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ロボットその名はK,K

先週から配信スタートのロボット刑事1−2話を視聴。
◆第1話「バドーの殺人セールスマン」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:伊上勝
◆第2話「目撃者はゼロ」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:伊上勝
刑期を務め終え、入所前の約束通り、かつて強奪に成功した10億円を2人の仲間と山分けしようとする男・黒田。だが、犯罪者仲間は取り分が減るのを惜しみ、黒田をのけ者にしようとしていた。そんな男に接触する怪しげな車。謎の組織バドーは、裏切った2人の仲間を消して10億円の隠し場所を吐かせる為の、殺人レンタル契約を黒田と結ぶ……と、なかなか渋い入り。
バドーの殺人ロボット・ワッカマンは、分離した体で通風口から入り込み、再合体して標的を抹殺。これにより、人間には不可能な、密室殺人事件が発生する。
黒田の出所にともない、かつての10億円事件の容疑者を張っていた、芝と新條の2人の刑事はこの殺人事件に遭遇し調査。窓の鍵を調べたり、鑑識を呼ぼうとしたり、と刑事もののセオリーを踏んで展開した所で、1人の刑事が現場にやってくる。やけに固い体をトレンチコートに包み、奇妙な鋼鉄のお面を被った男……いやそれは、お面ではない。彼の名は、ロボット刑事・K!
序盤ここまで、犯罪の成り行きと刑事の動きを割と丁寧に描き、その上で、秘密結社の怪ロボットが不可能犯罪を起こす、というのはなかなか面白いコンセプト。そして長官命令でベテランの芝刑事と組むように言われてやってきたKは、根本的にその存在を疑われている事もあり、いかにも叩き上げで古くさい芝刑事と、全く噛み合わない。
いきなりやってきて信頼されない上に、人間の感情を理解できないK。刑事としては色々と問題がありすぎる気もしますが、人間とロボット、足の捜査と科学捜査、古い刑事と新しすぎる刑事、と幾つかの要素が組み合わさって、Kが単純なヒーローとして受け入れられない、というのは面白い所です。
結局、両刑事の理解を得られなかったKだが、超聴覚により現場を離れる輪っかロボの動きを察知。単独で追いかけて戦闘になるが逃げられてしまい、翌朝、何事もなかったかのように芝刑事のお出迎えにあがる(笑)
機械野郎がけったいで仕方がない芝刑事の、「嫁入り前の娘に変な噂が立つと困るから家には近づくな」という台詞が、なんともいい。そんな事を言いながら、ド派手なKの車で出勤する芝刑事(笑)
いったい警視庁の上層部は何を考えて、Kに黄色い鳥打ち帽被せて真っ赤なジャケット着せて、赤と白の奇妙な車に乗せたのか。
一方その頃、新條刑事が詳しく調べていた昨夜の現場に、窓から千葉真一が飛び込んできた。そして窓から帰って行った。
血縁関係などによる特別出演かと思われますが、劇中でも実際に兄弟役。
昨夜の衝突もありKとのコンビはまっぴら御免だと上司に反駁する芝刑事だったが、階級社会の悲しさ、特別科学捜査室長に任命するとの辞令を受けて、配属を変更されてしまう。ロボット刑事による最新鋭の科学捜査……が謳い文句の筈の特別科学捜査室だったが、あてがわれた部屋は放置されていた物置同然で、どう考えても島流し部署。……上層部で何があったのかわかりませんが、上の方でもKを持てあましている、という事だけは強く伝わってきます(笑)
だがそこには、芝をおやっさんと慕う新條が、自ら強く希望して共に配属されていた。更に情報屋の地獄耳平が顔を出し、特別科学捜査室は過去の10億円強奪と絡むと思われる、密室殺人事件の捜査を続ける事になる。
地獄耳からの情報により、10億円事件のもう1人の容疑者だった男が、出港させた小型フェリーの中に立てこもっていると聞いたKと新條は現場へ向かうが、既に男の前に輪っかロボットの魔手は迫っていた。海に飛び込んでフェリーに乗り込んだKは輪っかロボットの前に立ちはだかり、相手の「死ね!」という言葉にエキサイトしたのか、ジャケットを脱ぎ捨てると瞳が真っ赤に変わり、ファイティング全裸モードを発動する!
変身しない代わりに服を着込んでいるという珍しいヒーローのKですが(後のジャンパーソンのジャンパー脱ぎはオマージュか)、ただ全裸になるだけではなく、瞳の色が黄→赤に変わる、というアクセントがいい味を加えています。
そして突然、観音様のように虚空に浮かび上がる、K似の巨大ロボット。
凄まじく奇妙な映像になった上に、さっぱり意味がわからないのですが、Kが「マザー」と言っているので、とりあえず、Kサイドの存在の模様。実際に出現しているというよりはKにだけ見ているような気がしますが。あとナレーションが「巨大ロボット」と言っているのですが、本当に、ロボットなのかも疑わしい。
マザーに見守られながら船上で輪っかロボットと激突するK、両者の戦いが盛り上がってきた所で、まさかの……つづく!
思わぬ連続物となりましたが、輪っかロボットは2話冒頭で、Kに再結合装置を破壊されて、爆死。
物的証拠になりうるバドーの殺人ロボットを、木っ端微塵に吹っ飛ばすK。…………さすが、東映刑事ヒーローの元祖的存在(笑)
輪っかロボットを倒したKだったが、立てこもり中の男はバドーの送り込んだテナガマンにより抹殺されてしまう。死体抱えて困っている所に通報を受けた水上警察がやってきて逮捕されたK、2話にして留置場を体験。反省する。
芝刑事の尽力もあり、刑事だと認めてもらって釈放されるKだったが、警視庁上層部はロボット刑事の存在認知を全くはかっていない様子が窺え、本気で扱いに困っている様子です。社長の息子が描いたイメージキャラクター、みたいな感じ。
「密室殺人の犯人は殺人ロボットだったんですよ!」と報告するKだが、その証拠となるロボットは自ら粉微塵にして海の底に沈めた為、当然信用して貰えない。
最新型分光器とか超聴覚とか速射破壊銃とかの前に、Kには刑事ロボットとして搭載すべき機能がもっと他にあったのではないか。
この辺り、Kの「刑事としての成長を描く」のも作品コンセプトなのかもしれませんが、現状、本当に刑事ロボットなのかどうか疑わしすぎて、そちらの要素は入るのかどうか(^^;
殺された男の言い残した暗号をKは簡単に解読し、10億円の隠し場所へ急ぐ芝と新條。度重なる不祥事に居残りを命じられ、殺人ロボットも知った筈だから今から行っても無駄なのになぁ……と青い瞳で呟くKの、人間は理解に苦しむ、というロボットの視点が入るのは今作らしいウィット。
2人の仲間の死により10億円を手に入れた黒田は、半分の5億円をバドーに払うという契約を一方的に破棄し、10億全てを自分のものにしようと欲をかいた事で、契約違反でバドーに狙われる身となる。むしろ、契約通りに5億貰えればOK、という所にバドーの犯罪結社としての矜持を見ます(笑)
地獄耳平の情報(超優秀)、Kや両刑事、今回もゲスト出演の千葉真一の活躍もあり黒田は逮捕されるが、10億円は手長ロボットによって奪われてしまう。回収した契約金を地味にヘリコプターで運ぼうとするぶバドーだが、その時、Kがヘリに飛びつく! しかし地上のテナガマンによってKはヘリから振り落とされ、飛び去っていくヘリコプター!
だがKは、飛びついた際にヘリに時限爆弾を仕掛けていた!
10億円を乗せたまま、吹っ飛ぶヘリコプター!!
全裸ファイティングスタイルを発動したKは手長ロボットと戦い、殺人の実行犯であり、未知の科学力を持った犯罪組織の物的証拠となる筈のバドー怪ロボット・テナガマンは、車に突っ込んで爆死。
K「これで、全ては片が付いた」
駄目だよ、全然駄目だよK!!
「なんだと。ロボットは自爆して、10億円は灰になっちまった? 貴様それでも刑事か」
さすがに、怒られました。
相手が自爆したのは仕方ないとしても、Kがこの結果に何の疑問も抱かず満足している所がダメすぎます(笑)
まあそれはともかく、黒田は逮捕したし一杯やりにいくか……とひとまず和やかになる特別科学捜査室だったが、Kの超聴覚が留置場に迫る気配を捕らえる。黒田は留置場で何者かに暗殺され、その言い残した「バドー」という言葉だけを3人は知る……という所でつづく。
マザーに関しては全く謎のままでしたが、Kが輪っかロボットを爆発四散させたところで首を左右に振って駄目出しをしていたので、Kにおけるガンツ先生的なものか。K、落第!
次回、ジリキマンの磁力で工場の時計が狂ったように爆発する……
第3話、「時計発狂事件」。
狂っているのは、時計か、バドーか、この世界か。
久々に、凄まじいパンチ力。
これが、1973年か。
ただ、2話完結形式でのサスペンス展開、刑事物としての細かいギミック見せ、あまりにもダメすぎるK、と全体としては思ったより面白かったです。変身ヒーローの絶頂〜飽和期の作品という事で、少しひねった感じが、いい方向に作用。Kの相棒を若手刑事だけにしないで、いかにも頑固そうなベテラン刑事も交えてギャップを強くしている所も面白い。
あと余談ですが、水木一郎の歌声はこの頃が一番好きだなぁ。