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『百獣戦隊ガオレンジャー』感想1

ジェットマン』もそろそろ終わるし、戦隊史的には重要な作品である『ガオレンジャー』(本放送時にはつまみ食いで、ほぼ覚えていない)と一度きちっと向き合おうかなという事で、とりあえずキープ。……続くかは何とも言えません(^^;
◆Quest1「獅子、吼える!!」◆ (監督:諸田敏 脚本:武上純希
OP、赤・黄・青の紹介→敵などのキャスティング→黒・白の紹介
という、変則的な構成。
黄が2番手というのも、歴代シリーズでも相当珍しいか。
平和な世界を闇で乱す邪悪に人知れず挑む、白、黒、青、そして黄の戦士。
子供に絵本や昔話を読み聞かす声が幾つも重なる……という暗示的なシーンから始まる入りは面白いのですが、
「ゾウが逃げたぞー」
い・き・な・り(笑)
群衆がパニックになる中、そこへ現れた獣医の青年がゾウと心を通じ合わせて落ち着かせ、それを謎の女が感知していた。
「みなさん、見つかりました。ガオレンジャー、5人目の戦士が」
翌日……
「私達と、一緒に来て下さい」「悪いな」「ちょっと、確かめたいだけなんだ」
不審な4人組に、拉致される獣医(笑)
ナレーション「人生の転機というものは、本人も、思いもしない形で、突然、訪れます。この青年にも、それが、起ころうとしています」
そして、誘拐を軽い調子で流し、やたらに劇中世界に入り込むナレーションさん(笑)
緑が生い茂り、巨大な動物が走り回る妙な場所で目を覚ました獣医は、巨大な赤いライオンを目にして近づこうと崖を登り、そこが空中に浮かぶ島だと知る…………て、どう見ても、獣医がしがみついている崖の位置から島の外縁が見えないので、ここはもう少し説得力のある映像にして欲しかった所です(^^;
巨大な亀っぽい形状の島の名を――天空島・アニマリウム。
崖から落ちた所をライオンに助けられた獣医の腕の中から スーパーボール ガオの宝珠が生じ、獣医はライオンにより下界のガオズロックへと吹っ飛ばされる。そこでは彼を拉致した4人と、謎の女が待ち構えていた。
「私はテトム。貴方が会った、パワーアニマル達の意志を伝える為の巫女です。パワーアニマルは、この星を護る為の聖なる力」
「は?」
「貴方は、彼等と共に戦う戦士、ガオレンジャーなんです」
ガオレンジャー?」
オルグと戦う為の、5人の戦士です」
逃げろ!
拉致パターンでは過去にも「悪魔の犬が見ていた」とか「ロボット鷲掴み」とかありましたが、なまじ相手が人間の姿をしている分、こちらの話を聞く気が無い感じが倍増している上に、危ないオカルトの匂いがガンガンします!
人生の転機というより崖っぷちで困惑する獣医だが、その時、冒頭で4人が戦っていた怪物の姿が水鏡に映る。それは、地球を蝕み、あらゆる生命体を絶滅に追いやる怪物――オルグ
獣医は変身アイテムGフォンを手渡されて強制連行され、タービンオルグとプラグマオルグがダムで大暴れしているのを目にする。
「みんな……怯えてる……」
その破壊による、動物や自然の被害を見て、やる気を出す獣医。
「俺は獣医だ! 救いを求める命を、黙って見ているわけにはいかない!」
獣医は4人を真似て変身し、ここに5人揃ったガオレンジャーは、2体のオルグに立ち向かう!
5人それぞれのキャッチフレーズと担当アニマルは以下。
「孤高の荒鷲・ガオイエロー」/イーグル
「怒濤の鮫・ガオブルー」/シャーク
「鋼の猛牛・ガオブラック」/バイソン
「麗しの白虎・ガオホワイト」/タイガー
「灼熱の獅子・ガオレッド」/ライオン
自分で、麗しって、言っちゃった……。
ガオレンジャーは獣の戦士という事でか、両手両足をついた低い姿勢を取り、爪で攻撃を仕掛ける、というのが特徴的なアクション。奮戦する5人だがオルグの合体攻撃に苦戦し、その時、赤の胸にライオンの声が響き、5人のパワーを一つにするべく、それぞれの個人武器を合体させる。
ライオンファング・イーグルソード・シャークカッター・バイソンアックス・タイガーバトン――五つの武器と心を重ねた合体武器、その名を、破邪百獣剣。
ナレーション「5人の気持ちが重なり合い、彼等の剣に、邪なるものを破る、聖なる力が、集まるのです」
ガオレンジャーは破邪百獣剣の一撃でプラグマオルグをずんばらりん。逃げ出したタービンの前に、オルグの神・オルグマスターに仕える一本角のデュークオルグ、ヤバイバ(着ぐるみ)とツエツエ(女性顔出し)が現れ、タービン巨大化。
ガオレンジャーが共通武器である短剣・獣皇剣にそれぞれのガオの宝珠をはめるとパワーアニマルが島から出撃し、主題歌と共にアニマル軍団が巨大タービンへと襲いかかる…………5人はそれに、声援を送っていた(笑)
「命あるところ――正義の雄叫びあり! 百獣戦隊・ガオレンジャー!」
トドメはアニマル合体光線が炸裂し、タービンオルグは爆発四散。こうして5人となったガオレンジャーは初陣を飾り、2体のオルグを撃破。しかしその一方で、これまで個別でテロ行為を行ってきたオルグに、組織化の影がちらつくのであった……。
うーん……なんだろう……個々の要素としてはそれほどおかしなわけではなく、旧来作品において成り行きで誤魔化していた部分に理由付けを入れながら、オーソドックスな戦隊像を踏まえた上で新しく進化させよう、という意図は見えるのですが、いざ出来上がってみた物が今ひとつ面白くない(^^;
例えば、選ばれた戦士を拉致、という形を取りつつ、メンバー中4人は既に選抜・戦闘経験済み、とする事で物語の焦点をレッドに合わせ、レッドの目を通した“驚き”を視聴者とシンクロさせつつ、とりあえず初回においてはレッドの動機付けをしっかり描く、と旧来フォーマットから一歩進めつつ全体をすっきりさせようとした構成そのものは悪くないと思うのですが、肝心のレッドが戦士以前においては「いきなりゾウと心を通わせる男」で、戦士以後は(4人を真似て変身する、というプロセスまで描いたのに)いきなり「灼熱の獅子・ガオレッド!」とか言い出してしまうので、もう一つその構成が物語としての面白さになっていません。
2000年の『仮面ライダークウガ』によるブレイクスルーを受けた後の2001年という事で、過渡期という事はあったのでしょうが、詰めが足らず、惜しい。
もう少し、獣医としての赤、をしっかり描写してからなら
「俺は獣医だ! 救いを求める命を、黙って見ているわけにはいかない!」
もより活きたと思うのですが(この台詞自体は、背景として悪くない)、せっかく焦点を1人に絞ってヒーローの動機付けを描いたのに、その背景と物語の繋がりが弱くてやや空転。
また、全体通して字幕を多用しており、“子供向けのわかりやすさ”を重視した意図はわかるのですが、さすがに、迫り来る敵の前で1人ずつ武器を構える(字幕が出る)×5→武器合体(説明ナレーション)、はテンポが悪くなりすぎました(^^;
破邪百獣剣のくだりが最も露骨ですが、全体的にこの、事あるごとに物語の動きが止まる(前年がやや複雑かつハード路線の『未来戦隊タイムレンジャー』であった反動もあるのか)関係で、話の流れが非常にぶつ切れ。
結果として、説明過多の上に独特なもっさり感を生じさせてしまっています。
以後の戦隊で定例にならなかった所を見ると、やってはみたけどあまり感触が良くなかったようではありますが(^^;
この辺りの演出面は改善されていくかとは思われますが、色々と不安な滑り出し……そして、更にそれを煽る妙にリリカルな半裸ED! ……そういえば、そうだった。