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『侍戦隊シンケンジャー』感想27

◆第四十幕「御大将出陣」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:小林靖子
稽古中、千明の変則的な動きにこれまでになく追い込まれた丈瑠は、荒い剣技で千明を退けるが、その様子に違和感を強く持つことは。
「茉子ちゃん、やっぱり殿様、この間からなんか……」
そして茉子は、丈瑠の言葉と態度に、再び固い壁の存在を感じていた。
「立ち入り禁止か……」
その頃、三途の川ではドウコクが、潤いを求めていた。
「シタリよ。そろそろこいつらの口三味線にも飽きた。そう思わねえか」
「そうかい……太夫を連れ戻すんだね」
ドウコクはアクマロに太夫の三味線の返還を命じ、アクマロが地上に隠してあるというその回収に、シタリも付き合う事に。
……骨のシタリ、かつてここまで、駄目人間に対する面倒見が良い悪の幹部が居ただろうか(笑)
「ドウコクさんはよほど太夫さんが大切と見えまする。わざわざ太夫さんの三味線を取り戻そうとは」
「ふん、人間みたいな事言うじゃないか。あたしら外道衆がどういうものか、わかってるんだろ」
ここで40話にして、外道衆とは、三途の川に生まれ、生きて此岸に行く事も、死んで彼岸に行く事も出来ない存在というのが、初めて明確に。以前に「生きも死にも出来ない」という言及はありましたが、出自が明かされたのは初。
そして外道衆は、その存在のもどかしさゆえに、人間の苦しみや悲しみに惹かれるのであった。
「思えば、これほど長く三味を弾かなかったのは、初めてだ」
山中をぶらつきながら、毛玉を愛でる薄皮太夫
太夫はこの仕草で女性らしい可愛さを付加するというメソッドなのですが(率直な所、薄雪よりも薄皮太夫の方が女の情とか淑やかさが出ているという、恐ろしさ)……今更気付いたけどこれ、殿が獅子折神と戯れて可愛げをアピールするのと同じ手法であり、つまり、殿=乙女、というロジックが!
「俺は十臓に後れを取った」
「で、その原因が、流ノ介達と近づき過ぎた事にあると? ――爺はそうは思いませんな。家臣と心を通じ一致団結せねば、今日まで外道衆と戦ってはこれなかった筈」
「でも俺は!」
「志波家18代目を背負うとは、その全てを呑み込んでこそ」
そんな乙女粒子全開散布中の殿を諭す爺だが、そこへ、ゴールド寿司がグルメ雑誌に掲載された源太がテンション高く乗り込んで来る。源太は爺にあしらわれるが、源太を止めようとついてきた姐さんが、殿を気にして前回に続いてやや距離を詰めたポジション。
茉子だけだと距離感のバランスが偏ると思ったのか、ことはも殿の様子を気にしてはいるのですが、やや差別化が図られ、隊内ヒロイン争いも、終盤戦に激しくなって参りました。
天使センサーVSけなげ爆弾、勝つのはどっちだ!
アクマロが隠し金庫のパスワードを入れている間、ドウコクと太夫の馴れ初めを思い返すシタリ。
「苦しみや悲しみねぇ……そんな言葉じゃ到底言い表せないものがあったねぇ、昔聞いたあの三味には。ドウコクの生まれ持った底抜けの苛立ち、そいつが紛れるぐらい、人の世の涙をかき集めたような音色だった」
それは――隙間から三途の川に届いた薄雪の三味線の響き。
「あと……どれほど待てば…………いや、もう少し……きっと……明日にも」
前回の太夫回想シーンに続き、朴ロ美さんが薄雪として出演。
「毎日毎日、一年、二年、三年……ドウコクが耳を傾けない日は無かった。そして――」
まさしく、慟哭の詰まった、薄雪の三味線の音色を酒の肴にドウコクは自堕落な日々を満喫し、そして――惨劇を起こした薄雪は炎の中で外道に堕ちる。
「てめえは外道に堕ちた。もう二度と戻れねぇ。待ってたぜ、太夫
ドウコクは三途の川で太夫に骨の三味線を渡し、それ以来、薄皮太夫は六門船で三味を弾き、そこに積もった苦悶の音色がドウコクの欠かせぬ慰めとなったのであった。
「あれは、人で言うなら……“執着”かねぇ」
先にアクマロと「ふん、人間みたいな事言うじゃないか」というやり取りを置く事で外道の物の捉え方を強調し、甘さや柔らかさを取り除いた上で、しかしそこに“情”という物が皆無ではない、という複雑さを、“執着”という言葉で巧く着地させました。
ドウコクと太夫の大人の関係としては、凄くしっくり来て、素敵。
しばし物思いにふけっていたシタリは、突如、三味線を取り出したアクマロに背後から攻撃を受ける。
「先程からこれを渡さぬ言い訳を考えましたが、思いつきませぬゆえ、ドウコクさん達を欺くのもこれまでと」
面倒くさくなったーーー(笑)
出てきた時から怪しさ全開だったアクマロですが、いよいよ本性を現し、太夫の三味線を使って「どうしてもしたい事がある」と宣言。それにしてもアクマロは、隠し場所の封印を解きながら、(んー、どうしよう……腹痛? 発熱? 親戚の法事? それとも、封印解除するパスワード忘れちゃった、てへ☆ とか可愛くやってみる? 或いは、3歳になる孫の為とか泣き落とし路線に行くか……)とか、ずっと考えていたのか。
シタリは三途の川へ退き、その際に隙間センサーに引っかかった事でシンケンジャー出陣。そして太夫は三味線の呻きに気付き、怒りの声と共にアクマロの元へと急ぐ。
「おまえの苦痛、ここに吐き出して、楔となってもらいましょう」
呪具を用いて何かの地点を見つけたアクマロだが、そこへやってくるシンケンジャー。アクマロはナナシを召喚してシンケンジャーの相手をさせるが、太夫が現れ、アクマロに斬りつける。
「実は吾が欲しかったのは、十臓さんと、極上の苦しみが詰まったこの三味だけでござります。あんたさんのお陰で、うまくいきました。ありがとう」
どうやら数百年物のビンテージ三味線を何かの儀式に使うようですが、十臓も同じような理屈か? そもそも裏正を十臓に渡して外道へ堕ちる事をそそのかしたのがアクマロのようなので、いよいよ、過去からの因縁が色々と繋がって参りました。父祖の因縁、というのがキーワードの作品ですので、折神と切神、モヂカラと志波家、など含め、数百年単位の因縁がどこまで繋がってくるのか、楽しみ。
アクマロはミラージュ蹴鞠ショットなどで太夫に実力の差を見せつけ、容赦なくトドメを刺そうとする。
「わちきが馬鹿だ……また、裏切られるとは」
――だがその時。
「おおぉ、アクマロてめぇぇぇ!!!」
震える大気、漂う黒雲。
そう、男には、立たなきゃならない時がある。
止めるシタリを振り払い、違いの分かる男・血祭ドウコク、遂に出陣。
ドウコクの登場シーンは、わざわざ石が集まった後、それが爆発しながら出てくるという、無駄なハッタリが効いていて物凄く格好いい。また地上に出たドウコクは封印の術の影響による酷い肌荒れで、次々と体が石化していく、と、これまで働かなかった理由が克明に描写。
「血祭……ドウコク」
「アクマロ……シンケンジャー!」
ドウコクの刀の一振りで大爆発が起こり、吹き飛ぶシンケンジャー。三味線を取り落とすもアクマロはドウコクの縛りから何とか逃亡し、その隙を突いてドウコクに切りかかるシンケンレッドだが、その斬撃は全く通用しない。
「シンケンレッド……志波の、当主めがぁ!!」
一太刀で赤はシンケン丸を折られて壮絶に吹っ飛び、家臣5人は連携属性攻撃を放つもドウコクに弾かれ、反撃で一蹴されてしまう。
「志波の……てめえら一族には、返しきれねぇ借りがある」
赤は黄の刀を拾い、スーパー化すると猛牛バズーカ外道伏滅を放つが、それすらもドウコクには無効。空中戦の果てに赤は一刀両断され、更にトドメの一撃を浴びて、派手な大爆発の中で倒れてしまう。
2話連続で新規着ぐるみを用いなかった分の予算でも回したのか、ど派手な大火薬祭の中、圧倒的な力を見せるドウコクが超格好いいぃぃぃぃぃ!!
今回の戦闘一つで、39話に渡って底値だった株価がストップ高に転じました(笑)
働いたら負けじゃない! 働くと勝つから働かないんだ!!
ドウコクって人間大ですが、扱いとしては置物系ボスキャラなのだな、とその強さとこれまでの生活態度の相関関係に、深く納得。
シンケンレッドを蹴散らしたドウコクは、三味線を拾うと太夫の元へジャンプ。
「てめえは外道に堕ちた。他に行く場所はねえ」
そして自分の体の一部を三味線にはめる事で修理する。
「ドウコク……おまえ……」
画面手前にぼやけるぐらい大きく野草を置き(太夫のサイドは花っぽく、ドウコクのサイドは草だけっぽい)、その奥でドウコクが無言で太夫に三味線を渡すというカットは、2人のなぞらえも含め、ちょっと長石多可男っぽい絵作り。長石監督スペシャル回とか、監督補として参加とかあったので、渡辺監督がかなり意識的にやった絵ではないか、と妄想。
ドウコクのダンディズムが良く出たシーンなのですが、よく考えると三味線壊したのはドウコクなので、酷いマッチポンプな気もするけど、外道衆だから仕方ない。
太夫は三味線をかき抱き、シタリが乾燥肌の酷いドウコクを強引に三途の川へ連れ戻すと、大筒ナナシ隊を置いていく。
重傷の殿をことはに任せた4人は大海シンケンオーで挑むも苦戦するが、寿司屋が猛牛大王を呼び出して側面攻撃をしかけて反撃。
そう、大筒は、2方向に攻撃出来なかった!
最後は烏賊天空バスターと猛牛大回転のダブルビームで成敗するが、ドウコクの猛攻を受けた丈瑠が、重傷を負ってしまうのであった……。
一方、強引に地上で暴れたドウコクも乾燥肌による反動が酷く、しばらく三途の川に沈んでスキンケアせざるを得なくなる。そんなドウコク不在の間に、しれっと船に戻ってくるアクマロ。
「吾を追い出す力はござりますまい」
裏切り宣言した後、ここまで堂々と本拠地に帰ってくる悪の幹部は初めて見たかもしれない(笑)
三味線を手に海を見つめ、超・急上昇する太夫のヒロイン力! アクマロに利用されようとしている事をまだ知らず、それを見つめる腑破十臓、そして次回から床磨き係になっているかもしれない骨のシタリ……外道衆の明日はどっちだ?!
終わってみると、前回から引っ張った殿の煩悶はどうでも良くなり、御大将格好いいぃぃぃぃぃ!!祭でした(笑) 外道衆の正体、ドウコクの心情の一部なども明かされ、一気に外道衆方面の話が盛り上がってきたのは好材料。アクマロ……は割とどうでもいいので、ドウコクに頑張っていただきたい。