◆第2話「電撃!発明王!」◆ (監督:諸田敏 脚本:福田卓郎)
とりあえず現状、作品構造として最大の問題は、
眼魔の行動目的が不明瞭な為、それを阻止するヒーロー、という構図のカタルシスが非常に弱い事。
一応今回、眼魔が人間を利用してガンマホールを作り出し大量の眼魔を呼び込もうとしている? というのが示されましたが、それもハッキリしませんし、その説明をストーリーの最後に持ってきた、というのは失敗だったと思います。
また、裏で糸引く謎の中年と謎の青年、というわかりやすくふわふわしたキャラクターを置いてしまった事で、輪をかけて不透明感が増してしまい、凄くスッキリしない導入に。
物語冒頭で悪い連中がわかりやすく大暴れしてそれをヒーローが食い止める、という伝統的なフォーマットが、伊達に伝統ではなく、機能性の高さゆえのものだという事がよくわかります。
勿論、伝統に頼っているばかりではなく、型を知って型を破る事も大事でありますが、そうであるならば新しい面白さを提供しなければならなず、しかしそれが出来ているかといえば、首をひねらざるを得ない内容。その癖、第1話か第2話で敵が巨大化してCGメカで戦う、などの《平成ライダー》のお約束的な要素は半端に踏襲している為、非常に中途半端。
第1話で一応、剣と槍の眼魔が遊園地などで暴れてはいるのですが、その後はアイコンという目的があったにせよ、寺で人を襲って喜んでいる程度になってしまい、悪事のスケール感が物語と上手く連動していません。そして今回の電気眼魔の行動から翻っても、遊園地で暴れていた理由は不明で、それこそ単純に、お約束として処理しただけになってしまっています。
そこに、物語として意味を与えないと、ヒーロー作品は巧く成立しません。
正義は結局、悪へのリアクションであり、悪のアクションあってこそヒーローの導くカタルシスに繋がるのですが、その欠落はこの先に向けて非常に不安。
そしてピュアハート18歳主人公、
「人間は道具じゃない! 人の命は、自らの運命を切り開くためにある。その、無限の可能性を、馬鹿にするな!」
と叫ぶのですが、第1話における主人公の印象が、日がな地下室にこもって読書している住職見習い(修行さぼりがち)なので、主人公の造形とこの叫びがどうも上手く繋がってくれません。2話でこの台詞を持ってくるならば、どうして1話の内から主人公に、運命を切り開こうとする青年、という印象を与えておかないのか。
一度死んで、人生にタイムリミットを区切られた事で心境の変化があったという事なのかもしれませんが、それならそこを重視して描くべきで、どうにもちぐはぐ。
例えば、前回はまだ「死」の実感が無かった→今回、それを自覚する→命の重さを強く感じる、というような流れが組まれていれば、全然違うわけなのですが。
一応今回、「命が惜しくない……? 命は、命はそんなに軽くない!」と変人博士に詰め寄ったり、幼なじみに現状を愚痴ったりというシーンはあるのですが、前回の「死」に対する本人のアクションと周囲のリアクションがあまりに薄かった上で、今回特段、自身が幽霊である事をじんわり自覚するような描写があるわけでもないので(むしろ、霊体化を積極的に活用している)、全体的に急にキレる子にしか見えません。
そもそも博士の「命も惜しくない」発言は、よくあるレトリックなわけで、これに対して女の子を思いっきり払いのけるほど激怒する、というのは、かえって主人公の「命」への反応が軽くなってしまっています。主人公はこの調子で今後も、「死ぬ気で頑張ります」「私はこのゲームに命を賭けている」などなど言う人が出てくる度に、激怒するのか。
本来最も必要だったのは、“主人公が幽霊である事を自覚してそれを受け止めるシーン”だったと思うのですが、作品として「死」という重い状況設定に対し、あくまで明るい雰囲気で進行しようとしている為に、その肝心の部分が飛ばされてしまっています。それならそれで途中経過をすっ飛ばしても物語が成立する性格に主人公を造形すればいいものを、描かれないけど普通に準備運動はしていた事になって話が進み、唐突に主人公が真っ当に問題と向き合うので、視聴者として作品内の温度差についていきにくい上に、話の都合が主人公を振り回しているように見えてしまいます。
この、劇中描写が作品コンセプトとしっかり向き合っていないように見えるのも、だいぶ不安。
どちらも幾つかの台詞や描写でがらりと変わる要素なので、第3話以降で改善される事に期待したいですが、制作発表の段階で二番手ライダーが紹介される程、とにかく先の予定が詰まっているようなので、落ち着くまでは無理かもしれない……。
他、幾つか気になった事。
ヒロインが可愛くないけど、これは後で本ヒロインが出てくるパターンなのか。
仙人はキャラが不安定なのがキャラなのでしょうが、1−2話ぐらいはせめて髪型には統一感を持たせた方が良かった気がします。
現状、ナビキャラ(ユルセン)の使い方が、最悪。説明キャラはどうしても都合が良くなるので、ナビゲート以外の部分で面白みなり可愛げなりデメリットなりを付加しないといけないのですが、全くそういった工夫が無いので、早急に何とかしてほしい。
何故、イグアナ。
そして何故、飛び道具が続けて増えるのか(笑)
……とにかく、処理しないといけない商業的ノルマが多すぎて、細部に手を入れている余裕がない、というのが全力で伝わってくるのですが、“主人公の成仏まで99日”というコンセプトの時点で、ストーリー的な前半の一山までは固まっていると思われるので、最低限そこまでは出来る限り継続したいと思います。