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『特捜ロボジャンパーソン』感想6

◆第7話「ボクは女の子?」◆ (監督:石田秀範 脚本:鷺山京子)
見所は、空輸されてきた世界一のダイヤモンド「雪の女王」を陰から 狙う 警護する、ジャンパーソン(100%不審者)。
着ぶくれモードで気付かれないというのは、何かステルス機能でも発動できるのでしょうか。
ある日、道で美少女・篠原ユリカとぶつかったミツル少年は、その夜から不思議な夢を見る。夢の中では自分がユリカとなって、ピアノを弾いたり母親達にこっそり嫌がらせをしているのだ。
目が覚めるなり、大事な所を確認する少年は秀逸(笑)
この奇妙な出来事の陰には、旧ロシア王朝の秘宝・世界一のダイヤ「雪の女王」を自らのコレクションに加えようとする帯刀の悪巧みがあった。帯刀に雇われた怪盗・坂倉は、ユリカに特殊なチップをつけてその脳波を分析、特定の電波を送り込む事でユリカを一時的に操る実験を繰り返していたのだが、その電波がミツルに混線、自分がユリカになったような夢を見せていたのだった。
「今度こそおまえの、は、はなぁ明かしてやるからなぁ。待っていろ、ジャンパーソン」
2話、本業のビジネスに勤しんでいる間に、すっかりごろつきのようになってしまった帯刀(笑)
テンションで台詞回しが変わるキャラクターは、落ち着くまで、少々難しい。
坂倉役は、怪優・赤星昇一郎。いちいち帽子をかぶっている部下含め、アメコミ的な、古いコミック系ギャングっぽいデザインで統一。ただ、赤星さんは赤星さんで勿論面白い俳優なのですが、露骨な合成でちょっとした手品をさせてキャラ付けするなら、いっそ本物の手品師とかキャスティングできなかったのか。終盤の手榴弾を出すシーンなどは合成で別に構わないのですが、トランプの手品などは、面白いというより単純にテンポ悪くなってしまった印象。
坂倉の最終試験により、ユリカ(自分)がレストランで客の財布をスる夢を見たミツルは、アクティブな友達二人に引きずられてユリカと一緒に居る所を見たシスターの居る教会へ向かい、ユリカにダイレクトアタックを仕掛けるが、坂倉に操られている間の記憶がないユリカは、当然スルー。その帰途、ユリカの曾祖母が旧ロシア王朝に仕えたピアニストであり、その縁から「雪の女王」の公開式典に参加すると知ったミツルは、ユリカの泥棒行為とダイヤモンドを結びつけ、式典会場にステルス潜入。しかしユリカは板倉の操作でダイヤモンドをすり替えてしまい、ギャングがダイヤごとユリカを回収していく所を目にしたミツル&追いかけてきた友人ズは、3人まとめて坂倉一味に捕まってしまう。
子供達に迫る、坂倉のレーザーバズーカ。
その時、風を切るJPカード!
「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
…………あっれー、JPさん、坂倉一味をアジトで一網打尽にする為に、子供達を囮に使っていませんか、ジャスティスですか。
子供達を追う坂倉一味の前に立ちはだかるジャンパーソン、新武器をお披露目。
その名は、ジャスティック!
なんか凄いぞ、ジャスティック!
だって、ジャスティス+スティック!!
これ以上無いぐらい、ジャンパーソンを体現した武器名(笑)
そんな特殊警棒ジャスティックで坂倉の手下達をしばき倒すジャンパーソンだったが、坂倉の電波でユリカが操られ、拾った拳銃で子供達を人質にしてしまう。しかし、そんな小細工はラスボスには児戯に等しい。ユリカをサーチしたジャンパーソンは、光線銃の早撃ちで、首の後ろのチップだけをあっさりと破壊し、ユリカを洗脳状態から解き放つ。
そして、坂倉の変わり身人形に、新兵器・ニーキックミサイルが無意味に炸裂。
炎上する倉庫から慌てて逃げ出すギャングと子供達。
…………ほら、ミサイルも賞味期限あるので、適度に使わないと。
こうして、微妙に、悪を仕留められれば子供がちょっと死んでも遺憾の意を表明しますみたいなジャスティス活動を完遂したJPさんは、子供達に敬礼&左手の甲(のマーク)を見せるアピールポーズを決め、正統な活動である事を主張して去って行くのであった。
そつなくまとめてくる鷺山さんが、『ジャンパーソン』世界で、定型的なエピソードをどこまで展開できるか試したようなエピソードでしたが、作品全体の試行錯誤の歯車が今ひとつ噛み合わず、面白いとはいい難い出来。演出も今ひとつ。今後、サブ脚本陣がどんな形で単発エピソードを展開できるかは大きなポイントなので、噛み合ってくる事に期待したい。
ところで、ラストカットで、一般道を走るダークジェイカーを右車線(画面向かって左)から追い越していく一般車両は、ちょっとした勇気(笑) 普通に走っていて、あんなのが走っていたら、驚くだろうなぁ……。


◆第8話「見た英雄(ニューヒーロー)の顔!!」◆ (監督:石田秀範 脚本:曽田博久)
祝・小森警部(&高井戸刑事)復活
……というほど嬉しいわけでもないですが、固定してくれた方が、落ち着きます(笑)
マシンガン振り回して銀行強盗する、少々アナクロな指名手配犯マシンガンジョー、黒服の男達に確保され、変な実験室へ。そこはスーパーサイエンスネットワークに所属する、バイオ科学者・ドクター西園寺の研究室であり、ジョーは全身に変な泡を浴びせられた後、“協力の礼”として、3億円輸送ルートの秘密情報を与えられる……。
西園寺役は、翌年の『カクレンジャー』を思わせる微妙におかまっぽいスタイルで、遠藤憲一が登場。脚本の曽田博久も久々に戦隊復帰する事になるので、微妙に翌年の布石。
「3億円いただき……」
現金輸送車にマシンガンを向けるジョー。その時、風を切るJPカード!
更にもう一度!
JPカードをマシンガンの銃口に突き刺し、攻撃に使うという新演出。
「今は、アル・カポネの時代ではない」
本気出すまでもないと思ったのか、もっさりジャンパー姿のままジョーをパニッシュしようとするジャンパーソンだったが、そこへ現れた西園寺が、謎の泡をJPに吹きかける……と、なんとジャンパーソンの顔がジョーに!
下はもっさりジャンパー(パンプアップ状態)のまま、顔だけジョー、という凄い絵に(笑)
ここでジョーが、二枚目とは言いがたい、いかつい容貌なのがまた良し。
「どうなっているんだ」
「それが、ユーの今日からのフェイスよ」
西園寺がジョーに吹きかけて培養し、今またジャンパーソンに吹きかけた泡、その正体は、形状記憶細胞。ジョーの容貌を記憶した特殊な細胞が、ジャンパーソンをジョーの姿に変えてしまったのだ!
「おまえは誰だ」
など、今日はよく喋るジャンパーソン。
まあ、人の顔を付けてしまうと、喋らないと画が保たないのでしょうが。
そこへ警察がやってきて、マシンガンジョーとして囲まれてしまうジャンパーソン。
……変な駆動音出ているけど。
とりあえずトンズラ(本物も騒ぎに紛れてトンズラ)したJPさん、物陰で確認してみたところ、顔だけではなく肌も人間のもので剥がす事もできない。(これでは、アクションモードが使えない)との事ですが、いっそワイヤーパンチでもしてみれば、何とかなってしまいそうな気がそこはかとなく。……映像が日曜朝に優しくなくなるかもしれませんが。
思わぬピンチに陥ったジャンパーソンは西園寺配下に変なバズーカで攻撃を受け、逃走中に街の悪戯少年・雄太と遭遇。ジョーと勘違いされたまま、追っ手の攻撃による倉庫の崩壊に巻き込まれた少年を救出するが、それによって“マシンガンジョーは本当はいい人”というあらぬ誤解を与えてしまう。
……にしてもやはり、西園寺一味の変なバズーカも効いている感じは全くしません(^^; 一応、吹き飛ぶけど(というか、故意に吹き飛んで衝撃を殺す体術のような気もしてきた)。
この騒ぎを見物していた本物ジョー、追跡してきた刑事コンビに追われる事になり、足に手痛い一発を食らった後、雄太少年に匿われる事に……と、ひどく錯綜した展開。
「俺……大きくなったら、マシンガンジョーみたいな男になるって言われてんだ」
「え……っ」
「そりゃあ、おれはワルだけどよ……どんなワルだって、一つぐらいいいとこあるよな。ねえ、ジョー、そうでしょ。……ジョー、そうだといってよ、頼むよジョー!」
「うるさぁい!」
自分が命を助けたと思い込んでいる少年の純真な問いかけに、いたたまれなくなってその場を走り去るジョー。
どうしてまた急に、「嘘だと言ってよジョー!」(ブラックソックス事件)のパロディが入ったのかは、謎。
ジョーを探す雄太だったが、外ではジョー(ジャンパーソン)が、街の人々に追われていた。手負いの犯罪者を追い詰めてリンチ寸前とか、凄く、70年代(^^;
ジョー(JP)を、「やだ、ボクはおじさんの味方なんだ!」とかばう雄太。そこへ迫る西園寺の影。初めは物陰からそれを笑ってみていたジョー(本物)だが、マシンガンジョーを信じ続ける雄太の姿に心を打たれ、背後から突撃。西園寺一味の謎バズーカに撃たれ、息も絶え絶えにジャンパーソンに一味のアジトの場所を伝える。
その姿にジャンパーソンは雄太に向けて、
「君が信じてるジョーは俺じゃない。この人だ。本当に悪い人なんて居ないんだ」
なんか適当に話合わせた!
ジャンパーソンはアジトに向けて疾走し、慌ててその後を追った西園寺は、アジトでの銃撃戦のごたごたで誤って形状記憶細胞を浴びてしまい、ジョーになってしまう。慌てて解除液をスイッチオンするが、JPさん、正義のヒーローにあるまじき横入り。
しかし解除液は実験中でまだ完璧ではなく、中途半端に元に戻る西園寺と、細胞の残り滓で動きを封じられてしまうジャンパーソン。自爆装置を仕掛けられ、アジトごと抹殺されそうになるジャンパーソンだが、スカイジイカーを呼び出してなんとか脱出し、爆炎の中から飛び出すダークジェイカー!
……まあ多分、アジトの下敷きになっても数分後には平然と出てきたかと思われますが。
本日3度目のJPカードが閃き、形状記憶細胞噴射機を破壊。タンクから噴き出した泡を浴び、再びジョーの姿になってしまった西園寺はやってきた刑事コンビに追われるが、巨大ブルドーザーで反撃。だがジャスティスの化身にそんなちゃちな玩具が通用する筈もなく、膝ミサイルでブルドーザーはあっさり消し飛ばされ、西園寺はどたばたの末にジョーとして逮捕されてしまうのであった。
その光景を見ながら、やれやれ、と言った感じで歩み去るジャンパーソン。
ところが……留置場にはちゃっかり生きていた本物のジョーが拘留されていた。早速はじまる、どちらが本物のジョーか、という罪のなすりつけあい。本当に悪い人なんて居ない筈ではなかったのか(笑)
ところかわって麗子様、優雅なテーマ曲でカメラ目線。
「男の顔は履歴書……おまえ、よほど知性と教養には、ほど遠かったわね」
西園寺の写真をふーっと飛ばすと、それは空中で燃え上がって灰になるのであった。
……よく考えると、少年が悪に変な憧れを抱いてしまった気がするのですが、最後にナレーションが「少年は誰が本物か知っていた」と強引に妙な誤解は解けているから大丈夫、みたいにまとめました。
そして、
ナレーション「本当に悪い人はいない。少年の叫びをジャンパーソンは大切にしたいと思った」
本当か?!
ジャンパーソンの思わぬ苦戦から、二転三転する少年の誤解、とアイデア及び映像としては、なかなか面白かったです。最終的に、悪戯少年がちっとも改心していない気がする、のは気になりましたが(^^; 80年代戦隊を支えてきた曽田博久の参加により、ここ数年のシリーズの雰囲気のしない、がらっと空気の違うエピソードになったのは、良かった所。……少々、70年代臭が強くなりすぎましたが(笑)