『仮面ライダークウガ』)
3位 シンケンオー (『侍戦隊シンケンジャー』)
次点 マシンゴーストライカ (『仮面ライダーゴースト』)
ハンデ付きと書いておいていきなりか、という感じですが結局今年、「合体、グレートスクラム!」を超える、メカ絡みの熱いシーンは無かったなーという事で(^^; 物語をきっちり積み重ねて、ロボットのアクションにしっかりと感情を乗せてのバロムクロスは、合体の前振りとして、戦隊ロボ史上屈指の格好良さだと思います。また、スカイキャンプに止まるバードガルーダという絵、鳥頭+蹴爪というジェットガルーダのデザインも非常に格好良く、合体前の加点も加えて、合わせ技1本という事で。
「「「「「合体、グレートスクラム!!」」」」」
で、2位もそれか、というのが続きますが、改めて、『クウガ』はバイクを非常に大事に扱っていて、劇中のキーとしてしっかり描かれているという再発見をしたという事で。あと今見ても、ゴウラム装着による重装甲バイクというアイデアとデザインは格好良い。
3位には、シンケンオー。刀剣系ロボとしては大連王の方が好きですし、際だったポイントは無いのですが、最終回、“ひっくり返しの戦隊”という物語構造をロボ戦に持ち込んだ、あのラストバトルはお見事でした。
次点として期待票を込めて、ゴーストのバイク。今『ゴースト』で一番好きな要素は正直、あのバイクのデザインです(笑) あれだけは格好いいと思う。……船とイグアナはどうでもいいですが。一応、スペクターとの初顔合わせの際などに少し目立っていたので、来年、もう少しバイクに見せ場があるといいなーと思っています。イグアナ変形がある関係で、作品から消え去る事は当面なさそうですし。

☆残念部門☆

1位 池波流ノ介/シンケンブル (『侍戦隊シンケンジャー』)
2位 大神月麿/ガオシルバー (『百獣戦隊ガオレンジャー』)
3位 宇佐見ヨーコ/イエローバスター (『特命戦隊ゴーバスターズ』)
次点 岩崎リュウジ/ブルーバスター (『特命戦隊ゴーバスターズ』)
2013年メギド王子、2014年ホージーさん、と破壊力の高い受賞者だったこの部門、今年は非常に順当に、池波流ノ介が1位を獲得しました。おめでとう!
キャラ造形に残念要素が必然性として組み込まれており(無いと、嫌な奴になってしまう)、順当に残念を積み重ね、順当に受賞。順当すぎて面白くないあたりも、流ノ介といった所でしょうか(おぃ) ヒロインレースからの脱落後、最終回まさかの見せ場から呆然のあのラストへのコンボは、最後まで安定した仕事ぶりでした。
「殿ぉぉぉ! お待たせ致しましたぁ! 池波流ノ介、只今推参!!」
2位は、役者が超二枚目! 悪の呪いを振り切って甦った伝説の戦士! シルバーで狼! と格好いい要素山盛りで登場しながら、蓋を開けたら、平安ニンジャ装束・滑りクール・女性関係に優柔不断と見事な残念美形だったガオシルバー。特に、昔好きだった(ように見える)女に瓜二つの孫娘と、現代の若い女の子との間でさっぱり腰が据わらない感じは、高い残念ポイントを稼ぎ出しました。
「さあな、風に聞いてくれ」
3位は、予想外の急浮上を果たした残念系ヒロイン(脱落)・宇佐見ヨーコ。事あるごとにヒロムに対して拗ねたり微妙な態度でヒロイン度を稼ぎながら、要所でそれらをまとめて無に返す重度の戦士脳は、実に残念。悪いのは誰だ? どう考えても黒りんだ! 後半戦の巻き返しに期待したいと思います。
「なんか巧く言えない……やっぱ、もっと本とか読まなきゃ!」
次点として、バスターズの頼れるお兄さん……だった筈の岩崎リュウジ。爆発力に欠けるものの、先輩との年の差をしつこく気にする・本当はエンジニアになってモテたい・幻影の先輩に肩を揉ませる・結局胸なのか、など、確実に残念ポイントを稼いでいくその姿は、青の呪いなのか。現状、残念と駄目人間の境界線をゆっくり走っている感じなので、後半戦でどちら側に踏み込むかを見守っていきたいと思います。
「俺も……俺も戦いなんか終わらせて、エンジニアになりてぇぇぇ!」
次は新設、というか今年見た作品で目立った所をピックアップした増設部門。その名も……

☆可哀想部門☆

1位 ジャッカー電撃隊 (『ジャッカー電撃隊』)
2位 加藤・クラウド・八雲/アオニンジャー (『手裏剣戦隊ニンニンジャー』)
3位 アグリ/ゴセイブラック (『天装戦隊ゴセイジャー』)
次点 チダ・ニック (『特命戦隊ゴーバスターズ』)
堂々第1位は、主役剥奪で有名なあの4人、スペードエース、ダイヤジャック、クローバーキング、ハートクイン、我ら、ジャッカー電撃隊! 別世界から来た規格外鳥人・ビッグワンに主役の座を奪われ、OP・本編・必殺技、全てにおいて踏み台扱いされた我ら4人のジャッカー、ジャッカー電撃隊! 残酷なテコ入れにより世界の法則が崩壊し、磔にされて処刑寸前になる事、実に4回。敵の基地に突入しては捕まってミサイルにくくりつけられ、民間人を助けようとすれば捕まって車のトランクに詰め込まれ、挙げ句の果てにコスプレのターザンにまで助けられ、サイボーグに改造されたというそのハードな背景以上に、悲しい、悲しいヒーロー達でした……。
「「「「ジャッカー・コバック!」」」」
2位は、伝統的なクール(気取り)キャラの筈が、行きすぎてただの“可哀想な子”になってしまった加藤・クラウド・八雲。本編でもネタ化はとどまる所を知らず、ほぼ公式に痛い子扱い。英国紳士とは、いったいなにか。まあ、師匠があの人だったから、仕方ない……。
「やばいな。俺まったく復習してこなかったな」
3位は、存在感が薄い薄いと思っていたら、本編でもネタにされたしまった大地の護星天使・アグリ。本編27話は、『ゴセイジャー』にしては好エピソードという事もあり、強い印象を残しました。身内からの粗大ゴミ発言に、怒るのかと思ったら笑顔で歩み寄る姿に、全米が泣いた
「やあみんな! 今日は悪かった! 俺は、反省すべきところはちゃんと反省して、直すべき所はちゃんと直す! だから、 問題点をどんどん言ってくれ!」
次点は、自称万能・実態は器用貧乏、ただのバイクの人ことチダ・ニック。主人公を現場まで運ぶ移動手段という要素を持ちながら、戦闘力皆無。その為、いざ戦場に隣接すると電信柱の陰から応援する事しか出来ず、主な仕事はヒロムのオカン代理。何となく絆っぽさをアピールするも今ひとつ存在を持て余されたまま大事なバスターマシンのコアパーツだった筈なのに囮に使われるなど、その存在感の行く末はどっちだ! ……まあ、今更フルアーマーニック化されても困るので、後半戦もぼちぼち頑張っていただきたいです。
「おまえな……あそこで、蹴るか、普通……」

☆助演ヒーロー/ヒロイン部門☆

1位 志葉薫 (『侍戦隊シンケンジャー』)
2位 丹波歳三 (『侍戦隊シンケンジャー』)
3位 鯨井大助/ジョーカー (『ジャッカー電撃隊』)
次点 ビリヤード場のマスター (『百獣戦隊ガオレンジャー』)
1位は、ある意味で『シンケンジャー』真の主人公、どの部門で投票するか悩んだのですが、登場話数から助演部門で1位となっていただきました。正しい意味でヒーローとヒロインの要素を持ち合わせ、おまけに劇中にやや不足気味だった男前成分まで補完してしまった姫、なんて高性能なんだ、姫。素直に好きなキャラクターです。
丹波、おまえはしばらく口を閉じろ」
2位は、物語においては憎まれ役、演出においては姫の会話の間合いをリードし、これぞまさしく助演の鑑、本編終盤のクオリティを押し上げてくれた丹波歳三。基本、ステレオタイプな憎まれ役なのですが、そのポジションと、それを完全に把握した演技が実にお見事でした。という事で、主従コンビでワンツー。
「はははは、丹波もまだまだ、衰えてはおりませんぞぉ。誰か、誰かある! 至急、侍たちを!」
3位は、ジャッカー電撃隊を率いるナチュラキチガイ鯨井大助。最もインパクトの強い第1話が初見でなかった事もあり主従コンビの後塵を拝する結果となりましたが、年によっては1位クラスの破壊力でした。キチガイとは、正義とか悪とは別のベクトルの価値観である、と見せつけてくれたその姿は、後の戦隊シリーズにおけるキチガイ博士/長官ポジションのはしりとも言え、素晴らしい存在感。路線変更の関係で、実質的に途中退場してしまったのが惜しまれます。
「サイボーグにならんか?」
次点として、『ガオレンジャー』最大の謎ともいえる、名前もつけられないまま定期的に出てくる怪しいサブキャラ、ビリヤード場のマスター。果たして一体、その正体は何者だったのか。今年一番、変な存在感があったキャラという事で(笑)
「いいもんだな、仲間って」

☆悪役部門☆

1位 血祭ドウコク (『侍戦隊シンケンジャー』)
2位 闇の皇帝ゼット (『烈車戦隊トッキュウジャー』)
3位 ネロ男爵 (『烈車戦隊トッキュウジャー』)
次点 デビルバッター (『ジャッカー電撃隊』)
1位は、赤い鎧の飲んだくれという不吉な造形から、大物ぶって引っ張った挙げ句に足をすくわれて転落するのではないかと危惧されたものの、遂に働いたと思ったら圧倒的暴力と恐怖で度肝を抜いた御大将・血祭ドウコク! 見た目人間大の幹部キャラながら、実は置物系ボスの戦闘力だった、という終盤の扱いはお見事でした。そして薄皮太夫との絡みで見せる、違いのわかる男のダンディズム。西凜太朗さんのヤクザ演技が後半に行くほどはまっていき、ドウコクの性格も立ち位置も変わらないのに、いいとこ山賊の親玉だった荒くれ脳筋が、貫禄のラスボスへ印象が変わるというのも、話の流れの中で面白かったです。欲望に忠実な極悪人なのだけど、ある種のピカレスクロマンの主人公的な描かれ方、と云えたでしょうか。
「来い――絶望ってのを――教えてやる」
2位は、闇そのものでありながらどうしようもなくキラキラに焦がれてしまう悲しきラスボス、闇の皇帝。これはもう、完全にキャスティングの勝利。感想本文でも度々触れましたが、大口兼悟さんの演技が、非常に素晴らしかったです。シャドーライン全体が最終的にもやっと終わってしまったのを、補って余りある好演でした。
「はははははははははははは、ははははは!! すげぇキラキラだぁ!」
3位は、気がつけば忠臣、気がつけばお荷物扱い、というか多分、クラス《剣士》なネロ男爵。いつの間にやら陰謀劇から取り残されて前線要員になっておりましたが、とにかくステッキ格闘術が格好良く、また、最後までこだわって演出してくれたのも高評価。CV:福山潤の声の力も強く、どうという事の無い台詞がやたら面白いのも良かったです。シャドーラインはつくづく、好キャスティングでした。
「また、我々にまで、剣を向けられるような事は」
次点に面白怪人枠として、デビルバッター。スパイか、ただの野球好きのバカなのか? シリアスとギャグの境界線をひた走る怪人と物語の内容がそのまま、路線変更に揺れる作品そのものを投影しているという掟破りのメタ構造なエピソードが実に秀逸で、印象深い怪人となりました。
「私も混ぜてくれんかの。ふははははは。私はクライムのデビルバッターじゃー」
惜しくもランキングに漏れましたが、来年は、作品を面白くしようとコスプレで孤軍奮闘した挙げ句に「小姑みたいでむかつく」と新たな幹部を派遣されて立場を脅かされ深い心の傷を負いながらも新たな性癖に目覚めたもんでゅー男爵ことエンターさんの、後半戦での雪辱に期待したいと思います。

☆悪の組織部門☆

1位 次元戦団バイラム (『鳥人戦隊ジェットマン』)
2位 グロンギ(未確認生命体) (『仮面ライダークウガ』)
3位 シャドーライン (『烈車戦隊トッキュウジャー』)
次点 外道衆 (『侍戦隊シンケンジャー』)
1位は、地球に優しく身内に厳しくいつも笑顔がいっぱいの職場でおなじみ、次元戦団バイラム! 正直、今年はこの部門が不作でして、割り引いた上でなお圧勝。20年以上前の作品ながら、「悪の組織だから負ける」のではなく、「悪とはこういった性質を持つが為に負ける」という、その実態に焦点を合わせた「悪とは何か」という活写、そしてそれと対比する事で「悪を打ち破る正義の姿」が明瞭になるという構造は、お見事、の一言。幹部クラス個々の因縁付けもしっかりしており、キャラクターの面白さ、物語との繋がり、いずれにおいても着地に至るまで圧倒的な完成度の高さ。改めて、良く出来た悪の組織です。
「笛や太鼓が欲しい年頃というわけか、フフ」
「まさにアリのように踏みつぶされたというわけか」
「無能な指揮の下では、どんな宝石も輝きを失う。しょせんお前達はな、見世物小屋の道化師だ。ははははははは、あっははははははは!!」
「トランザ、しょせん貴様は流れ星! いかに輝こうと、墜ちる運命にあったのだ!」
この人たちの身内における罵り合いのレベルの高さと、それはそれとして嫌な上司を蹴落とす為なら手を組む姿勢は、今もって色あせない不滅の輝き。
2位は、改めてこれも外せなかった、未確認生命体。グロンギ井戸端会議のインパクトは強烈で、台詞回しに頼って怪人の個性をつけるのではなく、あえて映像の印象だけを強調する事で、理解しがたい存在の不気味さを押し出すという手法が、見事にはまりました。そしてそこに君臨するバラのタトゥの女のコントラスト、という絵作りもお見事。
「もうすぐ、ゲリザギバスゲゲルが始まる」
3位は、昨年、最終的な組織としてのジャンプアップを期待したものの、結局、あまり面白くない所に着地してしまったシャドーライン(^^; 幹部個々で言えば、デザイン、アクション、キャスティング、どれも非常に素晴らしく、高いレベルでまとまっていたのですが、最後の最後まで組織としては面白くなってくれませんでした。『トッキュウジャー』最終盤の、蒔いた要素が幾つか吹っ飛ばされたように思える部分の影響が最も出てしまい、期待していただけに物足りず残念。
「すげぇ。すげぇぞお前ら、キラキラだぁ!」
4位は、くしくもシャドーラインと同じく、幹部個々は面白かったのに、組織として今ひとつ面白くなってくれなかった外道衆。これは、「外道衆とは何か?」というのが物語終盤まで明かされなかった事も影響していたのですが、全体の8割程度をふわふわした扱いのままだったのは、やや長すぎたと思います(^^; その上で、基本的に出てくるアヤカシの大半が脳まで筋肉の世紀末な為、怪人のバラエティ性が弱かったのが、更にマイナス。『シンケンジャー』そのものが、弱みと強みのハッキリした戦隊ではあるのですが、怪人(の作戦)の面白くなさ、というのは最後まで作品の短所になってしまいました。幹部メンバーは好きなだけに、惜しかった。
「三途の川だって、泥の中だってへへへ、生きる事があたしの、外道さねぇぇぇぇぇ、ほぁぁ!」
さて残す所あと3部門、今年最大の激戦区となったヒロイン部門は、まさかの結果に。

☆ヒロイン部門☆

1位 薄皮太夫 (『侍戦隊シンケンジャー』)
2位 白石茉子/シンケンピンク (『侍戦隊シンケンジャー』)
3位 裏正 (『侍戦隊シンケンジャー』)
次点 志葉丈瑠/シンケンレッド (『侍戦隊シンケンジャー』)
史上空前のヒロインレース大混戦から、どのヒロインもしっかりヒロインとしてゴールする(約1名、お汁粉に魂をひかれてしまいましたが……)、という戦隊史上でも稀に思える決着を見た『シンケン』勢が、上位独占。しかもこれ、姫には助演部門にエントリーしていただいた上でなのですが、その激戦をハナ差で制したのは、三途の川に咲いた紅蓮の徒花・薄皮太夫
デザインそのものは割とグロテスクながら、声と立ち振る舞いはあくまであだっぽく、凄惨な過去、捨てられぬ執念、コダマとの絡みで見せる可愛げ、ドウコクのやり取り、と様々な「女」が詰め込まれ、着ぐるみ女幹部としては、1つの金字塔に到達したかと思います。蜂須賀さんと朴さんが、実に名演でした。外道とは何か、が凝縮された最期のシーンは、非常に好き。
「あれが……本当の三味だよ……ドウコク」
第2位は、私の中ではすっかり正室扱いの、天使センサーを持った悪魔の女・白石茉子。このランキングに戦隊ピンクが入った事に、私自身が一番驚いています(おぃ) 姐さんは当初、感想書きとして天使センサーがとにかく便利、というのがあったのですが、第34話で描かれた背景が非常にしっくり来てからは、作品全体の中でもかなり好きなキャラクターに。基本、人間として何か欠落を抱えているというのは好きな造形なのですが、大なり小なり誰も彼もが歪つさを抱えているシンケンジャーにおいて、一見まともに見えながら実は最も歪んでいたのは茉子だった、というのは印象深く面白かったです。その上で、丈瑠に対して比較的フラットに物を言える立ち位置、太夫との因縁、も最後まで活かされ、存在感が貫かれたのも良かった所。貫禄でした。
「丈瑠……志波家の当主じゃなくても、丈瑠自身に積み重なってきたものは……ちゃっんとあるよ」
第3位は、まさかの本当に“俺の嫁”から、衝撃の情念を見せた魔剣・裏正。『シンケンジャー』終盤は、ヒーローの対比として、“外道とは何か”というのが、敵幹部それぞれを通して描かれるのですが、十臓と共にもう一人、執着を持って外道に身をやつした者が居た……という隠し球、あのワンカットは演出も利いて実に衝撃的でした。
「ここに来て! ……いや、この時を待ってか! ……裏正ぁぁぁぁぁぁ!!」
こう並べると、『シンケンジャー』における「女」の描き方というは、メインライターを務めた小林靖子さんがかなりこだわっていたのかな、と思う所。最終盤も最終盤で「運命に立ち向かう者」として姫/志葉薫が登場する所も含めて、非常に女性キャラクターに力の入った戦隊だったと思います(最後に姫が来るからこそ、そういう構造にしたのかもしれません)。
で、最後に次点ですが、えー……私の中で、殿は殿という生き物(近い所では、前年、殿堂入りを果たした役立たず……じゃなかった橘さんのような、存在自体がジャンル、みたいな)である為、微妙にヒーローカテゴリからズレており、悩んだ末に、ヒーローショーでヒロイン度を稼いだという情報からここに滑り込み(笑) くしくも『未来戦隊タイムレンジャー』(2000)における総攻め系レッド・タツヤとは対極に立つ総受け系レッドとして、00年代戦隊を生暖かい視線で締めてくれました。殿、殿はどうして、家臣の見ていない所で萌えポイントを稼ぐのですか殿!
「あ。ここ……どこかな?」
昨年段階ではぶっちぎりでトップ独走もあるかと思われたグリッタ嬢が、最終盤の微妙な扱いでランク外に転落したのも、予想外(^^; さて、ヒーロー部門は、今年も5位から。

☆ヒーロー部門

5位 シグ (『ブルースワット』)
丁寧語で紳士でガタイが良くて声の太い二枚目! という新ジャンルを切り開く宇宙刑事。現状、作品視聴の強いモチベーションとして、来年への期待票込みなので、このままイケメン路線を貫いていただきたい。
「大丈夫ですよサラ。あなた達地球人より、回復力は多少上ですから」
4位 東竜/ダイヤジャック (『ジャッカー電撃隊』)
見た目からして海城剛/アカレンジャーの流れを引き継ぐ、任侠系ヒーロー。第1話のジョーカーとのやり取りが最高に格好いいのですが、その後も、浮世絵回、野球回など比較的エピソードに恵まれたのも高ポイント。後半、多少カレーに魂を揺さぶられたりしましたが、渋い男の魅力を存分に発揮してくれました。また、ダイヤジャックが武器が剣という事で、殺陣が格好いいのもポイントです。凄い勢いで、ぐるぐる回るし。任侠映画の残滓としてのアウトロー路線は80年代に入るとさすがに消えていきますが(結城凱/ブラックコンドルは隔世遺伝と言えるかも)、そういった時代の空気も含め、格好いいキャラクターでした。
「俺はな、わからせてやりてぇんだよ。みんなで努力すれば、必ず勝てるって事をな」
3位 ヒカリ/トッキュウ4号 (『烈車戦隊トッキュウジャー』)
率直に言って顔が好み枠(笑) 9割方去年の放映なのですが、今年はあまり好みの二枚目キャラと出会わなかったので、未だポイント高し。また、中身の問題もあって劇中に残念男子が多い中、小学生の頃から圧倒的紳士度! というのもポイント高かったです。その辺りの影響もあって、クール系ながら残念要素が少なめ、という点では戦隊において希少な存在かもしれません(笑) 今年放映分でちょうど、作品のテーマに絡んだメイン回だったのも得票を稼ぎました。ところで剣玉は、緑繋がりで大地文太オマージュだったのかどうか、今更ながら気になります(笑)
「だから俺には、大人になるのは悪い事だけじゃない。俺の事、わかってもらえなくったって。 ――母さん達を守れるから」
2位 ゴセイナイト (『天装戦隊ゴセイジャー』)
今年最大のインパクト、メタルヒーローから戦隊へ放たれた鋼鉄の刺客――断罪! 鉄槌! 断罪! 粉砕! 星を浄める宿命の騎士、我が名はゴセイナイト!!
……なんかもう、おなか一杯になりました(おぃ)
上で『シンケン』ヒロインについて色々語っておきながら、ゴセイナイトの話を始めると、今年『シンケンジャー』を見ていた、という事実を忘れそうになるのが、ゴセイナイトの恐ろしい所です(笑) 形としては追加戦士なのですが、実体はソロ主人公という、ジャスティスのDNAの継承者、断罪のナイティックパワーを君は見たか?! 後半、妙な着地でほだされてしまったのは残念でしたが、とにかく圧倒的な衝撃と破壊力。17話の初登場シーンは、個人的に戦隊名シーンの中でもかなり上位に入ります。ゴセイナイト自体も凄いのですが、挿入歌「ゴセイナイトは許さない」が強烈無比で、しかしその歌を体現してしまっているゴセイナイトがまた凄い、というこの無限駆動。出てきた時に最強タイプの追加戦士はだいたい徐々にパワーダウンしていくものですが、終始最強がほぼ貫かれ、最強すぎるのでクライマックスでは陣営を変えられる、という無敵ぶりも凄かったです。基本、敵の攻撃はひらひらかわす、強力な範囲攻撃を受けても滅多に膝をつかない、と最強ぶりを示すアクション演出も秀逸でした。またその上で単純なパワーファイターではなく、融通の利かない所はあるけど戦場での判断力は持ち合わせ、仲間に配慮する面も持っており《説教》機能付きと、戦士として非常に完成度が高いのも良かった点。第34話以降の扱いは惜しかったですが、とにかく個人的なツボに突き刺さりまくりの、今年最大のヒットキャラでした。
「星を浄める宿命の騎士――ゴセイナイト。私はお前たち幽魔獣を許さない! ――ここからは、私のターンだ」
1位 トッキュウジャーの家族達 (『烈車戦隊トッキュウジャー』)
そんなゴセイナイトを僅かに抑え、今年の1位は、ちょっと掟破りですが、トッキュウジャーの家族達。
子供にとってのヒーローとは何か? という問いに、「それは何より身近な大人(家族)であってほしい」というテーマを掲げて走り、その道中で「大切なものを取り戻す為に、子供の自分を乗り越えるという痛みを得て、少年がヒーロー(大人)になっていく」姿を描き、そして「いつか子供時代の自分に胸を張れる、良い大人(=ヒーロー)になってほしい」というメッセージを伝えた『トッキュウジャー』が、旅路の果ての終着駅で辿り着いた、彼等が大好きな大人達が物語世界のルールを乗り越えるという、大逆転劇。
“身近な良き大人達”を肯定する『トッキュウジャー』において、その瞬間、テーマと物語が完全な融合を果たし、美しく、そして見事な掟破りでした。
「ヒーローとは何か?」という問いに対して、1つの素晴らしい解答を見せてくれた作品に、敬意を表して。
「おまえ達の家族のイマジネーションも、かなりのものだったんですよー」「みんなが書いていた手紙、きっと、激しく届いてたのよ!」

☆最優秀作品部門

1位 『鳥人戦隊ジェットマン
2位 『烈車戦隊トッキュウジャー』
3位 『侍戦隊シンケンジャー
第1位は、10数年ぶりに改めて見たら、記憶よりももっと凄かった『鳥人戦隊ジェットマン』!
本当は殿堂扱いしようかと思ったのですが、今年完結まで見た作品となると『ゴセイ』『ガオ』『ジャッカー』の3位争いが非常に微妙になるので、こういう形になりました。
戦隊内部で起こる泥沼の恋愛関係、という一見エキセントリックなコンセプトながら、実は非常に真摯に「ヒーローとは?」「悪とは?」「人間とは?」「正義とは?」というテーマに取り組み、「ヒーローと社会」「正義と狂気」という横糸を織り込みながら、それらを真っ正面から丁寧に掘り返して組み立て直し、“戦隊”としてまとめ上げた歴史的傑作。
大量のスパイスに幻惑されそうになるのですが、実は非常に基本的な素材をひたすら手をかけてじっくり調理しており、戦隊史上屈指の「ヒーローとは何か?」(同時に「人間とは何か?」)を突き詰めた作品。また、放映当時に戦隊シリーズが置かれていた状況の影響もあっただろうとはいえ、1年物の特撮作品としては圧倒的な完成度の高さ、計算されたストーリー展開には、それを最後までやり抜けた事を含め、改めて度肝を抜かれました。
腰を据えて再見してみて、本当に良かった作品です。
「公私を、混同するな。俺たちは戦士だ。それが全てに優先するんだ」
第2位は、勝利のイマジネーション『烈車戦隊トッキュウジャー』。
とにかく全編どうしてここまでというぐらい個人的なツボで、アベレージとしては非常に楽しんだのですが、ちょうど年明けの放映部分、クライマックス手前で大転倒(^^; 危うく複雑骨折でコースアウトかと思われましたが、そこから9回裏サヨナラ満塁ホームランで大逆転、という奇跡の着地は見せたものの、減点が響いて惜しくも2位。テーマ部分に関しては上で触れましたが、とにかく好みでしたし、キャラクターやアクションなども良く、出来のいい作品であったと思います。難を言えば、ロボットがどんどん駄目になっていく所ですが、これはもう、企画段階からメカは微妙だったとしか言いようが……(^^; 悪役サイドで拾いきれなかった要素はあった感じですが、テーマ部分はしっかり描ききってくれて、満足の一作でした。
「自分達で、凄くするんだよ」
第3位は、天下御免の『侍戦隊シンケンジャー』。
1クール目と4クール目は文句なく面白いのですが、大ネタを守る為に2・3クール目をある程度犠牲にしたような節があり、全体の完成度がやや落ちる、という評価です。ただ、ほとんどの“燃える”展開を高い完成度で描ききった『炎神戦隊ゴーオンジャー』の翌年だった為に、中盤戦の評価が印象として辛めになった、というのはあるかもしれません(^^; その上で、基本的な戦隊シリーズの作劇を逆手に取り、仲間との絆が深まれば深まるほど辛い立場に追い込まれる主人公、を中心にした“ひっくり返しの戦隊”という構造は、次の10年へ向けた、00年代最後の戦隊として、面白かったです。また、主人公と仲間達の関係だけではなく、ロボットを始めとして劇中の様々な要素で最終盤の“ひっくり返し”を描く、という凝りようはお見事でした。ロボットに関するあれやこれやをほとんど源太に押しつけるという中盤の雑さが惜しかったですが、『vsゴーオンジャー』を見てしまうぐらいには、好きな一作。
「流ノ介……茉子……千明、ことは。お前達の命、改めて預かった。俺の命、お前達に預ける!」
……ベスト3作品は特に、早く感想まとめを完成させて、総括を書こうと思いました(反省)
というわけで今年の特撮ランキングでしたが、本当のところ、出来れば『ジェットマン』と『クウガ』は完全に除外して行いたかったのですが、メカ部門と悪の組織部門でどうしても抜けなかった、というのが正直なところです(^^; 特に悪の組織部門が非常に不作だったのが、今年は残念。シャドーラインも外道衆も個々の幹部は印象深かったのですが、それが組織としての面白さにまとまってくれませんでした。ポテンシャルは高かっただけに、組織として、もうひと跳ね欲しかった所です。
今年は後半やや不作で、現状、再見中の『クウガ』が一番面白い、リアルタイムで言うと戦隊とライダーよりむしろ『プリキュア』が面白い、という状況なので、来年早い内に何かツボに刺さる作品と出会えるといいなぁ。……キャラ単位で言うと、ホント、今年はゴセイナイトが凄かったのですが。
そんな中、来年の戦隊シリーズが発表。
〔『動物戦隊ジュウオウジャー』東映公式〕
とうとう香村純子さんが、戦隊のメインライターに、という事で、これは楽しみ。
面白くなるといいなぁ。とりあえず、タイトルロゴは格好いい。
で、『ニンニン』も『ゴースト』も1ヶ月ほど溜めてしまっているので、まずは年明けに追いつきたい予定。それから『ゴーバス』をぼちぼち進めていきたいとか言っている間に新作が始まるのかなぁ……という皮算用です。後は『ボウケンジャー』と『オーズ』が配信されないかなぁ……東映Youtubeの今の配信パターンだと、『ボウケンジャー』は再来年ぐらいに辿り着きそうですけど(^^; 後は、1年とか2年単位で溜まっている宿題の数々をまとめていきたい所存。
ナイト・ダイナミック! (意味のないオチ)