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『特捜戦隊デカレンジャー』感想22

先週分。
◆Episode.32「ディシプリン・マーチ」◆ (監督:辻野正人 脚本:横手美智子
ディシプリンって何だろう、と思ったら「訓練」とか「鍛錬」の意との事。
大量破壊兵器のエネルギー源となる鉱石ギュータニウムを密貿易しようとした宇宙マフィア・ズンダーズファミリーのドン、カラカズ星人サノーアの逮捕に成功したデカレンジャー。だが、地球へ運び込まれた筈のギュータニウムは押収した証拠品の中からは発見されず、特凶扱いのサノーアの捜査の為、ブレイクは一度、宇宙警察本部へ。
必ず取り調べで口を割らせてやる、と意気込むバン、本日は気合い全開。
「なんたって俺は、宇宙一のスペシャルポリスにならないといけないからな」
「宇宙一?」
「昨日手紙をもらったんだ。あの子のお母さんから」
1−2話でバンの背景補強として使われた、逃走中のドン・モヤイダによって殺害された少年がここで拾われ、少年のかなえられなかった「宇宙一のスペシャルポリスになる」という夢を、代わりに果たす、と決意を新たに燃えているバン。当時の感想でも書きましたが、これは“盛り上がりを作るために殺した責任”を取って、その場限りで終わらせてほしくない部分だったので、だいぶ間が空きましたが、流されなかったのは非常に嬉しい。
その頃、居眠りしていてドンのピンチに間に合わなかったサノーアの部下、ボッツ星人ゾータクがエージェント・アブレラ接触。最新型強化服になるマッスルギアを購入し、装着する。
サノーアの自白に基づき、ギュータニウムの保管場所へと向かうデカレンジャー
「2人は、どっちが親分で、どっちが子分なんだい?」
「親分子分なんてない」
「仲間で、相棒だ!」
「甘いねぇ。戦いの場で大事なのは強力な指揮官と、それに従う兵隊だ。仲良しじゃない」
ちょっと前の回から気になっていたのですが(メモするの忘れたのですが、26話ぐらいか?)、ホージーさんの「相棒って言うな」は、どうも意識的に止めたっぽい。
しかしそれにしても改めて、司法取引も情状酌量の余地もほぼ存在しない宇宙警察の法の下では、白状した途端にデリートされているのが目に見えているので重犯罪者が取り調べにまともに付き合う必要性が限りなく薄いわけですが(故に大抵の場合、即時滅殺するという血のスパイラル)、そんなデリートの時が間近に迫っているにもかかわらず、余裕の態度を崩さないサノーア。その時、サノーアを乗せたパトカーが、見えない何者かの襲撃を受ける!
それはマッスルスーツを身に纏い、光学迷彩でステルスしたゾータクの奇襲であった。圧倒的な強化服の力の前に5人は叩きのめされ、サノーアの身柄を奪われてしまう。
「おやおや。新商品の性能は、上々のようだな。デカレンジャーが手も足も出ないとあっては、これは売れるだろう」
アブレラさん、わざわざ厭味を言いに登場(笑)
相変わらず、手先の演技がダンディズム。
かくて最新型強化服の前に惨敗を喫したデカレンジャー……最近、弱体化が激しい、というか、地球署の現状装備では幾らスワンさんがグレーゾーンな改造を行っても過激化するアリエナイザー犯罪に対して分が悪いと判断したボスは、5人に特殊カリキュラムの受講を命じる。
その名を、SWATモード。
pecial eapons nd actics――特殊装備SWATベストとDリボルバーを使いこなす、スペシャルポリスの特殊任務形態である。
「スワット参上、スワット解決」
ボスは血気に逸り渋るバンを説き伏せ、5人は地球の治安をマスターとブレイクに任せ、SWATカリキュラムを受ける為に、惑星カダへと向かう……。
宇宙船の中で姿を見せたSWATカリキュラムの教官は、トート星人ブンター。
アヌビス、ホルス、トート、と宇宙警察の上官はエジプト神話の神様がモチーフになっていますが、ブンターはトート神という事で、ヒヒの顔。
「俺を宇宙一のスペシャルポリスにしてくれるなら、どんな教官だって構わない」
手紙と、少年の形見のペンダントを手に、真剣モードのバン。
ところが惑星カダを目前に、宇宙船が何者かの奇襲を受け、緊急着陸。酸素濃度は地球の半分、夜になれば気温は零下30度、というカダの荒野に放り出された6人は、敵襲を避けながら訓練所へ向かおうとするが、途中で教官がはぐれてしまう。教官を探しに戻ろうとするバンを、まずは訓練所へ向かう事を優先し、それから援軍を呼ぶべきだ、と説得するホージー。一度は納得したバンだったが、訓練所までもう少しという所で負傷した教官から連絡が入り、バンは教官を助けに謎の敵の元へ乗り込む事を選択する。
「宇宙一のスペシャルポリスなら、見捨てたりしない」
「今やられたら、宇宙一にも何にもなれないだろうが!」
「今助けにいかなきゃ、宇宙一最低だ!」
今更ですが、非常に今更ですが、どちらが完全な正解、というのが無い状況で、バンとホージーをうまく対比。
無謀と隣り合わせの熱血、冷血と隣り合わせの慎重。
外から見ていたからこそ穴が見えたという部分はあるかと思いますが、現状、途中参加の横手脚本が最も、当初に想定されていたとおぼしきバンとホージーの関係を上手く描いています。まあ、凸凹コンビがコンビで完成されすぎると他の3人が外野になってしまうので、戦隊では、あまり綺麗にはめすぎるわけにもいかないのですが(そういう意味では、ホージーさんのキャラ付けはテンプレにこだわりすぎて、コンセプトから戦隊向きではなかった、とも言えます)。
バンは変身して教官から連絡のあった森へと走り、それを追う4人。だが鬱蒼と茂る森の中で二手に分かれた4人は、次々と何者かの襲撃を受けて行動不能に陥る――。
「この近さで味方か敵かもわからないのか?」
そして教官を発見したと思ったレッドだが、それはダミー。武器のエネルギー切れを起こしたレッドは、背中に銃を突き付けられる……
「この程度でスペシャルポリスとはよく言ったもんだ。なっちゃいないな」
その背後に立っていたのは、ブンター教官……そう、全ては最初から、SWATカリキュラムのテストだったのである。
見えていたネタではありますが、このために宇宙船一隻をあっさり破壊する宇宙警察が怖い。
「宇宙船が不時着した時からテストは始まっていたのさ。おまえらの評価は簡単だ。グズでノロマなウスラトンカチ、それが全てだ」
「抜き打ちテストなんて汚いっすよ!」
「汚いだと?」
いつもの調子でつっかかってきたバンを、殴り飛ばす教官。
「じゃあ何か? 毎回敵が予告して、ハッタリも嘘も無しで、襲ってきてくれると思うのか!」
鬼軍曹モードに入ったブンターは、立ち尽くす5人を容赦なく罵倒する。
「5人も居ながら、クラレンスの遊び相手も務まらんとはな」
森で4人を戦闘不能にしたのは、マーフィー似の犬型ロボット、クラレンスK9。最近すっかり存在意義を失っているマーフィーですが、これは勿体ないので造形物流用なのか。
「中でも、グズノロ一等賞はおまえだ。戦列を乱し、見事チームを全滅に導いた。第一、サノーアに逃げられたのは、相手の強化服のせいじゃない。おまえたちが、どうしようもないクズだからだ」
た の し い (笑)
「そんなクズが、SWATモードの特訓をやるだけ無駄なんだよ。おまえ達には、百万年早い。やめちまえ!」
「やめません」
皆が言葉をなくす中、即答するバン。
「なんだと? 聞こえなかったのか?」
「訓練をお願いします。俺は、宇宙一のスペシャルポリスになるんです!」
「宇宙一のスペシャルポリスか……一つだけ予告してやる。無 理 だ」
SWATカリキュラムに赴いたデカレンジャーの前に立ちふさがった巨大な壁、鬼軍曹ブンター教官。果たして5人は、無事にSWATモードを習得する事が出来るのか?! 一方、地球ではサノーアもマッスルギアを入手。地球署が押収した証拠品の中に隠されたギュータニウムを取り戻すべく、デカベース強襲を企てていた……。
惑星カダに入ってからの映像は、異邦の惑星の雰囲気を出す為に、地平線を上手く使って画面に広がりを持たせた演出。ロケ地はお馴染み、浜松・中田島砂丘でしょうか? ……というか、それで惑星「カダ」なのかもしかして。
そしてデカレンジャーのひみつ☆コーナーは、まさかのアブレラさん、通販乗っ取り。
「このマッスルブレスで、君もいますぐ装着だ!」
「「マッスル・マッスル!!」」
フォーメーションアタックなどで誤魔化していたものの、明らかに弱体化の目立っていたデカレンジャーのパワーアップ編。強化ネタも、警察に絡めてきました。なお日本の警察もSAT(Special Assault Team)という特殊部隊があるのですが、「SWATモード」と「SATモード」だったら、まあ、前者の方が音の据わりはいいか。
にしても、『タイムレンジャー』感想の時に『フルメタル・ジャケット』ネタはやったので、『デカレン』では使わないでおこうと封印していたのですが、まさか公式に本編の方で突っ込んでくるとは(笑)
「腐った性根を叩き直してやる!」
「「「「「ロジャー!」」」」」
「サー・イエッサーだ!」
「「「「「サー・イエッサー!」」」」」
次回、逃げるヤツはアリエナイザーだ! 逃げないヤツは訓練されたアリエナイザーだ!
ホント、辺境は地獄だぜ!