◆第23話「唇にLを/シンガーソングライダー」◆ (監督:田崎竜太 脚本:三条陸)
劇中歌番組の審査員役がえらく固い演技だと思ったら、主題歌を歌っている2人で、OPはその2人の歌唱シーンという特別版。
開始早々、事務所に依頼を持ち込んでくるクイーン&エリザベス。
2人は3週勝ち抜くと無条件でCDデビューできる視聴者参加型歌謡番組『フーティックアイドル』で3週目まで進んだのだが、そこでとんでもなく歌の下手な挑戦者に負けてしまう。審査に不正があったに違いないという2人の剣幕に、まずはその、ジミー中田の歌を聞きに行く翔太郎と亜樹子。
ジミーの歌、それは路上ライブを始めた途端、周囲の大道芸人が逃げ出し、近所の店はシャッターを下ろし、鳥は落ち、腹が痛くなり、呼吸が苦しくなる――という兵器レベルの破壊力であった。
(確かに、この殺人ソングが合格したのだとしたら、どんな奴だってまず番組の不正を疑うのが自然だ……)
「ジミー、ちょっと聞きたいんだが、今の音楽は何なんだ? ジャンルがまるでわからん」
「スピックです」
「「スピック?」」
「スフィニングトゥーフォークの略です。フォークをベースに、ロックやラップなどの高揚感をブレンドしてます」
新しい魔球だった。
ジミーの台詞の所は、ぶっ飛んだ感性を表現する為か、変なカメラワークでノリノリ。
周囲で倒れた人々が藻掻き苦しむ中、1人だけにこやかなジミーファンの女が翔太郎と亜樹子に手作り資料を渡すと、サインを貰って帰っていく。
(この野郎……どうも見ててイライラすると思ったぜ。なんか……俺に似てやがる)
え(笑)
翔太郎の自己評価が今ひとつわからないのですが、社会から滑り気味という事でいいのか。
その頃、園崎家。
「おい、冴子。どこ行くんだ?」
Wのメモリを持つ男の元に、いそいそと出かけていく冴子さん。
「新しい恋か……ふむ、随分早いな」
き り ひ こ さーーーん(涙)
若菜姫はお気に入りの『フーティックアイドル』にチャンネルを合わせてワクワク顔。
「はぁ……それに引き換え、おまえはまだまだ子供だなぁ若菜」
完全に狙って演じ分けてもらったのでしょうが、今日の琉兵衛は、凄く普通のお父さんぽくて面白い(笑)
そして『フーティックアイドル』では……ジミー中田が世界を破壊していた。
観客席の悲惨な反応とは真逆に、審査員席はジミーをべた褒め。
番組が大好きという若菜姫はジミーの歌声に耐性があるのかと一瞬思ったのですが、辛そうな顔をしていたので、どうやら先週は見逃していた模様(笑)
飛び入り挑戦者バトル回という事で、客席から選ばれ、覆面で飛び入り参加する事になるフィリップと翔太郎。
「僕たちは2人で1人の仮面シンガーだ!」
驚く翔太郎に対し、事前に検索したフィリップが、飛び入りに選ばれやすいように仕込んでいた事が発覚。
次回予告から全く期待しておらず、ここまで凄く馬鹿回なのに、けっこう面白いぞ(笑)
そんなスタジオの様子を天井裏から見つめる謎のドーパント。
「ふっふははははは、誰が来ても勝てないよ。ジミー中田は、天才だ」
「電波塔の道化師とかいう、悪党はおまえか」
そこへ現れた黒ジャンパーの照井が、場所を選ばずセットの上でアクセル変身。
なお今回、照井が黒ジャンパーになったからか、翔太郎がワインレッドのシャツ+黒い袖無し皮ジャケット+いつもの帽子+スカーフ代わりの白ネクタイで、完全に早川ルック(笑)
そんな回に、歌唱力がネタとはどういう事だ、飛鳥ぁーーーーーー!!
……そういえば物凄く頻繁に忘れるけど、早川健の職業は一応探偵なので、探偵ヒーローというくくりでは翔太郎の先輩にあたるのか。
意外とこういうノリが苦手なのかギリギリまで躊躇していた翔太郎だったが、腹をくくってやむなく仮面シンガーデビュー。
凄く普通に歌い出しました(笑)
掟破りの男性アイドル回!
歌の途中で翔太郎の覆面が外れ、その相方として、TV越しにフィリップらしき人物の面影を知る事になる若菜姫。冴子さんが同席していたら、大変な事になっていそう(笑) 琉兵衛さんはジミーの歌の時点で退散したと思いたい。
その頃、アクセルは公務員として真面目に働いていた。
「おまえのメモリはなんだ。答えろ」
「ラブ、愛、愛の戦士だよ」
アクセルは変な吹きだし?を飛ばすラブドーパントにアクセル二等辺三角形斬りを炸裂させてメモリブレイクに成功するが、犯人は逃亡。
『フーティックアイドル』では自分の時とは全く違う客席の反応に動揺するジミーだったが、結局は勝ち抜け。翔太郎は事件の裏に何か――恐らくはドーパント――が関わっている事を確信し、ジミーに現実を見つめるよう忠告する。
正体不明の詐欺師、電波塔の道化師を追っていた照井はブレイクしたメモリを持って事務所を訪れるが、ガイアメモリだと思っていた物はいつの間にかすこんぶに変わっていた。どうやらドーパントは暗示をかける能力を持っているらしく、照井はフィリップに協力を要請し、翔太郎は心の痛みがシンクロする所があるのか、どうも放っておけないジミーを探しに。
「センスねえくせに格好ばっかつけやがって」
「その言葉、言ってて自分に刺さんないの?」
いつのも広場にジミーは見当たらず、サンタちゃんの仲介でストリートの顔役である詩人の社長から、色紙をいただく。
「半人前でもいいじゃん」
ありがとうございました。
ジミーファンの女を思い出した翔太郎と亜樹子はサンタちゃんの情報で仕事先へ向かい、無理がたたって倒れた彼女を、井坂内科医院へと連れて行く。
「ジミーを合格させたのはあんたか?」
「彼の為じゃないわ。私の為よ! 私は他に楽しい事が一つもないの。私の人生に、ジミー君が必要なの!」
女を追った翔太郎は、女が何故かトロッコに乗って現れたラブドーパントと接触するのを目撃。
女自身がドーパントだったのではなく、女は金を払ってドーパント――“電波塔の道化師”――にジミーの勝利を頼んでいたのだ、と一ひねりして面白い展開。だがラブドーパントは支払いが足りないと、3週目の勝ち抜きをさせる事を拒否し、女が必死に貯めた金をぶちまけてせせら笑うと、一方的に契約を終了する。
売れないミュージシャンを支援する事で充足を得る暗い女の情念、そんな女の希望を打ち砕いて嘲笑う詐欺師、と馬鹿回から思わぬえぐい展開。
アバンタイトルのジミーの殺人ソングの演出は過剰に過ぎた(というかエフェクトで遊び過ぎた)と思うのですが、演出もこの辺りから面白い感じに。
「いい事を教えてやろう。『私はおまえのご主人様だ』」
ドーパントの口にした暗示の言葉がマンガの吹きだし状から針に変化して飛び、翔太郎に突き刺さる寸前、なぜかダブル活躍のテーマで、その針を寸前で横から止めるアクセル(笑)
翔太郎、まさかの、ヒロイン化!!
もう、そちらへ行くしかないのか……!(待て)
フィリップが検索で導き出したドーパントの正体は、「ライアー」。口にした暗示を針状にして飛ばし、標的に信じ込ませるという厄介な能力の持ち主であった。
さすがに「ラブ」はどうなのだろう、と思ったのですが、ここでサブタイトルのイニシャルをメタな視聴者引っかけに使ってきました(笑) 「I」をツッコんだ所だっただけに、これはやられました(^^; 「I」の時点からの仕込みネタとしか思えません。
翔太郎はダブルに変身し、反撃に転じた仮面ライダーは、2人がかりで殴る蹴る。2人とも怒っているので容赦がありません。
「俺を馬鹿にした報いだ」
特にブレーキの無い人は発言が明らかに刑事を逸脱しており、査問を、早く査問を!
アクセルがエレクトリックで斬りつけ、ダブルが背後からルナトリガーで撃つ、というのは格好いい連携。立場が射撃サポートキャラ(脇役)になっている気がするけど、深く考えたら負けだ!
ライアーを追い詰めた2人はトドメを刺そうとするが、そこへ走ってきたファンの女がジミーを勝たせようと必死にそれを止める。
「無理に決まってるでしょ! どれだけ彼を見てると思ってるの?! あの子は、あの子は、信じられないぐらい才能が無いんだから!」
そしてライアーによって呼ばれていたジミーが、事の真相を耳にしてしまう――。
ライアードーパントが、徹底的に性格が悪いのは、かなりいい感じ。
その頃、翔太郎達がファン女を運び込んだ井坂内科医院を、思いがけない人物が訪れていた。
「今日の診察の時間は終わりましたよ。……園咲のお嬢さん」
「裏の診察はこれからでしょう。井坂先生」
人の良さそうな町医者・井坂深紅郎、彼こそが、“W”のメモリの持ち主。その力は――ウェザー。
アイドルが歌っていたり、水木一郎が審査員席に居たりとネタ回っぽい予告から全く期待しないで見始めたのですが、軽妙な展開から事件の裏で剥き出しになる人間の暗い感情、それを嘲笑うドーパント、と意外な方向に転がり、Wのメモリを持つ男の登場、えらく可愛い冴子さん、フィリップと若菜の間接的接触、と先へ繋がる要素もてんこ盛り、何だかいたたまれない翔太郎、ダブルとアクセルの格好いい連携など見所も多く、思わぬ面白さで動揺するレベル(笑)
次回、予告がまた凄いのでどうなる事やらわかりませんが、今回はかなり良かった。