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『ブルースワット』感想6

◆Volume7「スクープ!!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
スミレが出勤してくると、事務所で物凄くだらけている4人。スミレはそんな4人に、エイリアンと宇宙船とおぼしき物が写っている写真を見せる。
「おまえどこで撮ったんだよこの写真?!」
「どこで撮ったのよこれスミレちゃん」
女の子の襟首を躊躇無く掴むショウお姉様っぽくスミレの顎をくいっと摘まみ上げるサラ。
凄く、チンピラです。
写真は街で売られていたという話を聞いた3人は、スクープ写真のバラ売りをしている男を見つけると、問答無用でシグが腹パンで気絶させ、ショウとサラが荷物をまとめて回収し、そのまま男を隠れ家へとご招待。
凄く、ヤクザです。
すんでの差でエイリアン達がその場にやってきて写真が本物だという事が示され、エイリアン達は写真を闇に葬り去る為に暗躍を開始。一方シグにより、写真に写っているのがエイリアンが前線基地を造る際に用いるエネルギー鉱石シグマナインだという事が判明する。UFOは他の惑星に基地を作りに行く途中で故障して地球に不時着したと思われ、修理して飛び立つ前にエネルギー鉱石をぶんどってやる、と息巻くショウは男から撮影場所を聞き出そうとするが、写真で一儲けを企む男はそれを拒否して出て行ってしまう。
……てっきり監禁して尋問タイムが始まるのかと思ってドキドキしていたのですが、そこまで悪逆非道ではありませんでした。どうもショウ達の中では、とりあえずエイリアンに気付かれて男が狙われないようにする為の非常手段だった模様です。
胸ぐら掴んで怒らせた責任を取り、出て行った男を追いかけて機嫌を取るショウ。
「がばがば儲けちゃって、どうするわけ?」
「日本を飛び出し、見つけに行くんだ。世界のどこかに、俺の本当の居場所がある筈なんだ」
社会から疎外されている者、という扇澤さんらしいテーマが入り、これに“お金にこだわり夢を追い求めている(らしい)”ショウが共感する流れになるのかと思いきや……そうはならず。
ここからそういう組み立てをして、ゲストを軸にしたドラマをやりつつレギュラーキャラをしっかり肉付けしていくが扇澤さんの得意技の筈なのですが、ショウの初期設定はもう消す方向で行くのか?(^^;
そんなショウと男がエイリアンの刺客に襲われた所をシグとサラが助け、自分の命が狙われている事を知った男は、写真を撮ったのが自分ではなく彼女であったと告白。だがその彼女は、3日前に、突然の飛び降り自殺で死亡していた。2人が暮らしていたアパートに向かったサラとシグはアパートが荒らされているのを発見し、写真を抹消しようとするエイリアンの魔手が既に男の身近に迫っている事を知る。
病院のショウと男は再びエイリアンの刺客に襲われ、今回のショウは生身でやられ役。
名乗りも無ければ派手な必殺技もないスワットスーツですが、生身よりは断然強い、という事がアピールされ、これは良かったと思います。
3人は男をアジトに匿い、目撃者の証言などから彼女が自殺したのではなく、口封じの為にエイリアンにインヴェードされ自殺を偽装された事が判明する……と、ここに来て、直球で重い話。宮下さんが立ち上げで数話書き、扇澤さんが初登板で重いボールを投げ込んでくる、という構成は前作『特捜ロボ ジャンパーソン』と全く同じパターン。
「泣くな! 泣くぐらいなら思い出せよなんでもいいから! 手がかりだよ。彼女が写真を撮った場所の手がかり! 愛してなかったのかよおまえ! 仇討ちたくねぇのかよ彼女の!」
「討ちたいよ仇……出来るもんなら、それが出来るんなら俺だってさぁ!」
必死に考え込んだ末、男はその場所の手がかりを思い出すが、復讐に逸り1人で飛び出していってしまう。慌てて男を捜すブルースワットもセイジの解析により写真の場所に辿り着き、最初から黙ってこの男は監禁しておいた方が良かったのでは(笑) まあちゃんと、「写真だけで見つけ出すのはかなり難しい」と前半でセイジに言わせてはいるのですが。
1人木材で立ち向かうもエイリアンに男が処刑される寸前、駆けつけるブルースワット。ここでエイリアンを追い払うのに使っているショットガンタイプの銃は、なかなか格好いい。ススキ野原でじみーな隠密戦が展開し、何故か徘徊していたイグアナに心音を再生するレコーダーを巻き付ける囮作戦で、エイリアンをまとめて撃破。ブルースワットが頭を使ったのは良かったのですが、何故、野原にイグアナ……(^^;
ブルースワットはロケットランチャーでUFOを破壊すると、エネルギー鉱石を強奪。残った隊長格エイリアンを新兵器の冷凍弾で凍らせると、ショウが男に銃を握らせ、その復讐の連射で、エイリアンは砕け散るのであった……。
後日、形見となった彼女のネックレスを手に、旅立つ玉井。
サラ「――どこまで行けばあるんだろ」
シグ「自分の本当の居場所ですか」
ショウ「彼女はこの写真に命を賭けたんだよ……彼女との約束の場所、見つけろよ〜〜〜」
ショウが写真を紙飛行機にして飛ばしてエンド。
お待ちかねの扇澤脚本に、三ツ村監督という、90年代前半のメタルヒーローシリーズでは最も期待値の高い組み合わせでしたが、もう一つ。ゲストと主にショウが絡むのですが、特にショウとゲストが重なるわけでも対比されるわけでもなく、これといった相乗効果が生まれませんでした。扇澤脚本に期待するハードルに対しては、首をひねる出来(マイナス方向に弾けているわけでもなく、平凡という意味で)。
ショウはすっかり、“言葉遣いは軽いけど中身は真っ当”なキャラクターになっており、その辺りのショウのブレが、話全体のまとまりの悪さに繋がってしまっている気がします。むしろこのタイミングの扇澤脚本には、そんなショウに芯を入れてくれる事を期待していたのですが、その点ではがっかり。
なお今回、秘密の駐車場は、2話で出てきた廃工場にそのまま居座っていた事が判明。……うーん、なんかまだ、何故か事務所に地下車庫がある、とかの方が良かったような気も(いやこれ、両方ある可能性もありますが)。色々と不安を増しつつ、次回、妊娠。