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『特捜戦隊デカレンジャー』感想26

◆Episode.37「ハードボイルド・ライセンス」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久
深夜、踏切の音に紛れて謎の怪人に殺害される女性。怪人は女性の首筋に白いバラが咲き、それが青く染まるの確認すると、花を持ち去って姿を消す……。女性の突然死事件として処理された為、アリエナイザーによる不可思議犯罪としてSPDに報告が上がる事は無かったこの事件が、悲劇の幕開けであった……。
て、次回予告から不幸な予感満載のホージーさんメイン回、OP始まる前から悲劇って断定された!
そんな天の声はつゆ知らず、めかしこんで鏡の前で回っている、今日も絶好調で残念な元エリート。
「OK。unn...Perfect」
なんて完璧な掴み(笑)
「……なに、回ってんの?」
「気にするなセンちゃん、グッドラック」
やたらめったら上機嫌で休暇に繰り出すホージーの姿に、女の影を感じる仲間達。更にボスの口から、現在ホージーが特凶昇進試験を受けていて、第四次試験までパーフェクトに通過。後は最後の実地試験を残すのみ、と仕事の方も絶好調である事が判明する。
通常任務をこなしながら、特凶の試験勉強を両立させているホージーに驚嘆するテツ。
「ナンセンス?」
「いえ、マーベラス。凄いです」
しかし最近、テツのバブルが崩壊しすぎなので、“特凶になれそうなホージーさん凄い”というより、“テツもこれだし、結局ホージーでもなれるレベルなんだ特凶”としか思えないのが凄く困る(^^;
「励ましてくれる人の存在が大きいのかもしれんな」
前回の今回なので、妙に実感の深いボスの台詞(笑)
とうとう、部下の前で堂々とのろけだし始めました。
場面変わって、静かな雰囲気のバーで、ギターの弾き語り。
アバンタイトルでの珍しい直接的な殺人描写から、通常営業のコミカルなノリで一息、そこからまた一転しんみりとした大人の雰囲気、と今回は全体的にシナリオと合わせて一風変わったトーン。
「胸に染みたぜ、テレサ
酒場の歌姫テレサ、彼女こそが絶好調ホージーの力の源、ホージー意中の女性であった。
グラスを手にして咳き込むテレサを気遣うホージー
「この星のお酒、マイク星人の私には、強いんだもの」
そこへテレサの弟クロードが現れ、彼女を連れ帰ろうとする。
「私は好きなの……歌う、事が」
やんわりと断る姉を心配しながらクロードは帰っていくが、ホージーに対しては、視界に入っていない感じで、無視。
「どうも嫌われてるな」
……まあ、姉の恋人が残念だったらなぁ……(笑)
恋人達が語らう中、その夜も若い女性が謎の怪人に襲われるが、それを一般警察に目撃される。テレサを家まで送ってアタックをかけたホージーが言葉を濁された所に、アリエナイザー逃走中の連絡が入り、ホージーは5人と合流。地下駐車場へ追い詰めて腕に傷を負わせるが、逃げられてしまう。
調査により、被害女性の体内から、特定の栄養素だけが完全に抜き取られていた事が判明。同様の症例の突然死が洗い出され、繋がる事件。更にヌマ・O長官からの連絡により、七つの惑星にまたがって数十件にのぼる被害が発生している事から、事件は広域宇宙犯罪に指定され、48時間以内にこの事件を解決する事が、ホージーの特凶昇進最終試験となる。
「頑張れよ、相棒」
「サンキュ。だが、相棒って言うな」
解消する気満々だから!
遺留物から、恐らく犯人はマイク星人の男性と推測されるが、心当たりについて思わず口をつぐむホージー……その頃、姉はまた、歌っていた。
安アパート、哀愁のバラード、当然部屋は線路沿い。
素晴らしい(笑)
夜が明けて、青い花を手に帰宅するクロード。
「この星でも見つかったの、その花?」
腕の怪我に呻くクロードを心配するテレサに、弟は真実を隠して笑ってみせる。
「それを摘む為に、何か危ない事してるんじゃないの?」
「心配性だな、姉さんは。谷間に咲いていたのを、摘んできただけだよ」
顕微鏡で青い花のエキスを分析したクロードは、それが姉の病気を治せる薬になるという確信を得る。それを聞き、ホージーと二人で写った写真立てに視線をやるテレサテレサがホージーの告白をそれとなくかわしていたのは、自身の体の病気の為であった。だがそれが治るなら……その時、アパートをホージーが訪れる。
「君に聞きたい事があるんだ」
アパートを離れ、線路脇で向き合うホージーとクロード。
「これは俺に受けた傷だな?」
「だったら……だったらどうだって言うんだ!」
「重要参考人として、連行することになる」
サスペンス展開という程ではないので、犯人はあっさり判明。だがクロードが殺人を繰り返すのは、姉・テレサの為であった。
「姉さんは元気そうに見えるけど、このまま放っておいたら、あと僅かしか生きられないんだ!」
テレサが……」
幼い頃に両親を亡くし、貧しい生活を送る中で弟の為に必死に働いていたテレサは、ある鉱山惑星で労働中に大量の放射線に被曝し、重い放射線障害を負っていた。医者となったクロードは姉の治療法を探した結果、ある白い花を青く咲かせる成分が特効薬になりえる事を発見。幾つもの惑星で人体実験を繰り返した結果、遂にこの地球で、地球人の若い女性の体に姉の治療に最適な物質を発見したのであった。
ここでまたも、姉バラードON。
昔懐かしいタイプの演出です。
テレサが余命僅かという事実に呆然とするホージーから逃げ出したクロードは、ガード下で若い女を見かけてマイク星人の姿に変身。女に襲いかかろうとするが、幼い弟が女性に話しかける姿を見て躊躇っている内に見つかって悲鳴をあげられ、再び逃亡する。
姉の為に一線を踏み越えて狂っているクロードに残る情の部分……犯人捜しに尺を割かず、このシーンを入れた事で、エピソードの持つドラマ性が、非常に深まりました。
ホージーはアパートに戻ってドアノブに手をかけるが、そこで本部から逃亡中のクロードの目撃情報がもたらされる。
結局、ドアを開かずに立ち去るホージー
特凶昇進のかかったホージーの為にと、盛り上がりながら出動する5人。
ギターと傘を手に出勤するテレサ
逃げるクロード。
――闇に沈む街に、降り出す、雨。
地下道を走るクロードはまたも女性を襲おうとするが、間一髪、それを阻止したデカブルーは、クロードへSPライセンスを向ける。
出勤中のテレサの前で青信号が点滅し――赤へと変わる。
「俺が居なくなれば、姉さんは死ぬんだぞ。それでもいいのか」
「俺は、デカなんだ……」
「姉さんを好きだっていうのは、嘘だったんだな!」
「嘘じゃない。愛してる」
Dライフルを向けられて地下道を飛び出したクロードは、地上に出た所で一般人を攻撃しようとし、背後から引き金を引くデカブルー。そして――……通勤途中で人だかりに気付いたテレサはその中を覗き、地面に倒れて動かない弟の姿を目にする。降りしきる雨の中、弟の亡骸を抱えて絶叫するテレサ。それを見つめながら、ホージーはただ、雨に打たれ立ち尽くすのであった……。
最終試験を合格した事によりホージーには憧れの金バッジが送られてくるが、ホージーは特凶への昇進と配属を辞退、地球署に残る事に。あの後、メディカルセンターで検査を受けた結果、テレサ放射線障害は回復に向かっていた事がわかる。それは、クロードの治療の効果だったのか、それとも……
「それよりも、地球に来てからの彼女に、生きたいという思いを強くさせる、何かがあったんじゃないかしら」
しばらく後、墓参りに、ある寺を訪れたホージーは、墓地で一人の尼とすれ違う。
――見覚えのある風貌、それは間違いなく、事件の後に姿を消して行方不明となっていたテレサであった。
今回のテーマ曲をバックに二人はしばし見つめ合い、しかし、無言のまますれ違う。
弟が自分の為にしていた事の真実を知ってしまった今、テレサは自分の幸福を求める事はもはや出来ず、ホージーもまた、自分の思いを押しつける事は彼女を追い詰めるだけだと、悟らざるを得なかったのだ。
弟と被害者達の菩提を弔って生きる道を選んだテレサと、デカである事を貫いたホージー。二人は二度と交わらぬ道で、束の間、己を押し殺し、振り返らぬまま歩いて行くホージーの背中……でEND。
……やりきった!!
尼になって菩提を弔う、とか、久々に見ました。
多すぎたり、作り手の自己満足になりすぎると問題ですが、年に1本か2本ぐらい、いつか大人になった時にわかってもらえればいい、というこういったエピソードがあってもいいと思います。
その際に大事なのは、中途半端にしないで、やり抜く事。
酒場の歌姫、安アパート、懸命に暮らす姉弟、ギター、バラード、ロマンス、電車、と目一杯詰め込み、演出のトーンも抑えてやりきりました。クライマックス、恐慌状態の弟が通りすがりの女性と間違えて姉を殺してしまう、という展開も脳裏をよぎったぐらい。
最後、墓参りのホージーにブラックスーツを着せる事で、ラストシーンからヒーロー物の要素を違和感ない形で出来る限り取り除いている、というのも今回に関しては良し。
その上で、演出の白眉は、ジャッジメントシーン。
普段通りにそのままやると少しコミカルになってしまうジャッジメントを他のものになぞらえる事で、今エピソードの雰囲気を壊す事なく、しかし今作としての特性をそのまま残し、ちゃんと『デカレンジャー』しました。これが凄く大事。
毎度こんなトーンは出来ない、というのがわかった上で意識的に全体を作り込んだ1本。くしくも35話とは対照的になったといえますが、まあ、ロボ戦省いた所も含めて気軽に出来ない展開なので、メインライターの立場的有利さというのもあったかもしれません(^^;
こんなラストでどうするのかと思われたおまけコーナーは、さっくりと前回登場デカスワンの話。“4年に一度しか変身しない女”らしい(笑)
次回、バン、また走る。