先週分。再びどん底へ。
◆第19話「電子手帳返上!」◆ (監督:岡本明久 脚本:杉村升)
サブタイトルだけだと、凄く大した事が無いように読めて困る。
前回、秘書ズに橋から投げ落とされて損傷したハリー、板倉博士の了解を得た上で修復されたついでに、ボーイと悪魔合体。
今ここに、パンダの外見とボーイの頭脳を持った、冷酷非情のピースメーカー、マシン:ハリーボーイが誕生した!
どうしてハリーが再登場したのかと思ったら、まゆみちゃんのリタイアに合わせて作品のマスコット分を補強すると共に、動けないのがネックだったボーイを移動可能にするという、一石二鳥のテコ入れでした。結果として、あおりを受けてボーイの声優さんまで降板する事に。
その頃、弱ったジバンに攻勢をかけようと目論むギバ様は、研究施設から大量の「怪物の素」の出前を頼むが、運び屋が途中で事故を起こし、その内の一つを紛失してしまう。まなみという女の子に拾われた「怪物の素」入りビンは直人の手に渡り、ジバン一味に解析される事に。約10日でこの「怪物の素」の分析が完了すれば、バイオロン怪人に対する決定的な対策が打ち出せると意気上がる一味だが、ギバ様も慌ててビンの捜索を指示。まなみの入院する病院を、チュウシャノイドが襲撃する。
チュウシャノイドはカマキリ+軟体生物系のデザインで右手に注射器、と微妙に怪人も路線変更なのか。
まなみ一家を守り、ざくざくとバイオロン戦闘員を銃殺していく先輩は、どんどんFPSの主人公のように(笑)
だが、ジバンが注射ノイドに苦戦している間にまなみはさらわれてしまい、バイオロンはまなみとビンの交換を要求。解析中のビンの返却を求める直人だが、柳田はこれを拒否。まなみ両親の悲嘆を見た直人は前回の五十嵐家の悲劇をそこに重ね、意を決して警視庁特別科学研究所へと忍び込む――。
なお、まなみ両親&先輩からすると、ちょっと貸してほしいと少女から借りていったビンをそのまま自分の物のように扱い、命の危険にも理由を言わずに返却しようとしない、という直人が人間のクズに見える筈。両親が涙ながらにビンの返却を訴えるのですが、ここはもっと酷い罵倒でも良かったと思います。
「対バイオロン法第3条――機動刑事ジバンは、人の命を最優先とし、これを顧みない、あらゆる命令を排除する事が出来る」
ジバンはビンを回収すると、止めに入った柳田に手帳を突き付ける。もしそれでも人質の命を蔑ろにしようとするならば、手帳を返納するという覚悟を込めて。
「僕にとってまなみちゃんは、まゆみちゃんと同じなんです」
「そこまでまゆみちゃんの事を」
いやもう、まゆみちゃんとか全然関係ないレベルの話ですが。
というか、人質がその辺りの酔っ払いのおっさんとかだったら、見捨てるのかジバン(^^;
対バイオロン勝利への近道や所属組織の思惑を振り捨て、敢えて1人の少女の為に苦難の道を選ぶ直人/ジバン格好いい話の筈なのですが、なんの躊躇もなく人質を見捨てる対バイオロン委員会/柳田が極悪非道すぎて、比較対象としてのジバンが全く格好良く見えません(^^;
民間人の命を取るかバイオロンの打破を取るか、対バイオロン委員会の方にも苦悩や決断があってこそ、ジバン/直人の「選択」が活きるわけなのですが、その辺りの描写が全く無い上に前回今回と対バイオロン委員会があまりに邪悪で下劣すぎて、ジバンの行動がただ普通に見えてしまうという、壮絶な駄目展開。
今作における背景描写の不足が、致命的になりました。
結果として唯一格好良くなったのは、射撃に加え、手錠格闘術のLVが上がった先輩(笑)
まさか先輩がまともに見える日が来るなんて。
「怪物の素」を奪い取られるも注射ノイドを撃破したジバンはまなみ一家を無事に救い、マッドガルボは捨て台詞を残して逃走。
……なんか、もう駄目っぽいぞこの人。
◆第20話「町にお金が降って来た!」◆ (監督:岡本明久 脚本:杉村升)
滝壺に落下してから10日以上……まゆみの行方は未だ掴めず、直人は新居で黄昏れていた。
その頃、まゆみそっくりの「みどり」という少女が、ある青年と行動を共にしていた。
ここでいきなりのナレーション
「まゆみは、崖から落ちたショックで記憶喪失になっていた」
……そうですか、うん、そうか。
みどり/まゆみは自分を助けてくれた青年を「お兄ちゃん」と慕い一緒に行動していたが……拾った女の子を警察に届けずに車で連れ回しているって、120%変質者だと思われるのですが。
お金が足りずにハンバーガーとジュースを一個だけ買ってきた青年に「半分こしよ」と言いつつ、明らかに半分にはほど遠く分けるまゆみどり、記憶を失っても悪女。
その時、突然、町に降り注ぐ壱万円札。当然、それに群がる人々。
「拾え拾え人間ども。金ならいくらでも、ある」
胸に輝く壱万円、バイオロン怪人カネノイドが、ビルの上から大量の金を町中にばらまいていたのだった!
カネノイドは、胸に輝く壱万円の他、背中にも万札背負っていて、秀逸なデザイン。どちらかというと戦隊ぽいですが(笑)
文字通りに降って湧いた万札に狂奔する人々を見て高笑いするギバ様。「愚かな人間共め、これで社会は大混乱だ!」ともっともらしく作戦展開を語っていますが、ギバ様としてはこの映像を見られただけで大満足で、後はかなり適当と思われます。
一方、まゆみどりを連れ歩く変質者の青年は、ビルの屋上で札束を手にしたところを直人と先輩に見咎められ、逃走。実は青年は、半年前に北海道である事件に巻き込まれ、警察から逃亡している身の上だった。その為に拾ったまゆみどりをすぐに警察に送り届ける事が出来なかったのだ、て、無茶な展開に無茶な理由をつけたら、もはや作っている側の誰にも正常と異常の境界線がわからなくなってきた感じに。
そんな青年にすっかり懐いているまゆみどりだったが、青年は何とか説得し、まゆみどりを警察署の前で降ろす。しかし、署に入る事ができないまゆみどり。
「警察が怖いの。どうしてだかわからないけど怖いの!」
そうだね、家族を滅茶苦茶にしたの、警察だからね!
たまたま青年が拾った札束は金ノイドの変身であり、金ノイドはまゆみを発見した事をマッドガルボに報告。ガルボはこれを利用して、今度こそロマンチック爆破作戦を決行しようとする。……にしても、金ノイドが記憶喪失に関して状況を把握して説明したとも思えないのですが、マッドガルボの脳内ではどうして「ジバンに触ると爆発する」とわかっているまゆみが、自らジバンに駆け寄る設定になっているのか。ボーナスポイントが足りず<知力>に割り振れなかったのか。
諸々の事情でジバンからまゆみを遠ざける為にまゆみに爆弾をつけるけど、まゆみから逃げてくれないとさくっと爆死してしまう為、意識のあるまゆみの前でネタばらしをせざるを得なかった……という、そもそも作戦としての根本的破綻から、ひたすら傷口が広がっていきます(^^;
まゆみと旅を続ける決意をし、拾った札束を交番に届けようとする青年だったが、バイオロンではと怪しまれていた事から、先輩に銃を向けられる。先輩のトリガーは異常に軽いので心配でしたが、幸い、金ノイドが止めてくれました。逃げる青年、今回も手錠格闘術で戦う先輩、出撃するジバン、まゆみをジバンと接触させようとするマッドガルボ……どたばたの末にまゆみとジバンは再会を果たすが、「記憶を失っていたが、ジバンと接触してはいけないという恐怖だけは残っていた」まゆみは逃げ出してしまう。
そこにやってきた青年はジバンをまゆみどりを狙う怪物だと勘違いし、ジバンに車でダイレクトアタック。ジバンは金ノイドを倒すが、車で走り去る2人の姿を見失ってしまうのであった……。
ジバンへ近づいてはいけないという恐怖だけが残るまゆみどりを、励ます青年。
「そんなに怖いなら、遠くへ逃げよう。大丈夫。今日からこの早川良が、みどりちゃんの本当のお兄さんだからね。ずっと一緒にいよう」
こうして2人は、あてどない逃亡の旅へ出るのであった。
早川青年が闇の始末人であるジバンを敵だと勘違いする行き違いの箇所だけは面白かったですが、一番肝心な所はナレーションで処理、最初から最後まで意味不明な上に変質者すぎる青年、ただの面倒くさい女の子と化したまゆみどり、何でもかんでも「バイオロンだ!」と即断してきたツケの回ってきた直人、すぐに銃を抜く先輩、頭悪すぎるJハンター……と全編うねるように潰走していて、目眩がジェットストリーム。
青年だけがお金の誘惑に負けなかった事で、青年のいい人アピールをしているのですが、シナリオとしては、青年1人を持ち上げる為に社会全てを落としている(子供達含む)というのも、けっこう酷い。
そして前回の今回で、ダーク柳田は出番なし。つまりフォロー無し。
面白くなさのレベルが、危険水準に達してきました。
なんかこう、再び、1−2話を見せられている気分。