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『侍戦隊シンケンジャー』感想25

◆第三十八幕「対決鉄砲隊」◆ (監督:加藤弘之 脚本:小林靖子
年に一度、妻の命日に休みを取り、墓参りに行く彦馬。その際に、外道衆の戦いに巻き込まないようにと、丈瑠を育てる事になってから離れて暮らしている娘夫婦と孫に、それとなく顔を合わせるのが彦馬と家族の貴重な接点となっていた。
「ただ……爺が行くかどうかだ」
外道衆達との戦いが激化している現在、彦馬が素直に休みを取って家族と会う時間を作るかを心配した殿は、何としても爺を休ませたいと、家臣達に協力を要請。6人は隙間センサーを偽物とすり替え、本物を流ノ介の部屋に隠す事で、外道衆の攻撃があっても彦馬が気付かないようにと細工をする。
一方、三途の川ではシタリが、薩摩弁のアヤカシにナナシ鉄砲隊を教練させていた。
「しかし鉄砲とは、少々、野蛮ではございませぬか」
「おまえさんだって、口から空鉄砲ばかりじゃないか。これからは飛び道具の時代だよ」
「ふん、何一つ変わりばえしねぇ今のありさまに、風穴開けてもらいてぇな」
妙に凝った物言いで、ギスギスする3人(笑)
職場に、潤いが、足りない!
……そういえば、今作、女性型のアヤカシって一度も出てきていないような。
彦馬が休みのその日、ナナシ鉄砲隊が地上に出現。彦馬に秘密で出陣した6人は、遠距離攻撃で千明と源太が負傷しつつも何とか鉄砲隊を退け、誤魔化し誤魔化し、彦馬を墓参りに送り出す事に成功する。
「殿様……ほんまに優しいんですね」
「え?!」
殿、超狼狽。
「親孝行ってやつですか」
「そんないいもんじゃない」
これまでも、彦馬が妻の命日に休みを取れず、墓参りに行けない事は度々あった。そして丈瑠も今まで、それに対して何かを思う事はなかった。
「侍なんだから仕方ないし、当然だってな。でも、この間の、茉子の家族とか……色々、お前達の、そういう…………つまり、爺にも、お前達みたいに、持ってなきゃいけないものがある。そう思った。……それだけだ!」
殿ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ(涙)
苦節38話、地道に余ったスキルポイントを割り振り続けた結果、殿は《思いやり》:LV1を手に入れた!
〔《思いやり》:1シナリオにLV回、任意のシーンで使用できる。同一シーンに登場しているキャラクターからの好感度が1上昇する。〕
ここ数話の流れを汲む形で、“家族”や“夢”といったものを、人の持つべきものとして認識する殿。思えば殿自身、真っ当にそういったものを与えられずに育てられた一種の被害者なわけですが、最終クールを前に、ここで一つ、大きな心の変化が描かれました。
一方で、「そんないいもんじゃない」や「お前達みたいに」という台詞からは、そういった真っ当な世界からまだ自分を除外しているようにも聞こえ、再び焦点の当たってきた丈瑠の“いびつさ”というのが、最終盤、どんな風に描かれていくのか楽しみです。
「正直、協力してくれって言っただけで驚きだったけど」
そんな殿に、凍結弾をぶつける姐さん、基準値が氷点下すぎて酷い。
6人はアヤカシの記録や黒子の手配、勘定方に提出する書類の処理など、普段は爺が一手に引き受けている事務仕事を分担。そこへ再び外道衆が出現するが、黒子のシフト調整に失敗し、陣幕が1人分しか無いなど、軽いギャグ。
今更ながら、さりげなく爺の仕事ぶりと有能さが描かれているのですが、シンケンジャーの活動に予算委員会があった事が判明。志波家の収入源はきっと財テクで、相場の動向とか延々と議論していそう。
株価が下がると、おかずが一皿減る。
シンケンジャーはナナシ鉄砲隊に狙いをつける間を与えず、接近しての乱戦に持ち込んで壊滅させる。……と思ったその時、ゴールドが複数の狙撃を受け、変身解除する程のダメージを受けて倒れてしまう。正面に現れた鉄砲隊は囮で、左右の崖から出現した伏兵の銃撃がシンケンジャーを襲うという、まさかの釣り野伏!
もしかしてそれで、今回のアヤカシは薩摩言葉だったのか?
「無駄でごわす。撃てぇ!」
十字砲火の標的となり絶体絶命となるシンケンジャーだがしかし、いつの間にやら配備されていた黒子の支援部隊が手投げ弾でナナシ鉄砲隊を攪乱。そしてそこに、鋼鉄の騎馬が突っ込んでくる! 鉄馬にまたがり見参した彦馬は素手でナナシを叩き伏せると、背中に背負った新兵器を殿へと渡す。その名を――
「牛折神の力を秘めた武器――猛牛バズーカ」
目には目を、歯には歯を、飛び道具には飛び道具を、火力にはそれを超える火力を、血を吐きながら続ける終わりの無いマラソンの生み出した掟破りの近代火器で、殿はナナシ鉄砲隊を殲滅。
それは、モヂカラの修行を続けていた榊原ヒロが作った新兵器であった。
……と、マッドサイエンティストの道をひた走る天才少年が、伝統とか侘び寂びとかもののあはれとか無視して空気読まずに作ったみたいな事にされていますが、多分これ、事なかれ主義の頑固な老人の仮面を捨て、儂も牛折神を自在に使いたかったんじゃーーーーーとカミングアウトしたヒロ祖父が基本設計を組んだ可能性が濃厚だと思います。
あの老人は絶対、あまり表に出せない秘密兵器の設計書を溜め込んでいる。
実はそもそも、彦馬はヒロから手紙を貰って(前半に、榊原家から野菜が届いたという伏線あり)、墓参りではなくこの新兵器の受け取りに外出していたのであった。彦馬は源太と千明の負傷が稽古によるものではない事、隙間センサーがすり替わっている事にも気付いており、念の為の黒子も配備していたのである。と、爺、一枚上手の年の功。
元より事情を知らないとはいえ、殿、渾身の気遣いを無効化したヒロには、
「ヒロ、空気読め」
という怒りの手紙が届きそう。毎日。積み重なるぐらいに。
「殿や、皆の気持ちは、有り難く。が、今は外道衆を倒す事こそ先決。それに、殿や皆の事こそ、この爺にとって何より……」
「爺……」
「三文芝居は、そこまででごわす」
立ち直った薩摩アヤカシに、向き直るスーパーシンケンレッド。
「――参る」
ここの「参る」の言い方は、非常に格好良かったです。
主従の絆はより強く、シンケンレッド、右手に刀、左手にバズーカで、派手に行くぜ。
後のゴーカイジャーへの発展を思わせる剣と銃の変則二刀流で、見応えのある格好いいアクション。そして猛牛バズーカにスーパーシンケン丸をセットし、最終奥義ディスクを発動。
「スーパー猛牛バズーカ――外道伏滅!!」
侍の最終奥義がバズーカでいいのかについては後で予算委員会で審議するとして、前年の反省を踏まえた感じの、見栄えのする年末追加武装となりました。特に、刀との合わせ技で、アクション的に作品の中に格好良く取り込んだのは良かったです。
源太負傷の為、巨大化したアヤカシには、猛牛大王とシンケンダイゴヨウが相対。とても露骨ですが、ここ数話で、巨大ロボの大体のバリエーションを使い尽くしてきました(笑) ナナシ大筒隊に対し、猛牛大王はバズーカを巨大化させると、右手にバルカン、左手にバズーカによる猛牛フルバーストで蹴散らし、最後は猛牛大回転砲で成敗。
締めは爺を連れて屋敷とは違う方向に寄り道した殿が、本当は会える筈だった娘夫婦と爺をすれ違わせて、一件落着。今作の、映像的統一イメージの一つである、帰り道エンドの亜種として収めた事で、綺麗なラストになりました。
最終クールを前に、爺にスポットを当てつつ、ここ数話の流れを汲んで殿の心理的変化も描き、新ギミック登場回としてはかなり濃いドラマが展開。その上でギミックはアクションでしっかりと見せ、面白いエピソードでした。しかしこの流れだとやっぱり、ことははカレー回とかやってないで、お姉さん絡みの話をねじ込めなかったのか(^^; ことはのお姉さん話は序盤に触れられただけで、意外やスポットが当たらないのですが、如何にも使えそうなネタだけに、ちょっと謎。