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『手裏剣戦隊ニンニンジャー』感想・第35&36話

◆忍びの35「キンジ、妖怪への迷路!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)
「こんな所で……死んでたまるか」
ラクリ狐ロボの爆発炎上後、行方不明になっていた九衛門は、割と普通に落ちぶれていた。そんな九衛門に、イカ軍師が放った刺客・オオムカデが迫る。夏の終わりに伏せられたトラップカードが発動し、オオカミオトコの妖力に飲み込まれそうになるキンジは、妖怪化を止める手段として九衛門から妖刀の存在を教えられる。妖刀を手に入れる為、図らずもオオムカデから九衛門を守る事になるキンジだが、果たしてキンジは体内の妖力を消し去る事が出来るのか?
伏線が張られたのが第27話で、この間7話あったわけですが、その途中で引っかかるような描写は一切なく、見え見えの伏線にしても、というか見え見えの伏線だからこそ、もう少しキンジの妖怪化に前振りの欲しかった所。
正影の術によりビル内に張り巡らされた心の迷いの迷宮は、迷うほど道が増え、迷いが晴れると一本道になる、と物語の流れと映像が連動して、アイデアとしては面白かったです。……ただ、天晴さんには効かない気がしましたが(笑)
妖怪化に苦しむキンジを軸に、運動会の頃からやたらキンジになついている凪(多分、自分より立場が低いから)をそこに絡め、気遣いキャラの確定した凪が、誰かを信じる事で自分に自信を得る、という流れは悪くは無いのですが、肝心のキンジが登場当初から延々とブレまくり、実質的に一度設定リセットまでされている為、そんなキンジを信じろと言われても、信じてはいけない気がしてしまい、凪の成長として素直に受け止める事が出来ません(^^;
……しかも結局、キンジはまんまと騙されていたというオチ。
何か、凪まで、まとめて奈落に突き落とされたような。
ビルから飛び降りながらの変則名乗りと、ムカデが体を伸ばして激熱大王に絡みつくシーンは格好良かったです。前回手に入れたジライヤ手裏剣も、ちゃんと使われました。……磁雷神の顔が出てくると激熱大王が熱くなる、という意味は不明ですが(笑)
オオムカデを撃破するニンニンジャーだが、妖刀を抜いたキンジが、妖怪オオカミオトコの姿に変貌してしまう。ほくそ笑みながら姿を消す九衛門の真の狙いは、そしてキンジはどうなってしまうのか!
……であれ? 次回いきなり、御家老大ピンチ? ……まあ正直、奥方との二頭体制は、お互いの存在感を削っている感じが強いですが(^^;


◆忍びの36「キンジ、栄光のスーパースター!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:下山健人)
オオカミオトコとして暴れるもすぐに気絶、凪が家に連れ帰ったキンジの状態を率先して診る好天爺ちゃんはホント、どこで脳改造手術を受けたのだろう。
根本的に設定が変更された疑惑さえあります(笑)
好天の説明により、妖力は、恐れ・悩み・侮りに巣食う、と、妖力を忍タリティの対立存在として設定に繋げてきましたが、どちらかというと、九衛門の出奔により爺ちゃんが羮に懲りて膾を吹いた結果、「恐れず・悩まず・侮らず」の三無し主義が伊賀崎流に掲げられてしまった感が強く、話が進むほどに爺ちゃんはニンジャマスターとしては駄目な人になっていきます!
今や『ニンニンジャー』の軸設定として、
「心の弱さが闇につけ込まれる隙になる」
というのは納得できるのですが、今作ここまでの描写は、
「だから深く考えない」
というものになってしまっており、もう少し巧く組み立てられなかったものか(^^; ……まあ、前半ここまで繋がっていなかったのだとは思うのですが。
御家老がガシャドクロ軍団に手裏剣二つ足して、地均しロボ、もとい妖怪オボログルマが生まれるというのは格好良かったです。あっさりシュリケンジンを倒されてしまったニンニンジャーが逃げ出した為にビル一つぺしゃんこになったのは、結構ギリギリ(笑) まあ前回で、中の人たちは皆逃げている筈ではありますが。
ニンニンジャーイカ軍師と直接対決し、超絶手裏剣斬が炸裂するが、正影を倒す事ができない。復帰したキンジと凪が駆けつけるが、御家老の範囲攻撃を防ごうとしたキンジは妖刀を抜く事でそれを打ち破るも、自らは妖力に飲み込まれて再びオオカミオトコへと変貌してしまう……!
妖怪ハンターとして、妖怪になるなら、むしろ本望!(待て)
キンジの心象風景で、これまで出てきた数々の妖怪の顔がキンジ、という映像は面白かったです。あと、キンジに囁き戦術を仕掛ける九衛門の装甲パーツが紅いのは、今後への伏線か。
恐れや迷い、全てを忘れて楽になろうよ……今なら、全能力値が+5されるよ、と種族:妖怪へのデータ変更をそそのかされるキンジだが、
「忘れるなんて違いやす」
心が弱かったからこそ、天晴達と一緒に来られた、その弱さ、恐れや迷いも自分の一部だから忘れてはいけない、とキンジは妖怪化への恐怖を乗り越え、それを自らの一部と認める事で乗り越える。
これまでの日々が絆の力になる、というお約束の展開で悪くはないのですが、お父さんとお兄さんの事は一切思い出さないので、本当に設定リセットされているんだな、という。
そして、恐れも悩みも自分の一部、はまあいいとして、「ならば妖力も、もはやあっしの一部」……って、それでいいのか……?
ここで好天の助言が最後の一押しになるので爺ちゃんが何かドーピングしたのでしょうが、キンジが恐れを乗り越えて体内の妖力を打ち破ると、妖刀が新たなニンジャ刀へと姿を変え、スターはポンチョニンジャーへと変身。
キンジの治療を餌に<終わりの手裏剣>との交換を持ちかけようとした九衛門は、これを見て作戦失敗でぷんすかしているのですが、全く虚勢で無くなっているようで、師弟揃ってどんどん駄目な感じになっていくのであった……。
ポンチョニンジャーは圧倒的な力で御家老を粉砕し、巨大化したオボログルマに自ら乗り込む御家老。対するニンニンジャーは、激熱大王をライオンハオーに搭載してバイソンキング武器セットを構えるという、シュリケンジン用済み合体を発動。激しいタンクバトルを繰り広げ、最後はお約束の各パーツ型のエネルギー波を放ってオボログルマを撃破するのであった。激熱オトモ忍に全く個性が描かれていないので、新必殺技は、お約束のお約束という感じで、あまり盛り上がらないものに(^^;
強化モードの必殺攻撃を受け、わざわざオボログルマに乗り込むなど、自らリタイアフラグを積みまくった御家老ですが、空の彼方へ飛んでいくというギャグっぽい処理をされたので、まだ続投か。にしても、誰かのアップになると、常に誰かの背中が一緒に映るという、あの激熱ターンテーブル型コックピットはやはり失敗だったのではないか……。
最後に爺ちゃんによる補足解説が入るのですが、弱さを乗り越えて、恐れや悩みが消えたら、力だけが残ったって、なんだか妖力より危ない力を手に入れてしまったような。
スターまさかの単独パワーアップ回でしたが、個人的にキンジの、キメラみたいなキャラクター→考えすぎ→それは心の弱さ、と順々にすり替えられていった挙げ句に、強引に九衛門に対比される、という物語の流れにどうしてもノれない為、もうひとつ盛り上がりきれず。せめて昔の設定(父と兄)も拾ってくれれば良かったのですが、完全に無視されましたし。ポンチョニンジャーに関しては、爺ちゃんが「仕方ない……」みたいな事を言っていたので、あの出鱈目な強さと存在自体が、何らかの伏線という可能性が高そうですが。
次回、手裏剣伝説。サブタイトルの文字がドット風なのは細かくて秀逸。