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『特捜ロボジャンパーソン』感想11

◆第13話「JP(ジャンパーソン)は超古代兵」◆ (監督:小西通雄 脚本:浅香晶)
い、生きていたのか高井戸ぉ?!
富岳山系で超古代文明の遺跡が見つかり発掘された出土品の研究が進められ、その警備を指揮する事になる高井戸。
(頑張るぞぉ、なんたって今回は僕が警備責任者なんだからな)
警部が月の無い晩にパニッシュされたからね……。
だがそこへ襲い来る、銃弾を跳ね返す迷彩服の襲撃部隊。スーパーサイエンスネットワークの送り込んだ彼等は出土品を奪っていくが、もみ合いになった際に、出土品の一つである不思議なエネルギーを放つ指輪が、女性研究者・平野ユカリの指にはまってしまう。
その途端、大ぶりな杖を持ち裾の長いローブ姿に変わるユカリ。
「私は、私の名はメイリン
襲撃部隊のリーダー・大崎は彼女の指を切ってでも指輪を奪い取っていこうとするが、その時、風を切るJPカード!
「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
襲撃部隊に立ち向かうジャンパーソンを見つめるメイリンは、「あれは……鉄鋼兵、何故ここに」と、不思議な事を呟く。メイリン超古代文明の神官であり、彼女によるとジャンパーソンは、彼等の文明が有していた鉄鋼兵なのだという!
「私の使命は、再び悪がはびこる時、無敵の鉄鋼兵を目覚めさせ、共に戦う事」
本来、神官と鉄鋼兵は同時に目覚める筈であった。
だが何故か神官より先にジャンパーソンだけが目覚めたとすれば、誰かが制御装置を勝手に使っているのかもしれない。メイリンは制御装置の安全を確認する為に高井戸とともに遺跡へ向かうが、大崎がその背に発信器を取り付けるのであった……。
「ジャンパーソンは私たちの文明が残した無敵の鋼鉄兵士、鉄鋼兵なのです」
ラスボスの正体は、超古代文明が作り出した究極の守護神だった。
「世の中の悪を自動的に探知し撃滅する、善悪の判断回路を持った無敵の警備兵団、それが鉄鋼兵です」
怖いよ!
善とか悪とか大きな事を言って誤魔化していますが、つまるところ敵対する文明の発生を確認するとデストロイ、と。
しかし悪(敵対文明)が、鉄鋼兵の電子回路を混乱させる装置の開発に成功。それにより超古代文明は自分達の生み出した鉄鋼兵と戦う事になり、結果、文明は崩壊してしまう。だが、最強の鉄鋼兵とそれを導く神官が一人だけ、 いずれいいタイミングで甦って再び世界に覇を唱える為 この世に再び悪がはびこったときにそれを撃滅する為、未来へ向けて眠りについたのだった……。
ここまで散々引っ張ってきたジャンパーソンの謎を、ポッと出のゲストキャラが、何の蓄積も裏打ちもないまま、さも真実のように延々と語ってしまうという、非常に面白くない展開。この設定なら設定で、面白く見せるやり方は幾らでもあると思うのですが、というか、どうしてこんな重要な回を、メインライターの宮下隼一は書いていないのか。
探知機によって大崎一味に追いつかれる高井戸達だったが、駆けつけるジャンパーソン。滝に滑り落ちたメイリンはジャンパーソンが無事に助けるが、高井戸は大崎一派に捕まってしまう。
気絶したメイリンに手ですくった水を飲ませるのかと思ったら、顔に振りかけるJPさん。
……いや起きた、起きたけど。
足を引きずって歩く女性に手を貸す素振りも見せないJPさん。
相変わらず、クール。
「目的地はもうすぐだ、頑張れ」
一応、声はかけてみた。
今回のジャンパーソンさんは凄く普通に喋る上に、その一つ一つの台詞が凄くつまらない為、とにかく非常に面白くありません。互いに状況の説明は一切しないのに、メイリンとはやたら自然と意思疎通できるのは、神官と鉄鋼兵だから、という事なのかもしれませんが。
そして山の中に突然現れる、モアイ像(笑)
……時間か、時間が無かったのか?!
遺跡の中に辿り着くジャンパーソンとメイリンだったが、そこへ高井戸を人質に一足先に入り込んでいた大崎が、制御装置を手に姿を現す。
「ジャンパーソン、麗子様の下僕となるがいい」
大崎が制御装置を動かし、動きを止めるジャンパーソン。このままジャンパーソンは悪の手先となってしまうのか……?! だが、おもむろに再起動したジャンパーソンは大崎の部下を蹴散らし、高井戸を救出。
「私は、正義の為だけに戦う!」
その時、制御装置を奪い取ろうと大崎に組み付いて投げ飛ばされたメイリンが触れた棺から、鋼兵が目覚める!
さんざん規定事項のように語ってきて、実は富岳山系の遺跡と制御装置はジャンパーソンのものではなかったのだ、というのは、今回唯一、面白かったところ。
目覚めた緑色の鉄鋼兵はアイレーザーで大崎の部下達を消滅させるが、大崎の無茶なコントロールにより、暴走。大崎を消滅させた後にジャンパーソンに襲いかかり、激突するジャンパーソンと鉄鋼兵。さすがのジャンパーソンも、超古代最強のメカの前にそれなりにダメージを受けるも、最後はバルカンで蜂の巣にし、崩壊する遺跡から脱出する。
「私は戦い続ける。全ての悪を倒し、私のような戦士が、必要なくなるその日まで」
その言葉を聞いたメイリンは自分の役目が終わった事を知り、指輪を外してユカリに体を返して消えていくのであった……。
結局、ジャンパーソンが何者なのかは、有耶無耶のまま終了。
一応いまのところ、とりあえず超古代文明の鉄鋼兵っぽい、という事のようですが、全編通して、あくまでメイリンが主張していただけであって、JPさんは肯定も否定もせず、とんだ電波だった可能性も充分にあります。
というか、ここまでやっておいて、後でどうにでもなるように、という非常に良くない落とし方。
なんかもうよくわからない高井戸、すっかり普通に喋るジャンパーソン、と細かい部分も大きく減点。また、結局一発ネタだからという事なのか、メイリンが終始、“自分達の文明”を「超古代文明」と称するのは、非常に冷めます。そこは固有名詞を置いておく事で、人間のリアリティを出してほしい所。
予告で盛り上げた分もありますが、あまりにも酷かった。