◆Episode.34「セレブ・ゲーム」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:武上純希)
夜の街を練り歩く怪重機軍団を止めに入るスデカロボ。3対1でも強いと思われたスデカロボだが、変形して空を飛ぶ怪重機ミリオンミサイルの高速機動攻撃を受けて倒れてしまう。
折角強かったのにスデカ……短い、栄華だった……。
危うしと思われたスデカロボだったが、ミリオンミサイルは何故か、市街地の一角を攻撃すると退却していく。
「あいつら、何をやってたんだ? 目的は、なんなんだ……?」
謎の怪重機軍団の破壊行為による被害は、エイリアンの一般市民1人の死亡。センちゃんとウメコは、正体不明の飛行物体が目撃されたポイント231――エイリアンの高級居住区へと捜査に向かう。
なぜかUFOの正式名称をcoolな発音で口にするホージーさんは、何がしたかったのか。前回のSWAT特訓編でちょっとまとめ役みたいな活躍をしてしまったので、上げた分は下げないと気が済まないのか。
「プアーな香りがするかと思ったら」
別荘地で聞き込みを開始したセンちゃんとウメコは、レジャーで地球に逗留しているという、イヤミ王子系デザインのサウザン星人ギネーカとその取り巻き、ハンドレ星人デーチョ、テンテ星人シロガーと遭遇。
「セレブのみなさんはどんな遊びをなさるんですか?」
「ゲームさ。一種の宝探しといってもいいだろう」
だが、野暮な邪魔が入って見つかっていないと言うギネーカは、星間評議会議長であるパパの権力をちらつかせ、2人を追い払う。ゲーム……野暮な邪魔……考え込むセンちゃんは、街で何故か地球に滞在していたハクタクと遭遇。ハクタクの店から薬箱を盗んだチャンベーナ星人ギンという、猫型もふもふ宇宙人を捕まえる。
ハクタク、まさかの再登場。地球滞在の理由は、「集めた宇宙漢方でセンちゃんとの結婚資金を稼いでからと思ってな」と、モテスキルが効果を発揮しすぎた模様。
「金は無くたって、心さえ豊かなら、恥ずかしい事はないんだぞ」
センちゃんはお腹を減らしたギンにもんじゃ焼きをおごりながら諭し、それに心打たれるギン。貧しい宇宙移民であるギンは、病気の母親の薬を買う為に拾った宝玉を換金しようとしたのだが、ハクタクにそれを拒否され、思いあまって薬箱を盗んだのであった……ところが突然、その宝玉がブレスレットとなってギンの腕にはまってしまう。
「次のゲームのキックオフのようだ」
もんじゃ屋に迫る怪重機。「どうやら狙われてるのは、俺たちらしいぞ」とセンちゃんとギンは地下に逃げ込み、センちゃんシンキング。
「わかったぞ……ハンティングだ。ギネーカの言っていたゲームとは、狩りの事だ」
そう、宝玉を身につけたものを狩り、それを回収する……それこそ、人を人とも思わぬ、極悪非道のセレブ・ゲームの正体であった。そして地下道に直接入ってきたギネーカの銃弾に、倒れるギン。
「おまえ達……自分達が何をしたのか、わかっているのか」
「ゲームだろ」
「なぁ、いつもやってることだよ。ははははは」
「堅いこと言うなよ。たかが遊びじゃないか」
「貴様らは……金持ちの皮をかぶった、悪魔だぁ!」
人の命を弄んでいる自覚すらないどら息子達に、センちゃん、怒りの変身。
しかし、「金持ち」って二人称としてはあまり好意的なニュアンスを感じないので、「金持ちの皮をかぶった悪魔」って、皮の被り方が微妙で台詞としては少々決まらない感じに(^^;
「サウザン星人ギネーカ及び、その一味デーチョとシロガー。ゲームと称して、数多くのエイリアンを殺害した罪は、あまりに大きい。ジャッジメント!」
宇宙最高裁判所は抹殺執行を許可するが、余裕を見せるギネーカ。
「宇宙最高裁判所だって、僕たちには手が出せないさ」
「デリート許可!」
「ありえない判決だな。パパに取り消してもらおう。はっはははははは」
うん、こう、下手すると、パパごとデリートなキガスル。
「ふざけるなぁ!!」
激怒するグリーンは3人に掴みかかるが、そこへ背後からイガグリ先生が強襲。アブレラさん大盤振る舞いでまさかのイガグリ先生3体に輪っかメカ人間まで加わり、その間に3人は逃亡。多勢に無勢のグリーンだったが、そこへ仲間達が駆けつける。
「テツ、マシンボクサーが一番早い。ギンをメディカルセンターに運んでくれ」
足手まとい、華麗に追い払われる。
「奴等、絶対許さない。SWATモード・オン!」
前回は装着済みで参上したので、初のSWATモードへの換装シーン。デカスーツ同様に、SPライセンスからコールして、デカベースから強化装備が送られる宇宙警察の伝統的な電送システムである事が判明しました。頭部装備は、マスクの耳っぽい所が開いて、そこから生えてくる感じに。
圧倒的な火力で、対する悪にジャスティスを執行するSWATモードにより、イガグリ先生、とうとう雑魚扱い。
変なキャラ立ちしていたのに、もう駄目そうだ……!
怪重機に乗り込み逃亡をはかる坊ちゃんズだったが、その前に高速機動戦闘も可能な、SWATモード対応の新メカが出撃する……その名を、パトウイング!
「生けとし生ける者の命を、遊びで奪うなんて、絶対許せない!」
「みんな、合体するのよ」
事件の内容と関係なく、新メカのお披露目に今日は凄く楽しそうなスワンさん。これまでと違って、心ゆくまで調整完了した上での出撃だからか。
「ロジャー! 特捜合体!」
「「「「「ビルドアップ・デカウイングロボ!」」」」」
5体の飛行メカが空中合体、二丁拳銃パトマグナムを構えた、高機動メカ・デカウイングロボが、ここに誕生。
前半実写ミニチュアにこだわっていた今作なので、ミニチュア合体を見たかったのですが、ウイングロボは変形から着地からアクションから、CG多量で、好みとしては残念。あと、基地が変形とか白バイロボと比べると、いきなりの飛行メカに物凄く脈絡がないので、出来ればもうちょっと本編世界と絡めたネタにして欲しかった所ではあります。ボリューム的には最強ロボという感じはまだちょっとしないけど、デカレンジャーロボ+デカバイクロボ+デカベースロボ+デカウイングロボによる、抹消王D12とかあるのでしょうか。
惑星規模で、ジャッジメント!
デカウイングロボは二丁拳銃でデーチョとシロガーを怪重機ごと爆殺。
「デーチョ! シロガー! 遊びなのになんて酷い事するんだ!」
「いつまでお遊び気分なんだ、ギネーカ!」
この期に及んで自分達の行為を顧みないギネーカは高空に逃亡を図るが、デカウロボはそれを追撃し、空中戦に。ミサイルを回し蹴りで撃墜し、怪重機を地面にはたき落とすと、ミリオンミサイルに積み込まれた反重力エンジンの暴走を防ぐ為に、掴み上げて急速上昇し、大気圏を離脱。
「特捜変形・デカウイングキャノン!」
デカウロボは、宇宙空間で一度分離すると、自ら巨大な銃形態へと変形。どちらかというと、こちらがやりたかったのか、となんか納得。デカウイングキャノンはDリボルバーと連動しており、コックピットでDリボルバーを構えるデカレンジャー。
「標的になった人の気持ちを、思い知れ!」
強力な必殺砲が宇宙を走り、ミリオンミサイル、成層圏で大爆殺。
かくして一件コンプリート、だが……悲痛な思いを胸にセンちゃんがデカベースに戻ると、死んだと思いこんでいたギンが、スワンに懐いていた。なんと、手癖の悪いギンが記念に懐に失敬してきたもんじゃ焼きのコテが銃弾を受け止め、幸運にもギンの命を守っていたのだった。ハクタクに事情を話してギンの母親の薬も調合して貰える事になり、これにて本当に、めでたく一件コンプリート。
テツ? そろそろ本部が恋しくありませんか?
……真面目な話、ロボ戦ですら存在意義を失ったブレイクのパワーアップ編はあるのか、本気で心配です。さすがにこのまま放置プレイは無いかと思いますが…………はっ?! 今気付いたのですが、スワンさんですら一回しか経験した事のない人質を既に2回も体験しているテツは、今一番、地球署でヒロインゲージが高いのでは?!
そっちか!(待て)
権力者のどら息子が反省なく遊びで犯罪を重ねる、という人間でやると気分悪くなりがちなエピソード(とはいえ、フィクションとしてはそこまで含んで敢えてやるテーマではある)なのですが、着ぐるみでやるとコミカルになりすぎた感じ。
また逆に、倫理観を失っているドラ息子達に、アリエナイザーの連続殺人犯との差異が感じられなかったのは残念な所。例えば、貧乏人の命を軽んじている事を台詞で示すなど、それらしい差別化をもう少し意識的に表現して欲しかった所です。
加えて、対する宇宙警察が、弁護人も情状酌量も認めずその場で死刑の組織なので、むしろ鬼畜に見えてしまうという(^^;
一般的には、
遊びで人を殺すんじゃない! → 命を大事に!
なのですが、『デカレンジャー』世界では、
遊びで人を殺すんじゃない! → 殺す時は本気で殺せ!
なので、ネタと作品世界の食い合わせが悪かった感じ(^^;
このシナリオを成立させるには、坊ちゃんズをもっと非道に描くしかなかったと思うのですが(行為は充分に非道ですが、全体的に描写はかなり甘い)、児童向け特撮刑事ドラマのバランスとしてそれが出来なかったので、視聴者の感情移入による(センちゃんとの)同期を狙って、貧乏で見た目可愛い宇宙人が被害に遭う、という一点突破を図った形に。素直にそれに乗れたらアリかもしれませんが、センちゃんの貧乏告白などは、あからさまにあざとくなってしまいました(非行少年の心を解きほぐすためにその場ででっちあげた可能性もありますが)。
逆に、坊ちゃんズ3人が凄い悲惨な追い詰められ方をした末にデリートされる事でカタルシスを生むという方向もあったかと思いますが、そちらにも振れませんでしたし。
戦隊だから、という意識も強いのかもしれませんが、武上さんは、良くも悪くも真っ当なんだよなぁ、と改めて思うエピソード。また監督もそれを受けてマイルドにしすぎたかな、と。
あと、繰り返し名前を出していたのでパパが途中で介入してくる展開があるかと思ったのですが、全く出てこなかったので……あー、これは……既にパパにも手が回ったな…………ジャッジメント!