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『特捜戦隊デカレンジャー』感想35

◆Episode.48「ファイヤーボール・サクセション」◆ (監督:竹本昇 脚本:横手美智子
ファイヤースクワッドへの異動が正式に決定したバンは、自分が抜けた後の地球署を心配する。
「あいつらには、俺みたいな、火の玉が側にいないと駄目なんだ」
言いたい事はわかるのですが、どうして凄い上から目線(笑)
「俺が居るじゃないですか!」
「は? おまえが?」
すっかり地球署に居残るつもりのテツに、物凄い馬鹿にした顔を向けるバン。
「任せてください。先輩の代わりに、俺が火の玉になります!」
チーフ、やっぱり早く回収してください、チーフ……。
「テツはでかい事言ってたけど、やっぱまだ、任せられないよなぁ」
栄転で気が大きくなっているのか、ひたすら上から目線のバン。
計算しなくなってから確かにぽんこつ化が進んでいるけど、一応テツ、エリートですから!
バンが地球署が好きだという感情的なものに建前で理屈をつけているというのも、地球署のデカレンジャーにおける自分のポジションの必要性を自覚しているというのもわかるのですが、今回になってやたらに自分の存在を過大評価しているのは引っかかるところ。
ファイヤースクワッド栄転も、玉露さん肝煎りの引き抜きで、対外的に大きな実績をあげたというわけではないですし。パターンと言えばパターンになってしまいますが、全宇宙的な大きな事件の解決に貢献するとか、間に一つぐらいあっても良かったかもしれません。或いは、解決した事件がそういう扱いだったと、客観的に描写するか(鏡の人の事件などは、かなり大きかったわけではありますが、特に描写の後押しはない)。
中盤までのバンの粗雑な扱いが、年間としてはやはり、響いた感じ。
そんなこんなで気持ちを持てあましながら休憩中、車泥棒に遭遇したバンは犯人を追い詰めるが、犯人は何故か「俺じゃない! やったのは俺じゃないんだ!」と叫びながら、自分に銃を撃って死亡してしまう。
死体の脇に転がり落ちた赤いカプセルを手に取ったバンに、死体から伸びる青白い触手――遅れてやってきた仲間達が見たのは、赤いカプセルを手に無言でストレッチをするバンの姿だった。
カプセルの正体は、大量破壊兵器用圧縮エネルギーの詰まった違法危険物、ココ・カプセル。それを持ったままバンはパトカーで走り出し、後を追ったバンとテツに銃撃を浴びせる。実は死亡した宇宙人、そしてバンは、他者に神経接続する事でその肉体を操る、クラーン星人ジェリフィスに乗っ取られていたのであった。
この連絡を受け、テツ、バイクに乗ったままデカブレイクに変身。停止したバイクがCGから実体化していますが、実物は初でしょうか。このシーンの為だけに作ったとは考えにくいし、サンプル的な大道具があったのか。停車中の全体像映ると、明らかに置物っぽい(笑)
「俺を撃てばこいつも苦しむ。おれを殺ればこいつも殺られる」
バンの首筋に顔を出すジェリフィスだが、その触手などに与えたダメージは、バンにも痛みを与えてしまう事が判明。バンの肉体そのものを乗り物かつ人質としたジェリフィスは、デカレッドに変身すると、5人を撃って逃走する。その目的は、ココ・カプセルのエネルギーを用いて大陸を沈め、地球を自分の住みやすい水の惑星に改造してしまう事。
アブレラがポイント512の灯台に、起爆装置を用意してくれているんだよ、相棒」
「相棒って言うな」
「じゃあ、先輩かな」
「あいにく俺の相棒と後輩は1人しかいない」
「つれないじゃねえか。おまえが死ぬまで、一心同体だってのによぉ」
デカレッドはバイクで灯台へと向かい、その阻止に追いすがる5人だが、洗脳バンに軽く蹴散らされてしまう(いわゆる、肉体能力を自制なしに限界まで引き出している状態か)。Dマグナムで吹き飛ばされた5人は変身が解けて地面に転がり、灯台へ向けて歩むデカレッドの背中を、遂に撃つホージー
「そうだ相棒、俺を撃て!」
地球水没を阻止する為には、それしかない。覚悟を決めたバンの言動に、ジェリフィスは敢えて足を止め、変身を解除。バンの生身を、仲間達の前に曝す。
「おまえ達に、仲間は撃てねえよな」
時々、塩屋浩三さんの凄く下品な演技を聞くと、妙にホッとします(笑)
物語に必要な下品さというか、実に、素晴らしい。
一度は引き金を引いたホージーだが、生身のバンを目の前にして、結局は銃を撃つ事が出来ない。
「おまえらそれでもデカか! そんな事だから俺は、ファイヤースクワッドにいけないんじゃないか。……馬鹿野郎」
まあここは本来ならホージーさんがシビアな判断を下せなくてはいけない所ですし、バンの言っている事は間違っていないのですが、どうして今日はそんなに激しく上から目線なのか。出世はかくも人を変えるのか。
その時――バンの覚悟に1人の男が応える。進み出たテツはデカブレイクに変身すると、ジェリフィス操るバンの射撃をものともせずに懐に飛び込み、ハイパーエレクトロフィストを心臓に直撃させる!
「やったなテツ…………後はお前に、まかせ……」
「心臓停止――信じらんねえ。こいつ、本当に撃ちやがった」
ジェリフィスはテツの体を奪おうとするがファイヤーフィストに焼かれて消え去り、息絶えたバンの周囲で悲しみにくれる仲間達……だが、テツは考え無しにハイパーエレクトロフィストを打ちこんだわけではなかった。バンの死体に歩み寄ったテツは、その体に電撃心臓マッサージを施す。
「先輩、起きて下さい! 正義は必ず勝つんでしょう?! 弾けてくださいよ先輩!!」
テツの叫びと必死の心臓マッサージが功を奏し、バン、蘇生。一か八かだったが、テツは電撃を調整してバンを仮死状態に置く事に成功していたのだった。
「俺以上に、火の玉野郎だぜ」
……テツ、到達点はそこでいいのか(笑)
展開としては、計算でやっても良かった気はしますが、火の玉2代目にされてしまいました。あと、テツの 洗脳 成長物語の着地点として悪くはないのですが、本人の台詞通り本来なら物語の大きな流れとしてもホージーがやるべき仕事であり、結局、テツとホージーは役割を分担する形になってしまった、というのは少し残念。
テツの見事な活躍でココカプセルによる大陸大爆破は阻止されバンも復活するが、焼け死んだかと思われたジェリフィスはまだ生きていた。海に隠れていた怪重機が出現し、バンはデカマシンの出動を要請。
久々にデカベースからマシンとバイクの出動シーン……と思ったら、それを見つめるエージェント・アブレラ
「案の定失敗だったな。ま、ジェリフィスならこの程度だろう。だが、ここからだ」
ポイント512では、ジェリフィスをジャッジメントするスデカロボ。
「クラーン星人ジェリフィス! 八つの惑星を水没させた罪! 並びに人の体を操って犯した、673件の窃盗! 及び214件の殺人の罪で、ジャッジメント!」
ジャッジメントタイムが発動する一方……
「ふふふふふふ……私の本来の目的をジェリフィスは果たしてくれた。今、地球署はからっぽだ」
アブレラ自らが操る巨大ドリルがデカベースに突撃し、沈黙するデカベース1階。デカレンジャーとデカマシンをベースから引き離し、その間に地球署に強行突入を仕掛ける……それこそが、顧客そっちのけで復讐に走るアブレラの真の目的であった。
カマシン出動時にスワンさんから「ちょっと遠い」という発言があったり、やたらに「ポイント512」が強調されるのが、ジェリフィスが知らずにアブレラの陽動作戦に利用されていた伏線として機能。
アブレラはベース内部に大量のメカ人間を放ち、署員との銃撃戦など、大盤振る舞いの多人数アクション。しかし、本丸に控えるのは100人斬りのデカマスター。果たしてアブレラは、如何にしてこの地球署の切り札を止めるのか?!
一方、ガトリングパンチでジャッジメント寸前だったスデカロボも、緊急事態の連絡に動揺した隙を突かれ、怪重機の反撃を受けてしまう。
アブレラの罠により最大の危機に陥る宇宙警察地球署。採算度外視、エージェント・アブレラ史上最大の作戦が、今始まる――。
おまけコーナーはさすがになく、ボスとアブレラの対峙で、次回への引き。
次回、儲けを捨てた商人の本気を、君は見たか!
センちゃん×ウメコジャスミン&ホージーと来て、バン&テツ回から、物語は地球署最大の戦いへ。テツは追加戦士として大きな破綻こそ呼びませんでしたが、独自の立ち位置も完全に確保しきれなかったのは、残念な所。戦闘能力ではバブル崩壊が激しく(描写のブレも大きく)、オカルトにかぶれてからはエリート部分はあまり表に出ず、最終的に二代目バンでは、配属先が悪かったとしか思えません(笑)
早々に地球署に馴染んだのは面倒くさくなくて良かったのですが、こうなるのならもう少し尖っていても良かったか。逆に後輩キャラで突き進むなら、もう少しバン以外のメンバーの影響を受けても良かったと思います。初期メンバー5人のメイン回をしっかり回しているしわ寄せで、メイン回が少なかったのも、不幸。登場編後、最もスポットの当たった過去の因縁話が、かなり出来が悪かったのも不幸。
ノーマルデカよりは強いけどマスターよりは弱くてSWATより強くないといけない気がするけど弱く見える、という、物語の都合で戦力ヒエラルキー上の位置が見失われたのも、少し可哀想でした。せめてチーフが追加装備ぐらいくれたらもう少し格好がついた気がするのですが、特凶は生粋の殺人拳集団なので、装備一つでデリートの極みを目指さなくてはならないのでありました。
破!