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『特捜エクシードラフト』感想11

◆第21話「わたしはサイコ1」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:宮下隼一/細野辰興)
新ツール登場、そして衣替えの季節。
拳の衣装が、赤と黄色のストライブのシャツで胸にチームのワッペンというほぼイジメになっているので、早く何とかしてあげてください。
新レスキューツール・ビルドライバーは、アタッチメント付け替えで、ディスクソー(丸ノコ)とドリルの2モードを使用可能という、 便利工具 スーパーツール。エクシードラフトも「レスキューを最優先」とか言われても、正直あまりピンと来ませんが(^^;
ある日のパトロール中、運転手が意識を失った暴走車を止める隊長と拳。意識不明の女性を警察病院に運び込むと、
「この患者は、人間ではありません。人造人間、ロボットです」
なんと彼女は、極めて精巧なロボットであった。第3話にも出てきましたが、ヒューマノイドロボットの研究開発は非常に進んでいる模様。
そして何故か、「以前にどこかであったことがあるような……しかし顔に見覚えはないし」とこの女性ロボットに既視感を感じる隼人。意識不明のままの女性ロボットは、調査の為にロボット刑務所の大林博士の下へと送られ、構造とデータのスキャンを受け、1×1というコードネームが判明する。
怖いよロボット刑務所
壊れたロボットの表現なのでしょうが、牢の中のロボット達の姿が、超露骨に精神病棟。
機能停止状態にあるかと思われた1×1だったが、実は犯罪組織IASCOによる、意図的なロボット刑務所への潜入作戦であった。所内で目を覚ました1X1は、収監されていた産業スパイロボットを口封じ目的で破壊すると、更に大林博士を銃殺し、組織の車で逃亡。しかし、所内で受けたスキャンの影響か、脳裏によぎるノイズ映像……そこに浮かんだのは、隼人と、中年女性の顔だった……。
大林博士の遺した1X1の分析データから、彼女の頭脳回路の半分は、禁止されている人間の頭脳が用いられて事が判明する。現在は人工頭脳が生身の頭脳部分を制御しているが、何かのきっかけで生身の部分が目覚めてしまうかもしれない……更に1X1のデータから、彼女の暗殺対象があと二人居る事、そのうちの一人が悪徳不動産業者・赤塚キョウゾウである事がわかり、赤塚不動産へと向かったエクシードラフトは、1X1と接触。赤塚を抹殺しようとした1X1は、隼人の顔を見てその動きを止める。
1X1「やめてー! たすけてー! 隼人さん!」
隼人「まさか……」
1X1「負けない……サイコには……負けない」
隼人「彩子……」
耕作「さいこ?」
拳「なんのことだいったい」
その隙をついてエレベーターで逃げようとした赤塚だが、爆発でエレベーターが停止、炎と煙に包まれる。1X1はその場を逃走するが、赤塚の救助を優先し、エクシードラフト実装、新ツールのお披露目シーン。
……うんなんか、凄く豪華な日曜大工、みたいな(^^;
ドリルと丸ノコで一生懸命にエレベーターの壁を破るのですが……もう少し、このツールならでは、というのは無かったのでしょうか。ドリルとノコの使い分けも、キリで穴開けた後に糸ノコ使って……みたいになっているのですが、丸ノコだから、最初のガイド穴の必要はあったのだろうか……とか色々と悩ましい。
まあコンセプトはともかくとして、実質レスキュー要素はおまけ、という状況が長らく続いていましたし(純然たるレスキュー活動、がクライマックスに来る機会は非常に減っている)、どうもレスキューシーンの演出そのものが盛り上がりません(盛り上げてほしいのですが)。エレベーター閉じ込めは定番な上に、今作でも1話でやっているし、せめて状況にもう少し凝って欲しかったところ。
しかしこう見ると、ウイング一つで飛行と壁切断できたウォルターって、高性能でした。
ビルドライバーの力もあり赤塚は救出したものの、1X1は取り逃がしてしまったエクシードラフト。その本部に、ロボット刑務所から、1X1に使用されている人間の脳が誰の者か判明した、という情報がもたらされる。それは、1X1に謎の既視感を覚えていた隼人の、予想通りの名前だった。
隼人「さいこ……小川彩子ですね」
今回の事件の黒幕でもある国際的暗殺結社IASCOは、1年前、インターポールの捜査情報を得るために、当時パリで捜査官をしていた隼人に一人の工作員接触させていた。それが、小川彩子。
民間人を装って隼人と知り合い、きゃっきゃうふふする仲になる彩子……転がされている! 隊長思いっきり転がされている!!と思ったが、そこはさすが隊長。彩子の正体に気付いた隊長は彼女を説得し、組織を抜けて自首を決心させる。
む し ろ 転 が し か え し た
だが彩子は、「日本でやらないといけない事があるので、3日待ってほしい」と言い残して、それっきり姿を消してしまう。彩子を拘束する事でIASCOの情報を得るチャンスをみすみす失った事を追求される隼人だったが、桂木本部長のフォローで失職は回避する。
「桂木本部長がフォローしてくれなかったら、俺はとっくにクビになっていた」
という事なのですが、桂木本部長は先日までインターポールの特命で出張していましたし、本部長と隊長は、現在も所属はインターポール扱いなのでしょうか? この辺りは、かなり謎。
彩子が心臓の悪い母親の為に日本へ戻った事までは掴んでいた隼人だったが、彼女はどうして姿を消し、ロボットの脳にされてしまったのか……空白の1年間に何があったのか、そして1X1の頭脳にインプットされた、最後の暗殺の標的は?!
昔の女、というこれまでのレスキューシリーズに無かった切り口。
ソルブレイン』後半からろくな事が無い連名脚本でしたが、レスキューシーンの見せ場も入れつつ、ミステリーとアクションのバランスも取ってうまく転がしました。
どこかで見た顔だなぁと思ったら、小川彩子役は、『鳥人戦隊ジェットマン』のマリア/リエ役、丸山真歩。……まあ何というか、幸薄い系の顔ですよね……。


◆第22話「わたしはサイコ2」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:宮下隼一/細野辰興)
彩子の頭脳と、ロボットの頭脳……両者の支配関係がせめぎ合い、混乱する1X1/サイコ。IASCO、エクシードラフト、双方を攻撃したサイコは、IASCOの下っ端を脅して、車で逃走。アモーレの力で燃え上がる隊長、歩道橋からダイブして、逃走車の屋根に張り付く。
走行する車の屋根に張り付いたまま、彩子が支配権を握るサイコと昔語りを始める隊長。
1年前……日本に戻ろうとした彩子は母親に会う事なくIASCOに捕まってしまい、裏切り者への見せしめとして暗殺ロボットの素材にされてしまったのだった!
サイコの手が緩んだ隙にIASCO下っ端が車から飛び降りて脱出し、崖にぶつかって爆発する車。寸前、サイコと共に脱出に成功した隼人だが、足を怪我してしまう。エネルギーが残り少なくなっていたサイコは、彩子の意識が支配的である内にどうしても母親に会いに行きたがるが、隼人は二人の手を手錠で繋ぐ。
「君は嘘を言ってない。信じるよ! だがそれは出来ないんだ」
「一年前の事があるから?」
「そうじゃない! 俺がエクシードラフトの隊員だからだ!」
……隊長、それだと、インターポールの時だったらどうでも良かったと聞こえます(笑)
1X1の中には、まだ解析されていない暗殺目標も存在する……それを危惧する隼人だったが、サイコの必死の願いを聞く内にサイコに彩子の姿を重ね合わせてしまい、遂に手錠を外す。母親と会ったら、ここに戻ってくる事を約束し、足の怪我で動けない隼人を置いて母親の元へと急ぐサイコ。遅れてそこへ、耕作と拳が駆けつける。
「1X1は……?」
気まずそうに手錠を隠す隊長(笑)
「まさか……」
「隊長!」
事情を説明して二人の理解を得ようとする隊長だったが、
「馬鹿な、ロボットを信じるんですか!」
耕作の肩にかけた手を邪険に振り払われる(笑)
耕作「いくら命令でも、俺はそんな指示は聞けません」
拳「隊長の気持ちはわかります。わかるけど。こればっかりは俺も」
本部へ連絡を取ろうとする耕作、それを殴り飛ばす隼人。
だが、耕作はひるまず連絡を取り、
「行き先は……」
と、通信機を隼人に突きつける!
耕作えぐい
隊長(怪我でハンデ有り)と耕作のリアルバウトに期待したのですが、そこまでの展開にはならず。逡巡しながらも通信機を受け取った隼人の告げたサイコの向かった先……そこは、母親の入所している南台サナトリューム。しかし母親は、既にIASCOの手に落ちていた。本部の連絡を受けた隼人は、部下二人に止められながらも、サイコの後を追う。
基本ドライな隊長が、部下に無茶を言いまくるというのはなかなか面白い。ただ、顔面パンチまでしたのに、シーン変わったら耕作が何事もなかったかのように隊長に接していたのは、かなり残念。非常に面倒くさくなってしまうので、しこりを遺せ、とまでは言いませんが、隊長がそうとう踏み越えていただけに、部下二人には何らかの、通常と違うリアクション→後のシーンで改めて見直す、という流れが欲しかった。
耕作もなんだかんだでかなりいい人なので、隊長が迷いながらもサイコの行き先を告げた時点で男らしくスッキリしたのかもしれませんが、それならそれで、そこはもっと印象的に演出してほしかったです。
IASCOのアジトに乗り込んだサイコは、始末されそうになっていた母親を救出するが、銃撃に追い詰められアジトの一室に閉じ込められてしまう。毒ガスを投入され、苦しむ母親。そこへ突貫してきたエクシードラフトは、構成員達をまとめて逮捕。二人が閉じ込められている事に気付くと、ビルドライバーで壁を切り開く……!
なんかこう監督の、
「格好良く撮れねーーーよ!!」
という、魂の叫びが聞こえてくるな、ビルドライバー(笑)
頑張って格好良くして下さい。
基本、“格好良くないものをどうやって格好良く撮るか”というのが、特撮の監督の腕の見せ所だと思っているので。
母親を助けたサイコは、「いかなくちゃ……いかなくちゃ……」と呟きながら走り去って行く。その身につけたイヤリングを見て、彼女と彩子の関係を感じ取る母親……。
ここは、お母さんがサイコの正体に気付くシーンと、どさくさ紛れにサイコが逃げるシーンをうまく両立できなかったのでしょうが、あからさまによたよたと逃げていく1×1を、エクシードラフトが3人揃って見送るという不思議シーンになってしまったのは残念。
現場の処理と母親をブルースとキースに任せ、ターボユニットを起動するレッダー。
どうするのかと思ったら、わざわざ、約束の場所に先回り。
隊長、思いの外、ロマンチック
しかしここも、ブルースとキースがレッダーの単独行動をあっさり認めてしまうのは、前半の流れが全く生かせず、残念だった所。隼人×サイコの関係性に注力した結果、隼人×部下二人の方がおざなりになってしまいました。わざわざ“殴る”までやった割には、インパクトだけで覚悟が足りないというか、切り口の面白いエピソードで超人系の隊長がブレるという展開も良かったのに、そのブレに対する周囲のリアクションが面白く描けませんでした。
こういった展開は、周囲のリアクションまで描いてこそ真に面白いのです。
そこが出来てない。
約束の場所で待ち受ける隼人、そこへ向かうサイコ。だが再びサイコの中で、二つの頭脳が支配権を巡ってせめぎ合う。そして――本部長から隼人へ、暗殺命令の最後のターゲットの判明が告げられる。それは、叶隼人! 耕作と拳が来るまで身を隠すんだ、という本部長からの指示を拒否した隼人の前に姿を見せた1X1/サイコ/彩子は、隼人へ向けて銃を向ける。
だが……
「あなたに近づくためだった、偽りのパリ。でも、今の私には、サイコには、あなたと、たった一つの思い出のパリ」
ロボットの体にも関わらず、涙を流すサイコ/彩子。
「私は、彩子よ。私は、彩子よ」
マシン頭脳の指令を押さえ込んだ彩子は銃を下ろし、一歩一歩、隼人に近づき、そしてエネルギー切れで停止する。
硬直したサイコと向き合う3人を横から、という凄いラストカット。
しかしこう…………なんだかんだで、近づいてくるサイコに自分から歩み寄らないし、最後も距離開けたままなんだよなー隊長。
自爆装置を警戒したのかもしれませんが。
……というか当然、爆発すると思って見ていました(笑)
まあ、あそこまでやった女性キャストを爆発させるのは、さすがに忍びない、という判断も働いたのかもしれませんが。
駆け寄ろうとする隊長を耕作と拳が必死に止めて、その前で爆発、という展開でも良かった気もしますが……少なくともそうしておけば、隊長のブラック度は上がらなかったと思います(笑)
上述しましたが、これまで無かったという点でも切り口は良かったし、筋としては悪くなかったのですが、詰め足りず。もう一歩、二歩と、エクシードラフト側の人間関係に踏み込んで欲しかった、というか、そこまでやらないと、物語として完成しないのです。『エクシードラフト』は全体的に、プロットは力が入っているけど肝心な所が抜けている、というシナリオが多いのですが、残念ながら今回もその範疇に。
さて、
次回予告ナレーション「エクシードラフトの真価を問う、心を救うレスキュー」
大樹さんの事は、もう、許してあげてください(涙)