はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『機動刑事ジバン』感想14

◆第17話「誕生!対ジバン必殺兵器」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升
非番の日に五十嵐家でまゆみちゃんと遊んでいる直人……“祖父の死亡事件をきっかけにまゆみに親切してくれる刑事さん”を通り越えて
傍目には変態の香りが日に日に高まっていきます。
まゆみ父が、「午後から一緒にゴルフの練習でもどうかね?」と直人を誘っていたけど、これはついていったが最後、真剣な表情で
「で、君は本当のところ、まゆみの事をどう思っているのかね? 事と次第によっては、私にも考えがある」
とか言われてしまうから逃げて直人!
そんな表向きは和やかな五十嵐家に、恐るべき魔手が迫っていた。洋子先輩を疑うも空振りに終わったバイオロンは、ジバンと度々関わる少女・五十嵐まゆみに目を付け、五十嵐家の両親こそジバンの秘密を知っているに違いないと、まゆみ母を誘拐。まゆみ母にすり替わったアゲハノイドが五十嵐家に潜入し、食卓でいきなりジバンの事を尋ね出す。
そこへ遊びにやってきた平和プロパガンダロボ・ハリーがきっかけで、アゲハノイドの正体判明。まゆみ父に襲いかかるアゲハノイドに、問答無用で接近戦を仕掛けるハリー。
諸君、私は平和が大好きだ。
ゆえに、武力を持って平和を獲得する!
謎の再登場を果たしたハリーですが、前回抱えていたテーマ性は、三途の川を渡りかけた時に川向こうに放り捨ててきた模様で、現世に舞い戻ってきたのは、電気をまとった獣の魂でした。
その頃ギバ様は、これまで以上に強力なバイオ怪人を作成しながら、ナポレオンズみたいな芸(首が一回転)を披露していた。
「私は全ての事をいつも、疑っているのだ。疑えば救われる。それがバイオロンの哲学だ」
五十嵐家では、闇の公権力の使者・柳田が再登場し、混乱するまゆみ父に事情を説明する。
2年前の5月に発生した謎の100億円強奪事件――それが、バイオロン犯罪の始まりだった。その事件を皮切りに日本各地で人間業とは思えない犯罪事件が次々と発生し、故・五十嵐博士はこの謎の犯罪組織に対抗するべく、「ジバン計画」を進めたのであった。
およそ1年ぐらいで五十嵐博士が改造人間の作成に成功した事になっていますが、五十嵐博士が凄い天才だった……のも確かとして、基礎理論などは随分前から確立させていて、試したくてうずうずしていたのだろうなぁ。国家予算で研究を進めて、国家権力の名の下に人間を改造できるとか、マッドサイエンティストとしてさぞ本望だったに違いありません。
一方ギバ様も、

床にナメクジの這ったような跡
壁一面にカビのようなものが付着
壁に巨大な獣のような爪痕
現場に異様な赤い粘液
現場に異様な匂い

といちいち物的証拠をこれ以上ないほど残し、犯罪のスリルを満喫していた。
柳田はジバン=直人である事だけは隠すが、祖父から受け継ぐ形でジバンに関わっていた事を涙ながらに父へ謝るまゆみ。
「まゆみが悪いんじゃない……」
悪いのは、国家権力だ!
あと、あのキチガイだ!
多分だけど父、婿養子だと思うんですよ、何となく。
柳田は、五十嵐家は安全な所に引っ越すようにと強権を発動するが、母を救いたい一心でまゆみはアゲハノイドの誘いに乗ってしまう。まゆみの行方を追い出撃した三大メカとジバン&ハリーは、バイオロンと激突。それこそハリー回以来の、3大メカ大活躍。特に今回、ハリー回でもいまいち見せ場がなく、普段の出番も少ないヘリが奮闘。マシンが唸り火薬が弾ける大スペクタクルが展開し、強引だけど、ジバン含めて全ての戦闘中のシーンを1画面に収めたカットを間に挟んだのは、面白かったです。
ジバン一味はまゆみと母の救出に成功し、今日のディスクローズショックは大量の戦闘員を一挙に瞬殺。アゲハノイドも蹴散らすジバンだったが、突然の地鳴り、そして凄まじい閃光とともに、新たな敵が姿を見せる!
爆発だけ派手なのですが、新たな敵の登場の盛り上がりは今ひとつ。只今制作中の前振りをしていた割には、出てくるタイミングが唐突すぎてよくわかりませんし、地割れも閃光も、いかにも他に思いつかなかったただのハッタリめいてますし、もう少し、話の流れで盛り上がりを作って欲しかった所です。
狂った祖父と身勝手な国家権力の為に崩壊寸前の五十嵐家、果たしてジバンは一家を守る事が出来るのか……教訓:秘密基地は、自宅の地下に作ってはいけない。


◆第18話「母と娘・悲しみの果てに」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升
五十嵐母娘を取り戻しかけたジバン&メカ軍団+平和のアイドル電撃兵器ハリーの前に現れた、新たな怪人。
「バイオによって生まれた細胞、バイボーグ、ジバンキラー、マッドガルボ」
テロップはなぜ、「ジバンキラー」を「Jキラー」と略した(笑)
マッドガルボは、原点仮面ライダー的な昆虫の改造人間めいているというか、方向性としては後の仮面ライダーシンを思わせる系統のデザインで、色や顔からのイメージは、カイコっぽい感じ。この手のキャラが女性(女声)というのは珍しいですが、ギバ様の強い信念を感じます。
ジバンに対抗する為に生み出された新たな現場指揮官であるマッドガルボは、盾と片手剣で武装し、更に肩にキャノン砲など、内臓火器も充実。ジバンがマッドガルボに苦戦している間にまゆみはさらわれ、バイクで追おうとするジバンは、機関銃付きサイドカーに乗ったマッドガルボにより追跡を妨げられてしまう。マッドガルボの鼻面ビームで大ダメージを負ったジバンは、ようやく存在を思い出したダイダロスファイヤーでなんとかマッドガルボを退けるが、まゆみの行方を見失ってしまうのであった。
満身創痍のジバンが、まゆみ母に「必ずまゆみちゃんを助け出す」と誓うのですが、ヒーロー格好いい、というより、国家権力酷いという感想しか思い浮かびません(笑)
基地で損傷を修復した直人の元へ、まゆみをさらった車にこっそりと忍び込んでいたハリーから連絡が届き、ハリーはまゆみを助ける為に直人の制止を振り切ってアジト内部へと単身潜入。
生まれ変わった不死身の体 鉄の拳が叩いて砕く ハリーがやらずに誰がやる!
人間の脳を食べ、その記憶を映像化するヒトデノイドを取り付けられそうになっていたまゆみだが、間一髪、飛び込んだハリーのスタンショックがヒトデを焼き殺す。更にジバン一味来襲の知らせに、まゆみの尋問を後回しにし、迎撃態勢を取るバイオロン。捕まったハリーは、秘書ズに適当に放り捨てられる(笑)
ハリーが居て別に悪い事は無いのですが、かといってハリーを出さなくてはいけなかった必然性は限りなく薄く(そもそも、キャラクター的連続性が皆無すぎる)、あまりにしっちゃかめっちゃかで、段々、どういう顔で見ていればいいのかわからなくなってくる展開。
ところで、バイオロンアジトの入り口の映像が、ジバン基地入り口の映像とそっくり同じに見えるのですが、気のせいでしょうか。マッドガルボがジバン基地に乗り込んできたように見えた予告は、もしかしたら意図的なミスディレクションだったのかもしれませんが、見ていて勘違いして困ります。
乗り込んできたジバンを直接始末できるならばジバン基地の在処などどうでもいい、とギバ様は作戦を変更。ジバンが抱きしめた瞬間に諸共に大爆発するように、とまゆみに高性能爆弾を取り付けさせる。
わざわざ無駄にロマンティックな爆死を計画する、ギバ様の脳の配線が素敵。
「大好きなジバンの前に連れて行ってやるから、二人で地獄へ行くんだな」
と、マッドガルボは指輪型爆弾をまゆみに取り付け、アゲハノイドをフライングジバンエンドで斬殺したジバンにまゆみを返却する。だが勿論、ジバンと接触したら爆発する話を横で聞いていたまゆみが素直にジバンの胸に飛び込むわけがなく、逃げ出すまゆみ、それを追いかけるジバン。
口頭で事情を説明すればいいものを、何故か無言で逃げるのですが、喋れない理由に特に言及が無い為、激しく意味不明。華々しく登場したマッドガルボも、物陰からまゆみを出歯亀して、「ほーら、抱き合っちゃえよ、ほーら」と、物凄い勢いで駄目人間ルートに突入していきます。
前回−今回と、杜撰な展開を幹部キャラ登場と派手なアクションで誤魔化すシナリオだったのですが、ここに来て、手に負えないレベルのぐだぐだに。
追い詰められたまゆみは、意を決すると、滝壺に身投げ。
衝撃を受けるジバンの前にホログラムでギバ様が現れ、エキサイトしてよくわからなく宣戦布告。傷ついた直人を基地で待っていたのは、この期に及んでグラサンかけて雰囲気に浸っている柳田であった(時村博士だから仕方ない)。まゆみ両親は政府の手で安全な所に保護され、柳田は全力でまゆみの捜索を続ける事を約束する。
ところで対バイオロン委員会としては、戦力としてのジバン基地とジバン一味さえ残れば、五十嵐家はカモフラージュ的要素でしか無かったので、むしろスッキリした感じも拭えません。今回の件は全て、密かにバイオロンに情報を流した柳田の策謀ではなかろうか。
その時、五十嵐家へと迫るミサイル!
「ジバン! まずは見せしめに、五十嵐の家を破壊してやる!」
ギバ様、全くの偶然だけど、大当たり(笑)
ジバン基地は起動した防御壁によって守られるが、ミサイルの直撃で吹っ飛ぶ五十嵐家。わざわざミサイル撃ち込んで個人住宅を木っ端微塵に吹き飛ばした悪の秘密結社は、歴史的に見てもなかなか珍しいのではないでしょうか。2話の時のように、ギバ様はどうも、面倒くさくなるとミサイルを撃ってみる癖があるようですが。
思えば2話にしてジバンを直接狙った作戦を展開していたバイオロンではありますが、“関係者はギリギリまで狙われない”“秘密基地はクライマックスまで標的にされない”というお約束を破り、前半から秘密基地と日常を破壊しにくる意欲的な展開…………と言うには、あまりにも全てが杜撰。先輩からジバンの情報を得ようとするエピソードもあったので全く考えていなかったわけではないでしょうが、それにしても杜撰。
基本、杉村升は一話完結のアイデアストーリーはともかく、話転がすのはかなり下手な人ですが、これは酷い。
衝撃とぐだぐだの新幹部登場編はこの先どうなる……と思いきや、なんか次回、普通に1話完結っぽい予告なのですが

もしかして:子役のスケジュールの都合でまゆみちゃんに一時退場願った

とすると、このわけのわからない急展開も納得なんですが(^^;
悪いのは杉村升ではなく、大人の事情だった可能性もありそう。いや、どう転んでも、酷いものは酷いのですけど。
ところで今回、アゲハ斬殺後に秘書ズに向けて対バイオロン法読み上げがあったので、新幹部登場にともない秘書ズリタイア?! と危惧したのですが、とりあえず生き残りました。良かった。