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コサック愛に死す

『バトルフィーバーJ』が、バトルコサック/白石謙作の退場回という事で、視聴。
10年越しに研究開発されていた強力な新兵器・ドリルミサイルの設計図がエゴスに奪われ、研究していた博士が殺害されてしまう。博士の娘・まゆみと親しかった謙作は、父を目の前で殺されたショックで入院してしまった少女を気遣うが……


「何も心配しなくていいからね。お兄ちゃんがついてるぞ」
「帰って!」
「今……なんて言った」
「人殺しは嫌いよ。帰ってよ!」
「僕は人殺しじゃない。エゴスと戦っている、バトルフィーバーの隊員なんだ」
「殺し合いするんですもの、同じよ!」
「おいおい。そんなさみしくなるような事言わないでくれよ。笑顔を見せておくれ」
「血の匂いがするわー」
「…………血の匂い?」
子供の口から、頭部狙いの豪速球を投げまくる、上原大先生、恐るべし。
特に、他と比べてやけに棒読みで放たれる「血の匂いがするわー」が強烈。
自分は確かに正義の為にエゴスと戦ってきた……しかし、突き詰めれば同じ、血まみれの人殺しに過ぎないのか?
かつて、目の前で父親代わりの人物を殺されたという過去を持つ謙作は、まゆみと自分を重ね合わせ、何とか彼女の力になりたいと、洗面所で執拗に手を洗いこする……。
そんなある日、だいぶ回復してきたまゆみを気分転換に郊外へと連れ出す謙作。まゆみの心を思い、血と硝煙の匂いの染みついた戦闘服を敢えて基地に置いて出る謙作だったが、不幸にも、そこにエゴスの襲撃を受けてしまう。人質にされたまゆみを救い出すのには成功するが、エゴス戦闘員の銃撃を受け、謙作は変身できないまま鉛玉の雨を全身に浴びて倒れる。
謙作が出かける際に残り4人が、「戦闘服持ってけよ!」と言って、後から謙作の後を追って届けさせるのですが、自分達では行かずに、事務の女の子2人に追いかけさせるのが、凄くBF隊。
戦闘服を届けに来た2人と連絡を受けてやってきた4人の仲間、先輩であり博士の助手であった神誠、そしてまゆみに囲まれ、力尽きる謙作。
「ああ……かき氷食いてえなぁ。体中がカッカするぜ。エゴスの野郎、今度会ったら承知しねえぞ。今度会ったら……」
少女を思う優しさとその愛ゆえに、白石謙作、ここに殉職。
神誠は謙作の亡骸の上に置かれた戦闘服を手にすると、復讐の為にエゴスの基地に殴り込みをかける――今ここに、特に長官の許可も得ずに、新たなバトルコサックが誕生したのだった!
切れ味鋭い台詞が炸裂する一方で、いきなりケニアとフランスに無言でサブマシンガン浴びせてフォローのない神誠とか、いつの間にか場所が判明しているエゴスの基地とか、結局ドリルミサイルの開発は間に合わないとか、良い面でも悪い面でも上原正三ワールド全開。
新コサックは見事な活躍を見せ、新生バトルフィーバーJはエゴス怪人を撃破。エゴスの、相手の開発した新兵器を奪ってバトルシャークを破壊してやろう作戦は、失敗に終わるのだった。
最後は謙作の墓に花を供えて決意を新たにするBF隊、で終わるのですが、謙作の気遣いの結果として、まゆみちゃんに更なるトラウマが刻まれているのが恐ろしい。
つまりこの話の教訓は、外野が何を言おうが、最後に立っていた方が正義である、と。