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『仮面ライダーブレイド』感想31

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第48話「史上最大の裏目」◆ (監督:長石多可男 脚本:會川昇
「本当に居るんですかね……人間を襲うような大きな生き物が」
通報を受けて恐る恐る地下駐車場へ向かった2人の警官が目にしたのは、天井から落ちてきた靴……そして鈴なりに群がる怪物の軍団。モンスター達に囲まれる警官だが、そこへ駆けつけた剣崎が、ブレイドとなってモンスターを切り払う。
「お前達が何匹いようと、全て倒す!」
その姿を見た警官が「仮面ライダー……」と呟いた所からOP、と非常に格好いい入り。
一時期流行っていた、都市伝説仮面ライダー的な要素を含んでいた今作ですが、最後にもう一度それを持ってきて、「仮面ライダー」を巡る物語、というのを強調してきました。
砂浜に立つねじれたモノリス、は凄く長石多可男なカット。
石の中からはモンスター軍団が次々と出現し、それと戦うブレイドレンゲル疲労困憊。栗原母子は農場に匿われ、人間社会はこの、謎の怪物ダークローチの襲撃を受け、その被害は徐々に拡大しつつあった……。
モンスターの名称はダークローチという事で、前回そんな気はしたけど、その単語を使いたくなかったのでコオロギ?とか書きましたが、やっぱりGの軍団なのか。
急展開による世界の危機、というのはそんなに派手な事が出来ない予算の関係もあって表現が難しい(真に迫りにくい)所があるのですが、前回ラストから少し時間を飛ばす事により状況の激変を関係者のリアクションで物語に馴染ませたのは、巧い構成。映画的、ともいえ、短時間でクライマックスの緊迫感を盛り上げる事に成功しました。
(倒しても、倒しても、いつまで続くんだ……!)
G軍団を蹴散らした睦月は彼女に遭遇。そこに剣崎の応援に回って欲しいと連絡が来て走り出そうとするが、望美は思わず「行かないで」と止めてしまう。
「あいつらは、一匹二匹じゃない。何千も居るかもしれないんだ。俺たちが戦わなきゃ」
「わかってる。でも、一緒に居てほしいの」
「必ず……帰ってくる」
「睦月!」
最終回目前という事でかエキストラも多めで、人々を襲うG軍団。CGで水増しできない場面では、5体ぐらいが限界みたいですがG軍団!
「全ての人を守り抜く、絶対に!」
懸命に戦い続けるブレイドだが、その戦いには悲壮感すら漂う。疲労から窮地に陥ったブレイドを駆けつけたレンゲルが助け、2人はなんとかG軍団を撃破。その撃破数は既に、この一週間で100体以上となっていた……。
「剣崎さんだってわかってる筈です! あいつらが発生している原因は、ジョーカー……相川始だ!」
事態の発生は一週間前――橘が消息不明となり、その橘が守った筈の始まで姿を消した後。
「アンデッドは全て封印されたのに、何も起こっていない。ジョーカーが残ったら世界が滅ぶなんていうのは――」
剣崎の言葉を遮るかのように、新たにカテゴリ不明のアンデッドがサーチャーに反応し、それは1体どころか次々と反応を増殖させていく。それこそが、ダークローチ軍団、封印の石から無限に湧き続ける、世界を終わらせる死の軍団であった。
それから一週間……剣崎と睦月は協力してダークローチ軍団を倒し続けていたが、その戦いも体力的に限界を迎えようとしていた。ジョーカーはやはりジョーカー――世界を滅ぼそうとしている。あくまで始を信じ続ける剣崎だが、さすがに四面楚歌。そんな中、農場に匿っていた天音が喫茶店へ向かってしまう。
折悪しく、下宿先を覗きに来ていたジョーカーに呼ばれるかのようにG軍団が集合。喫茶店を襲いそうになるが、それを止めるジョーカー。
「あの家には近づくな! 俺はお前らの親でも何でもない。お前らを生み出したのは、俺の意志じゃない!」
始は何とかカリスに変身し、付き従うG軍団をはたくが、すぐにジョーカーの姿に戻ってしまう。
「やはり、駄目なのか……」
座り込んだジョーカーは、自らの刃でその胸を突くが……
「ふふふ、ふふふ、アンデッドが、死ねるものか……」
「始、またその姿に……」
「ジョーカー……」
そこへ、天音ちゃんの救出に成功し、その見た怪物の姿を追ってきた剣崎と睦月が現れる。
立ち上がったジョーカーの影から生まれる、Gの軍団。
「ジョーカーが勝ち残った時、ダークローチは生まれる。全ての命を滅ぼす為に」
「始……嘘だろ……」
「剣崎さん、俺はやります。――変身!」
変身マークに、ダッシュで飛び込んでいく睦月。
前回の橘さんと似たような事を思いついた剣崎は、レンゲルにリモートでアンデッドを解放させ、バトルファイトのチャンピオン決定をご破算にさせようとするが、レンゲルのリモートはその効果を発揮しない。もはやバトルファイトには決着が付いたと認定され、アンデッド達の封印状態は次回大会の開幕まで固定されてしまったのだ。
「どうやったらこいつらを止められるんだ!」
「答は一つです……ジョーカーを封印する!」
実はまあ、この状況でジョーカーを封印したらバトルファイトはどうなるのか? というのは、シミュレーションされていないのですが……設定上はどうなるのか、ちょっと知りたい(笑) “最後に残った1体が封印される”というのは、統制者としては想定していないイレギュラーな状態となる筈なので、ルール違反で没収試合、でいっそ思い切り消滅させられそうな気もしないでもありません(^^;
「俺がやる! 俺の責任だ!」
レンゲルを押しとどめ、ジョーカーへ突撃する剣崎だが、その切っ先はジョーカーの寸前で止まり、変身解除。
「剣崎……」
ジョーカーは剣崎を殴って去っていき、それを追うレンゲル。頬の傷跡から流れる血をぬぐう剣崎は、何かを思いつく……。
一方、ジョーカーを追ったレンゲルは、始と接触
いったいどこで探してきたのか、すすき野原の背後に観覧車が回っているという、凄いロケーション。
「なぜ来た」
「あなたはもう相川始じゃない。完全にジョーカーに戻ってしまったんだ」
「だったらどうする?」
「あなたを、封印する」
「おまえには無理だ」
「アンデッドを封印する。それが仮面ライダーだ!」
散っていった橘の責任感を継ぎ、迷える剣崎に代わって「仮面ライダー」であろうとする、睦月。
「剣崎さんに代わって、俺が戦う!」
レンゲルはパンチから冷凍ガスキックを放ち、始は自動的にジョーカーに変身。その影から湧き出すGの軍団。
「こいつらは全ての人類を滅ぼす。あんたが守ろうとしていた、あの親子も。それでもいいのか!」
「俺には…………止められない!」
戦いは始をジョーカーへと変え、ジョーカーはもはや封印の石に操られる破滅の使者として、始の意志を無視して戦い続ける。新必殺技・毒ガステッキで飛びかかるレンゲルだったが、カウンターでばっさり。
出来るものなら自決を、まで考えていたのに、睦月に封印されるはむかつくから嫌だ、とか、反射的にカウンターでばっさりいっちゃう、とか、最後の最後まで、始さんは睦月が嫌いだなぁ。
「望美……」
変身が解け、海岸に倒れる睦月。公開告白がスルーされたのが最大の敗因だったけど、望美ちゃんは実に扱いが適当で、ヒロイン力、弱い。ジョーカーは最後の理性を動員してかその場を立ち去り、広瀬から連絡を受けて、ぴくぴくしている睦月を回収する剣崎。
「もう、あなたしか、いない。あいつを倒せるのは……」
けっこう腹から出血して気絶しましたが、生死は不明。
結局最大の見せ場は、ブレイドの大剣を借りて蜘蛛エース倒した所だったか。……それだと睦月の、になるのでレンゲルとしてだと……初登場時に問答無用でブレイドを蹴り飛ばした所かなぁ。
多数ライダー路線は一旦『カブト』で限界を迎えますが、1シリーズに4人出すと、やはり使い分けが難しいな、と。
「来い剣崎……俺を封印するのは、おまえだ」
自分の前に剣崎が現れるのを、待ち続ける始。封印の石からは無慈悲にダークローチが生まれ続け、新たな獲物を求めて飛び立っていく……人類は、世界は、滅びを迎えてしまうのか。次回、最終決戦。
今回はとにかく、一旦流れの切れた前回ラストから少し時間を飛ばして、別の視点から入る事で視界を広げ、一気に導入で緊張感を高める、という構成がお見事。個と個の戦いから、世界の運命を懸けた戦いへの転換において、映画的な盛り上がりを作る事に成功しました。


◆最終話「未来、悲しみが終わる場所」◆ (監督:長石多可男 脚本:會川昇
OPテーマをBGMに、キングフォームでG軍団を切り払いまくるブレイド、と凄く格好いい入り。前回と重ねる形で意識した導入、とも思えます。
「戦え……俺と、戦え!!」
キングブレイドは暴風のごとくダークローチを蹴散らし、その光景を目にした虎太郎は、G軍団を倒すもその場にへたり込む剣崎に駆け寄る。元凶であるジョーカーを探さず、対処療法的にG軍団と戦い続けるブレイド
「始を封印する、覚悟がつかないのかい? でも……」
「虎太郎、俺を殴ってくれ!」
「剣崎くん……」
さすがの僕もそれは引くよ、という顔になる虎太郎。
「眠くてしょうがないんだ。今眠るわけにはいかない」
締め切り間際の作家みたいな事を言い出す剣崎。
「キングフォームのせいだよ。こんな事してたらまたおかしくなって、今度こそジョーカーになってしまうかも」
「始との決着はつける。信じてくれ」
それは、「締め切りには必ず間に合わせる」みたいで、信じにくいよ剣崎くん!
「始……おまえに世界を滅ぼさせたりはしない。おまえだって、そんな事望んでいない筈だ!」
キングフォームでひたすらG軍団を切り捨てるブレイドは、夜の街で襲われている人影を見つけて救出。その人物はなんと、チベットに高飛びしたまま忘れ去られそうになっていた烏丸所長だった!
「剣崎、それがおまえのキングフォームだ」
何故、格好つけて言う(笑)
所長、この土壇場でも相変わらずの駄目な人ぶりを見せつける。
「遅くなってすまなかった。天王路に、命を狙われていた」
存在を黒歴史にされつつあった所長、最終回でまさかの再登場。ライダーシステムのコンセプトを考えると天王路と繋がっていた可能性が濃厚でしたが、「てんのうじにいのちをねらわれていたからぼくはわるいにんげんじゃないよ!」とやや強引に無実を主張してきました。という事は結局所長は、天王路に騙されたり伊坂に洗脳されたりを繰り返す、ただの迷惑なおっさんだったのか(笑)
橘さんの未来か!
実際のところ天王路のポジション自体はまんま所長でも成り立ったので、役者さんのスケジュールの都合による途中退場で黒幕を回避して、最終回だけ何とか出演してもらった、という可能性もありそうですが(^^;
別の仕事の役作りなのか、むしろ初期が染めていたのかはわかりませんが、所長が全体的に枯れた感じになっているのは、妙に逃げ回っていたリアル感(笑) (いや、今回の為の役作りかもですが)
所長の言い訳を聞いている内にG軍団の不意打ちを受けた剣崎は武器を落とし追い詰められてしまうが、何者かが落ちた剣を拾ってダークローチをなぎ払う。剣崎の危機を救ったのは、なんと橘朔也。ギラファアンデッドを封印するも死んだと思われた橘は、所長に助けられて生き延びたのだった。
たぶん、大陸からボートで日本上陸を目指していた所長が、海にぷかぷか浮かんでいた橘さんを拾った。
「いかん、キングフォームの影響が、想像以上に進んでいる」
気絶した剣崎は2人によって農場へ担ぎ込まれるが、ダークローチ軍団の襲撃は激化を辿り、とうとう全国に非常事態宣言が発令されていた。増殖し続けるG軍団の数は膨大で、もはや仮面ライダー1人はおろか、警察や軍隊でもどうにもならない。
ここで、TVニュース→更にその中継も襲われる、と見せる事で、前回から続いて、事態の拡大の推移の描き方はお見事。割とこういうのは難しくて、雰囲気出しに失敗する事はままあるので(お金あればロケとかセットとか大量のエキストラ導入で雰囲気出せるけど、そういうわけにもいかないので)、かなり成功していると思います。
「俺がヤツを封印する! これは俺たちの責任だ!」
剣崎のベルトを手にジョーカーの封印に向かおうとする橘だったが、意識を取り戻した剣崎が前に立ち、ベルトをもぎ取る。
「俺は考えも無しに、ダークローチと戦っていたんじゃありません! 戦って……戦って……待っていたんです!」
「待っていた……? 何をだ」
「もしも、おれが失敗したら……その時は、お願いします」
「剣崎。君は本当に、ジョーカーを封印するつもりなのか。それとも……」
何かに気付く所長。
いい笑顔で出て行く剣崎。
剣崎さんは可愛げのあるいい笑顔出来るので、活用場所が少なかったのはちょっと勿体なかったな、と。役者さんの演技の上達もあるでしょうから、前半は使えない技だったのかもしれませんが。
残されたぽんこつ軍団は、所長に剣崎の真意を問う。
「私が考えている通りなら、確かに人類は救われるだろう……。だが……」
目頭を押さえて悲しそうな演技で、急速にちょっと怪しげだったけど最初からいい人だったんだよアピールする所長。所長に関してはもう、役者力で誤魔化してもらうしかない感じですが。
農場を出た剣崎は、かつて14話において、ギャレンのファイアー分身重力キックを受けた始を看病していた山小屋で、待ち受けていた始と再会する。
「懐かしいな」
「ああ。この場所から、おまえと、俺は始まったのかもしれない」
「だから、ここで終わるんだ」
つまり、仲人は橋の下に蹴り飛ばした橘さんか。
「始、おまえは本当に世界を……人類を滅ぼしたいのか?」
「俺にはもうどうにもならない。俺はそうするように作られた。俺は……ジョーカーだ」
自らの運命を受け入れて始は咆吼し、吹き飛ぶ思い出の廃屋。2人は変身し、切り結ぶ、カリスとブレイド
そもそもは商業的要請が強いと思われ、強引な面も多々あったライダー同士のバトル展開を、敢えて最後の最後まで貫く事で、物語上の必然性を付けていったのは面白いところ。
街ではG軍団が暴れ回って人間社会を破滅へ近づけていき、病院では安静状態だった睦月が目を覚ましていた。
ブレイドの電光回転キックに対し、ビューティーセレインアローを放たず、武器で打ち払うワイルドカリス。
「本気で戦うつもりはないのか始!」
「なんだと……?」
一度、人間の姿に戻る2人。
剣崎を前にすると、始さんがやたらにジョーカーの力を押さえ込めて話も通じますが、これからわかる事は、如何に始さんが睦月を嫌いかという事です!
「おまえは俺に、わざと封印されるつもりだったんだな」
「それ以外に……方法があるか?」
今の始/ジョーカーは、完全に自分の意志で行動する事は出来ず、攻撃を受けるほど、闘争本能に支配された獣へ戻ってしまう。そんなジョーカーを倒す力を持っているのは、剣崎ただ1人。
始側の理屈としては、戦闘するほど勝手に強くなるので、睦月は余計な事するな、という事だった模様。
本音はやっぱり「剣崎ならいいけど、おまえに封印される気はない」としか思えませんが(笑)
事ここに至って、あれほど高いヒロイン力を発揮していた天音ちゃんへの愛情よりも、封印されるなら剣崎以外は不許可、というのが勝っている感じなのが凄い。
「始…………。アンデッドは全て封印した。おまえが最後だ。ジョーカー!」
「俺とおまえは、戦う事でしかわかりあえない!」
思えば出会い頭の挨拶は、いきなりのパンチでした。
始はジョーカーの姿へと変わり、影から湧き出すG軍団。
「変身!!」
剣崎はブレイドへと変身し、ダークローチを蹴散らしながら、ジョーカーへと迫る。そして今度こそ、獣となって友へと向かうジョーカー!
「始、それでいい。本気で来い。ジョーカーの力を全て、俺にぶつけろ!」
敢えて封印を望む始ではなく、本気のジョーカーと戦おうとする剣崎、その真意とは――。
「剣崎がアンデッドになる?!」
「剣崎は自分から、ジョーカー、アンデッドになるつもりだ」
13体のアンデッドの過剰な融合――キングフォームの致命的な副作用を故意に起こす事で、一度はなりかけたジョーカーに、自らの意志で変貌する。既に封印されたアンデッドはこのバトルファイトではもはや解放する事は出来ないが、新たなアンデッドを誕生させる事は出来る。
自らをジョーカーにする事でアンデッドが二体になれば、バトルファイトの勝者は居なくなり滅びの運命は回避される……これが、剣崎の辿り着いた結論であり、敢えてキングフォームでの戦闘を繰り返していた目的であった。
「剣崎が……人間でなくなる」
飛び出していく橘。
「神様……」
思わず祈る広瀬」
「神などいない。……このバトルファイトも、元はといえば地球に住む生物たちが望んだものだ。己が進化だけを望む闘争本能。それら全てが融合して、バトルファイトというシステムを生み出したのではないだろうか」
急に語り出す所長。
あなた、チベットで調べた結論がそれなのか(笑)
ただ、どうしてバトルファイトにバッドエンドであるジョーカーが存在しているのか、という点については、万能の力を得るバトルファイトが生物種のエゴから生じたものならば、その舞台における一つのデメリット、統制者の用意したリスクなのではないか、という推測は立つようになりました。
居ても立っても居られず飛び出した橘の前には、大地を埋め尽くすG軍団が立ちふさがる(いい絵)。剣崎の真似をしてG軍団を轢き殺していく橘だが、こけて、囲まれる。
一方、痛む体を引きずって病室を出た睦月もまた、G軍団の襲撃を受けていた。望美ちゃんも襲われ、最終回にちょっとヒロイン力を発揮してみる。
「人間はアンデッド達と戦い、封印するしかない。私もそう思っていた。だが剣崎は、別の道を選ぼうとしている」
ひたすら格好良く語る所長だったが、その時、遂に農場の中にまで飛び込んでくるG軍団。
所長、見せ場ですよ!
…………一緒に壁に張り付いていて、駄目っぽい。
叔父さん…………も駄目っぽい。
共に戦ってきた仲間達に危機が迫る中、キングブレイドとジョーカーの凄絶な戦いは続いていた。ロイヤルストレートフラッシュとジョーカースラッシュがぶつかり合い、吹き飛ぶ両者。素手での殴り合いの果て、クロスカウンター気味にお互いのパンチが入り、足が止まる2人。そして――ブレイドの体に異変が起こる。
「俺は……」
キングブレイドに融合した全身のアンデッドの紋章が淡い光を放ち、キングカブトが脈打ったその時、各地で、Gの軍団が次々とかき消えていく。橘、睦月、望美、農場の面々……命の危機を脱する仲間達だが、その異変の正体を悟り、崩れ落ちる所長。
「剣崎……」
サーチャーを確認した広瀬と虎太郎も、何が起きたかを知る。
「あれだけあった反応が消えてる。一体も居ない。いいえ……ジョーカーの反応が……二体」
今遂に、剣崎一真は人間から、アンデッドと化した。
「今だ剣崎、俺を封印しろ」
限界に達し、封印を望む始/ジョーカーの前で、変身を解除する剣崎。
その口元に乾いた血は赤い。
だが、指先から滴り落ちた血の色は……緑。
「剣崎!」
スペードベルトが落ちると、その下には、ジョーカーのベルト。
今まで外からベルトを巻いていた主人公の体に、ベルトが生えている(テーゼとしてはつまり、真の改造人間になった)というのは、かなりインパクトのある映像。人で無くなったものが人の為に戦うのが原典『仮面ライダー』のテーゼだとすると、人の為に戦っていたものがその果てに人で無くなる、という逆をついた本歌取り
カメラが顔に戻ると、口元の血も緑に。
「剣崎……おまえ……おまえは…………アンデッドになってしまったというのか」
封印の石による呪縛が弱まった始は、人間の姿へと戻る。
「最初から、そのつもりで」
前半から始さんの緑の血の表現はありましたが、前々回の橘、前回の睦月と来て、諸田監督からのバトンを引き継ぐ形で、血の色の演出が綺麗に繋がりました。前半は、このコンセプトと脚本でどう撮ればいいんだーー−、と演出陣が発狂寸前な感じもありましたが、このラスト5話は、年間通して関わってきた諸田監督と長石監督が、非常にいい演出。
仮面ライダーとして戦い続けた剣崎一真は二体目のジョーカーとなり、2人の前に出現する、封印の石。
「……統制者が言っている。アンデッドを二体確認。バトルファイトを、再開しろと」
「最後の一体になるまで、か――」
拳を固めた剣崎は――
「俺は、戦わない」
封印の石を殴る!
石はバラバラに砕け散るが、すぐに再出現し、いずこかへと飛び去っていく。
残り時間と戦闘のカタルシス的に、ラスボス化した石と2人のジョーカーでもうワンバトルあるのかと思いましたが、砕けるも復活を描写して消失。それは神かもしれないし神でないかもしれないが、生物のより強く生きるというエゴから生まれた、永遠の宿命として存在し続ける……(最後の飛行描写のせいで、ちょっと宇宙からの何かっぽくなりましたが!)。
「剣崎……」
「来るな!」
近づいてくる始に対し、森の方へと後ずさる剣崎。
「剣崎……」
「俺とおまえは……アンデッドだ。俺たちがどちらかを封印しない限り、バトルファイトは決着せず、滅びの日は来ない。だから、俺たちは戦ってはいけない。近くに居ては…………いけない」
なんだこのラブ
「いくら離れたところで、統制者は俺たちに戦いを求める。本能に従い戦う。それが、アンデッドの運命だ」
「俺は運命と戦う。そして勝ってみせる!」
口元の緑の血をぬぐった剣崎は、力強く応える。
「それが……おまえの答か」
「おまえは、人間達の中で生き続けろ」
「どこへ行く」
「俺たちは二度と会う事もない。触れあう事もない。……それでいいんだ」
「剣崎……」
なんだこのラブ
剣崎はいい笑顔で鬱蒼と茂る山林の中に姿を消し、それを追った始だが、その行方を見失ってしまう。橘と睦月がやってくるが、剣崎の姿はない。どこにもない。
「剣崎……剣崎ぃぃぃ!!」
橘の絶叫は、打ち寄せる波に吸い込まれていき、応える者は居ない――。
かくてバトルファイトの決着は引き延ばされ、世界の滅亡は寸前で回避された。
烏丸所長はハートの2以外のカードを全て回収し、鞄に収める。
毎度の事ですが、アンデッドカードの扱いは割とぞんざい(笑) 収めた鞄の仕切りとか、超そんざい。
後、その人にカード預けていいのか。
黒く見たらとても問題だし、白く見ても、その人、電車の網棚とかに鞄ごと忘れそう。
途中でチベットに高飛び後、小包とかメールとかだけの登場になっていた烏丸所長ですが、何となく最後にまとめる役に。一応、色々と問題だらけだけど正義と人類の平和を愛する人だった、という事になりました。あのままフェードアウトするとあんまりだったので、最終回に出せたのは良かったと思います。それほど破綻しない役回りでしたし。惜しむらくはやっぱり剣崎との上司と部下との関係とか前半戦があれだった為に特に描かれていないので、その辺りの盛り上がりは出しようが無かった事ですが(無理矢理、役者さんにその気になって出してもらってはいますが)。
ここから、音楽が流れ出してEDクレジット。
剣崎が居た場所を見つめる、広瀬、虎太郎、橘――。
「剣崎がどこに行ったのか、それはわからない。奴は人である事を捨てる事により、人を、世界を守った。……だが、彼は今も戦い続けている。どこかで、運命と」
ポジション的には、ラストのナレーションは観測者である虎太郎になるかと思ったのですが、橘さんがゲット。
愛され度の差か(笑)
一応前回、虎太郎の書いているルポ『仮面ライダーという仮面』から一週間を振り返るモノローグに繋げたのですが、これ自体は最後には使われませんでした。個人的に、最後に虎太郎がこの戦いを振り返る形で締めるのかなーと予想していたのですが、外れた。
睦月は望美ちゃんといちゃいちゃしながら、日常へ戻っていく――このカップルは出てきた時は悲惨な展開しか予想できませんでしたが、まあ、最終的には落ち着いて良かった。睦月は道中、死相80%ぐらい出ていましたが、これも女王様パワーか。橘さんも海の底から甦りましたが、あまり前半のノリで、如何にもな悲劇展開はやりたくなかったのでしょうか。
今日も繁盛している喫茶店では、天音ちゃんが笑顔で接客中。
ここで天音ちゃんに話しかけている男性客は、高岩さん(中の人)? 見た目から何となくで、全く見当外れかもですが。
それにしても天音ちゃんもまさか、剣崎に始さんを取られるとは夢にも思わなかったに違いない(笑)
花壇で花の世話をしていた始は、奥さんに買い物を頼まれて、外へ。
その帰り道、花束を手にした始は黄色い絨毯の敷き詰められた銀杏並木で、ベンチに座る剣崎の姿を目にする――
「剣崎……」
「始」
にかっと笑う剣崎だが、その姿は幻で、始が駆け寄ろうとした途端に、かき消える。
(おまえは、人間達の中で生き続けろ)
その言葉を胸に、銀杏並木を歩いて行く始。
BGMが終わり、そこにかかるバイクの排気音。
場面が変わり、砂漠に刻まれた一条のタイヤの跡、響くバイクの音……でEND。
えー……本当に……ほんとーーーーーに色々ありましたが、このラストカットは、すっごく良かった。
バイクの排気音と砂漠に残るタイヤの跡、は、正直ぐっと来ました。
今作の“ヒーロー物”としての良し悪しはさておき(個人的になんだかんだで、児童向けのヒーロー物には、道徳・啓発的要素がある程度わかりやすく入っていていいと思っています。『ブレイド』はその点では評価しにくい。ただし、無ければ駄目とも言わない)、後半戦に迸った“ヒーロー愛”は、凄くツボでした。
某作品(一応、ネタバレになるので隠す)のクライマックスでも、主人公とラスボスが“同じ存在”になっていく、という状況設定がありましたが、主人公と敵が同根の改造人間である、という原典のテーゼを同様に取り込んだ上で、今作ではそれを、似た存在から同じ存在になる事で戦いを止める、という形で本歌取り
その上で、同じ存在になった事で、永遠に戦い続ける運命を背負う。
しかし敢えて剣崎はそれを選び、運命に打ち勝とうとする。
剣崎一真は戦わない事でエターナルなヒーローとなり、そして、運命と戦い続ける。
「守る為に戦う」ヒーローである剣崎が、見事にヒーローの物語と融合したラストになりました。
仮面ライダーは死なず、剣崎一真は今もどこかで戦い続けている。
それをワンカットと効果音で見せたラストは、珠玉。
最後の3話でリモートのネタが入りましたが、そういう抜け道がもう少し頭回して皆で協力していたら色々あったかもしれず、決して合理的に丸く収まったわけではないかもしれないけど、しかし凄く、『ブレイド』らしい結末になったと思います。
で、『ブレイド』らしさというのがどこにあったのかというと、最後に所長がバトルファイトについて「このバトルファイトも、元はといえば地球に住む生物たちが望んだものだ。己が進化だけを望む闘争本能」と推測を述べますが、そういったエゴ、望み、というのが本作を貫く(前半戦の事はさておき)、一つの背骨だったのであろうな、と。
実は今作では一つ気になっていた事がありまして、前半にも広瀬さんが父親が行ったと思われるアンデッド解放の被害について思い悩むエピソードがありましたが、これは拡大解釈にしても、睦月などは(蜘蛛エースの影響下にあったとはいえ)かなり間接的な被害者を世間に出しています。始もジョーカー暴走時に一般人の殺害を匂わす描写があったりします(その時はどうかと思ったけど、最後まで見た後だと、どうもかなり意図的な仕込みだったっぽい)。
この辺りを、フィクションの因果応報として考えた時にどう処理するのかと思ったのですが、ライダー4人は全て生き残り。
で、この最終回、剣崎は始の為に自身のジョーカー化を行おうとG軍団狩りをしていますが、これにより最も単純な解決方法と推測されるジョーカー封印が遅れ、G軍団による被害が広がっていると考えるのが妥当です。つまり、この最終回において、剣崎自身も、そのエゴによって間接的な被害を広げている。
47話において、橘さんは最終的に友を信じてリモート作戦を行わず、始も穏やかな生活への望みから自ら封印される事を選べない。
主要人物が誰も彼も、土壇場で“自分のやりたい事”を望んだ結果、最良とは思えない選択肢を選ぶ(睦月はだいぶ昔に踏み外しているので、最後の最後は逆に最も合理的)。
勿論、人は常に最良の選択肢を選べるわけではないのですが、リアルの反映という以上に、これは物語としては意図的なものを感じます。
つまり最終的に今作は、“望み”による罪を背負い合う物語なのかな、と。
剣崎は始と同じ罪を背負う事によりジョーカーとなり、自分の為に罪を背負った者に「おまえは生きろ」と言われたら、始も生きざるを得ない。
最終回手前で、始が栗原父の間接的な死因を生んでいる事をわざわざ強調したのもこの為の意図だったと思うのですが、
「おまえは、人間達の中で生き続けろ」
という剣崎の言葉は、実は始にとっては罰でもある。
それが理解できたからこそ始はそれを受け入れ、人の世に生き続け、見守り続ける道を選ぶ。
そしてこの戦いに関わった者達は、それぞれの罪を背負いながら、生きていく――。
後、剣崎が結局、睦月の「どうしてジョーカー、相川さんをそんな信じる事が出来るんですか?」という問いに対して答を口に出していないのだけど、そういう「理屈じゃない」ところも、最終的に今作“らしさ”になったな、と。
また、剣崎の行為は一つの自己犠牲なのだけど、そこで剣崎が永遠に失われてしまうのではなく、剣崎は戦い続けているというのは、とても好き。多分ここが、一番好きな理由かも。
基本的にはハッピーエンド好きだし、必ずしもエターナルなヒーローが好きなわけではないのですが、今作の罪と罰のバランスを考えた時、非常に見事だったと思います。
ともかく、いい最終回でした。ある程度、長いスパンの伏線の解消は天王路との戦いで済ませていたので、最終回にありがちな、要素詰めすぎて時間足りない感じ、が無かったのも良かったと思います。
敢えて言うなら、剣崎の異常な適合力の謎とか、剣崎のやたらに人間を愛している理由とか、何か背景あるのかと思いましたが、これは特に描かれず。まあこれは、あれば良かった程度で、それほど問題ではなし。個人的に触れて欲しかった、作品としての「人間が守られるべき理由」も触れられませんでしたが、この点はああいうラストだったので、そういうのを吹っ飛ばして構わない所に決着した、と思っています。
あと、今作の音楽って、作品に対して正直壮大すぎた感じがあったのですが、この最終回は、ラストの剣崎と始のやり取りとか、EDとか、その壮大さが巧くはまり、非常に印象強くなりました。普段は今回ほど長く音楽を流しっぱなしにしないので印象が変わった所もあるかもしれませんが、劇伴を使い切った見事な演出でした。特にEDの、睦月のシーンから始さんが花壇をいじっている所でピアノソロに入って切ないラストに繋がり、最後にもう一つ入った音楽が終わった所でバイクの排気音、あれは本当に素晴らしかった。
前半戦があまりにアレだったので、作品トータルの評価は悩ましい所ですが、後半戦は非常に面白かったですし、ラストカットは本当に好きな作品となりました。
「たとえ今は……君1人守るのがやっとでも、諦めない……運命に負けたくないんだ!」
その他、落ち着いてから思いついた事などは、おまけかまとめで。