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『機動刑事ジバン』感想24

◆第33話「ガルボに咲いた千年ハス」」◆ (監督:小西通雄 脚本:鷺山京子)
頭部にハスの花が咲き、苦しみだすマッドガルボ。それは、強い生命力を組み込む為にガルボに埋め込んだ千年ハスの遺伝子が、花となって目覚めたものだった。千年ハスの遺伝子に宿る記憶に影響されたガルボはバイオロンを抜けだし、人間の姿で千年ハスの故郷――千年沼へと向かう。
直人と先輩は戦闘員に追われるガル子さんを目撃し、ジバンは襲来したライギョノイドを撃退。雷魚ノイドは、曲刀二刀流が、思わぬ格好良さ。
ガル子さんはマッドガルボの正体を見せると、千年ハスの遺伝子が花開いた事で、愛を知り、戦うのが嫌になったので、故郷で静かに暮らしたいと引退を宣言。
「でもジバン、信じられないなら私を撃って」と言われて銃を向けるジバンだが、雷魚の攻撃からかばわれた先輩がそれを止める……って、先輩が止めないと殺る気満々だった辺り、さすが対バイオロン抹殺兵器です。
ガルボの明確な裏切りを知ったギバ様は激怒し、どうせ役に立たないからと抹殺を指示。千年沼で雷魚ノイドの罠にはまるガル子だったが、ジバンがそれを救出。ジバンを苦しめた雷魚ノイドはマッドガルボに瞬殺され、再び戦いに力を振るってしまった事を悔やむガル子さんだったが、突然、地割れに飲み込まれる。
いきなり顔に花が咲く→いきなり人間の姿になる→いきなり愛を語る→(力を使えない筈だったのに)いきなりビームで雷魚ノイドを滅殺→いきなり地割れに飲み込まれそうになる
と、いきなりがゲシュタルト崩壊しすぎで、唖然とする展開(^^;
ガル子を助けようとするジバンだが、豹変したマッドガルボにより、地底のバイオ洞窟に引きずり込まれてしまう。全ては、バイオロンそのものすら騙してジバンを仕留めようとしたバイオキラー渾身の大芝居だったのだ!
落ち目の敵幹部が裏切りを偽装して罠を仕掛けるのはよくある話ですが、所属組織を完全に騙した?上でというのが、少しひねった所か。
「うむ、よくやった、マッドガルボ。敵を欺くには、まず味方から。目的のためには手段を選ばないのが、バイオロンのやり方なのだ。ふふふふふ」
ここで両脇の秘書ズが、ギバ様を驚いた表情で見ているのですが、「え? ギバ様わかっていて、私達騙されてたの?」という顔なのか、「完璧に騙されていたのに、ギバ様ったら切り替え早すぎぃ!」なのか(笑)
だが、おいしい所だけいただこうと現れたコスモさんの放ったムーンビームの威力が強すぎてバイオ洞窟が壊れてしまい、更にヘリの空爆で、洞窟は崩壊、ジバンは脱出に成功。
「警視庁秘密捜査官警視正・機動刑事ジバン! 人の心の愛と、優しさと信頼を踏みにじるマッドガルボ。命あるものとして恥ずかしくないのか!」
まあジバン、最初は撃つ気満々だったし、地割れから助ける時も物凄く躊躇っていたのですけどね! 
この後、マッドガルボと戦いながらの対バイオロン法読み上げは、力の入って殺陣もあり格好良かった。
ショルダーキャノンでど派手に吹っ飛ばされたジバンは、更に範囲攻撃を受けて苦しむが、ダイダロス召喚からファイヤー一発で逆転。大きなダメージを負ったガルボサイドカーで撤退…………て、えーーーーーーーーーーーーーーー。
これだけやって、特に何の進展もなく捨て台詞残して逃走とか、色々どうしようもない(^^;
最後は直人が先輩&子供達と合流してエンドなのですが……後ろで流れる新しい挿入歌は、直人ボーカルでしょうか。
破壊力抜群で、最後、ナレーションが何喋っているのか、全く頭に入ってこなかった(笑)


◆第34話「壮絶!ジバン死す」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升
高名な科学者・香川博士が、アメーバー状の宇宙生命体を回収、地球に持ち帰る事に成功する。地球の生命体系とは隔絶した活発な新陳代謝を見せる宇宙生命体を研究すれば、医療や科学の分野で大きな前進が見込める可能性が高く、それを狙う犯罪組織から博士とサンプルを守る為、セントラル・シティ署が警護に当たる事になる。
珍しく、いつのもの3人に部下がついて指揮を執るという見せ方で、事の重大性を表現。部下が何故かアサルトライフル構えていて、警官隊ではなくどう見ても傭兵ですが。
案の定、バイオロンは宇宙生命体を狙って動きだし、角がドリルで何故かヒョウ柄のサイノイドが出撃。更に、「人間共に宇宙の神秘を明かされてたまるか。私の手で始末してやる」と、月野力さんが嫌がらせに介入して事態は三つどもえに。
「私の名は、宇宙生命体クイーンコスモ」
OPではずっとバレていましたが、ジバンと対峙し、ようやく劇中で名を名乗る謎の美女。
「人類に恐怖と苦痛を与え、この地球を侵略しに来たのよ」
自分に繋がる宇宙生命体の研究を阻止しようとする、という部分は初登場の際に月の石を破壊しに来たのと一貫してはいるのですが、名前その他を引っ張ったのは特に劇的にならず。まあそもそも存在が(もがもが)。
名前といい、ひらひらした衣装といい、イメージ的には、松本零士キャラな感じなのかなぁ……。
コスモはジバンとサイノイドを蹴散らして博士と娘を攫うが、宇宙生命体のサンプルは、マッドガルボが入手。ギバ様はなんのテストもせず、ダイレクトボレーでそれを実験に使用する(笑) 博士と娘がサンプルを持っていなかった事に気付いてバイオロンの基地に乗り込んでくるコスモだったが、ギバ様は既に、宇宙生命体にバイオテクノロジーで改良を加え、今までより何十倍も強いスペースバイオノイドを完成させていた。
全く未知の素材を用いて一発で改良実験を成功させてしまう、ギバ様の天才ぶりは本当に半端ありません。
ギバ様、真っ当なビジネスパートナーさえ居れば世界を征服できる能力の持ち主だと思うのですが、いかせん、趣味と退廃に生きるただれた人格だけが残念でなりません。
これまで以上の戦力を得たギバ様は早速クイーンコスモをナンパし、バイオロンとコスモは一時的に同盟。ジバンを始末するべく、博士と娘を人質にジバンに挑戦状を叩きつける。
モニター越しの通信なのに、何故か体の成分を解析してマッドガルボのパワーアップを確認するハリーボーイが怖い。
かつてない強敵、勝ち目のないかもしれない戦い、しかし……
「でも僕は、五十嵐博士が精魂を込めて作ってくれた自分の力を信じています。それに……たとえ命を失ってもいい。地球の平和が守れるなら」
「田村くん……」
主題歌をバックに決意を述べる直人はそこそこ格好いいのですが、それを聞いた柳田が超笑顔で、暗黒すぎる。
なぜ柳田は、「死んでもいい」と玉砕覚悟で出撃する相手に向けて「よーし、よく言った。その意気だ」みたいな笑顔を向けるのか。対バイオロン法委員会は旧軍部の精神と権力構造を引き継ぐ闇の組織だったりするのか。
柳田は特に背景どうこうというキャラクターでは無いと思うのですが、石濱朗をキャスティングしたせいで、無駄に胡散臭くて酷い事になっています(笑)
決闘の場に赴いたジバンの前に姿を見せる、スペースマッドガルボとスペースサイノイド。ジバンは宇宙パワーの前に為す術も無く吹き飛ばされ、マクシミリアンの銃撃も通用しない。戦闘中の隙を付いて掌底で戦闘員を吹き飛ばした博士は娘を連れて自力で脱出(笑)(※自分で宇宙遊泳をこなすぐらいなので、当然博士は、そうとう鍛えているのです) ジバンはそれを援護して人質を逃がす事には成功するが、必殺のダイダロスファイヤーすらスペースサイに弾かれてしまう。
スペースガルボの追撃が迫り、カメラを至近においてのここの殺陣は格好良かった。それにしてもマッドガルボは、何の役にも立たなかった上にどさくさ紛れにパワーアップして、しかし別にサイが居れば要らなくないですか? と、つくづく扱いが悪い(^^;
スペースガルボとスペースサイのW攻撃がジバンを追い詰め、更にコスモのムーンパワーが炸裂。トドメにコスモの放った変な虫でコンピュータを内部から破壊されてしまったジバンは、遂に左腕を吹き飛ばされる!
片腕と視覚を失い満身創痍のジバンは、博士娘の叫び声にまゆみちゃんを思いだし、最後のラブパワーを振り絞ろうとするが、スペースガルボの剣が、その心臓を貫く――!
「マッドガルボ……! たとえ僕が死んでも、この地球は絶対に、バイオロンには渡さぬ! ぜった……い……」
マクシミリアンに手を伸ばすも、それを抜く事かなわず、機能停止するジバン。夕陽をバックに徹底的な完敗の末、ロボットなのをいい事に、主人公・完全死亡。
ヒーローの敗北描写をここまでやりきったのは評価したいですが、敗北へ至る物語的な積み上げが全くないので、演出の衝撃で強行突破を図ってはみたものの、物語としての盛り上がりには欠けます(^^; まー、80年代なので「拾った宇宙生命体パワーで敵が超進化」は厳しく言う所ではない気もしますが、せめて前回の、「ガルボ乾坤一擲の大勝負」と絡めるとか、もう少し工夫は見たかった所です。
とにかく、スペースコスモの参戦に始まって、バイオロン大逆転も、ジバン敗北も、全て場当たり的に見えてしまって、流れとしての物語的な盛り上がりがほぼ無いのが困りもの。
基地で全てをモニターしていた柳田の送り込んだレゾンにより、回収されるジバンの亡骸……果たしてジバンは、このままスクラップ置き場で処理されてしまうのか、それとも?! 次回、ギバ様大ハッスル。そして――。