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『仮面ライダーW』感想2

◆第2話「Wの検索/街を泣かせるもの」◆ (監督:田崎竜太 脚本:三条陸
見所は、全裸ベルト。
あと、尻(待て)
いややっぱり、全裸ベルト(だから待て)
色々あったのですが、史上最強のガイアメモリセールスマン・霧彦さんが全て持っていってしまいました。
霧彦さんヤバい。
物語は、前回の人物相関図からわかりやすくスタート。
やってきたスーパーカーが怪獣と戦うが怪獣は逃亡し、死体で発見される彼氏。共犯者による口封じと見た翔太郎はウインドスケール社襲撃事件を引き続き調べるが恐竜頭ドーパントの攻撃を受け、コウモリとクワガタの小型サポートメカを使用。集めた情報からフィリップが“星の本棚”で検索し、浮かび上がった共犯者の名前は――そもそもの依頼人、津村真里奈。
恐竜メモリと体質の合う人までわかるとか、フィリップ、超便利。
フィリップは安楽椅子探偵の役回りなので超便利なのは良いのですが、真里奈が元ウインドスケールのデザイナー、など、視聴者に提示される前から翔太郎だけが知っている情報でいきなり真犯人が特定されてしまうという展開は、かなり雑。後半のアクションパート優先の尺配分にしたのでしょうが、もう少し、丁寧に進めて欲しかった所です。
ウインドスケールを解雇された二人はガイアメモリを売人から手に入れ、共謀して支店や会社を襲撃。だが彼氏はガイアメモリの力に呑み込まれて暴走を始め、真里奈は彼氏を始末する為に、翔太郎に捜索を依頼したのであった。
話し合いで真里奈を止めようとする翔太郎と、メモリの力に呑み込まれた真里奈に殺されそうになるだけだ、とドライな対応を勧めるフィリップが対立。画面の両サイドで対論をぶつけ合うという演出は良いのですが、演技がたどたどしいので、かえって辛い(^^;
「おかしいな。情に流される事なく行動する鉄の男。それが君の大好きなハードボイルドでしょ。やっぱり、本当の君は煮え切らない半熟卵なんだね。言うなれば――ハーフボイルド」
激高した翔太郎はフィリップを殴ると、メモリを置いて外へ。
……対立、早い。
翔太郎は小型メカで真里奈のハンドバッグを切り裂く(犯罪です)と、ガイアメモリを確認して真里奈を追求。卑劣な上司がどうしても許せなかった……と翔太郎に抱き付いて泣き落としをはかる真里奈だったが、翔太郎はそれをもぎ離す。
「昔言ったろう。俺はこの街で誰一人泣いてほしかねえんだ。おまえは、この街そのものを泣かしてる」
翔太郎のヒーローとしての立ち位置を“風都の人々の為”と置き、同時に譲れない一線を指定。パーソナルで納得しやすい正義の背景にしつつ、ヒーローとしてのちょっとした飛躍も巧く含めました。
「……ふふふ、あははははは、なーんだ、ポーズだけじゃなかったんだ。意外と――血も涙もない人」
ズバッと言われて、翔太郎、ちょっとショック(笑)
真里奈は片肌脱いでガイアメモリを装着すると、恐竜頭ドーパントへと変貌。
「素敵な翔ちゃん、愛してる。だから……食ってあげるわ」
暴走するでか頭の攻撃で瓦礫の下敷きになる寸前、W車が翔太郎を助け、中からフィリップが降り立つ。
あ、フィリップはてっきり、事務所から外へ出ない引きこもり体質かと思っていたのですが、外、出られるのですね。
それを見て、罰の悪い顔になる翔太郎……こんなのばかりだ(笑)
「なんだよ……今頃」
「散々考えたんだけど、どうしても答が見つからなかった。僕はなぜ殴られたんだい?」
どこかズレたフィリップは手を伸ばし、ケンカなど無かったかのように翔太郎を助け起こす。
「半分力貸せよ。――相棒」
……和解、早い(笑)
「なんだおまえら?」
「僕たちは二人で一人の探偵さ」
「行くぜ、フィリップ」
――『サイクロン』『ジョーカー』――
「「変身!!」」
道の真ん中で幽体離脱して倒れるフィリップ……を拾う亜樹子。でか頭は瓦礫を吸収して恐竜モードに大型化。亜樹子が気絶したフィリップを連れて乗り込んだパトカーを引きずりながら大暴れし、ひたすら騒ぎ続けるヒロイン(マスコット?)。
半ばギャグ処理なので緊迫感は薄いのですが、2話にしてここまで命の危機に陥り、クライマックス中延々と大騒ぎしているヒロインキャラも珍しいような(笑)
CG恐竜戦では、バイクのチェイスシーンから、W車でバイクの後部メカを換装して飛行マシンに、とメカ見せ。支援メカでマシンが換装するとか、かなりメタルヒーローっぽいギミック。
半分こチェンジは、火炎パンチを放つヒートジョーカーと、金棒で戦うヒートメタルが登場。かなりグイグイと見せてきますが、今作の特色であるのと、フィリップと一緒に戦っている事を強調する意図でしょうか。
最後はヒート金棒アタックでTレックスメモリを打ち砕き、落下する真里奈と亜樹子を、二つの意識があるのを利用して、翔太郎とフィリップがそれぞれ救助。一瞬、半分に分かれて助けるのかと思いましたが、さすがにそこまではやりませんでした(笑)
パイロット版というと、車を何台壊してくれるのか、なんて事を期待しながら見る癖があるのですが、車はあまり壊れず、CGとエキストラに予算が回された作り。1話冒頭の戦闘ヘリに始まり、2話クライマックスは恐竜登場から空中戦まで盛りだくさんで、CG演出は歴代でもかなり多めでしょうか。一方で、ビル崩壊事故などでエキストラをかなり多く使っており、人間の数で全体のバランスを取ったという感じ。
こうして二人で一人のハーフボイルド探偵により二つのガイアメモリがブレイクされている頃、長女・冴子の夫として見初められた噂のセールスマン霧彦さんが、園咲家に迎えられていた。
全裸で。
最初、上半身裸だけが映されて、お義父さんに挨拶に行くにはちょっとオカしいけど、半裸までだったら割とあるし、一家揃ってドーパント状態でお出迎えだからそういう風習もあるかもしれない……と思ったら、下も脱いでいた!
山内明日さんの、セクシー変身が、かき消された…………!
脚本も、演出も、おかしい!!
全裸にベルトを装着した霧彦さんは、園咲家の者だけが得られる、特殊なガイアメモリを渡される。
「これで死ぬ場合もある。言い残す事はあるかね」
「自慢の婿の誕生です。お義父さん」
霧彦さんが、面白すぎて、凄い(笑)
一発で、ここまで持って行かれたキャラは、久しぶりです。霧彦さんはもう、応援せざるを得ない……!
そして鳴海探偵事務所では、ハードボイルドを気取りたい年頃の翔太郎が、古風にタイプライターで報告書を作成中。ここで半分こヒーローの名前が「ダブル」と自己申告され、亜樹子は探偵事務所の所長として居座る事に。押しかけ所長を加えた二人で一人の探偵は、ハードボイルドを目指しながらハーフボイルドに、人々を狂わせるガイアメモリという闇に挑んでいく事になるのだった……。
と、翔太郎とフィリップの関係に関してはやや詰め込みすぎた感はあるものの、相当アクションを充実させつつ、善玉側/悪玉側のキャラクターを並べて互いの基本方針まで見せた辺りは、見事にやり抜きました。2話後半は山内明日さんの熱演もあり、大人になる過程でどこか捻れてしまった女と、大人になりきれないハーフボイルドな翔太郎との対比が、巧く出て締まりました。
探偵バディものを“二人で一人のライダー”としてまとめたアイデアは面白く、フォームチェンジを出し惜しみしないでドンドン見せてくれる所は好みです。メカ関係は、派手に出てきたと思ったら、その後さっぱり出番が無くなる、というのはままあるので、保留(笑)
どちらかといえばごてごて路線だった《平成ライダー》では異彩を放つ、つるっとした造形のWは、ポスト『ディケイド』の新シーズン、というのを強く意識したデザインでしょうか。チェンジといいキックといい衝撃の半分こでしたが、モチーフはもしかして、人体模型とかだったりするのか(笑) スカルマンだと考えると、これもまた原点回帰といえば原点回帰ですが。インパクトの強い配色もキカイダーの系譜といえば系譜で、かなり色々と、入れてみた気配。たなびくマフラーはもとより、印象的に配置された風車、というのも初代ライダー(ベルトの風車に風の力で変身する)への意識を感じる要素ですが、“街もの”というのも好きな基本設定なので、風の街・風都という舞台が如何に使われていくのかも楽しみです。