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『スーパーヒーロー大戦』感想

TV放映を視聴。
全ライダーvs全戦隊、というコンセプトの時点で、これはまあ無理だろう、という事で、期待値0、むしろ評判聞いてマイナスぐらいから見始めたのですが、内容はだいたい、予想の範疇内の酷さ。
そして作品としては、予想を遙かに上回る異次元の出来。
最初に簡単にまとめると、
どんな出鱈目でもハッタリでもいいから、そこだけは絶対に設定しないといけない、という部分がすっぽり抜け落ちている為、フィクションとして成立していないという、あり得ない映画。
その為、作品としては評価不能
成立していないので、評価のしようがない。
以下基本、ご覧になった方向けの、ちょこちょこっとした感想です。
最大の見所は、原典ままで、はた迷惑なバイオハンター・シルバさん。
「ライダー粒子反応あり」
は、今作最高の名台詞。
こんな映画なのに、ちゃんと林一夫に声をあててもらったのは、誉めていい。
全体的に、物凄い声優の無駄遣い。
結果的にこれだけのメンバー集まってしまって、こんなどうでもいい台詞をちまちまあててもらって、こんな映画ができてごめんなさい、みたいな、本当の意味での無駄遣い。
小川真司さんは、さすがにTV版の編集だと思いたいレベル。まさかラストの笑い声だけあてる為に、小川真司クラスを呼んだのでしょうか。呼んでたら凄いけど! 良くない意味で凄いけど! 小川真司クラスを呼ぶなら、ちゃんと台詞つけろ、という意味で。
映画としては、開始3分で危険な匂いがぷんぷん。
7人ライダーとゴーカイレッドの戦いから始まるのですが、どちらの視点で見てもどちらにも強敵感0で、盛り上がらない事おびただしい。映画ってのは開始5分で掴めるかが勝負だと思っているのですが、その観点ではこの時点で失格(盛り返す映画も無いわけでは無いですが)。
とにかく物語に、視聴者への導線がありません。
お祭り無茶企画が前提とはいえ、ただでさえ、ヒーローである戦隊とライダーが戦い合う、という入りにくい構図な上に、互いのトップに立つゴーカイレッドとディケイドがろくな説明のないまま戦い合ってしまい、この間に感情移入の対象が一切置かれていない。
その為、物語が遠い。
どちらにも感情移入させないように作った結果(とはいえ、ややマヴェちゃん寄りなんですが、これがまた中途半端)、どこにも感情移入する場所が無くなってしまった、という大失敗。
例えば、たまたまライダーと戦隊の戦いを目撃してしまったがその双方を信じ続ける子供、を軸に置いて視聴者の気持ちをそこに繋げるとか、幾らでもやり方はあったと思うのですが、そういう技巧を凝らそうとした様子のない、酷い脚本。
で、こうなるともう、完全にバトルにしか見所は無くなるわけですが、全編通して、絵がまた安い。
多人数バトルが多くなるのでどうしても制限のかかる事情はわからいでもないですが、すべからくどこかで見たようなロケ地ばかりで、映画っぽさがまるでありません。予算も時間も足りなかったんだ、という叫びが聞こえてくるような画面ばかりなのですが、映画の時にちょっと変わったロケ地で戦闘せずに、一体いつするというのか?!
とにかく全てにおいて、工夫が感じられない。
前半の戦闘の見所は、
・カブトでクロックアップするも、似た能力(高速移動)のレッドバスターに迎撃され、「やれ」と配下のチンピラをけしかけるディケイドさん(最低)
・バトルジャパンvs仮面ライダー響鬼
まあこういう、ニヤリネタしかないよねもう、みたいな(^^;
その後色々あるのですが、いったいどうして、
ジョー、ハカセ、ディエンドさん、オーズヒロイン、
という4人がドラマ担当になったのか。
まあドラマというのは主に、息子(マヴェちゃん)がグレてパニック状態になるオカン(ジョー)の図、なんですが。で、ドラマ要素が入ったと思ったら、突然、わけのわからない事を言い出すアカレンジャー。そして始まる、生き残りの戦隊とライダーの集団バトル。まんまとマヴェちゃんに騙された事を知ったジョーは、「うちの子に限って!」と大ショック。
申し訳ないけど、アップシーンで鼻がひくひくしていて面白い。
そんなジョーに、
「彼は充分傷ついた」
と死体にストンピングするレベルの追い打ちを決めるディエンドさん!
酷いよ、いい年した男にそれは、明日から学校来なくなるレベルですよ?!
ブルーポジションの変な友情に目覚めかけたジョーとディエンドさんだったが、ゴーカイレッドとディケイドにすんばらりんされてしまい、残されたのがハカセとオーズヒロインの二人、という、なんかもう笑えてくる絵面。
どうしてこうなった!
最後の直接対決に望むゴーカイレッドとディエンドは相撃ちとなり、そこに現れるのは二人を扇動してライダーと戦隊を潰し合わせていた大ショッカーのドクトルGと、大ザンギャックのシルバ(シルバもただの迷惑な人だから面白いのに、ここで主導的立場に立ってしまった事で、一気に何も面白くない存在に)。ゴーカイレッドとディエンドは「戦隊とライダーは共存できず、どちらが滅びるしかない」……という
「嘘にまんまと騙されたのだ!」
劇場のお客さん含めて、誰一人 として騙されてないよ!!
えー、えー、TV放映版という事で幾つかカットされたいたようなので、もしかしたらカットされたシーンに説明があったのかもしれませんが、そもそも「戦隊とライダーは共存できないので、どちらかを滅ぼさなくてはならない」という、劇中で提示された意味不明な抗争理由に、一切の説明がないため、騙されようがありません。
そこは物語の根幹となる部分(物語の基点、スタート地点)なので、合理的でも論理的でも科学的でもある必要はなく、極端に言えば聞いて納得できなくても構わないから(そもそも嘘なので)、しかし最低限の劇中における意味不明なりの根拠、は事前に説明されなくては、フィクションすら成り立たないのです。
そこを描かれて初めて、「いやその理由で騙されないだろ……」「もう少し考えろ」という評価が可能になり今作の物語全てが始まるのであって、そこを放棄した以上、もはや作品としての形を成していない。
故に今作はこの時点において、物語として完全崩壊。
あとは塵芥のみ。
(※どうして敵が復活しているのかとか、次元の狭間って何、とか、そんな事は、この欠落に比べれば全く些細な問題です。仮にこの説明シーンがTV放映に合わせてカットされていたとしたら、常軌を逸しているというレベル。……まあもっとも、仮に説明があっても、駄目なフィクションが成立するだけ、なんですが)
というわけで、後は、倒したと見せかけて次元の狭間に一時格納されていたオールライダーとオール戦隊が復活して、大ショッカー&大ザンギャックの怪人軍団と大乱戦。またこれが案の定、乱戦すぎて何も面白くないのですが、そんな中でブラックがシャドームーンに「やめろ信彦!」と叫ぶのは、非常によろしくなかったと思います。
語られないニヤリネタは良いと思いますが、メタ作品に前世の因縁を持ち込むのは、感心しない。
しかもその後、ブラック、ライダーキックでシャドームーン爆殺しますし。
光太郎さん、超鬼畜。
クライマックス戦闘で唯一面白かったのは、オーズの各フォームへのゴーカイチェンジ。これはコラボネタとして面白かったのですが、速攻でガレオンバスター撃ってしまったので台無しに(戦闘シーン、カットされたのかもしれませんが)。
戦隊&ライダーが怪人軍団を圧倒していく中、ディケイドさんにはめられたショックでやさぐれたディエンドさん、ビッグマシンを誕生させて、まさかのラスボスに。
「友情とか興味ないけど、ないけど、いや本当にないけど、僕は傷ついたから君も裏切って傷つけてやる!」
……って、なんだろうこの、黒い翼な感じ。
誕生した超巨大なビッグマシンと宇宙で戦うのは、レッドバスター、ブルーバスター、そしてフォーゼの乗り込んだ、ゴーバスターオー。……話の都合で放り出された黄色い子がとても可哀想。
「戦隊とライダーの頂点に立つのは僕だ!」
と戦闘中に目的変わってしまった思春期真っ盛りのディエンドさんをスーパードリルキックで葬り去り、ここに大ショッカーと大ザンギャック悪役連合の野望は完全に潰えるのでありました。
『ディケイド』見てないので細かく言及はしませんが、エンディングで、地上に墜ちた堕天使な僕っぽいディエンドさんとディケイドさんの会話は本編見ていればスムーズに受け入れられるのでしょうか。あんなものを崖の上から見せつけられてしまった8人(ゴーカイジャー&オーズの二人)の、心中や如何に。そしてそこに仲間入りさせられそうになって、ちょっと嫌な顔になるジョー。
フォーゼ&バスターズの、「来たーーーっ!!」で幕。
リアルタイムで映画館へ行った皆様には、ご愁傷様でした、と申し上げる他ありません。
感想のまとめとしては、フィクションとして崩壊しているので、怒る意味もない(笑)
まー、一つだけ真面目に怒るとしたら、長らく関わっているスタッフが揃っているのに、どうしてこんな、ただわーわー騒いで戦っていれば子供が喜ぶだろうという安易にして杜撰で間違った、そしてヒーローに愛の無い映画が出来てしまったのかなぁ、とそこでしょうか。
こういう、貯金の無駄遣いは、なるべく避けてほしい所であります。