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ヒーロー×ヒーロー或いは日曜夜は石川界人祭り

◇『ワンパンマン』 第6話
ある種ギャグの一貫であった市街地などの派手な破壊描写を、劇中での実際の被害として確定。合わせてサイタマの戦闘がアパートの周囲で騒ぎにならないのは、本人が気付かない内に怪獣・怪人出現のホットスポットとして立入禁止区域に指定されていた為だった……と物語の設定に組み込む事で、世界観のリアリティラインを変更。
ミュータントのたぐいはさっくり消滅させるサイタマが、ハンマーヘッドソニックはぷちっと潰さないのには少々違和感があったのですが、これも世界観を少しいじる事で、人間の悪党には基本そこまでしない(多分)、という形に収めてきました。
ヒーロー協会の登場と共に、明確に世界の構造を変えてきたというのはなかなか面白く、これから、この世界で出来る物語、の展開に期待したい所。
で、今作、嫌いではないけどもう一つノれない理由がやっと掴めたのですが、「サイタマがデウス・エクス・マキナ化している」のが、どうにも引っかかります。
そもそもが、一撃必殺の主人公がどんな強敵も粉砕する、というコンセプトではあるのですが、前座の描き方にしてもキャラクターの出し方にしても、どうにも今作は全体的に出し惜しみ感が強い為に物語の密度が薄くて、それが、サイタマが全てを粉砕するカタルシスよりも、それほど大した事のないものを大げさに引っ張った末に虚仮威しに終わる、という印象を増しているような気がします。
個人的な趣味嗜好もありますが、アニメとしてはもっとドンドン詰め込んでくれた方が面白くなる気がして、どうも造りがもどかしい。
加えて、それが特色ではあるのですが、“サイタマの物語”と“前座の物語”がほぼ一切関わらない為、ますますサイタマに通りすがりのデウス・エクス・マキナ感が強くなってしまっています。
そこを面白がれなければ向かない、と言われてしまうと、それまでなのですが(^^;
要するにサイタマ、行動隊長ですらないビッグワン(『ジャッカー電撃隊』)ぽいのだよなぁ……。
サイタマとジェノスのやり取りとか面白かったりしますし、ようやく少しずつキャラクターが増えてきたので、ヒーロー協会という背景設定と合わせて、もう少し横の関係に繋がりと広がりが生まれてくれる事に期待。


◇『コンクリート・レボルティオ』 第6話
またもや時制はさらりと飛んで、神化44年10月・浅草。風郎太が爾朗を追って、あるキャバレーへ入る所からスタート。そこではマウンテンホースという3人組のコミックバンドが前座を務めていた……。
神化44年(1969年)10月の時点で既に爾朗が超人課を脱けている事が判明し、神化46年以後の世界ではまだ登場していなかった兵馬は、少なくともこの時点では超人課に在籍。これで未来(というのもおかしいのですが、便宜上)の時制で登場していないのは課長、笑美、孫竹ですが、爾朗がゴジラパワーを使えるようになっている事を考えると、これ以前のどこかで、孫竹と笑美が絡む事件が退職のきっかけになった、という可能性が高そうか。
時間は戻って神化42年10月、4人組のバンド・マウンテンホースに接触する風郎太。実は彼らは、ビート○ズ来日公演の前座を務めた際に、ビート○ズに触れた事がきっかけで能力に目覚めた、新たな(そしてそれを隠す)超人だったのである。
『コンレボ』世界にかかればビート○ズも超人、という事で、前回の広告代理店のメガネ美人を前振りに、ビート○ズ来日に端を発した、神化の芸能界と超人の関わりを描くエピソード。
「これで僕たちも、超人だな〜。テンキュウナイト、アースちゃん、子供の頃、憧れたよね〜」
「おい、超人になっちまったんて絶対言うなよ」
法律により超人の存在は公式には隠蔽されている為、超人である事と芸能界で成功するという夢は相反してしまうという、幻想と現実の絡ませ方は今作らしさ。更に、戦前は超人はごく普通に報道されていたのが、戦中に兵士として利用された事から軍事機密になり、しかし戦後20年以上経ってそんな歴史も忘れられつつある……と架空史らしいアプローチ。更に2年後の世界では、超人そのものが保安隊に監視される存在である、と統制が強まっている描写がされています。
ヒーローの国家統制という要素は先達がある上で組み込んでいる部分でしょうから、ここからどういうオリジナリティを与えて転がしていくのかは楽しみな部分です。
「でもさー、超人になったら、何か生まれてきた意味があるような事をやれる気がする」
純粋な超人への憧れから、たまたま出くわした強盗をやっつけようとする4人だが、それぞれ微妙な能力だった為に失敗。ここで4話にちらっと出てきた巨大ロボとそれを操る少年が仲間と共に登場し、5人組の秘密探偵BL団であったと判明。4話でどうして超人嫌いの筈の柴刑事と向き合っている絵なのかと思ったら、元ネタ通りに、警察と繋がりがあるという事か。OPでエクウスと対決する構図なのも、段々と意味が出て参りました。
……にしても、BL団、って……ビッグ…………ライト?
超人として活動するのは無理だと諦めていたマウンテンホースの4人だが、政府公認超人アイドルがデビューし、そのキャンペーンにかこつけて超人因子抑制薬を混ぜたチョコレートを売ろうという計画を知ってしまった為に、一度だけ、“超人”をやろうと決意する。
前回盛り上げた事と予告の雰囲気から閑話休題的な話かと思っていたら、時間を行き来して作品世界を掘り下げつつ、ヒーローとしても芸能人としても一流になりきれない男達の、それでも持っている誇りに、超人ってなんだ? という問いを絡めて描き、非常に面白かったです。
「俺らが超人になった所で、どうせ二流の超人だろうが。それで笑えるか?」
超人の力で悪を倒す事だけが、世界に対する正義でも無ければ勝利でもない。
「ドンさん! おいら達と来てよ、超人として!」
「――笑えねえよ」
仲間の1人を失いながらも、コミックバンドとして生き続ける事を決めるマウンテンホース。
「惜しいな……あの力、使い方次第でいい超人になれたのに」
「わっかんないの? あの人たちは超人だ。こんなに大勢が笑ってる。誰より凄い力じゃないか」
「……風郎太……おまえ、本当はあの人たちの仲間に……」
「……おいら、最後まで見ていくから」
最後に未来の時制で、超人課を離れた爾朗が打倒超人課に協力してくれる超人をスカウトして回っている事が明かされ、超人とは何か、について爾朗とは違う視点を見せる風郎太。“悪を倒すヒーロー”ではなく“子供の友達”であるオバケの風郎太の立ち位置も活き、綺麗にまとまりました。
また、「最後まで見ていく」というのは、この場は爾朗を見逃すとともに、オバケである風郎太が、爾朗達の物語を最後まで見届けるというニュアンスを含んでいるのかな、とも思ってみたり。風郎太にスポットを当てた第2話は、少々語りが先行しすぎに感じていたのですが、今回に繋がる形で効いており、実に多重に仕掛けが施された作品です。
超人に対する圧力が強まる時代――それでも、「やつらはいつでも笑ってる」。
爾朗のキラキラしたヒーローへの理想に対して、正義を為すとは決して一つの形ではない、本当のヒーローとは何か? という問題を今作これまでとは違う形で描き、そこに超人にまつわる陰謀劇を上手く絡めた、名編でした。
それにしても、理想主義の青年が危険分子に転向して地下に潜って同志を集めている、って爾朗のテロリストぶりが物凄いですが、47年には逆に柴刑事のテロを止めていたし、断片的に見せられるその辺りの変遷がどう繋がっていくのかも興味深い。
次回、実はここまでなかった“正義の超人”を中心とした話になるようで、またまた楽しみです。