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『ブルースワット』感想22

◆Volume31「異星人(エイリアン)純情す・・・」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
OPにシルバニア追加。
どこかの星で大暴れしているエイリアン・ゲドンを止めに入る、恋女房の女エイリアン・ハル。だがゲドンは、スペースマフィアで名をあげるのだと、その手をふりほどく。
「それを邪魔しやがるんならハル、おまえとの腐れ縁もここまでだ。あばよ」
「あんたーーー」
べべん、崩れ落ちたハルは、あ、悲痛に叫ぶのでありました。ところかわって舞台は地球、べべん! ……という感じで、任侠物の講談というか浪曲というかをエイリアンでやるという体裁なのですが、全編の馬鹿馬鹿しさが3周ぐらい回ってなんか面白い事に。
過労で倒れたという設定でスミレがお休みし、病院の帰りに目にした派手な夫婦喧嘩に割って入るブルースワット。会社が倒産してローンが払えなくなり家を手放そうとする夫に対し、妻が「あなたは洞穴で暮らせばいい」と言い放つ展開に、前回の扇澤脚本である松下老人回の悪夢がよぎりましたが、そこまでどぎつくはならない内にシーンが移ってホッとしました(^^;
「まさかホントに洞穴に住む事になるなんてなぁ……」
旅装姿の夫は山の中に向かい、見ているこちらがビックリです(笑)
一方、ジスプに呼ばれて地球にやってきたゲドンはブルースワットを襲撃。光線銃も効かずウィークポイントも見つからないゲドン(まあそもそも、最近その設定でエイリアン倒していませんが……)に追い詰められる3人だが、ゲドンが突然苦しみだし、その右手が石化。逃げたゲドンに容赦なく追い込みをかけるブルースワットだったが、山中でその姿を見失ってしまう。こんな山の中ではインヴェードする人間も居ない筈……と思いきや、シグはそこで一枚の写真を拾う。
「居たんですよたまたま人間が!」
「あの亭主、マジで来たのかよ洞穴に!」
不調に苦しむゲドンは男の家に戻るが、そこへやってきたハルが妻の肉体にインヴェードし、ゲドン夫を宇宙生物研究所へと連れて行く。そこでわかったのは、ゲドンの体が宇宙バクテリアに冒されており、あと半月の命という事であった。
「へへへっ、笑っちまうぜ。どこの星でバクテリアにとりつかれたのか見当もつかねぇ。そりゃそうだ。この手で、襲った星は数知れねぇんだからよ」
「行こう、あんた……」
「え?」
「どこでもいいから、遠くへ。二度と戦わないで済む所へ。残された時間、静かに過ごせる所へ」
「あるかな、そんな場所……」
「見つけるのよ。2人で」
なんだろうこの、スペース・バクト・ファンタジー
一方ゲドンの行方を追うブルースワットでは、先の長くないゲドンを探すのはもうやめようとシグが提案していたが、そこへハルを人質に取られたゲドンが襲いかかり、ブルースワットはゲドンの事情を知る。わざとゲドンにやられた振りをして待ち受けるエイリアン達からハルを取り戻そうとするが、マフィアは2人をまとめて始末しようとし、それを止めに入るブルースワット
この戦いでブルーストライカーは遠隔操作可能と判明し、そのままセイジのリモコン操作で攻撃するのかと思ったら、やってきた所にショウが乗り込むという、何とも言えないテンポの悪さ(^^;
再びハルが捕まってピンチに陥り、爆発するショウの怒り。
「その2人に手を出したら、俺が許さねぇ! 許さねぇぞ!!」
ちわー、毎度ー、プラチナム屋でーす! お届け物にあがりましたー!
と黄金超人がやってきたと思ったら、今日は一発グラビオンからのシルバニア。今のところシルバニアのテーマっぽく使われている挿入歌は格好いいのですが。
ブルースワットはエイリアン軍団を撃破し、声が西尾徳エイリアンだけ逃亡しましたが、前から居るキャラでしたっけ……?(^^; ただでさえ個体認識が難しいので、登場回で強い押し出しが無いと、正直把握できません。
金色さんは謎の力でハルが乗ってきたUFOを召喚し、前回に続いてクライマックスを強引に盛り上げようと流れ出す壮大な挿入歌だが、ゲドンは一緒についてくれば宇宙バクテリアはハルをも犠牲にするだろう、とその同行を拒否。
「なろうよ石に。遙かな宇宙で、あんたと私、2人揃って、石にさ」
だがむしろハルはそれを望み、2人は宇宙へと旅立っていくのであった……。
「星になるんだな、あの2人は」
「いつまでも、空に輝く夫婦星に」
あっけらかんと見送って、いい話みたいに脳内処理するブルースワットが、相変わらずドライ。
そしてインヴェードされていた夫婦は自宅の庭で目を覚まし、お互いを見つめ直し、手を取り合ってやり直す事にするのであった、でオチ。
さすがにプラチナムが神秘のパワーでバクテリア治療、というオチにはならなくてホッとしましたが、その結果としての永遠の旅立ちも含めて、悪人が改心する姿を描く気はなくて、最初から最後までゲドンとハルは“2人の世界”に居るだけ、というのが扇澤さんらしいといえばらしいタチの悪い(いっけん)人情もの(^^;
次回、ショウ爆発まで1時間! そして刃物に目覚める仲間達。
「無残ショウ爆死」
サブタイトルが一番面白かったらどうしよう……。


◆Volume32「無残ショウ爆死」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:浅香晶)
シグは寺の境内で日本刀を振り回し、ショウは上半身裸でトレーニングに励み、サラはコンバットナイフを握って自然破壊に勤しみ、トレーニング中の3人の元に次々と現れて復帰をアピールするスミレ……という微妙に困惑するシーンからスタート(笑)
映像的には今回の伏線を兼ねているのですが、前回スミレはもしかして、スケジュールの都合とかではなくリアルに倒れていたのだろうか(^^;
そんな和やかな空気の中、セイジが新型爆薬を完成させ、ミサイルの試し撃ちで地形を変える。
防衛局で開発中の新型兵器の製造方法をハッキングで入手したとの事ですが……最近この人たち、道を踏み外しすぎでは。
セイジは元々ハッキング野郎で遵法意識は薄いですし、エイリアンを倒す為には四の五の言っていられねぇ! どうせ俺たちゃ戸籍もねぇ! というのはブルースワットの特質ではあるのですが、目的の為に敢えて法を犯しているという意識が皆無(銀行強盗回はそれがあった)というのはやや引っかかります。先日は偽刑事に扮して聞き込み(して遺族の心を苛む)とかやっていましたが、この人たち、段々、慣れて麻痺してきているのでは。
そこに葛藤が無いと逆に特質を消してしまうような気がするわけで、いっそアウトローヒーローならアウトローヒーローで良いのですが、そうするとスミレの存在が致命的に矛盾するという、この根本的地雷設定。
無機物にインヴェードする能力を持つメカ寄生種族、銀河傭兵・モーグブルースワットに決闘を挑み、無人の自動車が3人を攻撃したり、光線銃や電車に憑依して翻弄する、とのこの手のアイデアストーリーは好きなのですが、相変わらず決闘の場に平気でセイジとスミレを連れてきたりするのが、話の都合丸出しでどうにも間抜けです。
そして、登場3回目にして敵に奪われるブルーストライカー。
セイジはそれに対して、開発した新型爆薬を持ち出す。
「これ一発で十分だよ」
……え、ブルーストライカー消し飛ばすの?
ところがまたもセイジの余計な言動でこれに気付いたエイリアンが爆薬を奪おうとしている内に、その液体がショウにかかってしまう。このままでは1時間後に浸透した爆薬が揮発してショウが大爆死してしまうが、それを洗い落とす中和剤は防衛局の研究所にしか存在しない。
「はははは、とんだお笑いだ。自分の作った武器で、自滅とはな。ははははは……」
いわば盗んだデータからウィルスだけ作ってワクチン用意していないとか、自業自得すぎて本当にお笑いで困ります。
再びブルーストライカーに憑依したエイリアンに追われてショウは20km先の研究所まで生身で走って行く事になり、仲間達は研究所に先回りして中和剤を強奪しようとする。
走るショウは駅前で自転車を盗むとまたがるが、それを妨害するエイリアン自動車。撮影の都合か普通の乗用車に憑依変更しているのですが、何故かヘッドライトから飛び出すビーム(笑)
自転車盗難、ダメ、絶対。
そして、登場3回目にしてどこかの路上に放置されるブルーストライカー。
スタッフは、ブルーストライカーに憎しみでもあるのでしょうか。
自動車を振り切ろうと海パン一丁で川に飛び込むショウだがエイリアンに先回りされてしまい、研究所目指して海パン一丁で走り続ける事に。裸足でアスファルトを走るという厳しい要求に役者さんも熱演し、海パン一丁で走るショウの図は面白いのですが、そもそもあまりに自業自得すぎて、素直に盛り上がりきりません(^^;
シグ達は中和剤の強奪に成功し、衛星を通して「ファイト!」のメッセージを受け最後の力を振り絞ったショウは合流に成功。無事に中和剤を浴びたショウが着替えている間、エイリアンに立ち向かうスワット2と3は、刃物に走る。
「そんなもので俺を倒せると思うのか!」
「地球の武器を、甘く見てはいけませんよ」
凄くどこかで聞いたような時代劇調のBGMの力を借り、シグは日本刀、サラはコンバットナイフ二刀流でエイリアンを切り刻む! 日本刀好きとしては盛り上がる展開ですが、シグはともかく、サラの最初からこれで良かったのでは感(笑)
仲間が新武器&新アクションで時間を稼いでいる間にスワット1が復帰し、さあ3人で反撃だ! と盛り上がる流れなのですが、そこは『ブルースワット』なので、「よくもやってくれたな! 許さねぇ! 絶対許せねぇ!!」からシルバニア装着という安定の台無しぶり。
一応、毎度カウンターで倒すのもどうかと思ったのかウィークポイント検索から銃撃で倒してショウとセイジのコンビネーションを補強、その光景に満足げな表情で帰還する金色さん。
「互いを信じ助け合う、それがチームワークというものです」
「それがエイリアンにはない、人間の最大の武器なのね」
「特に、この2人は強く助け合わなくちゃね」
なんか綺麗にまとめた!
爆死寸前のショウを助ける為に、ショウ(水泳+自転車+マラソン、のトライアスロンアクション)とセイジ(研究開発+ハッキング)がそれぞれの得意分野を発揮し、仲間達がそれをサポート、チームワークと友情を確認する、というプロットは悪くなかったと思うのですが、根本的に自業自得すぎるのが、どうにも引っかかりました(^^;
ハッキングにしろ自転車泥棒にしろ妙に露悪的で、裏テーマは、泥棒、ダメ、絶対だったのか。
テコ入れに次ぐテコ入れ、修正に次ぐ修正の影響と言ってしまえばそれまでですが、無関心・無責任・無法、のどれもが中途半端で、作品として土台がしっかりしていない為に面白さに昇華されない、というのが今作の残念な所です。やろうとした事をやれなかったのに、時々部分的に引っ張り出してくるので、いつまでもしっちゃかめっちゃか、という。
次回――またまた宇宙からの贈り物。
「ドラムガンナー最強モード、ドラムガンファイヤー!」
のナレーションにドラム缶爆破の映像を被せているのは、凝ったギャグなのか。