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『仮面ライダーキバ』感想9

先週分。
◆第11話「ローリングストーン#夢の扉」◆ (監督:舞原賢三 脚本:井上敏樹
知っているか!
ロックンロールとは、1950年代半ばに現れた、アメリカの大衆音楽である。その起源は、ソウルミュージックケルト音楽の融合だといわれている!
今回の最注目ポイントは、静香、キバットとごく普通に話す。
以前から、キバットは今ひとつ隠れている感じがしないけど、静香はどこまで認識しているのかという疑問がありましたが、今回初めて静香とキバが同じ画面に入って会話し、静香は少なくとも喋るメダルコウモリであるキバットについては認識している事がハッキリしました。
謎のコネクションも持っているし、凄く大物なのかもしれない、この娘。
1986年――麻生ゆりはその母、あかねの墓参りをしていた。
あかねはイクサの設計者であり、素晴らしき青空の会の創設メンバーでもある嶋の同志だったが、2年前にファンガイアに襲われて死亡していた……という所から、ゆりの回想シーン。
…………え、待って、ゆりさん、2年前、女子高生だったの?!
瀕死の母に駆け寄るも、伸ばした手が届く寸前で、ライフエナジーを吸い尽くされた母の手が硝子のように砕け散る、というのは印象深い。
職員を皆殺しにして研究所から走り去ったバイクのファンガイア……ゆりがファンガイア撃滅に力を傾けるのは、母の仇への強い憎しみ故であった。
と、イクサと絡めてゆりの背景がようやく判明。そしてますます、悪の秘密結社以外の何物でも無くなっていく素晴らしき青空の会。
2008年――
「凄い……! なんなんだこの音楽」
バイオリン作りに悩んでいた渡、ロックにカルチャーショックを受け、正座(笑)
公園で練習をしていたロッカーと仲良くなり、借りたエレキギターを練習してほどほど上手くなった渡は、初ライブを前にメンバーに逃げられてしまったロッカーに「俺と一緒にバンド組まへんか!」と誘われる事に。
父さん、母さん、遂に、友達が出来ました。
「じんじん来るで」が口癖の気のいい関西弁ロッカーは、実はファンガイア、ではない事を祈らざるを得ません(^^;
「人呼んで、嵐を呼ぶドラマー、野村静香!」
で、女子高生が新たなスキルを披露しバンドに参加。肩書きがえらく古いですが、この娘、戦前から人間社会に溶け込んでいるファンガイアとかではなかろうか(もう何も信用できない)。
名護さんと和解した渡は、
「キバを探してほしいんだ。俺はこの手でヤツを倒さなければならない」
と、名護から頼まれる。果たして、名護はどうしてそこまでキバにこだわるのか。
「俺がキバを倒したい理由は一つだけだ。ヤツを倒す事で、俺の正義が完成する。そう、絶対正義がな」
……何か濃い自分ルールが設定されている事だけはわかりました(^^;
めぐみをストーキングする蜘蛛男が再び現れ、名護はイクサに変身。
「その命、神に返しなさい」
1986年――母の形見ともいえるイクサシステム完成の報が入り、ファンガイアにぼっこぼこにされても、ゾウリムシに付きまとわれても、ひたすら上機嫌のゆり。だが好事魔多し、突然ファンガイアの襲撃を受けて危機に陥った彼女を救ったのは、そのイクサ!
「どうして……。どうしてイクサが。あたしの……イクサが!」
イクサナックルが炸裂し、1986年で初のファンガイア撃破。完全にイクサ1986の噛ませ犬という事でか見せ場も何もないファンガイアでしたが、ハサミムシ?
なおこの間、音也はずっと気絶していた。
2008年――イクサに圧倒されて逃げ出した蜘蛛ファンガイアの前に立ちはだかるキバ。イクサはバイクで蜘蛛を吹き飛ばすと、キバへとその剣を向ける。名護さんの脳内では「キバこそ人類最大の敵」という設定のようですが、今回も徹底的に、打倒キバ優先。イクサは銃の連射でキバを追い込むと、バイクに乗りながらの擦れ違いざまの一閃イクサエンドを炸裂させ、キバは海へと落下する……。
「勝った……俺はキバに勝った……勝ったんだぁぁぁぁぁぁ!!」


◆第12話「初ライブ#黄金のスピード」◆ (監督:舞原賢三 脚本:井上敏樹
OPに、イクサ追加。
イクサエンドを受けて海に落ちたキバは命は取り留めるものの、左腕を負傷。このままではライブが……て大事なのそこ?!
渡は根本的に、後ろを振り返らなすぎるのですが、これは、血統的問題なのか。
1986年――ゆりの前で変身を解いたイクサの中身は、次狼であった。ゆりは嶋に抗議するが「イクサは人類のものだ」とにべもなくあしらわれ、きーっ、この泥棒猫!みたいな捨て台詞を次狼に叩きつけて喫茶店を出て行く。
素面で「人類」を神輿にできる嶋さんは、キチガイか宗教家か極悪人の、どれか或いは全て。
2008年――名護はキバを撃破した事を嶋へと報告。
「後はファンガイアを全て殲滅するのみ。その為にはもっと、青空の会を大きくする事を提案します。私が組織の長となり、ゆくゆくは世界の在り方を管理したいと考えています。いかがですか?」
「こりゃまた、大きく出たもんだな」
急に誇大妄想じみた発言が出てきましたが、まあ、素晴らしき青空の会=悪の秘密結社だと考えれば、むしろごく自然と言えましょう。
天敵の撃破の次は人類の管理です。当たり前です。
左腕の怪我の事を言い出せない渡はバンドの練習が上手くいかず、ロッカーと一緒に芝生に転がっているのは、なんだか友達ぽくていい感じ。そこに上機嫌で現れた名護は二人にミネラルウォーターを恵み、そこで渡の怪我が発覚。首に巻いていた変なストールを躊躇いなく包帯代わりに使い、久々にいい人アピールをする名護さんだが、エレキギターを見て顔をしかめる。
やっぱり、ロックは悪魔の音楽なのか。
水のお礼に、とエレキをデケデケいわせ始めたロッカーを、実力行使で殴り飛ばして歩み去る名護さん……多分、「おっさん」呼ばわりが許せなかったので、議会は満場一致で名護さんの無罪を認めようと思います。
人間を襲う蜘蛛を断罪しようとしたイクサは、キバが生きているという情報を得て、蜘蛛を脅しつける。
「貴様、命が欲しかったら俺の言う事を聞きなさい」
蜘蛛は弱体化が激しすぎて、すっかり三下属性になりつつありますが、変態の行き着く先はどこなのか。3回目の登場になりますが、ネタ的に引っ張って楽しい、というキャラでもないのが困りもの。
1986年――自棄になったゆりは音也をデートに誘い、ハイテンションなゆりに振り回される音也。ゆりの悲しみを知った音也は、イクサをゆりに渡してやってほしい、と次狼に土下座を敢行。続けてゆりも、並び土下座。
「次狼……お願い、イクサをちょうだい、あたしに。お願いだから。イクサの力があれば、あたしは…………きっと……お母さんの手を握る事ができる」
「それは違うぞ、ゆり」
並んだ土下座の前で不意に倒れた次狼は、そのまま病院に運ばれてベッドに横たわる。イクサは未だ完全ではなく、装着者の身体に負担の大きすぎるシステムだったのだ……て、さらっと人体実験したぞ、この外道。
ベッドの上の次狼は不完全なイクサで戦う自分のサポートをゆりに頼み、いい雰囲気レベルが上昇する二人。
その頃音也は、画面のどこにもいなかった。
2008年――渡の代わりにバンドに参加する事になった恵が蜘蛛にさらわれ、渡はキバに変身して駆けつけるが、そこに現れる名護さん。描写としては匂わせるにとどまっていますが、これは名護さん、蜘蛛(恵)を囮に使って一線踏み越えてしまったという事なのか。
名護のストールが飛び去ったのは、二人の決裂か。バイクにまたがったイクサに対抗してキババイクも久々に登場し、新しいお薬を注入するキバ。
「凄いのが来るぜぇ!」
お城から飛んできた顔面のようなパーツがバイクと合体し、マシンゴウラム化。そのまま普通にバイク対決なら盛り上がったのに、キバの方がCGになってしまい、非常に残念。
最後は空中でライダーキックがぶつかり合い、吹き飛んだイクサの変身が解けて名護さんは泥水の中を転がる羽目に。
「馬鹿な……俺が、イクサが負けるなんて! 嘘だ! 嘘だぁっ!」
半分女子になってしまったイケメンズの初ライブでは、渡がなんとかボーカルを務め、また一つ、真人間への階段を上るのであった。しかし数話前に、「自宅」で「得意のバイオリン」で「近所の人」相手のミニコンサートでも大失敗した渡が、ロックバンドのボーカルというのはレベルアップが飛躍的すぎて、いいシーンとは言い難くなってしまいました(^^;
ロッカーとおずおずと友達になっていくくだりは面白かったのですが、渡のコミュニケーション不全は急に階段すっ飛ばしてエレベーター使うので、今ひとつ積み重ねのドラマが成立していません。嫌々書いている感じというか、どうも物語の軸として成立していないのが、現代編の気になるところ。
ところで今回のサブタイトルに「初ライブ」とありますが、このバンドネタは引っ張るのか。
演出面では前回、変態蜘蛛でかっとばした舞原監督も、今回は控え目で、全体としてやり過ぎ禁止令が出た模様。今作は極端な話、流れが停滞してきたら過去編を挟むと空気が変わるので、全体としてはテンポ良くカツカツ進んで見える、という特性があるのですが、もう一押し、全体の安定感が欲しい。