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『仮面ライダーW』感想5

Gyao、『シンケン』の方は毎週2話ずつ更新で配信期間が20日ぐらいあるのだけど、『W』は毎週3話ずつかつ配信期間が2週間ぐらいで、油断していると危険。
◆第5話「少女…A/パパは仮面ライダー」◆ (監督:黒沢直輔 脚本:三条陸
第二風都タワー計画を推進する市会議員・楠原みやびに、ボディガードを依頼された翔太郎。年端もいかない実の娘を政治パフォーマンスに利用する議員のやり方が気に入らない翔太郎だが、突然の銃撃にダブルに変身して母娘を守る。
「パパ……? 来てくれたのね! パパぁ!」
「ぱ、ぱぱ?!」
なぜか娘からパパ扱いを受ける、仮面ライダーダブル。娘の手にしている仮面ライダー(?)のフェルト人形が、ミラーワールドで戦っていそうなデザインでとても不吉です。
見えざる敵の曲がる弾丸にダブルはメタルで防御に専念。
棒術ってアクション的にけっこう見栄えがして好きなのですが、《平成ライダー》でも他にクウガ青ぐらいな気がするので(U電王はどちらかといえば槍っぽい使い方)、玩具的には微妙なのか。確かに、手持ち武器なら剣だろう、というのはわかりますが(笑)
議員襲撃事件の背後には、第二風都タワーの建設が望ましくない園崎家の暗躍があった。翔太郎は霧彦さんと初の擦れ違い、そして楠原議員の夫が、昨年殺されていた事を知る。もともと第二風都タワー建設を推進していたのは亡き楠原夫であり、妻は夫の意志を継ごうと議員になってなりふりかまわぬ活動を続け、娘には「第二風都タワーの為に働けば、お父さんが助けに来てくれる」と嘘を吐いていたのだった。
ダブルが掴み取った弾丸をフィリップが分析した結果、それは金属ではなく生物の歯である事が判明。写真に写らない見えざる狙撃者の正体――それは撮影の出来ない水中に潜んだアノマロカリスドーパントであった!
ここまで、マグマ、T−レックス、マネー、テラー、クレイドール、などなど、生物から無機物、自然現象に感情?と好き放題のドーパントですが、モチーフの自由度が広がった上で特殊能力と紐付けされ、デザインと配色のバリエーションが豊富なのは嬉しい所。スタイリッシュ路線も悪くはないけど、個人的にはこれぐらい、怪人は色彩豊かな方が好みです。
なおアノマロカリスドーパントは、モチーフがそもそも怪人(怪獣)ぽい見た目ゆえ、何だかほぼまま(笑)
「おまえの頭脳は100点満点なんだがよ、いつも妙に間が悪いんだよな!」
タイミング悪く議員達は水際におり、慌てて変身したダブルは銃撃から議員を守ると、サイクロントリガーにフォームチェンジ。トリガーの強力な射撃により水中のアノマロカリスドーパントをいぶりだすと、探偵アイテムのクワガタにヒートメモリを差し込んで火炎クワガタアタックで攪乱。トドメは改めて衝撃の半分こキックによりメモリブレイクに成功する。
だが、その正体は翔太郎が怪しんでいた人物ではなかった。そして水辺に潜んでいたもう一体のアノマロカリスドーパントの攻撃が、議員に迫る……!
探偵アイテムをガイアメモリで強化出来るというのは、色々と使いでがありそうで面白そうなギミック。そして次回、地上絵しか思いつかないけどなぜ地上絵なのか、本当に地上絵なのか、という史上最強のセールスマン霧彦さんもといナスカドーパントと、ダブルが激突!


◆第6話「少女…A/嘘の代償」◆ (監督:黒沢直輔 脚本:三条陸
ダブルはルナジョーカーの伸縮ハンドでアノマロカリスドーパントの攻撃から議員母娘を無事にガードするが、本命のアノマロカリスには逃げられてしまう。
成る程ルナ、レスキューにも使えるというのは、便利。
これ以上娘を巻き込むのはやめるべきだと議員に忠告する翔太郎だが、議員は考え方を曲げない。いつか取り返しのつかない事態になる前に、父の死という真実を娘に伝えるべきだ、と考える翔太郎は娘の描く仮面ライダーの絵に目を留め、ついつい「仮面ライダーと友達」という自分の嘘を続けてしまう。
歪な母娘関係の始まりは、父の死でふさぎ込んだ娘に、父親からお守りの人形が届いた、という母親の優しい嘘であった。
「パパは、風都の平和を守る、仮面の騎士になったのよ」
……それで、そんな不吉なデザインだったのか(笑)
(嘘と偶然が、この子の心を救ったんだ……。俺がもし本当の事を言えば、この子は……)
案の定、ごくあっさりとほだされる翔太郎。まあこの辺りは、翔太郎のいい所です。
「相変わらずハーフボイルドだねぇ。まさか、楠原あすかの為に、嘘に付き合うっていうんじゃないだろうね」
「う……うるせえよ」
フィリップの調べで、確保した犯人が使っていたガイアメモリは、完成前の実験品であった事が判明する。つまり黒幕は、ガイアメモリを買った客ではなく、流通させる組織に関わる人間――そう、実は第二風都タワーの建設予定地の地下には、ミュージアムの管轄するガイアメモリの工場があったのだった。真のアノマロカリスメモリの使い手である工場長は霧彦に協力を頼むと、議員娘を誘拐。さらわれる娘に何とか発信器を取り付けてダブルに変身する翔太郎だが、その前にナスカドーパントが立ちはだかる。
「やあ、仮面ライダーくん。一目君を見た時から、ずうっと思い続けてきたんだ。真っ二つに割ってみたい、とね」
剣を扱うナスカに対し、ダブルはヒートメタルで対抗。
「私の街から、消え失せたまえ」
「風都は貴様等の街なんかじゃねえ」
ナスカのオーラ斬りを受け止めたダブルはヒートトリガーにチェンジすると、相討ち覚悟の零距離射撃でナスカを撃破。そのダメージでフィリップが意識を失ってしまい、翔太郎は生身で発信器の反応を追う事に……と、刑事ドラマ風疾走シーン。
ここは霧彦さんの台詞が伏線で、オーラ斬りに対して禁断の半分こ回避が発動するのかとドキドキしたのですが、さすがにそこまではやりませんでした。
かくて待望のダブルvsナスカの第一ラウンドは、ダブルの優勢勝ち。
「こんなイカれた反撃を……バカな! ……いや、馬鹿なのか? 馬鹿だからこそか」
霧彦さんはいかにも、あまりにも予想外の攻撃だったんだ! とおっしゃってますが、ダブルの側は強敵だったので一か八かの反撃を行った、というよりも、時間が無かったので手っ取り早く片付けた、という感が強く、割と無様な負けっぷりと言わざるを得ません(^^; そもそも、羽まで出した派手なオーラ斬りを防がれた上に、ヒートパンチを顔面に食らってましたし。
初戦闘にして強さ見せの機会を無残にキャンセルされた霧彦さんには、第二ラウンドでの雪辱を期待したい所です。
楠原娘を助けに追う翔太郎の方では、亜樹子がお酢を飲ませて事務所のフィリップが意識を取り戻し、ダブル変身。娘を人質に呼び出された議員が危機一髪の所に駆けつける。
この前のシーンで娘が「嘘だよね!」みたいな事を言っていて微妙に前後の会話が合わないのですが、これは犯人が「父親は俺が殺した!」みたいな事をはっきり言うシーンが変更ないしカットされたか(そう受け取れる台詞はあるけど、娘が理解するには弱い)。この後の、そこにダブルがパパとして助けに来る、という展開は、そういう台詞(シーン)があったと考える方がしっくり繋がりますし、有ると無いではシーンの意味の濃さが変わる。
「パパを、信じているよな、あすか」
「うん」
ダブルは撃ち出したビームすら曲げるルナトリガーによる曲撃ちで、人質にされた楠原娘を救出。追い詰められたアノマロカリスは巨大化し、サポートマシンを呼んだダブルは水上バイクモードでのチェイス戦の末、ルナトリガーのマキシマムドライブを発動。
「「さあ、おまえの罪を数えろ。――これで決まりだ」」
次回予告のフレーズを入れてのフルバースト乱射で、アノマロカリスを撃破し、メモリブレイクに成功するのであった。
――残った問題は一つ。
「パパぁ!」
もうこのまま、楠原議員と結婚するしかないのか。
人生の岐路に立たされる翔太郎だが、楠原議員は「パパは風都のみんなを守らないといけないから、もう行かせてあげて」と娘を説得。頷いた娘はパパに、いつも出かける時の挨拶をせがむ。そんなものは知るわけがなく硬直する翔太郎だったが、事前に楠原父について調べていたフィリップがダブルの右半身を動かし、楠原父がやっていたように娘の頭を撫でる、といい話で締め。
そしてパパは、変な水上バイクで走り去って行くのであった(笑)
(――楠原みやびは、議員を引退し、第二風都タワー計画は無期延期となった。だが、親子は別の新しい何かを手に入れたと、俺は信じてる)
こういったエピソードは一歩間違えると上っ面だけのいい話になってしまうのですが、翔太郎のある種素朴な人の良さと格好つけたがり体質、そんな翔太郎のパターンを読んでさりげなくフォローするフィリップ、と2人のキャラクターの方に軸足を置く事で、うまく『ダブル』という物語の中で収めました。
(――いつの日か、そう遠くない未来に、母は娘に本当の事を話すのだろう。その日が来るまで、俺たちは彼女の夢を裏切れない。……仮面ライダーダブルの使命が、また一つ、増えちまった、て事さ)
小粋に締めようとして酔っ払い気味のオチも綺麗にはまり、3−4、5−6、と今作の雰囲気がしっかり定まってきて順調な立ち上がり。
黒沢監督は初めて見ましたが、テンポ良くまとまっていました。楠原親子の回想シーンが、部分を切り抜いた非現実的な映像だったのが、印象的。若菜姫は1話から舌打ちで特徴づけされていましたが、今回、事あるごとに冴子の目元のアップになったのは、それに対応する形の差別化という所でしょうか。