参勤交代、を主軸に、幕府に無理難題をふっかけられた小藩が、５日の期限で江戸へ辿り着こうとする珍道中を描いた時代劇。ポイントはあくまで「参勤交代」という事で、それなりに大名行列の格好を付けねばならず、かといって金も時間も無い……という状況をどう乗り越えるのか、が一つの見所。
時は江戸、８代将軍吉宗の世――１年の江戸勤めを終えて国元へ戻った湯長谷藩（現在の福島県いわき市周辺）藩主・内藤政醇は、落ち着く間もなく、領内に隠し金山ありとの疑いをかけられ、詮議の為に５日以内に参勤せよと命じられてしまう。ただでさえ貧乏な小藩、しかも通常でも８日はかかる道のりに５日という無理難題だが、果たせなくては藩はお取り潰し。流れ者の忍びの協力を得た湯長谷藩は、武士の面目にかけ、気力と知略でこの参勤交代に挑むが、果たして期限の内に江戸に辿り着く事が出来るのか。そしてこの無理な命令には、老中・松平信祝の陰謀があるのであった――。
全体的にコメディ要素が多めですが、締める所は締めており、忍者もあり、殺陣もあり、と盛りだくさんのエンターテイメント。
世界観を壊すようなギャグをせずに、時代劇としての笑いをしっかりと構築しているのも秀逸。特に中盤の家老は素晴らしかったです。
そこをそう持っていくのか、というのが面白みの作品なので少々話に触れにくいのですが、私の中で佐々木蔵之介さんというと、人畜無害そうな笑顔で近づいてきて実態は悪魔という設定（設定？）なので、それが演じる主役のお殿様と噛み合っていたのも良かったです（笑）
あの展開で忠誠度だだ下がりにならない殿の人徳。
少々ラストにメッセージ性を押し出しすぎたかなーという不満はあるものの、ぐいぐい進むテンポの良さもあり、楽しい作品でした。
