はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『仮面ライダーブレイド』感想9

先週分。
(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第15話「月がとっても青いから」◆ (監督:諸田敏 脚本:今井詔二
世界観合わせの為に演出陣で方向性を統一する、というのは割とあるし良い事だと思うのですが、パイロット版(1・2話)とOPの演出をなぞった結果、次から次へと変なスポットライトの使い方で合わせるのは、正直、そろそろ勘弁してほしい(^^;
見所は、ダークスーツ(喪服)の橘さん、格好いい。
小夜子を失った怒りと悲しみで潜在的な恐怖心を乗り越えた橘は伊坂の研究所に殴り込んで、お薬風呂を破壊。エターナルラブパワーで伊坂アンデッドに激しいラッシュを叩き込むが、後一歩の所で逃げられてしまう。
基本的に精神力の問題という指摘でしたので、もうチキン野郎とは呼ばせない!
またここのバトルが、桜の咲き誇る公園、というのは良かった。
小夜子の死をぽんこつトリオに報告した橘は、クジャクアンデッドのサーチを広瀬に頼む。その広瀬になぐさめの言葉をかけられて、
「ありがとう、いい奴だなおまえ」
やだもうこの職場!!!
一方、トンボアンデッドから母子を守った始は「側に居ると巻き込む」と再び姿を消そうとするが、
「そうじゃない。守れよ、君が」
という剣崎の言葉に考えを改め、再び居候の身分に戻る事に。
ここは剣崎のキーワードである「守る」が始の心を揺り動かすと、珍しく、ちゃんと積み重ねてきた要素が繋がりました。
始の帰還を知り、衝動的に始の正体を暴露しようとする虎太郎であったが、剣崎に止められる。
「あの二人を守れるのはあいつだけかもしれない」
その言葉に思いとどまりつつも、大切な人達を守れない自分への憤りに、髪をかきむしって絶叫する虎太郎。
そんな虎太郎を、後ろから抱きしめる剣崎(待て)
あまり言いたくないけど、この二人は初期から露骨に「こういうの入れるとウケるんでしょ?」すぎて、引きます。
アンデッドサーチャーの反応に飛び出す剣崎、そして連絡を受ける橘。究極のライダー作りの為の被験者狩りをしていた伊坂達と遭遇したブレイドは、その中に行方不明の烏丸の姿を見る。格好良くスパイ活動するぜ! と言って姿を消した所長は、あっさりと伊坂に捕まってマインドコントロールを受けていたのだ!
もはや烏丸所長は、真の黒幕でなければ、ただの迷惑なおっさんです。どちらがよりマシか、非常に悩ましい。
そこへ、へたれ改め愛戦士が駆けつけ、ブレイドは逃げた所長達を追い、愛戦士は伊坂アンデッドと戦う事になる。小夜子の仇を討つべく、決意を込めてギャレンへと変身する愛戦士・橘朔也。
「小夜子、君との思い出は、数えるほどしかないが……」
数えるほどしかないのか!!
「君を思い出させるものは、数え切れないぐらいある。そして何より……何り君の笑顔が忘れられない。遅いかな、今頃になって言うのは。俺は――俺は……俺は君が好きだった! 君の事を大切に思っていた」
すみません、散々引いた上にあまりに直球な発言で、ちょっと吹きました。
台詞としては、前半分で良かったかと。
いやしかし、なんかもう、ホントこう、前から思っていたけど、小夜子さんは惚れた相手が最低すぎました。橘の場合、何が最低って、失ってみて初めてわかった、とかではなくて、自分も気があって相手はダダ漏れなのに、へたれだから見ない振りをして逃げ続けていた、という辺りが最低。まあ小夜子さんが明らかに駄目でへたれな橘くんが好きな人だったので、外野がとやかく言う所ではないですが(だからまあ、小夜子さんへの好感度もいまいち上がりようがないままだったんですが)。
ここで仮面ライダーだから、というのが挟まるとまたちょっと変わるのですが(もしかしたら書いている方は挟んでいるつもりかもしれない)、橘さん、明らかに、ただのへたれだし。
心の中で超直球な告白をした愛戦士は、ラッシュ攻撃から最近お気に入りの必殺キックを発動。
「さよこーーーーー!!」
恐怖と絶望を超えた愛と哀しみの反へたれエネルギーがクジャクアンデッドに直撃し、伊坂大爆発。
……え、あれ?
伊坂アンデッド、勢いで封印。
………………悪い意味で衝撃の展開。
敵の扱いが雑なのは今作の特徴ですが、ここまでの最重要悪役の扱いとしては、あまりに雑。酷い。
そしてどうにもこう、とにかく『ブレイド』は、見ていて感情が同期しません。多分この戦闘いいシーンなのだろうけど、なにぶん、話があっち行ったりこっち行ったり錯綜しすぎて劇的な盛り上がりの曲線が形成されていないので、見ていて盛り上がりきれない。
小夜子さんがあまりにギャレンの踏み台すぎるし。
これは脚本の責任ばかりではないのですが、複数主人公による大河群像劇という基本構成にこだわりすぎ。今回で言えばここまでやるなら、もっと橘の話に絞れば良くて、そこが絞りきれないので、対する伊坂の方まで、扱いが軽く見えてしまう。そして伊坂の存在感が物語の中で軽くなれば、相対的にここまでの物語そのものが軽くなってしまう。その辺りの、重量バランスがどうにも取れていない。
要するにまあ、いつもの結論になるのですが、劇の構成が稚拙すぎる。
言い方を変えると、料理の仕方が下手すぎる。


◆第16話「そうよ私はどこでもアンデッドサーチャーを持ち歩く女」◆ (監督:諸田敏 脚本:今井詔二
伊坂が倒れた事で洗脳されていた人達が正気に戻り、剣崎達は蜘蛛のエースカードとクローバーのベルトを回収するが、一方で橘がベルトとカードを烏丸に返して退職、自分探しの旅に出てしまう。
「剣崎、おまえと一緒に働けて楽しかったよ、ありがとう」
引き留める剣崎をきっぱり拒絶する橘であったが、とにかく全ての前提である“仮面ライダーという仕事”をしっかり描けていないので、この手の台詞は全て滑りっぱなし。
ぽんこつトリオと合流した烏丸によると、クローバーのベルトはマインドコントロールされている間に烏丸が作ったものらしい。しかし、蜘蛛のアンデッドの邪悪な意思の働きにより、ブレイドギャレンのベルトとは、なにか違うものを感じる、との事。
所長も科学者にしてはあやふやな物言いだし、オカルティストなのかなんなのか、どうにも腰が据わりません。暗躍便利キャラ、と言ってしまえばそれまでですが。……そして伊坂さんは散々偉そうだったのに、結局、所長なしだとベルト一つ作れなかったのか(^^;
栗原家が改めて始を受け入れる宣言をする一方、蜘蛛のカードに操られた虎太郎がベルトとカードを持ち出して装着しようとするが、すんでの所を剣崎にかばわれる。しかしその際の衝撃で、どこかへ飛んでいってしまうベルト(意味はよくわからない)。
慌てて、ベルトを探すんだ! の次のシーンで何故か、事態の全貌を解明する手がかりを得る為にもう一度人類基盤史を見直すと、全ての始まり、ボードストーンの発見された場所であるチベットへと飛んでしまう所長。
……いやとりあえず、ベルト見つけてからにして下さい(笑)
幾ら雲を掴むような話にしても、目の前の最重要課題をぽんこつトリオに丸投げして、海外逃亡とか、所長、酷すぎる。
その頃、自分探しに出発した愛戦士は、お洒落なカフェテラスで小夜子との思い出に浸ったりなんかしていた。
「卒業祝いに貰ったパズルのお礼」…………て、橘、あのパズル(小夜子と橘の写真パズル)、卒業祝いで送ったのか?! いや、小夜子さんの趣味がパズルだったりして他のパズルかもしれませんが、この筋立てで他のパズルとは考えにくいし、橘さん、へたれすぎて、ちょっと変。
この「変」は、あと少しの経験値で「変態」にクラスチェンジする、「変」です。
そんな橘は、デートをすっぽかした事を彼女に平謝りする青年を目撃する。その青年こそ、蜘蛛アンデッドと遭遇し「レンゲル」と呼びかけられたバスケットマンであり、伊坂にライダーの被験体として拉致されるも適合レベルが足りずに放置された、上城睦月。まるで呼び合ったかのように、植え込みに転がっていたベルトを拾ってしまう睦月、そしてそれを確証が無いまでも目撃する橘――。
一方、烏丸を見送ったぽんこつトリオは、少しでも情報を入手しようと、嫌がる虎太郎を引きずって、喫茶店の始の元へ。
凄く普通に接客される。
(小声で)「あいつに言っといてくれ。余計な事を言ったら許さないと」
普通じゃなかった!
更に情報交換も拒否されるが、トンボアンデッドの気配を感じて始は飛び出していき、遅れてアンデッドサーチャーの反応に、出撃する剣崎。
トンボアンデッド戦は、トンボの飛行能力を見せて、ちょっと面白い戦闘。トンボと一緒に空を飛んだカリスは、もろともに街の喫茶店に墜落。周囲の状況に全く構わず店内で戦闘を続行するカリスを止めようとするブレイドだが邪険に振り払われ、カリスの攻撃の流れ弾から客をガード。改めてカリスが、周囲の人間を一切気にしない、という事を身をもって知る。
「やっぱり……あいつは人間じゃない! 獣だ!」
カリスは竜巻キック(格好悪い)でトンボを封印。そのカリスに、厳しいまなざしを向けるブレイド
「なんだ?」
「俺には君がわからない。ひょっとしたら、と思った。君と、一緒に戦えるかと」
「俺は誰とも組まない」
「でも、天音ちゃん達を守るために!」
「それでも俺は組まない! …………俺は……俺のやり方しか知らない」
「そうだな、無理なんだな……」
カリスは最初は孤高の誇りで誰とも組まないのかと思われていたのですが、気がつくとすっかり、自分の好きなように戦いたい戦鬼系なので誰とも組めない、という困ったさんに。
不穏な気配で対峙するブレイドとカリスだったが、その時、変なエフェクトがかかり、新たなライダーが姿を見せる。
「貴様か……とうとう現れたってわけだ」
問答無用でカリスを殴り、ブレイドを蹴り飛ばす第四のライダー。果たしてその正体は?! そして橘は、ベルトを拾ったかもしれない睦月の行方を捜していた……。
小夜子さん死んだ後に、入れ替わるように睦月の彼女が登場、というのはちょっと萎える。まあ今後、どう使っていくかは知りませんが。ここ数回少しずつ顔を出して、いよいよ本格参戦の睦月は、宿無し路線だったこれまでの3人と打って変わって、お金持ってる気配。
金だ、金は力だ!(待て)
順調に苦行状態になっているので、そろそろテンション上がる展開にならないかなぁかなぁかなぁ……(虚ろな目)。