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『特捜戦隊デカレンジャー』感想9

◆Episode.14「プリーズ・ボス」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久
「闇に生まれ闇に生きる俺の宿命も今夜限り。俺は銀河最強の男に生まれ変わるんだ!」
なんか、恥ずかしい宇宙人、出てきた。
OPにデカ ビッグワン マスター追加。マーフィーも追加……? 居たような居なかったような。
前回、昭和系鬼畜ヒーローであったボスの正体を知ったデカレンジャーの5人は、そのデカマスターを相手に特別訓練を行っていた。様々なコンビネーション攻撃を仕掛ける5人を、子供扱いで圧倒するデカマスター
「いざって時はボスに任せれば、未来永劫・天下無敵!」
その強さに、バンはすっかり人任せで大船に乗ったつもり。
「いや、俺が変身するのは、あくまでおまえたちを補助するためだ。そんな大それたものじゃない」
「またまたまたぁ、謙遜しちゃって! 憎いよこの地獄の番犬!」
どこまで株価落とせば気が済むのかバンよ(^^;
自分の存在にすっかりゆるんでしまった5人の姿に、考え込むボス。そんな中、学園都メガロポリス工科大学にアリエナイザーが侵入し、デカレンジャー出動。闇の中で5人の前に姿を現したのは、19の星で大量殺人を行って逃亡中の凶悪犯、クリスト星人ファーリー。高い戦闘力を誇るファーリーは、レッドのジュウクンドーを一蹴し、5人の一斉攻撃をも弾き返す。苦戦するレッドは、ボスにヘルプ要請。
「そうだ! ボス、出番ですよ!」
駄目すぎる(^^;
ボス、これを無視(笑)
なおもしつこく呼びかけるバンに、通信切断(笑)
光線攻撃を受けて追い詰められる5人だったが、ファーリーは夜明けの太陽の光を浴びて苦しみだし、そこに咄嗟の攻撃を受けて撤退。5人は何が狙われたのかを大学で調査するが、怪しいものばかりで絞り込めず、ファーリーが落としたブレスレットをジャスミンが読み取る事になる。
「おちる……かたい……光……?」
桃「あ! 新幹線ひかり号!」
全員、白い目でスルー。
デカレン』はナレーションでだいぶ端折ってますが、どうしても捜査シーンなどで会話のやり取りが増える事を気にしてか、意識的にポイントポイントでちょっとした笑いを挟んでいる感じ。今のところ、アクセントとしてはうまく機能していると思います。
青「どう思う、センちゃん?」
シンキングタイムでセンちゃんが閃いたのは、隕石。研究室で教授に話を聞いたところ、光を吸収する特性を持つルナメタルという隕石由来の鉱物が浮かび上がる。簡単に言えば、ルナメタルを身につける事で、自分の体に光が当たらなくなるのだ。ファーリーの狙いはルナメタルを手に入れる事で、太陽光線に弱いという自分の弱点を克服する事。大学の安全の為に、とさらっとルナメタルを徴発しようとするホージーだったが、進行中の研究成果が出るまであと半日、という教授の懇願に、昼間は動きが無い筈とギリギリまで待つ事を承諾、現場の警戒にあたる事になる。
捜査パートでちゃんとホージーさんが先導しているのは安心できる所です(笑)
頭脳労働はセンちゃん任せだけど。
ホージーさん、肉体派エリートだから仕方ない。
4人が現場を警戒する中、昨夜の戦闘についてボスに文句を言いに戻るバン。
「ひどいっすよボス! ボスが来てくれりゃスカッと解決だったのに」
「本当にそう思うか?」
「当然じゃないっスか! だいたい、部下のピンチに上司が知らん顔ってどういう事っスか!」
嗚呼、宇宙警察の抹殺至上主義の弊害がこんな所に……。
「俺はおまえ達のピンチに知らん顔などしないぞ」
「したじゃないっスか!」
「いや。俺はおまえ達がピンチなら必ず駆けつける」
「本当っスね! 俺信じてますからね!」
現場へ走って戻るバンは、まっすぐな熱血漢というより、どこまでも駄目な男に……。
何がまずいって、ここまでバンの熱血と真っ直ぐさが物語上でプラスに働いたのが、2話の強引な合体と、4話のドロップキックぐらいである事。しかも2話は個性以前の物語上の必然的流れという要素が強く、個のキャラクター性としてはせいぜいホージーさんへのドロップキックぐらいのものです。
上げて下げるならまだしも、下げて下げて下げっぱなしなので、バンを持ち上げるエピソードが急務だと思います!
ホージーさんは今のままでもいいから!(おぃ)
大学ではボスが助けに来てくれなかった事に、変身の疲労が激しいのかなど、4人がそれぞれ考えを巡らせていた。4人は「ボスに助けてほしい」というより「ボスと一緒に戦ってみたい」という“強さを求める宇宙刑事の本能的願望”として、憧れの存在、愛されているボスという方向性で描かれているのですが、そのフォローが一番必要なのは、バンだと思います(^^;
その時、怪重機デビルキャプチャー4号が大学へ襲来。
その手があったか!
バンもデカマシンで駆けつけ、デカレンジャーロボ・ビルドアップ。
「みんな! 今度はピンチになったらボスが来てくれる! だから、安心していいぜ!」
ボスのヘルプの約束を取り付けたつもりのバンですが、いや、相手、怪重機……。
まあ、勝ちそうだけど(笑)
幾ら怪重機に乗り込もうと、コックピットを日光にさらしてしまえばこちらのもの、とコックピットの場所をサーチするデカロボだったが、なんと怪重機を操っていたのはメカ人間である事が判明する。怪重機を陽動につかったファーリーは、緊急避難により無人となった大学構内にフード姿で潜入し、まんまとルナメタルを入手。
「俺は変わったぁ! これで太陽の下でも好き放題だぜ! おおぉ、前より力がみなぎりやがる!」
デカロボはさくっとジャスティスフラッシャーで怪重機を撃破。
この辺り、見せ場があれば別にクライマックスでなくてもよい、というのは今作の徹底しているところ。
急ぎ構内へ向かう5人だったが、その前に、太陽光線の克服によりテンション上がって色が黒くなったファーリーが姿を見せる。飲み込んだルナメタルが体内のツボでも刺激したのか、以前よりパワーアップしたファーリーは、5人を圧倒。いい所なしで倒れるデカレンジャーだが、その時、ボスが建物の上に姿を見せる。
「ボスが来たからにはおまえなんか一発だ!」
だがボスは、腕組みして戦闘の様子を見つめるだけで、動こうとしない。
「ボス……なんでだよ……なんで何もしてくれないんだ」
攻撃で吹き飛ばされる5人は、なおも動こうとしないボスの姿に動揺を隠せない。
「なんだよそれ! ピンチに知らん顔しないって、ただ見てるだけなのかよ!」
ファーリーに締め上げられるも気合いで振り払い、戦闘そっちのけで文句を言いに行くバン。
「見損なったぜボス!」
「勝手に見損なえ」
ここの言い方が、実に格好いい。
「なんだと!」
「このままじゃ負けるぞ。――どうする」
「ボスなんか……だいっっっきらいだぁぁぁ!!」
小学生男子みたいな事を叫んだバンは、仲間達と合流。ボスの助けは期待できないと開き直る。というか正道に戻る。
「みんな、俺たちだけでやっつけるぞ!」
S.P.D! S.P.D!
本当の全力を出した5人決意のフォーメーション攻撃が炸裂し、弱ったファーリーにジャッジメントタイム!
「クリスト星人ファーリー、19の星における合計257件の強盗殺人の罪で、ジャッジメント!」
毎度思うのですが、ジャッジメント空間が発動するとアリエナイザーが怯えながら無抵抗になるのが、恐ろしい。まあ、抵抗せずに審理を受けさせる為に、ある程度のダメージを与える必要があるのでしょうけど。
ここ最近、宇宙最高裁判所が考える時間がほとんど不要なレベルの大量殺人犯が続いており、当然の如く、デリート許可。ファーリーはDバズーカにより、綺麗さっぱり滅殺される。
「これにて一件コンプリート! ……と思ったけど、まだこっちがコンプリートしてない! ボス!」
無言で立ち去っていくボスを追いかける5人。
「どういうことっスかボス! ピンチになったら助けてくれるって言ったじゃないっスか!」
「……ピンチだったのか?」
平然と返すボス、スパルタ。
「勝ったじゃないか、おまえ達。つまりピンチなんかじゃなかった、て事だ」
方針は間違ってないけど、理屈は間違っている(笑)
或いは真の宇宙刑事にとって、「ピンチ」とは、「死ぬ寸前の本当にギリギリ」を指し示すのか(笑)
「悪を憎み、正義を愛し、それぞれの個性を組み合わせて勝つ。うちはそういうチームじゃなかったか? バン」
ボスの言葉に、自分の間違いに気付くバン。
「そういうチームでした!」
残りの4人もそれぞれ頷き、ボスの考えを理解する。
「そう、誰かの力を頼りにするチームじゃないんだ」
「すいません、俺、甘えてました!」
バン、珍しくちゃんと反省。
ボスは確かに強い。だがボスに頼りきっていては、チームとして犯罪と戦う事はできない。一人一人が今の自分に出来る限りの事をする、それがスペシャルポリスなのだ!
「これにて一件、コンプリート」
「んー、雨降って地固まる。ね」
会話をモニターしていたらしいスワンさんもにっこり。
昭和鬼畜系ヒーローであるボスが、あくまで指導者・育成者としての一線を引く、というエピソード。幾つかの台詞で「そういう事だから」と済ませてもいい所を、若者達の甘えを敢えて描く事で、バランスブレイカー系キャラの物語上のポジションをしっかりと落ち着け、上司と部下の関係を合わせて描く、と今作の構造として、しっかり1話を費やす意味のあるエピソードとなりました。
バランスブレイカーキャラが、師として敢えてスパルタで対すというと『世界忍者戦ジライヤ』の山地“えげつない”哲山など思い出すわけですが、最強キャラが前線で暴れすぎない理由に、成長を促す為、というのを持ってくるのは、キャラクターの関係性さえしっかり描ければ、時間制限とか体力的問題よりも綺麗であると思います。
ただし以後、線引きの舵取りをしっかりとしないといけなくなる為、色々難しい今作のバランス調整がまたちょっぴり難しくなった感じもありますが(^^;
その辺り、親子にして師匠にしてえげつない、という哲山−闘破の関係性というのは改めて良く出来ていたなぁ、とも。
デカレンジャーがボスとの関係を通じてまた一歩成長する中、闇の底ではエージェント・アブレラが蠢いていた。
「ぬぅ……そろそろ本気で考える時かもしれんな……」
果たしてその悪意はデカレンジャーに何をもたらすのか――。
次回、なんか動いた!!